- 更新日 : 2025年2月4日
請求書の送り方やマナーを解説!封筒には何を書くべき?
請求書のPDF化による電子取引が増えていますが、取引先によっては紙の請求書を郵送する方法を希望するケースもあります。改めて請求書を郵便で送るとなると、意外と正しい書き方や送り方を忘れていることもあるものです。
この記事では、請求書を封筒で郵送する場合の封筒の書き方や送付方法などのマナーについて解説していきます。
目次
請求書の郵送に適した封筒の選び方
まず、請求書を郵送する際はどのような色・サイズの封筒を選ぶべきか、それぞれ押さえておきましょう。
封筒の色
請求書を送る際の封筒の色が定められているわけではありませんが、白や薄い青色、茶色のクラフト封筒などを使うのが一般的です。
また、多少コスト高になりますが、ビジネス用の窓付き封筒であれば、宛名を手書きする必要がなく業務の時間短縮にもなります。封筒の材質には十分気をつけ、透かした状態で中身が見えないことも大切です。
封筒の表面には請求書が入っていることを明らかにするために、封筒の表面に「請求書在中」と添え書き、またはゴム印を押します。重要な書類が封入されていることに気づいてもらう必要があるためです。せっかく添え書きしたにもかかわらず、気づいてもらえないと意味がないため、添え書きが一目でわかるような色の封筒がベストでしょう。
封筒のサイズ
通常、請求書を送付する封筒としては、次の2種類のサイズのものが使用されます。
- 長形3号:120ミリ×235ミリのサイズです。A4サイズの書類が三つ折りで入ります。
- 角形2号:240ミリ×332ミリのサイズです。A4サイズの書類が折らずに入ります。
封筒は社名のロゴの入れ方などにより、縦型・横型の2種類があります。使用する場合は、縦横どちらの向きの封筒でも構いません。
請求書を送る封筒の表面に記載する事項
封筒の種類を押さえたところで、表面の書き方について見ていきましょう。請求書を郵送する際に封筒に記載する事項は以下の通りです。縦書きを前提に説明していきます。
宛先の住所
宛先の住所は、郵便番号欄の右端の下1~1.5センチ程度、端から1~1.5センチ程度の間隔を空け、できるだけ1行で書きます。縦書きの場合、住所の番地などの数字は漢数字を使用することもあります。
宛先の会社名・部署名・役職名・氏名
宛先の会社名・部署名・役職名は、中央よりやや右に寄せ、住所より1字下げて書き出しましょう。「株式会社」などの法人格は省略せずに書きます。
担当者名は、封筒の中央に大きめの文字で書きます。氏名が不明の場合はご担当者様と記載します。担当者自体が不明な場合は、会社名や部署名には「御中」とします。
宛先の会社名・部署名・役職名・氏名を間違うことは大変失礼なことであるため、しっかりと確認する必要があります。
「請求書在中」の添え書き
「請求書在中」と添え書きし、請求書が封入されていることを明示します。
ゴム印が用意できればそれに越したことはありません。手書きに慣れている方は別ですが、できるだけ省力化したいものです。なお、ビジネスでは赤色は赤字を連想させるため、避けた方が無難です。目立つことを考慮するのであれば、黒色ではなく、青色が良いでしょう。
請求書を送る封筒の裏面に記載する事項
次は封筒の裏面の書き方を見ていきましょう。記載事項は以下の通りです。
差出人の会社名、部署名、氏名
裏面に継ぎ目がある場合は、継ぎ目を境にして右側に住所とその上に郵便号、左側に会社名、部署名、氏名の順に記載します。継ぎ目がない場合は、差出人の会社名、部署名、氏名を左側に寄せて記載します。
送付日
送付日は左側上部に記載します。縦書きであれば、「令和〇〇年〇月〇日」というように漢数字を使用、横書きであればアラビア数字で書き記します。
〆(封じ目)
封じ目は宛名の本人しか開封することができないようにするために用います。勝手に他社宛の封書を開封した場合は「信書開封罪」にあたるため、注意が必要です。封字には締めるという意味の「〆」や「封」、より重要な書類に用いる「緘(かん)」などがあります。通常は「〆」や「封」で良いでしょう。
ただし、封じ目は記載が必ず求められているわけではありません。封じ目の有無よりも、封がきちんとされていることを確認するようにするようにしましょう。
請求書を送る封筒に「請求書在中」と添え書きする場合の注意点
「請求書在中」の文言を添え書きする場合、次の2つの注意点について配慮する必要があります。
- 記載位置
- 記載方法
取引先が郵便物を受け取った際に識別するための配慮であるため、記載する場合には正しい方法に沿っておきたいものです。ここでは、それぞれの詳しい内容について解説します。
記載位置
「請求書在中」と封筒に記載する位置は、封筒の向きによって異なります。一般的に使用されている縦書きタイプの封筒の場合の記載位置は「左下」です。
一方、横向きタイプの封筒で記載する場合の位置は「右下」となります。ビジネスマナーとして配慮したにもかかわらず、かえってマナーがないと思われないためにも記載位置はしっかりと覚えておきましょう。
記載方法
「請求書在中」の記載方法には「手書き」と「スタンプ」の2つがあります。手書きの場合、赤字を連想することから赤を避けながらも、宛名より目立たせた方がよいとされています。そのため、青字で記載するのが無難でしょう。
ただし、手書きだと読みにくいこともあるため、スタンプの利用もしくは請求書送付用に直接記載された封筒を準備するのが一般的です。
請求書を封筒に入れる際に気を付けるべきマナー
請求書を封筒に入れる際のマナーとして押さえておくべき点として次の2つが挙げられます。
- 請求書の折り方
- 請求書の入れ方
請求書を送付する場合は封筒の書き方だけでなく、請求書を封筒に入れるマナーについても正しく理解しておかなければなりません。取引先からのイメージを損なわないためにも、ここではそれぞれのマナーに関する詳しい内容を解説します。
請求書の折り方
請求書の折り方は、均等な3つ折りとするのが基本です。長形3号の封筒にA4サイズの請求書を入れる場合や、長形4号サイズの封筒にB5サイズの請求書を入れる場合は、3つ折りにして封入しましょう。
また、書類を3つ折りにする場合は初めに用紙の下から折り、次に上から折るのが正しい折り方です。さらに、送付状を同封する場合は送付状を請求書の上に重ねて3つ折りにしましょう。
請求書の入れ方
請求書を封筒に入れる際は、取引先が開封した際に「請求書」、送付状を同封している場合は「拝啓」という文字が最初に見える状態にしておく必要があります。次の順で入れてください。
- 請求書を裏返しにして3つ折りする
- 重ねた部分が右側になるように縦に置く
- 裏向けた封筒を縦に置き、まっすぐに請求書を入れる
送付前に、文字が最初に見えるかどうか確認することで、間違いを防げます。
請求書を送る際に気を付けるべきマナー
請求書を送るときには、次のマナーを押さえておくことが必要です。
- 信書として送付する
- 請求書の記載内容を確認する
- 送付状を同封する
上記について解説します。
信書として送付する
請求書は「信書」として送付する必要があります。信書とは、特定の受取人に対して差出人の意思や事実を通知する文書のことで、日本郵便もしくは信書便事業者を利用するのが一般的です。
また、信書はメール便や宅配便などでは送付できません。請求書を信書以外の形式で送付すると、コンプライアンス違反と受け取られることもあるため注意が必要です。
請求書の記載内容を確認する
請求書を封筒に入れる前に、再度、記載内容を確認してください。社内チェックできるようにリストを作っておくと、抜け漏れのない請求書を作成できるでしょう。
参考までに、一般的な請求書の記載項目を紹介します。
- 請求書発行者の氏名・名称
- 取引年月日
- 取引内容
- 取引額
- 請求書交付先の氏名・名称
- 振込先の口座情報
- 振込手数料の負担者
- 振込期限
請求書の作成にはテンプレートを使用する
請求書のフォームを都度作成するのはおすすめできません。テンプレートを作成し、同じフォームで請求書を作成するようにしましょう。
テンプレートを使用すると、必要事項をすべて網羅できるだけでなく、請求書に統一性が生まれます。また、取引先にも見やすいと感じてもらえるでしょう。
適格請求書に対応する
インボイス対応の取引先に対しては、適格請求書を発行してください。適格請求書は、次の項目を含む必要があります。
- 請求書発行者の氏名・名称、適格請求書発行事業者登録番号
- 取引年月日
- 取引内容(軽減税率の対象品目である場合は、その旨がわかるように記載)
- 税率ごとの取引合計額(税抜きもしくは税込み)、適用税率
- 税率ごとの消費税合計額
- 請求書交付先の氏名・名称
- 振込先の口座情報
- 振込手数料の負担者
- 振込期限
送付状を同封する
請求書を封筒に入れて送付するときは、送付状を同封しましょう。送付状には、次の内容を記載します。
- 送付年月日
- 送付先名称
- 送付者の社名・部署名・担当者名
- 送付者の連絡先(電話番号、メールアドレス)
- 挨拶文
- 同封した書類の内容と枚数
たとえ請求書1枚だけを送付する場合でも、送付状に「請求書1枚」と記載してください。万が一、同封する書類に抜け漏れがあっても、送付状を同封していれば受取人がそれに気付きやすくなります。
また、送付状は以下を例に作成しましょう。
平素は格別のご高配を賜り、心より御礼申し上げます。
下記の書類を送付いたしますので、ご査収のほど、宜しくお願いいたします。
・送付状(本状)1枚
・請求書 1枚今後とも、何卒宜しくお願い申し上げます。
請求書や封筒を手書きする場合の注意点
請求書や封筒は、可能な限りパソコンで作成しましょう。癖のない字で記載できるため、誰にとっても読みやすい文書が完成します。
また、パソコンに送付先の氏名や名称、住所などを登録しておけば、そのままコピーして活用できるため書き間違いを回避できます。相手の氏名や住所を誤ってしまうと失礼に当たるため、正確な請求書・封筒の宛名を作成するためにも、手書きは避けるようにしてください。
しかし、場合によっては手書きにしなくてはいけない状況もあるかもしれません。パソコンの調子が悪いときや、普段はメールに添付しているが今回だけ紙で送るように取引先から依頼されたときなどは、手書きで対応することもあるでしょう。その際は次のポイントに注意して、作成するようにしてください。
間違えたときは書き直す
間違えたときは、修正せずに新しく書き直してください。請求書にペンやテープで修正すると、請求内容の改ざんを疑われてしまいかねません。また、書き直すのが面倒で修正している印象を与える可能性もあります。
なお、封筒も同様に、間違えたときは新しく書き直してください。特に送付先の氏名や名称、住所を間違えるのは失礼に当たります。相手に不快感を与えないためにも、書き直しが必要です。
計算ミスがないか確認する
手書きで請求書を作成するときは、計算ミスがないかをよく確認してください。源泉徴収税や消費税の計算、税込み・税抜きの価格など、一つひとつ間違いがないようにチェックしましょう。
多く請求するのはもちろんのこと、少なく請求するのも、相手からの信頼を失う原因になり得ます。悪意がなくても、いい加減な印象を与えかねないため、念には念を入れて計算するようにしてください。
請求書発行システムの導入を検討する
請求書を紙書類として送付する機会が多い場合、請求書発行システムの導入も検討してみましょう。請求書発行システムは、請求書の作成・発行をワンストップで対応するシステムです。また、メールに添付して送信する場合は、作成・発行・送付のすべてを請求書発行システムで自動化できます。
請求書発行システムを利用すると、税額や合計額などもすべて自動で計算できるため、計算ミスを防げます。請求書作成や発行、計算にほとんど手間がかからなくなり、業務効率化も可能です。
また、請求書発行システムによっては、請求書だけでなく納品書や受領書などの書類作成にも対応しています。取引先の氏名や名称、住所を登録しておけば、自動的に書類に反映されるため、書き間違いがなくなります。相手に不快感を与えることが減るだけでなく、書類の見やすさや税計算の正確性も向上し、企業としての信頼維持にもつながるでしょう。
請求書の送り方やマナーを知っておこう
請求書を封筒で郵送する場合の封筒の書き方や送付方法などのマナーについて解説してきました。請求書の封筒による郵送の方法については、研修などでは教えていないケースも珍しくありません。
書き方も含めて受け取る側の気持ちに配慮した送り方を心がけましょう。
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