- 更新日 : 2024年10月17日
送付状に記載すべき時候の挨拶とは?季節に応じた文例を紹介
時候の挨拶は送付状などのビジネス文書で多く使われています。時候の挨拶を添えることはビジネスマナーとされているだけではなく、相手への気遣いを伝えるコミュニケーションのひとつでもあります。この記事では、時候の挨拶の概要や月ごとの表現、文章のポイントなどを紹介します。
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送付状に記載する時候の挨拶とは?
手紙の書き出しに入れる、相手を気遣い礼節を表す文章のことを時候の挨拶と呼びます。送付状などのビジネス文書においても、書き出しは時候の挨拶から始めることが一般的です。その季節に合った表現を使うことが特徴です。
時候の挨拶は絶対に必要なものではありませんが、誠実さや丁寧さが伝わるため、相手への印象が良くなるでしょう。慣用句としてよく使われる表現もありますが、それ以外を使ってはいけない訳ではありません。自分なりの言葉で季節を表現し、相手を気遣う書き出しができれば好感度も上がることでしょう。
時候の挨拶の具体例
時候の挨拶は、手紙や文書を送る時期によって表現を変えます。しかし一般的に以下のような文面が多く見られます。
「○○の候」で時候を表現し、そのあとに相手の活躍や健康を願う文章が続きます。ここからは、「○○の候」の部分に使える表現の例を月ごとに紹介します。
1月の時候の挨拶
新しい年の明けた1月は、良い1年になるよう願う挨拶がいいでしょう。寒さの厳しい頃であるため、相手の体調を気遣うような挨拶もできます。
- 新春の候
- 初春の候
- 酷寒の候
- 厳寒の候
- 厳冬の候
- 例年より寒さが身に染みる今日この頃
- まだ来ぬ春が待ち遠しく
2月の時候の挨拶
1年のうち最も寒い時期である2月ですが、暦の上では春の始まりでもある月です。寒いながらも春の兆しを感じ、相手の活躍を願うような、明るい印象の挨拶がいいでしょう。
- 立春の候
- 春寒の候
- 残寒の候
- 残雪の候
- 余寒の候
- 寒明の候
- 立春を過ぎてもまだまだ寒い日が続いております
- 寒い中でも春の兆しを感じる季節となりました
3月の時候の挨拶
雪が解けてさまざまな花が咲き始める3月は、心も晴れやかになる時期です。特に、環境の変わる相手への挨拶は、咲き始めた花にかけて希望を感じさせるものがいいでしょう。
- 早春の候
- 浅春の候
- 春暖の候
- 春雪の候
- 春分を過ぎ、日に日に春めいてまいりました
- 春の陽射しがうららかな季節となりました
4月の時候の挨拶
春真っ盛りの4月は桜の印象が強いものです。しかし、風や雨で早々に散ってしまうため、時候の挨拶に使う場合は相手の地域での咲き具合を考えましょう。季節の変化による体調や、環境の変化による心境など、相手への気遣いを伝えられれば印象も良くなるでしょう。
- 陽春の候
- 桜花の候
- 陽炎の候
- 暮春の候
- 春爛漫の折から
- 桜の花が咲き誇る時期となりました
- 行く春が惜しまれる今日この頃
5月の時候の挨拶
5月は桜が散り、生命力あふれる新緑のまぶしい時期です。1年のうちでも過ごしやすい時期であるため、毎日健やかに過ごしていることを思う旨を挨拶として入れるとよいでしょう。
- 新緑の候
- 薫風の候
- 惜春の候
- 暮春の候
- 若葉の候
- 立夏の候
- 新緑のまぶしい今日この頃
- 風薫る季節となりました
6月の時候の挨拶
梅雨入りの時期である6月は憂鬱に感じる人も多いでしょう。雨の多い季節だからこそ感じられる、雨音や瑞々しい草木の様子などを前向きに表現するといいかもしれません。
- 初夏の候
- 向夏の候
- 麦秋の候
- 梅雨の候
- 薄暑の候
- 長雨に山の緑もいっそう瑞々しく感じられます
- 紫陽花の色づく今日この頃
7月の時候の挨拶
7月は梅雨が明け、夏の暑さが本格的になる時期です。暑い季節でも変わりない活躍を確信し、相手の健康を願う挨拶を入れるといいでしょう。
- 盛夏の候
- 猛暑の候
- 炎暑の候
- 酷暑の候
- 大暑の候
- 暑中お見舞い申し上げます
- 梅雨明けの空が爽やかな季節となりました
8月の時候の挨拶
暑さのピークとなる8月ですが、暦の上では秋が始まります。地域によっては8月の終わりには暑さが落ち着き、秋の気配を感じることもあるでしょう。しかし暑さの続く地域もあるため、相手の地域に合わせた挨拶を入れましょう。
- 晩夏の候
- 残暑の候
- 残炎の候
- 立秋の候
- 秋暑の候
- 納涼の候
- 残暑お見舞い申し上げます
- 厳しい暑さの続く今日この頃
9月の時候の挨拶
暑さが落ち着き日も長くなる9月は過ごしやすい時期です。秋分の日を過ぎるといっそう秋が深まるように感じるでしょう。相手も秋を感じながら穏やかな日々を過ごしていることを願う内容がいいでしょう。
- 初秋の候
- 新秋の候
- 秋冷の候
- 仲秋の候
- 白露の候
- 少しずつ秋の気配を感じるようになった今日この頃
- 9月になったというのに残暑が続いております
10月の時候の挨拶
紅葉や植物の実りなど、ますます秋の深まる10月は気持ちも豊かになります。気持ちのいい秋晴れの日もあるでしょう。秋の爽やかさを交えて、相手の活躍を願うような挨拶を入れると好印象になります。
- 秋涼の候
- 秋雨の候
- 秋晴の候
- 紅葉の候
- 秋冷の候
- 初霜の候
- 爽やかな秋晴れの日が続いております
- 次第に秋が深まってまいりました
11月の時候の挨拶
11月になると徐々に気温が下がり、冬の気配が感じられるようになります。季節の変わり目であるため相手の健康を願う挨拶を、冬の楽しみを心待ちにするような文章を交えて伝えるとよいでしょう。
- 晩秋の候
- 暮秋の候
- 深秋の候
- 向寒の候
- 霜寒の候
- 落葉の候
- 秋の終わりを感じる頃となりました
- 向寒のみぎり
12月の時候の挨拶
冬本番の12月は、忙しい年末の時期でもあります。寒さや忙しさの中でも健やかに過ごしていることを願うような挨拶がいいでしょう。1年の感謝を伝える良い機会にもなります。
- 師走の候
- 初冬の候
- 木枯の候
- 寒冷の候
- 新雪の候
- 本格的な冬を迎える時期となりました
- 年の瀬の寒さの厳しい季節となりました
送付状の挨拶で避けるべき表現
手紙の書き出しとして使われる言葉に「前略」がありますが、これは時候の挨拶を略す意味で使われます。時候の挨拶を入れる場合は、「前略」は使わないようにしましょう。
時候の挨拶は、送り先の気候や季節を考慮したものを入れます。例えば、こちらは暖かくなってきていても送り先の地域では雪が残っているような場合は、相手の地域に合わせて冬に合った挨拶を入れましょう。相手が遠方の場合や、作成から相手に渡るまでに期間が開く場合には注意が必要です。
時候の挨拶は、送り先の相手との関係性も考慮した文章にするとベターです。取引先への文書では、砕けた表現は避けましょう。
季節の挨拶を含めた送付状の書き方とポイント
送付状を入れる目的は、送付物の内容を確認してもらうことです。時候の挨拶を含め、文章は長くなりすぎないように簡潔にしましょう。相手への気遣いに加え、送付物の内容は箇条書きなどを用いて分かりやすく作成します。
手紙であれば、最後は相手を気遣うような文章で締めますが、送付状なら「送付したものについてよろしくお願いします」といった意味の文章で締めます。ただし、挨拶状や御礼状など、ビジネス文章であってもこちらの気持ちを伝えるようなものは季節にちなんだ締めの言葉を入れることもあります。
送付状の作り方についてはこちらで詳しく解説していますので、ぜひ参考にしてください。
送付状に時候の挨拶を入れて相手への礼節や気遣いを示そう
ビジネス文書の時候の挨拶は、必ず入れなければならないものではありません。しかし、季節や心遣いの感じられる文章は相手に良い印象を与えられるでしょう。簡潔でも心の入った挨拶を添えることで、丁寧さや誠実さを伝えられます。相手との良い関係を長く続けるためにも、時候の挨拶を使ってみてはどうでしょうか。
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