- 更新日 : 2025年11月13日
「発注する」は英語で何と言う?業種別フレーズやメール・電話の例文を紹介
海外の企業と取引を行う際、「発注する」という行為を正確かつ適切に英語で伝えること
は、ビジネスの信頼性を左右する重要なスキルです。本記事では、「発注する」は英語でどう表現するのかという基本から、発注が多い業種で使われる言い回し、メール・電話での例文などを解説します。
目次
「発注する」は英語で何と言う?
海外企業との取引や国際的なプロジェクトで必要となるのが、「発注する」という行為を英語で正確に表現するスキルです。ここでは代表的な表現を紹介し、それぞれの使い分けについても説明します。
【一般的な表現】「order」や「place an order」
最も広く使われるのが “order” という動詞です。これは「発注する」「注文する」の意味で、たとえば「100個を発注します」は “We will order 100 units.” のように表現されます。一方、より丁寧でビジネスライクな言い回しとして “place an order” があります。「〜を発注したいのですが」は “I would like to place an order for ~.” のように使用します。取引先や初対面の相手とのメールでは、“place an order” の方が好まれる傾向があります。
【発注書の発行】「issue a purchase order (PO)」
ビジネスの現場では、発注するだけでなく、正式な書面である「発注書」の発行が必要です。英語では “issue a purchase order” や “submit a purchase order” という表現を使います。ここで「発注書」は Purchase Order、略してPOと呼ばれ、企業間取引では「PO番号」での管理が一般的です。たとえば “Please find attached Purchase Order No.12345.” といった文面で、発注書を送付することを伝えます。
「order」「purchase」「request」の使い分け
「注文する」という日本語に対して、英語には “order” と “purchase” の両方があります。前者は依頼のニュアンスを含み、まだ支払いが発生していない段階でも使えますが、後者は購入が確定している、より支払いや契約の意味合いが強い語です。また、「見積もり依頼」や「情報提供のお願い」など、まだ具体的に注文していない場合には “request” が適切です。たとえば “We would like to request a quotation.”(お見積もりをお願いしたいです)のように使います。
英語で発注することが多い業種は?
海外との取引が日常的な業界では、発注業務も自然と英語で行われる場面が多くなります。ここでは、英語による発注が頻繁に行われる業種を紹介します。
【製造業・商社】海外調達に英語スキルが不可欠
製造業では、部品や原材料を海外サプライヤーから調達するため、“Issue a purchase order”(発注書を発行する)や “Place an order” といった英語表現が日常的に使われます。数量、納期、単価などを明確に伝える必要があり、ミスのない英語表現が求められます。
商社においても同様に、輸出入取引の契約や注文業務に英語が不可欠です。発注書作成は “Generate a PO”(POを作成する)という表現で行われ、海外企業との交渉や確認作業でも実用的なビジネス英語が求められます。
【IT業界】グローバルな契約・発注が前提
IT業界では、海外のクラウドサービス導入やソフトウェア開発の外部委託が増えており、“Submit a purchase request”(購入申請を行う)や “Place an order for software” などの表現を用いた英語での発注が一般的です。国際プロジェクトでは、発注管理システムも英語インターフェースが多く、“PO number” や “Order Entry” などの用語にも慣れる必要があります。
【物流業界】輸送や倉庫手配にも英語で対応
物流業界では、海外の倉庫会社や輸送業者と連携し、発送や在庫補充の手配を英語で行う機会が多くあります。“Confirm the shipping arrangement”(出荷手配を確定する)や “Reorder” (追加発注)といった表現が頻繁に使われます。トラブル対応や納期調整など迅速な英語対応が求められ、実践的な運用力が必要です。
英語で発注する際のポイント・注意点
英語で発注書や注文メールを作成する際には、単なる翻訳ではなく、誤解やトラブルを防ぐための注意が求められます。ここでは、英語で発注する際に意識すべきポイントを3解説します。
数量・日付・金額などは明確かつ正確に記載する
発注書では、数量・単価・納期・支払条件など、ビジネス上の根幹となる情報を間違いなく記載する必要があります。特にPO番号(Purchase Order Number)や日付、金額については記入ミスがないよう入念に確認しましょう。
数量を示す際には、「100 pcs」「10 boxes」のように単位も含めて表記し、桁の区切りや小数点も英語表記のルールに従って記述します。納期については “Delivery by April 30, 2025” のように、月・日・年の順で記載すると国際的にも誤解を防げます。
また、支払条件(例:payment terms: Net 30)、送料の負担、通貨の単位(JPY、USDなど)といった要素も契約どおり明示することが必要です。相手先の会社名・住所も、正式な英語表記に従って省略せず記載し、トラブルを未然に防ぎましょう。
曖昧な表現や略語の多用は避ける
日本語では自然な「できれば早めにお願いします」のような曖昧な表現は、英語では誤解を生みやすいため避けるべきです。納期や数量を伝える際は、“no later than April 30” や “approximately 50 units” のように、具体的な日付や目安を英語で明示することが大切です。
また、RFQ(Request for Quotation)など業界特有の略語も、相手が初取引や非専門の場合には理解されない可能性があります。“Request for a quote” のように平易な言い回しを選ぶことで、より確実な意思疎通が可能になります。
英語で発注する場合の例文【メール・電話】
英語で発注の意思を伝える際に、メールと電話では表現方法や伝える順序に違いがあるため、それぞれに応じた表現を知っておくと安心です。ここではメールと電話それぞれの発注例文とポイントを紹介します。
メールで発注する場合の英語例文とポイント
メールでの発注は、明確な件名と簡潔な本文構成が基本です。件名には「Purchase Order」や「Order Request」といったキーワードを含めることで、受信者が目的をすぐに把握できます。たとえば「Order Request – Product ABC 50 units」とすれば、商品名と数量が一目で分かります。
本文では宛名と挨拶に続けて、発注の意思と添付書類(発注書)の有無を伝えます。以下のような例文が実用的です。
Dear Ms. Smith,
We would like to place an order for 50 units of Product ABC as per the quotation received.
Please find attached our Purchase Order (PO) #12345 detailing the order.
Kindly confirm the delivery date and payment terms at your earliest convenience.
Thank you for your assistance.
Best regards,
Taro Yamada
ABC Corporation
この文章では、“We would like to place an order for ~” で発注の意思を丁寧に示し、“Please find attached our PO” により発注書の添付を明示しています。また、“Kindly confirm~” で納期や支払い条件の確認を依頼する形になっており、依頼表現のトーンも適切です。
こうしたメールでは、相手に誤解がないように具体的な数量・製品名・PO番号を明示し、トーンは丁寧でありながら過剰に形式的すぎないことがポイントです。
電話で発注する場合の英語例文と注意点
電話で発注を行う際は、まず名乗ってから用件をはっきり伝えるのが基本です。たとえば以下のような言い回しがよく使われます。
Hello, this is Ken Yamada from ABC Corporation.
I’m calling to place an order for your product XYZ.
We would like to order 20 units. Could you assist me with this order?
この例文では、“I’m calling to place an order for ~” によって電話の目的を明確に伝え、“We would like to order 20 units.” で具体的な内容を示しています。電話ではリアルタイムの応対が求められるため、聞き返しや確認の表現も重要です。相手の言った内容が聞き取りづらい場合は “Could you repeat that, please?” や “Let me confirm the order details.” などで確認を取ります。
実際のやり取りでは、相手が商品の型番や在庫状況、納期を確認することが多いため、発注内容や希望納期、品番などの情報は事前に手元に用意しておくのが安心です。通話の最後には “Thank you for your support.” や “I appreciate your assistance.” などの感謝表現で締めくくり、担当者名や注文番号などをしっかりメモしましょう。
国際取引で日本の民法(契約法)は適用される?
国際取引において、日本の民法(契約法)が適用されるかどうかは、契約書に記載された「準拠法」の定めによって決まります。逆に、準拠法の記載がない場合は、国際私法のルールによって適用される法律が判断されます。
契約書で準拠法を日本法と定めれば民法が適用される
最も確実に日本の法律を適用する方法は、契約書に「日本法準拠」と明記することです。英語では、次のように記載します。
このように書かれていれば、その契約には日本の民法・商法などの国内法が適用されることになります。また、相手国の法律や第三国の法律を準拠法とすることも、当事者の合意によっては可能です。準拠法は契約当事者の自由意思に基づいて決められる事項であり、いずれの国の法を選ぶかは交渉により決定されます。
準拠法の定めがない場合は「最も密接な関係のある地の法」が適用される
契約書に準拠法の記載がない場合、各国の国際私法に基づいて、どの法律を適用するかが判断されます。日本では「法の適用に関する通則法」により規定されており、通則法7条では当事者が選んだ法が優先され、選定がない場合は通則法8条により「契約に最も密接な関係がある地の法」が準拠法とされます。
物品売買契約であれば、商品を引き渡す側(売り手)の本拠地の法律が適用されることが一般的です。つまり、日本企業が海外の会社から商品を輸入する契約では、特に準拠法の定めがない限り、相手国の法律が適用される可能性が高いと言えます。
ウィーン売買条約(CISG)の適用にも注意が必要
さらに注意すべきなのが、国際物品売買契約に適用される「ウィーン売買条約(CISG)」の存在です。日本はこの条約に2009年から加盟しており、日本と他の加盟国との間で交わされる物品売買契約には、CISGが自動的に適用されます。
日本企業とアメリカ企業が商品の売買契約を締結する場合、契約書に「日本法準拠」と書いてあっても、CISGの適用除外を明記しない限り、民法ではなくCISGが優先されます。CISGと日本の民法では契約不履行時の対応や損害賠償の範囲が異なるため、国際契約では「準拠法」だけでなく「条約の適用可否」も必ず明記する必要があります。
英語での発注には表現力と法的理解の両方が必要
英語で発注を行う際には、「order」や「place an order」などの基本表現だけでなく、業種ごとに適した言い回しや注意点を理解することが重要です。製造業・IT業界・物流業界などでは英語を用いた発注が不可欠であり、数量や納期などの条件を明確に伝える表現力が求められます。また、契約や法律の面でも、下請法やフリーランス新法、国際契約における準拠法・CISGの適用など、日本法の影響を正しく把握することがリスク管理につながります。
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