- 更新日 : 2024年10月21日
請求書に発行者の住所は記載すべき?バーチャルオフィスでもいい?
発行者の住所を記載せずに請求書を発行しても、法律上問題ありません。ただし、拠点や会社の住所を記載すれば相手の信頼を得られるため、できる限り記載した方がよいでしょう。
相手とのトラブル回避の観点で書きたくない場合は、バーチャルオフィスを利用する方法もあります。本記事で、請求書に発行者住所を記載する必要性を確認しておきましょう。
目次
請求書に発行者の住所を記載する必要はない
請求書に発行者の住所を記載すべきと考える人は一定数いますが、特段法的な定めがあるわけではありません。そのため、たとえ発行者の住所が記載されていなくても、法的には請求書として認められます。
自分の住所を記載した請求書を発行するかどうかは、自分の置かれている状況や、取引相手などによって判断するとよいでしょう。
請求書に住所を記載する目的
法的に定めがないにもかかわらず、あえて請求書に住所を記載するのは、主に以下の目的があるためです。
- 取引先に安心感を与える
- 必要書類を郵送してもらいやすい
各目的を解説します。
取引先に安心感を与える
請求書に住所を記載しておけば、取引先に安心感を与えられます。
事務所を構えている場合、住所を記しておけば、取引先の存在や信ぴょう性を確認しやすいです。詐欺の被害にあわないようにするため、新規取引を開始する際に営業実態を確認する会社もあります。
また、一般的に住所や電話番号などの情報を請求書に盛り込むことがビジネスマナーとされているため、漏らすと失礼な印象を与えかねません。
必要書類を郵送してもらいやすい
請求書に住所を記載しておけば、必要書類を郵送してもらいやすいでしょう。インターネットが浸透した現代でも、ビジネスでは郵送で書類をやり取りする機会があります。
特に、取引先から源泉徴収票を送ってもらう場合、都度住所を連絡するよりも、あらかじめ請求書に記載しておいた方がスムーズです。請求書に住所を記載しておけば、事前に連絡せずとも源泉徴収票を送ってもらえる可能性もあります。
請求書に記載するのはどの住所?
請求書に記載する住所は、会社の拠点や自宅、バーチャルオフィスなどです。それぞれの概要を説明してから、送付元と請求元の住所が異なる場合の扱いについても解説します。
会社の拠点や自宅
一般的に、会社や事務所の拠点としている場所を請求書に記載します。事務所のように、営業の拠点としている場所の住所を記載すれば、郵便物も受け取りやすいです。
また、自宅兼事務所で活動している場合、自宅住所を記載するケースもあります。ただし、個人情報の観点から、自宅の住所を記載することをためらう人もいるでしょう。
バーチャルオフィスでも良い
自宅兼事務所で活動しているけれども、個人情報を知られたくない場合は、バーチャルオフィスの住所を請求書に記載する方法があります。バーチャルオフィスとは、物理的なスペースは提供せず、事業用の住所のみを提供するサービスです。
バーチャルオフィスを利用すれば、自宅で活動しながら、請求書には自宅以外の住所を記載できます。ただし、バーチャルオフィスと知られた時に取引先からの信頼を失いかねない点、転送サービスがなければ、郵便を受け取れないことがある点に注意が必要です。
送付元と請求元の住所が異なる場合
送付元と請求元の住所が異なると、相手に不審がられる可能性があります。誤解を受けないように、基本的には送付元と請求元を統一するようにしましょう。送付元と請求元を変えざるを得ない場合は、取引先に事前に説明することも大切です。
なお、請求書に住所を記載していても、封筒に住所を記載し忘れると、万が一宛先不明の場合に郵便が戻らないため注意しましょう。
請求書の住所の書き方
請求書の住所の書き方で、理解しておくべき点は以下のとおりです。
- 請求書の右上に記載する
- 電話番号や連絡先は必要か?
- 捺印は必要か?
- 領収書の場合
それぞれ解説します。
請求書の右上に記載する
住所の記載箇所に決まりはありません。ただし、一般的には記載書の右上に記載します。
電話番号や連絡先は必要か?
住所と同様に、電話番号(連絡先)の記載も不可欠ではありません。ただし「住所なし」のケースと同様に、電話番号を記載しないとやり取りに手間がかかるケースもあるため、極力記載するようにしましょう。
本社や事務所の電話番号や、個人の携帯電話番号を記載しておけば、万が一請求書に誤りがあった場合でも、取引先から連絡をすぐ受けられます。それに対して、郵便でのやり取りの場合、数日期間を要する可能性が高いです。
捺印は必要か?
請求書への捺印は必須ではありません。ただし、社判や角印を所有している場合は捺印した方がよいでしょう。捺印することで、請求書の偽造を防止できたり、相手に安心感を与えたりする点が主なメリットとして挙げられます。
なお、請求書に捺印する際は、法人名や屋号に少しかぶせることが一般的です。
領収書の場合
請求書と領収書で、書き方に大きな違いはありません。どちらも共通して宛名や金額などを記載します。
ただし、領収書は収入印紙を貼らなければならないことがある点に注意しなければなりません。収入印紙の貼付が必要なケースは、印紙税法で定められています。たとえば、売上代金5万円以上100万円以下であれば、200円の収入印紙が必要です。
請求書の住所の詳しい記載方法については、以下の記事も参考にしてください。
参考:国税庁 No.7105 金銭又は有価証券の受取書、領収書
住所を記載せず請求書を発行するケース
プライバシーの観点で、相手に自宅を知られたくない場合に住所を記載せず請求書を発行する場合があります。特に、取引をはじめたばかりで、相手のことをまだ信用できないときは、自宅の公開を避けた方がよいでしょう。
また、金銭面や契約面などでトラブルになった際に、家族を巻き込まないようにするため自宅の住所を記載しないで請求書を発行するケースもあります。
請求書に記載が必要な項目
請求書に記載が必要な項目(必要事項)は、消費税法などに定められています。主に、以下の記載事項が必要です。
- 請求者名
- 請求先の宛名
- 取引年月日
- 取引内容
- 取引金額
- 請求書の交付を受ける事業者名
- 振込期限
- 振込先口座情報
また、不可欠ではないですが、必須項目以外に以下も記載した方がよいでしょう。
- タイトル(書類の件名)
- 請求書番号
- 振込手数料を負担するのは自分か、相手か
- 住所・電話番号
請求書の詳しい書き方については、以下の記事を参考にしてください。
請求書の無料テンプレート・ひな形
住所以外にも記載しなければならないことがいくつもあるため、テンプレートやひな形を活用した方が請求書を簡単かつ素早く作成できるでしょう。以下のサイトでは、請求書を無料でエクセル形式でダウンロードできます。請求書を発行する予定がある場合に活用してください。
請求書に住所を記載するのがビジネスマナー
請求書に発行者の住所を記載することは必須ではありません。ただし、ビジネスマナーとされているため、極力記載した方がよいでしょう。
プライバシーの観点から自宅住所を知らせたくない場合は、バーチャルオフィスを利用する方法があります。自分の状況や相手との関係性によって、請求書に住所を記載するか判断しましょう。
※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。
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