• 更新日 : 2023年3月23日

請求書の控えの保存期間は原則7年! 管理方法なども解説

請求書の控えの保存期間は原則7年! 管理方法なども解説

請求書の控えを作成しなければいけないという決まりはありませんが、作成した場合には保存義務が生じます。保存期間も決められており、法人は原則7年、個人事業主は5年です。ただし、例外もあるため注意しましょう。

本記事では請求書の控えの保存義務や保存期間を説明し、管理方法や管理の際の注意点についても紹介します。

請求書の控えとは

請求書には「取引先へ送付する請求書」と「取引先から受け取る請求書」の2種類あります。受け取った請求書は税制上の規定により原本を保存しなければなりませんが、請求書を発行した側は特に保存義務がありません。

しかし、請求書の控えを作成した場合、保存義務が生じます。

ここでは、請求書の控えに発行・保存の義務があるかについて解説します。

請求書の控えは発行・保存の義務はある?

請求書・領収書など税務関係の帳簿書類は保存義務があり、それぞれ決められた保存期間は保存しておかなければなりません。

他社から受け取った請求書は原本のため、そのまま保存します。自社で発行した請求書はそのまま送付すれば手元に書類は残らず、控えの作成義務はありません。

しかし、取引の証拠や記録を残すために控えを作成した場合は、保存義務が生じます。受け取った請求書と同じく保存が必要です。

参考:国税庁 No.5930 帳簿書類等の保存期間

インボイス制度導入後の2023年以降は発行・保存が義務化

2023年10月から導入される適格請求書等保存方式(インボイス制度)では、「適格請求書発行事業者」に対し請求書の控えの作成・保存が義務化されます。

インボイス制度は、消費税の仕入税額控除の適用を受けるために導入される新たな方式です。所定の記載要件を満たした請求書などが「適格請求書(インボイス)」で、消費税の仕入額控除を受けるためには、インボイスの発行または保存が必要です。

インボイス制度は売り手と買い手の双方に適用され、売り手は買い手から求められたときにはインボイスを交付しなければなりません。買い手は売り手から交付を受けたインボイスの保存が必要です。

インボイス制度について、詳しくは下記記事で解説しています。

請求書の控えの保存期間

請求書の控えの保存期間は、法人と個人事業主で異なります。ここでは、それぞれの保存期間について説明し、例外となるケースについても紹介します。

法人は原則として7年間

請求書の控えの保存期間は、法人の場合、原則として7年間です。7年間の起算点は、その事業年度における確定申告書の提出期限の翌日からです。請求書の発行日や受領日から7年間ではないため、注意しましょう。

法人の確定申告の提出期限は事業年度終了の日の翌日から2ヶ月以内であり、3月決算の場合は5月末が確定申告書の提出期限です。そこから起算して7年間、請求書を保存しなければなりません。

欠損金額がある場合は10年

保存期間には例外があり、2018年4月以降に発生した欠損金の繰越控除がある場合、保管期間は10年間に延長されます。欠損金とは、法人税を計算する際の所得計算において所得が赤字になる場合の金額です。

青色申告では一定期間、欠損金を繰り越して、将来の一定期間に発生した黒字と相殺できます。欠損金の生ずる事業年度に発行された請求書は、10年間の保存が必要です。

個人事業主は原則として5年間

個人事業主は原則5年間の保存が必要です。保存期間は法人と同じく、確定申告の提出期限を起算点とします。請求書が発行された年の確定申告の期限日から数え、5年間は保存しなければなりません。

また、個人事業主であっても、消費税課税事業者の場合は7年間の保存が必要です。前々年度の課税売上高が1,000万円以下の場合は消費税が免除される「消費税免税事業者」となりますが、これを上回る場合は「消費税課税事業者」となり、請求書の保存は法人と同じ7年間です。

請求書の控えの管理方法

請求書の控えは紙で保存するのが原則ですが、要件を満たせば電子データによる保存が可能です。ここでは、請求書の控えの保存方法について、紙と電子データに分けて紹介します。

紙で保管する

紙で保管する場合は、問い合わせがあったときに対応できるよう、わかりやすく保存することが大切です。取引先が少ない場合は月別にまとめる方法が適しています。毎月の業務・経理の動きを把握でき、分類する手間もかかりません。

取引先が多い場合は取引先別に分類するとよいでしょう。分類に手間はかかりますが、取引先との取引を把握しやすく、請求書に関する問い合わせがあったときに素早く対応できます。

電子データで保管する

請求書の控えをはじめとする国税関係の帳簿書類は、要件を満たせば電子化して保存することが電子帳簿保存法で認められています。紙による保存は場所をとり、印刷や整理の手間もかかり大変です。電子データで保存すれば、業務効率を向上できます。

なお、電子データでの保存には、以下の要件を満たすことが必要です。

  • 真実性の確保
  • 可視性の確保

真実性の確保とは、保存されたデータが改ざんされないことで、「電子署名」や「タイムスタンプ」の措置が必要です。

可視性の確保は保存されたデータを検索・表示することで、具体的には以下の措置が必要になります。

  • 誰でもすぐに必要な請求書が押印された印鑑なども明瞭に確認できるよう、保存場所に操作マニュアルを備え付ける
  • システムの概要書を備え付ける
  • データの検索ができるようにしておく

電子帳簿保存法について、詳しくは下記記事で解説しています。

請求書の控えの管理の注意点

請求書の控えを管理する際は、分類方法や請求書番号をつけるなど、いくつか注意すべき点があります。以下の点は特にきちんとチェックしましょう。

入金の状態によって分類・管理する

送付した請求書の控えを管理するうえで重要なのは、入金が済んでいるか、入金待ちであるかという点です。これらを把握しやすいよう、入金の状態を基準にして分類・管理する必要があります。

まず、支払期日が到来するまでは「入金待ち」として管理します。入金の確認をしやすいよう、支払い期限の順にファイルするのがよいでしょう。

支払期日になったら、取引先からの入金を確認し、入金の確認ができたら「入金済」に分類して保管します。実際に入金された日も記入しておくと、後から確認しやすくなるでしょう。

請求書番号を付ける

請求書の控えは膨大な枚数になる場合も多く、管理・保管をスムーズに行うためには、請求書番号を付けることをおすすめします。請求書番号の付与は義務ではありませんが、管理がしやすくなるだけでなく、取引先とのやり取りもスムーズに行えます。

採番には特にルールがなく、取引先コードや請求日を組み合わせるなど、社内でルールを定めて管理するとよいでしょう。

レシートの管理に注意する

レシートを管理する場合、保存に注意しましょう。レシートは感熱紙で発行されている場合が多く、時間が経つと印刷が消える恐れがあるためです。経費を証明するレシートであれば原本でなくてもよく、コピーして保管する方法があります。

レシートの印刷が消えても確認できるよう、日付や金額などを書き写しておくのもおすすめです。また、スキャンして電子保存する、スマートフォンなどで撮影するという方法もあります。

請求書の控えを作成したら保存が必要

請求書の控えは作成の義務はありませんが、作成したら請求書と同じく定められた期間の保存が必要です。保存方法には紙と電子データの2通りがあり、電子データの場合は要件を満たさなければなりません。

管理・保管する際は入金済み・入金待ちなど入金の状態によって分類することも大切です。保管のルールを作り、上手に管理しましょう。

よくある質問

請求書の控えは発行・保存の義務はありますか?

請求書の控えを発行する場合は控えを保存する義務があります。詳しくはこちらをご覧ください。

請求書の控えの保存期間は何年ですか?

法人は原則7年、個人事業主は原則5年です。詳しくはこちらをご覧ください。


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