- 更新日 : 2025年11月11日
【テンプレあり】英語での発注方法は?ビジネスメールや発注書の書き方を解説
発注を英語で行う際は、適格な発注書(Purchase Order)の作成と明確な英語コミュニケーションが欠かせません。特に、英語での発注メールでは、正確な表現やビジネス文化への理解が取引の進行をより円滑にします。
海外との取引が増えるなか、英語での発注メールの書き方や、商習慣の違いによるトラブルの対処法に悩む担当者も少なくないでしょう。
この記事では、海外への商品発注で使う英単語から、具体的な業務フロー、そのまま使えるメール例文、会計処理上の注意点までをわかりやすく解説します。
目次
英語で「発注」はどう表現する?
英語で「発注」を表現する場合、名詞・動詞として使えるorderが最も一般的です。ビジネスシーンでは、より具体的に「発注書」を意味するPurchase Order(略:PO)が頻繁に使われます。
基本となる単語は”order”と”Purchase Order (PO)”
ビジネス文書やメールにおいて、「発注」や「注文」を示す際にはorderが基本の単語となります。動詞として「発注する」と言いたい場合はplace an orderというフレーズを使うと、より自然な表現になります。
また、書面でのやり取りではPurchase Order(パーチェスオーダー)が正式な「発注書」を指し、POと略して呼ばれることが通例です。海外取引では、このPOをもって正式な発注の意思表示と見なされるため、非常に重要な書類です。
| 日本語 | 英語表現 | 略語 | 用途 |
|---|---|---|---|
| 発注、注文 | order | – | 名詞・動詞として幅広く利用 |
| 発注する | place an order | – | 「発注する」という行為を指す動詞句 |
| 発注書 | Purchase Order | PO | 正式な発注書類 |
発注を意味する英語の関連表現
「発注」という行為には、その前後のプロセスで使われる多様な英語表現が存在します。状況に応じてこれらの言葉を使い分けることで、相手との認識齟齬を防ぎ、円滑なコミュニケーションが可能になります。
- Procurement / Purchasing:
企業が事業に必要な物品やサービスを調達する活動全般を指します。orderが個別の注文を指すのに対し、procurementはより広範な「調達業務」というニュアンスを持ちます。 - Request for Quotation (RFQ):
発注前に価格や納期などの条件を確認するための「見積依頼」です。 - Order Confirmation / Order Acknowledgment:
発注を受けた側が、注文内容を請け負ったことを示す「受注確認書」や「発注請書」を指します。
日本語の「発注」とのニュアンスの違い
日本語の「発注」は口頭での依頼も含む場合がありますが、英語圏、特にビジネスの現場では書面でのやり取りが重視されます。口頭でI’ll order it.と伝えたとしても、正式な手続きとは見なされないことが多いでしょう。
海外取引では、「Purchase Order (PO)」を発行し、相手が「Order Confirmation」を返すことで、初めて法的な効力を持つ契約が成立したと認識されます。この「書面主義」の文化を理解しておくことは、不要なトラブルを避けるうえで大切です。
海外への発注における一般的な業務フローとは?
海外企業への発注は、見積依頼から支払いまで、一連の決まった流れに沿って進みます。各ステップで使われる英語の定型表現や書類名を把握しておくことで、取引全体をスムーズに管理できるでしょう。
STEP1:見積依頼 (Request for Quotation – RFQ)
最初に、希望する商品やサービスの価格、納期、支払い条件などを確認するために見積りを依頼します。この際に送るのが「Request for Quotation(略:RFQ)」です。メールの件名を「Request for Quotation for [Product Name]」のように具体的にすると、相手に意図が伝わりやすくなります。
STEP2:発注 (Placing an Order)
見積内容に合意したら、正式に発注します。ここで「Purchase Order (PO)」を作成し、メールに添付して送付するのが一般的です。メール本文には、POを添付した旨と、注文内容の確認を依頼する一文を記載します。
STEP3:発注請書の受領 (Order Confirmation)
発注を受け付けたサプライヤーは、注文内容や納期、金額などを記載した「Order Confirmation(またはOrder Acknowledgment)」を発行します。この書類を受け取ることで、注文が正式に受理されたことを確認できます。内容に間違いがないか、必ずPOと照らし合わせて確認しましょう。
STEP4:納品と検収 (Delivery and Inspection)
商品が発送されると、サプライヤーから「Shipping Advice(発送通知)」や「Invoice(請求書)」が送られてきます。商品が到着したら、注文どおりの品物か、数量や品質に問題がないかを確認する「検収(Inspection)」を行います。もし問題があれば、速やかにサプライヤーに連絡が必要です。
STEP5:支払い (Payment)
検収で問題がなければ、請求書に基づき代金を支払います。「支払い条件(Payment Terms)」に従い、指定された期日までに送金手続きを完了させましょう。支払い完了後、その旨を相手に一報入れると、より丁寧な印象を与えます。
英語の発注書(Purchase Order)の書き方は?
英語の発注書(Purchase Order / PO)は、取引内容を明確にし、双方の認識を一致させるための公式な書類です。記載漏れや間違いがないよう、必須項目を正確に記述する必要があります。
発注書に記載すべき必須項目一覧
発注書には、誰が、誰に、何を、いつまでに、いくらで発注するのかを明確に示す情報が不可欠です。一般的に、以下の項目を記載します。
- 発行者情報 (Buyer Information):自社の会社名、住所、連絡先、担当者名
- 宛先情報 (Vendor/Supplier Information):発注先の会社名、住所、連絡先、担当者名
- 発注番号 (PO Number):社内で管理するための一意の番号
- 発行日 (Order Date / Issue Date):発注書を作成した日付
- 希望納期 (Requested Delivery Date):商品を納品してほしい日付
- 支払い条件 (Payment Terms):支払い期限や方法(例: Net 30 days)
- 発送先住所 (Shipping / Delivery Address):商品の納品先住所
- 商品詳細 (Item Description):商品名、型番、仕様など
- 数量 (Quantity / Qty.)
- 単価 (Unit Price)
- 合計金額 (Total Amount)
各項目の英語表記と記載例
以下は、発注書の各項目とその記載例をまとめた表です。自社のフォーマットを作成する際の参考にしてください。
| 項目(日本語) | 項目(英語) | 記載例 |
|---|---|---|
| 発注書 | Purchase Order | – |
| 発注番号 | PO Number | PO-20251007 |
| 発行日 | Issue Date | Oct 7, 2025 |
| 支払い条件 | Payment Terms | Net 30 days after invoicing |
| 納品先 | Ship To / Delivery Address | 1-1 Chiyoda, Chiyoda-ku, Tokyo, Japan |
| 商品名 | Item Description | Product Model ABC-123 |
| 数量 | Quantity (Qty.) | 100 |
| 単価 | Unit Price | $50.00 |
| 小計 | Subtotal | $5,000.00 |
| 税 | Tax | $500.00 |
| 合計金額 | Total | $5,500.00 |
英語の発注書テンプレート
英語の発注書テンプレートは、以下より無料でダウンロードいただけます。自社の運用に合わせてカスタマイズして使用すると良いでしょう。
【例文付き】英語での発注メールの書き方は?
英語での発注メールは、件名で用件を伝え、本文で発注の意思と詳細を簡潔に記述することが大切です。発注書(PO)を添付するのが一般的なため、その旨も忘れずに記載しましょう。
件名で内容がわかるようにするポイント
受信者が一目でメールの内容を把握できるよう、件名には「発注」であることと「発注番号」を明記します。
- Purchase Order [PO Number]
- Order for [Product Name] – [PO Number]
- New Order from [Your Company Name] (PO: [PO Number])
このように記載することで、相手の担当者が迅速に処理を進めやすくなります。
発注メールの基本構成
発注メールは、以下の構成で作成すると、要点が伝わりやすくなります。
- 挨拶と会社名:担当者名と会社名を伝えます。
- 発注の意思表示:発注したい旨を明確に述べます。
- 発注書の添付:作成したPurchase Orderを添付していることを伝えます。
- 納期の確認:希望納期を再度伝え、確認を依頼します。
- 受注確認の依頼:Order Confirmationの発行をお願いします。
- 結びの言葉
【シーン別】英語メールの例文
新規で商品を発注する場合
件名:Purchase Order No. 12345 – ABC Corporation
Dear [担当者名],
I hope this email finds you well.
We would like to place an order for the following items. Please find our official Purchase Order (PO-12345) attached to this email.
Could you please confirm receipt of this order and let us know the estimated delivery date?
We look forward to receiving your order confirmation.
Best regards,
[自分の名前] [役職] ABC Corporation
見積りを受けたあとに発注する場合
件名:Order based on Quotation No. Q-678 – ABC Corporation
Dear [担当者名],
Thank you for providing the quotation (No. Q-678) dated October 1, 2025.
We are pleased to accept your proposal and would like to place an official order. Please see the attached Purchase Order (PO-12346) for details.
We would appreciate it if you could proceed with this order and send us the order confirmation at your earliest convenience.
Thank you for your cooperation.
Sincerely,
[自分の名前] [役職] ABC Corporation
海外企業への発注で注意すべき点は?
海外企業との取引では、言語や文化、商習慣の違いから予期せぬトラブルが発生することがあります。特に契約条件に関わる項目は、発注前に双方で明確に合意しておくことが不可欠です。
支払い条件(Payment Terms)の確認
支払い条件は、資金繰りにも影響する重要な項目です。「T/T (Telegraphic Transfer) Remittance in Advance(電信送金による前払い)」や「Net 30 days(請求書発行後30日払い)」など、様々な条件があります。特に初めての取引では前払いを求められるケースも少なくありません。双方にとって合意可能な条件か、発注前に必ず確認しましょう。
納期(Delivery Date)と輸送方法(Shipping Method)の明確化
「納期」の定義が日本と海外で異なる場合があります。例えば、工場出荷日を指すのか、納品先に到着する日を指すのか、認識を合わせておく必要があります。
「Please deliver the goods to our warehouse by November 30, 2025.」のように、具体的な場所と日付を指定すると行き違いを防げます。あわせて、航空便(Air freight)か船便(Sea freight)かといった輸送方法も確認しておきましょう。
貿易条件(Incoterms)の合意
国際商業会議所が定めた貿易条件の定義であるインコタームズ(Incoterms)は、費用負担と危険負担の範囲を定める重要なルールです。例えば、「FOB (Free On Board)」は輸出港で船に積んだ時点で費用と責任が買い手に移る条件であり、「CIF (Cost, Insurance and Freight)」は運賃・保険料込みで輸入港までの費用を売り手が負担する条件です。
どのインコタームズで取引を行うか、必ず見積りや契約の段階で合意しておきましょう。
海外発注における会計・経理上の連携ポイントは?
海外への発注業務は、経理・会計部門との連携が不可欠です。特に外貨建ての取引では、為替レートの変動や税務処理など、国内取引にはない特有の論点が存在します。
発注書(PO)と請求書(Invoice)の照合を徹底する
経理部門が支払い処理を行う際の基本は、発注書(PO)、納品書(Delivery Note)、請求書(Invoice)の3点を照合し、内容が一致しているかを確認することです。
海外取引では納品書がないケースもありますが、少なくともPOとInvoiceの金額や数量が一致しているかは厳密にチェックせねばなりません。不一致がある場合は、支払いを保留し、事業担当者がサプライヤーに確認する必要があります。
取引日の為替レートで会計処理する
外貨建ての取引は、原則として商品を仕入れた日(=検収日)の為替レートで円換算し、買掛金として計上します。その後、実際に代金を支払った日の為替レートで決済するため、計上時と決済時で為替差損益が発生することがあります。経理担当者は、この為替差損益を正しく会計処理する必要があります。
関税や消費税の取り扱い
海外から商品を輸入する場合、品目に応じて関税がかかります。また、輸入した商品には日本の消費税(輸入消費税)も課税されます。これらの税金は、通常、運送業者や通関業者が立て替えており、後日その費用が請求されます。輸入消費税は仕入れにかかる費用(仕入税額控除の対象)となるため、経理上、適切に処理することが求められます。
英語でのスムーズな発注でグローバルビジネスを加速させる
英語での発注は、「Purchase Order (PO)」という定型書類を使い、メールで明確な意思疎通を図ることが成功の鍵です。本記事で解説した業務フローや必須の英単語、そしてそのまま使えるメール例文をふまえることで、海外の取引先とも自信をもってやり取りを進められるでしょう。
特に、支払い条件や納期、インコタームズといった取引の根幹に関わる項目は、発注前に必ず書面で確認することが重要です。海外取引特有の注意点や会計処理のポイントも理解し、グローバルなビジネス展開を円滑に進めていきましょう。
※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。
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