• 作成日 : 2024年11月5日

ペーパーレス化に伴う課題とは?原因や解決の具体例を詳しく解説

紙文書をベースにした業務は非効率的ですが、未だに続けている企業も多いでしょう。ペーパーレス化を進めたくても、紙の使用量が減らない企業は、どのような課題を抱えているのでしょうか。

本記事ではペーパーレス化が進まない理由や課題を整理し、解決策をご紹介します。自社でペーパーレス化を推進する際に、ぜひ参考にしてください。

目次

ペーパーレス化に伴う課題とは?

紙ベースの業務はテレワークが難しく、社外との業務契約や社内申請におけるプロセスが非効率的です。にもかかわらずペーパーレス化が進まないのには、どのような理由があるのでしょうか。

ここでは、ペーパーレス化に伴う課題を6つご紹介します。

システム導入コストへの懸念

紙の文書を電子化する作業に始まり、システムの導入にはそれなりの費用が必要です。共有していたIT機器を、人数分揃える必要性も出てくるでしょう。社内LANをインターネットに接続して、セキュリティ対策を実施することも検討しなくてはなりません。

適切なシステム選定が難しい

システム選定にあたって、IT人材がいない企業では何から手を付ければよいかわからないという課題が生じがちです。そこでシステム選定の道筋を、社内で決める必要があります。

社員のITスキル不足

IT機器の操作に関する知識やスキルが不足しており、全ての従業員がデジタルデータを扱うには困難が伴うケースもあるでしょう。ITスキルを向上させる施策が必要になります。

ペーパーレス化の優先度が不明確

どの文書から電子化すべきか、その優先度があいまいな企業ではペーパーレス化を後回しにしがちです。紙ベースの文書を洗い出すなど、まずは自社の実態を把握することが必要になります。

ハンコ文化から脱却できない

社内申請などに印鑑が求められるなど、ハンコ文化が根付いている企業も多いでしょう。社内手続きからハンコを排除するか、電子印鑑を利用する必要があります。

電子帳簿保存法への理解不足

「帳簿」や「領収書請求書決算書など国税関係書類」について、条件付きで「電子データでの保存」を認める法律が電子帳簿保存法です。頻繁に改正されており、理解不足からペーパーレス化を先送りにしているケースもあるでしょう。

ペーパーレス化の課題への解決策:システム導入コスト

ここでは、システム導入コストという課題の解決策について見ていきましょう。

長期的なコスト削減を評価する

ペーパーレス化によって得られる、下記のような長期的なコスト削減効果を定量的に計測し、費用対効果を評価することが重要です。評価をもとに、どの文書から電子化すべきかを合理的に判断します。

  • 社内・社外文書の印刷・用紙・ファイリングにかかるコストの削減
  • テレワークを選択する従業員数の増加による交通費の削減
  • 手作業を前提とする煩雑かつ非効率な紙ベースの業務に充てる作業時間の削減

システムを段階的に導入する

一気に電子化しようとすると、業務に混乱が生じます。特定の業務にかかわるシステムを1つ選んで、その有用性を確認しましょう。成功体験を得ると、自社が次に取り組むべきペーパーレス化のアイデアがわいてきます。

補助金を活用する

自社の費用負担を軽減するために、中小企業や小規模事業者を対象にITツール導入費用の一部を国が補助する「IT導入補助金」などの活用を検討します。最新の情報を入手した上で、補助金の対象となるサービスを導入しましょう。

ペーパーレス化の課題への解決策:適切なシステム選定

ここではペーパーレス化にあたり、適切なシステム選定が難しいという課題への解決策について見ていきましょう。

機能やコストを比較する

システム選定の際には機能やコストを比較し、企業規模や業種、業務内容はもちろんのこと、ITリテラシーのレベルなどを考慮します。ここでは、ペーパーレス化に役立つシステムの例をまとめました。

区分システムの例
社内文書
  • 経費精算システム
  • 給与計算システム
  • 勤怠管理システム
  • 文書管理システム
  • ワークフローシステム
  • 福利厚生システム
社外文書
  • 電子請求書送付システム
  • 見積・納品・請求書作成システム
  • 契約書管理・電子契約システム
  • ペーパーレスFAX

外部ツールと連携できるシステムを選ぶ

業務効率化のためには、システムを外部ツールと連携し、さまざまな工程を自動化することが重要です。たとえば電子請求書作成ソフトを会計・確定申告システムと連携できれば、自動で仕訳計上が完了します。給与計算システムを勤怠管理システムや労務管理ソフトと連携できれば、転記作業から解放され、ミスを防げるでしょう。

専門家のアドバイスを受ける

何から手を付ければよいかわからない場合には、専門家のアドバイスを受けることも検討します。プロダクトの選定についてクラウドサービスの営業に相談したり、包括的に進めるならシステムインテグレータ(SIer)に相談したりするのもよいでしょう。

トライアル期間を活用する

実際の画面を無料で試せるトライアル期間を、活用しない手はありません。クレジットカードの登録が不要であれば、期間終了後に自動課金される心配がないので安心です。

ペーパーレス化の課題への解決策:社員のITスキル

ここではペーパーレス化にあたり、社員のITスキル不足といった課題への解決策について見ていきましょう。

定期的に研修を実施する

定期的な研修の実施は、ITスキル向上はもちろんのこと、社員の不安感を取り除くためにも有効です。社内で研修を実施することが難しい場合には、知見のある外部機関に依頼しましょう。ペーパーレス化を推進する目的やメリットを研修で共有すると、社員のモチベーションが上がります。

eラーニングを活用する

オンライン教材を配信するeラーニングを活用することも、社員のITスキル不足の解決策として有効です。移動中や隙間時間に学習機会を提供できる、タブレットとアプリによるeラーニングも登場しています。

サポート体制を整備する

疑問点や不安点があれば、都度質問できるサポート体制を社内に整備することも重要です。教育担当者を決めたり、グループチャットを設けたり、マニュアルを整備したりすることも検討しましょう。

ペーパーレス化の課題への解決策:ペーパーレス化の優先度

ここでは、ペーパーレス化の優先度がわからないという課題への解決策について見ていきましょう。

対象の文書を決める

どの業務にかかる紙の利用を減らすのか、下記を参考にしながら対象の文書を決めましょう。アイデア出しの結果、帳票類の電子化、社内文書や社外資料の電子発行だけでなく、業務プロセスの変革が必要になるかもしれません。

  • 請求業務を効率化したい
  • 社外との契約文書のやり取りを迅速化したい
  • 社内申請から決裁までのワークフローをスピードアップしたい
  • FAXを多用する取引先との受発注業務にペーパーレスFAXで対応する
  • オフィスから〇〇文書の収納スペースをなくしたい
  • 〇〇文書をパソコンで検索できるようにしたい

新規の書類から始める

新規に発行する文書から電子データを原本とした運用に変えると、ペーパーレス化を始めやすいでしょう。たとえば会議の配布資料を画面共有にすれば、今まで紙資料の準備に手間がかかっていたことを実感できます。

既存の文書をデータ保存する

スキャナやスキャナ機能付きの複合機を駆使して、既存の紙文書をPDF化しましょう。自社で人的リソースが不足している場合には、外部への部分委託やアウトソーシングを検討します。機密文書が絡む場合には、信頼できる企業に委託することが重要です。

ペーパーレス化の課題への解決策:ハンコ文化から脱却

ここでは、ハンコ文化からの脱却という課題への解決策について見ていきましょう。

管理職・社員の理解を得る

「必要なときにすぐに手に取って読める」という強みがあるために、管理職が紙資料による確認を要求するケースもあるでしょう。そこでペーパーレス化がAI活用、業務の自動化や意思決定の迅速化につながる点を訴求する必要があります。管理職・社員の理解を得るためには、社内周知、事前研修、担当者の選任をしながら意識改革を進めることが大切です。

社内規定の見直し

文書の電子化には、社内規程の見直しも検討しなくてはなりません。内部統制導入時に、社内申請・承認手続きにおける認証の証として紙文書への押印を義務付けた企業も多いでしょう。また支給したモバイル端末の社外持ち出しや、私用端末からの社内ネットワークへのアクセス制限をどのように行うのか、セキュリティ規定を定める必要もあります。

ワークフローシステム・電子印鑑を導入する

社内申請・承認手続きからハンコを排除しにくい場合には、ワークフローシステムや電子印鑑の利用を検討しましょう。申請者はワークフローシステム上のフォーマットに入力するだけです。出先であっても、承認者はスマホで承認できるために、ワークフローが停滞することはありません。また認証機能を持つ電子印鑑であれば、なりすましの押印や偽造を回避できます。

取引先と協力する

請求書や納品書などを電子化する場合には、取引先と協力し合う必要があります。押印は、日本に深く根付いているビジネスの通例です。請求書への押印は法的には必要ないものの、信用度を高めるなどの理由から欠かせないと考えられています。導入に先立ち、取引先の了承を得るために、押印のある電子請求書をダウンロード可能な点などを説明しましょう。

ペーパーレス化の課題への解決策:法律への理解

働き方改革推進などの政策のもと、法整備が進められているために、ペーパーレス化を後回しにできない状況になりつつあります。

電子帳簿保存法

法人・個人事業者ともに、電子取引データ保存はすでに義務化されていることを押さえておきましょう。2024年(令和6年)1月1以降、電子帳簿保存法改正によって、電子メールやクラウドサービスなどを介して授受した注文書、契約書、送り状、領収書、見積書、請求書などは、紙に印刷して保存できなくなりました。

e-文書法

2005年4月1日施行の通称e-文書法は、「e-文書通則法」と「e-文書整備法」の2つの法律で構成されます。e-文書法の制定により、民間企業などでこれまで書面での保存が義務付けられていた文書の電子保存等が認められることになりました。e-文書法の制定により、電子データによる見積書や請求書の保存、作成、縦覧、交付なども可能になったのです。

法律に対応したシステムを選ぶ

電子帳簿保存法は頻繁に改正されているほか、e-文書法に関連する電子化できる文書の保存方法や要件は各省令によって定められています。改正状況や各省令を手作業で調べることは現実的ではないために、法律に対応したシステムを選ぶようにしましょう。

ペーパーレス化の課題はマネーフォワードがサポート

マネーフォワードは、多くの企業が直面するペーパーレス化に伴う課題への解決策をご用意しています。

電子帳簿保存法やインボイス制度に対応した帳票類の作成が可能なシステムは、こちらです。

入力自動化・オートメーション機能によって、申請から経理処理までを大幅に効率化できる経費精算システムは、こちらです。

給与計算をもっと簡単にできる、集計・管理が楽になるシステムは、こちらです。

契約書の作成ー申請ー承認ー締結ー保存ー管理までをカバーし、契約業務の効率化と内部統制の強化を実現するシステムは、こちらです。

「マネーフォワード クラウド」サービスはIT導入補助金にも対応

マネーフォワード クラウドは、IT導入補助金の「通常枠」と「インボイス枠(インボイス対応類型)」の2つの枠に対応するサービスです。そこでマネーフォワードでは、IT導入補助金の申請をサポートしています。補助金の活用によって利用料金が最大80%補助されるために、クラウドシリーズ間のデータ連携を行い、バックオフィス業務の効率化を図ってはいかがでしょう。

管理職・社員の理解を得てペーパーレス化を成功させよう

ペーパーレス化が進まない理由は、管理職・社員の理解不足が大きいことがおわかりいただけたのではないでしょうか。改正電子帳簿保存法によって、電子取引データ保存はすでに義務化されています。システム間のデータ連携を行いペーパーレス化を実現したときのコスト削減効果は大きいために、本記事でご紹介した課題の解決策をぜひ試してみてください。


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