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  • 更新日 : 2020年9月17日

電子書籍に消費税が上乗せされるってほんと?事業者が知っておくべきことまとめ

平成27年度税制改正に盛り込まれた「国境を越えた役務の提供に対する消費税制度の見直し」は「電子書籍に消費税が課せられる」ことを意味します。

これだけを聞くと電子書籍に課税されたところでビジネスに大きな影響は出ない、と思うかもしれません。しかし実はこの税制改正には、事業者が知っておくべき重要な内容が含まれているのです。

これまでの電子書籍と消費税の関係はこうだった!

非課税の電子書籍と課税される電子書籍

これまでは国外に拠点を置く事業者から提供されるインターネットのサービスに関しては、消費税の課税対象となりませんでした。

このサービスを堅苦しい言葉で「国境を越えた電子通信利用役務の提供」と言います。上記のサービスとは、具体的には電子書籍や音楽・広告の配信、その他クラウドサービス等をいいます。

これに対して国内事業者のこれらのサービスに関してはきっちり消費税が課せられてきました。これは例えば全く同じサービスでも、同じ利益を得ようとすると国外事業者が100円で提供しているものを国内事業者は108円で提供しなくてはならないという状況です。

「国境を越えた役務の提供」に課税する動き

インプレスR&Dの「電子書籍ビジネス調査報告書2014」によれば電子書籍市場は2006年度以降爆発的に成長しています。

その他の音楽・広告配信やクラウドサービス等の市場もさらなる成長可能性を十分に秘めています。そうであるにもかかわらず現在の税制を維持し続ければ公平性・中立性はもちろん、国内の競争力に大きな影響が出てします。そこで政府は、この状況を改善すべく平成27年度税制改正で法案の改正に踏み切りました。

以下ではこの改正がどのようなものなのかを具体的に見ていきましょう。

これからの電子書籍と消費税の関係はこうなる!

課税基準を「役務の提供を受ける者の住所地等」へ

これまで電気通信利用役務に対しての課税基準は「役務を提供する事業者の所在地」でした。

だからこそ海外に拠点を置く事業者は取引を消費税の対象外としてビジネスが展開できていたのです。しかし改正後はこれを「役務の提供を受ける者の住所地等」に変更します。

これが具体的にどのような影響があるのかは、下図を見ながら解説しましょう。

役務の提供を受ける者の住所地等

これまで通りの課税が行われるのは、国内事業者が国内の消費者に対してサービスを提供する場合(1)だけです。それ以外の取引は全て消費税の対象外だったものが課税対象に、課税対象だったものが課税対象外に変更されます。

国内事業者が国外事業者に対してサービスを提供した場合(2)、これまでは「役務を提供する事業者の所在地」が課税基準だったために課税対象とされていましたが、改正後は課税の対象外となります。

同じ理由でこれまで課税対象だった国内事業者が国外の消費者に対してサービスを提供した場合(3)も課税の対象外です。逆に海外事業者が国内事業者や消費者に対して提供するサービス((4)・(5))は全て課税対象となります。

総じて国内事業者を優先した制度へと様変わりするというわけです。

そのサービスは消費者向け?事業者向け?

今回の税制改正によって提供されるサービスが消費者向けなのか、事業者向けなのかにおいても課税方式が変わります。

サービスが消費者向けの場合の課税方式は「国外事業者申告納税方式」と呼ばれ、国外の事業者が直接日本の税務署に対して消費税の申告・納税を行わなくてはいけません。これはサービスの提供を受ける者が消費者であっても事業者であっても同じことです。

重要なのは「サービスの性質」。例えば私たちが話題にしている電子書籍や音楽の配信などは消費者向けサービスとして判断されます。

これらのサービスの提供を受ける分には、これまで通りと大きな違いはないのです。ではサービスが事業者向けの場合はどうなるのでしょうか?

「リバースチャージ方式」ってなに?

事業者は「リバースチャージ方式」にご注意

リバースチャージ方式とは

この場合の課税方式を「リバースチャージ方式」と呼びます。対象となる取引は例えば広告の配信などです。

これは国外事業者が国内事業者に対してこの種のサービスを提供した場合、納税義務者は国内事業者になるという方式です。国外事業者から広告の配信やクラウドサービス等の提供を受けている国内事業者は、これまで課税対象でなかった取引が課税対象となることに注意しましょう。

知っておきたい「登録国外事業者制度」

これだけを聞くと「サービスの提供を受ける事業者には良いことはあまりないじゃないか」と思うかもしれません。しかし「登録国外事業者」からの「電子通信利用役務の提供」に関しては仕入れとして計上できることになっているので、その分の控除が受けられるようになっています。

平成27年10月1日現在で国税庁が発表している登録国外事業者は、ザ・フィナンシャル・タイムズ・ジャパン・リミテッドなど28社です。また課税売上割合が95%以上の事業者や簡易課税制度が適用される事業者の場合は、当分の間リバースチャージ方式による課税はしない、ということにもなっています。

まとめ

今今回の税制改正で多少の値上げは予想されるものの、消費者として電子書籍や音楽配信のサービスを受ける分にはこれまで通りで問題はありません。経営者として留意しておきたいのはリバースチャージ方式による課税です。

仕組みをよく理解しておく必要があるでしょう。同時に国外への電気通信利用役務の提供が消費税の課税対象外となるという改正点も最大限活用していきたいメリットです。よく改正内容を理解して、今後の経営に役立てましょう。

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※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。

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監修:加地 延行 (公認会計士 / 税理士)

税理士法人ゆびすい
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