- 更新日 : 2024年10月17日
翻訳家の納品書の書き方
翻訳・通訳の派遣サービス会社などに登録せずに仕事を行うフリーランスの翻訳家の場合、翻訳作業が完了したら取引先に納品書を提出します。納品書は、取引先に対して納品物の報告を行う資料であるとともに、相応の報酬を請求する資料でもあります。ここでは、翻訳家の納品書の基本的な書き方を解説します。
翻訳家が納品書を書く前に
翻訳家が翻訳業務を完了したら、その原稿を取引先に納品します。そのときに添付するのが「納品書」です。ただし、その前に厳重な品質管理をする必要があります。
まずは、以下のような作業を行い、翻訳原稿の入念なチェックを行いましょう。
・訳文の表記の点検(誤字脱字のチェック、送り仮名や句読点の有無、位置の確認・表記ゆれの統一など)
・訳語の点検(専門用語、外国語カタカナ表記など)
・表記ガイドとの一致の点検
・文体の点検(文体の一貫性、読みやすい文章かどうかの検討など)
・語訳の点検(単語や文法ではなく、論旨、情景描写、調査などの視点からチェック)
次に、単語数による見積りの場合には、もう一度単語数のチェックを行いましょう。仕上がり原稿計算方式を採用しているなら、仕上がった原稿の単語数を納品書に記載します。一方で、原文主義計算方式を採用しているなら、見積書を作成したときや原文の原稿を受け取ったときに確認した単語数を、そのまま納品書に記載することもできます。どちらの方式を採用するかで、納品書の書き方も変わります。
公費での支払いを受けるときに知っておくべきこと
国や公共団体の研究費などの公費での支払いを受けるときには、納品後に正式な見積書、納品書、請求書(三連書類)の提出を求められることもあります。
翻訳家の納品書の書き方
それでは、納品書の書き方を見てみましょう。
納品書の書き方の注意点
翻訳家の納品書は、以下のようなことに注意して書きます。
品目には、基本的に「翻訳料」と記載するようにしましょう。
納品書は必ず2部作成して、取引先には翻訳原稿と一緒に1部を提出し、もう1部は自分で保管しておきます。発注者と受注者が納品された翻訳原稿に対して共通の認識を持つためのものですから、忘れないようにしましょう。この際、あとで振り返れるように、見積書、請求書の番号と紐付けておくとなお良いでしょう。
納品書の品目の書き方
翻訳家の納品書の品目は「翻訳料」として、報酬額とその明細を記載します。明細は、原文主義計算方式、または仕上がり原稿計算方式に基づき、単語数と単語単価で示す書き方をしましょう。
ただし、発注者と受注者に継続的な取引がある場合には、納品書の書き方にはさらなる注意が必要です。翻訳家が1カ月に複数回にわたり翻訳原稿を納品する場合、発注者は1カ月分の報酬をまとめて払うことを望むため、納品書には報酬額を記載しないのが一般的だからです。そのときは、翻訳原稿の名称と明細、単語数と単語単価が明示する書き方がなされていれば十分です。
請求書を送るタイミング
上記のようなケースが多いことを踏まえると、請求書を送るタイミングについても取引先とよく相談しておくことをお勧めします。納品書と請求書を同時に送る、または納品書兼請求書という書式のものを使用するのではなく、1カ月分をまとめて請求書に起こした方がいいかもしれません。
このように、翻訳家の納品書の書き方を身につけて、業務の完了から請求までをスムーズに行いましょう。継続的な取引があることが多い翻訳家の場合、翻訳料金の計算方法、請求書を出すタイミングなどは、取引先と事前に相談しておくことも重要です。
※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。
※本サイトは、法律的またはその他のアドバイスの提供を目的としたものではありません。当社は本サイトの記載内容(テンプレートを含む)の正確性、妥当性の確保に努めておりますが、ご利用にあたっては、個別の事情を適宜専門家にご相談いただくなど、ご自身の判断でご利用ください。
関連記事
ミュージシャンの納品書の書き方
ミュージシャンを職業という面から見ると、依頼者の要望に沿った曲を作ったり、要望に沿った演奏をしたりすることが業務になります。スポットライトを浴びてステージで演奏する派手なイメージが強い職業ですが、実際には裏方の仕事も多く、マネジメント能力を…
詳しくみるエンジニアの納品書の書き方
エンジニアの納品書は、業務内容によって書き方が変わることをご存知でしょうか。納品書は本来、依頼された商品やサービスが依頼主に提供された際に、対価を得るための証拠となる大事な書類です。しかし、エンジニアの場合は目に見える商品やサービスではなく…
詳しくみるマッサージ師の納品書の書き方を解説!テンプレートも
近年増加している訪問マッサージにおいて、納品書は便利な役割を担っています。ここでは、訪問マッサージが増加している背景、マッサージ師の納品書が利用できる場面や納品書の書き方を説明し、マッサージ師の納品書の具体例を紹介します。 訪問マッサージ師…
詳しくみる通訳の納品書の書き方
フリーランスとして仕事を請け負う通訳は、業務完了後には取引先に納品書を提出する必要があります。このとき、納品書は取引先に対して、通訳に従事した時間の確認を求める資料であるとともに、報酬を請求する資料としての役割も担っています。ここでは、通訳…
詳しくみる納品書のデザインについて
売上や取引に関する書類(納めたサービスや商品を証明する納品書・取引における金額を請求する請求書・金銭授受の証拠になる領収書類)は「証ひょう書類」と呼ばれ、商品やサービスの納品を証明する重要な書類です。その書式やデザインに特に規定はなく、市販…
詳しくみる納品書を英語で作成するには?テンプレートやメール文面を紹介
品物を納品する際に添付する「納品書」を英語で書かないといけない場合があります。一つは取引先が海外の場合、そしてもう一つが貿易を行った場合です。 英語の納品書を求められたときに困らないよう、入れるべき記載項目にはどのようなものがあるのか、およ…
詳しくみる