- 更新日 : 2025年1月28日
個人事業主のインボイス登録に必要な書類、申請方法を解説
インボイスとは、商品の消費税額などを請求書や領収書に明記する制度です。個人事業主もインボイス制度に対応するなら、インボイスの登録申請をする必要があります。
ちなみに課税事業者はインボイスの登録申請ができますが、免税事業者はできないので注意しましょう。
この記事では、登録に必要な書類や申請方法を解説します。
目次
個人事業主のインボイス登録に必要な書類
インボイスの登録申請をする方法は、e-Taxと書面手続きの2通りです。それぞれの方法で登録申請する際に必要なものを以下にまとめました。
e-Tax | 書面 |
---|---|
|
|
e-Taxでも書面申請でも、マイナンバーカードがあれば手続きがスムーズになります。
もしマイナンバーカードをお持ちでない方は、以下の代替方法を取ってください。
- e-Taxで申請する方:e-Taxで利用できる電子証明書を取得
- 書面で申請する方:通知カードと運転免許証といった本人確認書類の2種類を用意
また、e-Taxで登録申請する際は、マイナンバーカードと利用者識別番号を使用し、e-Tax上で登録申請書を作成することとなります。そのため、事前に申請書をダウンロードしておく必要はありません。
利用者識別番号とは、e-Taxを利用する時に使用する16桁の番号です。e-Taxソフト上でマイナンバーカードを読み取る方法やe-Taxの「開始届出書を作成する」というページで取得する方法があります。
個人事業主がインボイス登録する手続き
インボイス登録の手続き方法には、3通りあります。
パソコンからe-Taxで登録申請
パソコンを使っての登録申請は、「e-Taxソフト」と「e-Taxソフト(WEB版)」のどちらからでも行えます。「e-Taxソフト」で申請する際は事前にダウンロードを済ませておきましょう。
パソコンからe-Taxで登録申請をする手順は、下記の4STEPです。
- 「e-Taxソフト」を開きログイン
- 16桁の利用者識別番号を登録
- 流れに沿って必須項目を入力し登録申請データを作成
- 完成後に電子署名を行い、登録申請データを送信
初めてe-Taxにログインする方は、利用者識別番号の登録を行います。すでに登録されている方は、登録画面が表示されません。
登録申請データを送信すると、受取通知が届きます。念の為、この受取通知が届いていることも確認しましょう。
スマホからe-Taxで登録申請
スマホで登録申請をする場合は、「e-Taxソフト(WEB版)」から行います。実際の手順は以下の4STEPです。
- 「e-Taxソフト(WEB版)」を開きマイナンバーカードでログイン
- 16桁の利用者識別番号を登録
- 必須項目を入力・選択し登録申請データを作成
- 完成後に電子署名を行い、登録申請データを送信
基本的にはパソコンで登録申請する方法と同じです。登録申請データを送信すると受取通知が届くのでしっかり確認してください。
また、スマホから登録申請を行う前に、OSを推奨環境にバージョンアップしておくのがおすすめです。AndroidはAndroid OSを12.0〜15.0に、iPhoneはiOSを16.7・17.6・18.0のいずれかにバージョンアップさせておきましょう。※2025年1月時点
※参考:国税庁
書面で登録申請
書面で登録申請を行うなら、あらかじめ国税庁の「適格請求書発行事業者の登録申請手続」のページから書類をダウンロードし、プリントアウトしておいてください。
書面でインボイスの登録申請を行う手順は、以下の3STEPです。
- 国税庁のフローチャートや記入例を参考に必要事項を入力
- 申請書に本人確認書類の写しを添付
- インボイス登録センターに郵送
書類は2枚あるので記入漏れに注意です。また、課税事業者と免税事業者で記入箇所が異なる点にも気をつけましょう。
インボイス登録センターの住所は、国税庁の「インボイス登録センターのご案内」を参考にしてください。
個人事業主のインボイス登録番号は申請からいつ発行される?
インボイスの登録申請から番号発行までの期間は、申請方法によって少し異なります。e-Taxで申請すると約1ヶ月、書面で申請すると約1.5ヶ月が目安です。※2025年1月現在
もし、記入漏れや誤った箇所があると、発行までの期間がさらに伸びる可能性があります。
目安の期間を過ぎても番号が発行されない時は、インボイス登録センターへ相談しましょう。そのほか、自分で記入漏れや誤りを見つけた際も、インボイス登録センターに連絡してください。
参考:国税庁
個人事業主がインボイス発行事業者となるのはいつから?
インボイスの発行事業者となるのは、通常、申請日から15日以上空けた登録希望日からです。しかし、新たに事業を開始した個人事業主がインボイスの登録申請をした場合、申請日よりも遡って、課税期間の初日(=申請をした年の1月1日)からインボイス発行事業者となることもできます。
例えば、2024年11月10日に登録申請をすると、2024年1月1日からインボイス発行事業者となることができます。そしてインボイス発行事業者として、翌年3月31日までに消費税の申告が必要です。
課税期間の初日が1月1日となるのは、個人事業主の決算日が一律で12月31日と決まっているためです。開業日が2024年8月18日だとしても、課税期間の初日からの登録を希望すれば、インボイス発行事業者になるのは2024年1月1日からになります。
なお、課税期間の初日が開業日よりも前になったとしても、8月17日までは事業として売上が立っていないため、消費税の計算に特段影響はありません。
個人事業主のインボイス対応後の確定申告のやり方
ここからは、インボイス登録申請後の確定申告のやり方について解説します。インボイス登録申請をした課税事業者は所得税の確定申告に加えて、消費税の確定申告が必要になってくるのできちんと対応しましょう。
インボイスの影響の有無や確定申告の方法を、以下の表にまとめました。
課税事業者の場合 | 簡易課税を選択した方:インボイスの影響なし、従来通り消費税の確定申告を実施 | |
---|---|---|
原則課税を選択した方:インボイスの影響あり、支払先をインボイス発行事業者か否かに分けて計算し消費税の確定申告を実施 | ||
免責事業者から課税事業者になった場合 | 「2割特例」の要件を満たす方:「2割特例」・簡易課税・原則課税を選択し消費税の確定申告を実施 | |
「2割特例」の要件を満たせない方:簡易課税もしくは原則課税を選択し消費税の確定申告を実施 | ||
免責事業者のまま継続する場合 | インボイスの対応不可、消費税の確定申告は不要 |
「2割特例」とは、売上に係る消費税額の2割を、消費税の納付税額として計算できる特例のことです。令和8年9月30日を含む課税期間まで適用できます。適用される要件や概要については、国税庁の「2割特例 特設ページ」をご覧ください。
個人事業主がインボイスを発行する際の請求書の書き方
ここでは、インボイスを発行する場合の記載事項と請求書の書き方を解説します。
インボイス(適格請求書)の記載事項
インボイスの記載事項は以下の6つです。
- インボイスの交付先である相手方の氏名または名称
- 売り手(自社)の氏名または名称および登録番号
- 取引年月日
- 取引内容(軽減税率の品目は、軽減税率である旨を記載)
- 10%・8%それぞれの対象となる対価の総額および適用税率
- 10%・8%それぞれの消費税額等
上記の事項が全て記載されていれば、領収書や請求書といった名称に関わらず適格請求書(インボイス)として扱えます。
なお、交付した適格請求書の写しは、交付した日の属する課税期間の末日の翌日から2ヶ月を経過した日から7年間保存しなければなりません。例えば、2024年内に交付した適格請求書の写しは、2025年3月1日から7年後の2032年2月29日まで保存する義務があります。
参考:国税庁
インボイス(適格請求書)対応の請求書テンプレート
インボイス制度に対応した適格請求書のテンプレートは、こちらから無料でダウンロードできます。
ビジネス用メールアドレス、法人・個人事業主の事業区分、従業員数の3つをご入力ください。メールアドレスにダウンロード用のURLが届きます。
必要書類を用意してインボイスの登録申請をしましょう
インボイスの登録申請は、e-Taxもしくは書面から行えます。約1ヶ月〜1.5ヶ月で登録番号が発行されるので、余裕を持って申請しましょう。
インボイスの登録申請後は、消費税の確定申告が必要となります。忘れずに対応してください。
※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。
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