- 作成日 : 2024年6月20日
RPAとは簡単に言うと何?意味やAIとの違い、活用事例を解説
RPA(Robotic Process Automation)とは、ソフトウェアロボットによる業務自動化を実現するツールです。簡単に言えば、今までパソコンを使って人が対応していた定型業務を、ソフトウェアロボットが代替して自動化するツールだといえます。
本記事では、RPAの概要や導入メリット、RPAツールの種類などについてまとめました。また、RPAツールの選び方や活用例もご紹介します。
目次
RPAとは?簡単に
RPAとは、ソフトウェアロボットやAIを活用して、人が行っていた定型的な業務を自動化するツールです。RPAは、繰り返し発生する作業を効率化し、負担を軽減することを目的としています。
RPAと似た言葉にRDA(Robotic Desktop Automation)があります。個々のユーザーのデスクトップレベルで自動化を行う技術です。RPAがサーバー上でバックグラウンドで作業を自動化することに対し、RDAはエンドユーザーの操作を支援する形で動作します。
RPAにより業務を自動操作へ
RPAは、工場での産業用ロボットが物理的な作業を自動化するのとは異なり、オフィス環境での業務を対象としています。具体的には、パソコンを使用して行われるデータ入力やファイル管理など、ルールベースの作業を自動化するのが特徴です。これにより、人はより創造的で価値の高い業務に集中できるようになります。
RPAの身近な例
RPAの身近な例としては、以下のような業務が挙げられます。
- データ入力:フォームからの情報をシステムに自動入力
- 自動集計:複数のデータソースからの情報を集めてレポートを作成
- 入金消込:支払い情報を会計システムに自動で記録
- 勤怠管理:従業員の出勤・退勤時間を追跡し、給与計算に反映
これらの作業は、特に大量のデータを扱う場面で効果を発揮し、人の手を使わずに迅速かつ正確に処理することが可能です。
RPAの導入で何が変わる?
RPAを導入することで、以下のようなメリットが得られます。
- 生産性と精度の向上
- コストの削減
- ミスの防止
- 属人化の解消
以下で、それぞれの内容を解説します。
生産性と精度の向上
RPAはプログラムされたタスクを迅速、かつ正確に遂行するのが特徴です。人手による作業と比較して、RPAは疲れることなく一貫したパフォーマンスを発揮し、エラーの発生率を大幅に低減します。そのため、生産性が向上し、高品質な成果物を得られるのがメリットです。
コストの削減
RPAの導入には初期投資が必要ですが、人件費の削減により長期的なコスト削減が見込めます。特に、時間のかかる単純作業を自動化することで、従業員をより価値の高い業務に充てることが可能となり、全体の運営コストを削減できます。
ミスの防止
RPAはプログラム通りに動作するため、人為的なミスを防げるのがメリットです。特に、データ入力や計算などの誤りが発生しやすい作業において、RPAは正確な処理を保証し、エラーによる損失を防ぎます。
属人化の解消
RPAは誰でも利用できるため、特定の担当者に依存せずに業務の継続性を保つことが可能です。そのため、担当者の不在や交代が発生した場合でも、業務に支障をきたすことなく、円滑な業務運営が可能となります。
RPAでできること・向いている業務
RPAは多岐にわたる業務に応用できます。ここではRPAでできること、および向いている業務を確認しておきましょう。
事務作業
RPAは、特に繰り返し発生する事務作業に適したツールです。例えば、毎日の請求書処理や経費報告書の作成、月次レポートの生成など、時間と労力を要する定型的なプロセスを自動化することで、人はより戦略的、かつ創造的なタスクに集中できるようになります。その結果、生産性および、従業員の満足度を向上させる効果が期待できるでしょう。
在庫管理
在庫管理は、毎日同じ手順を要求する作業です。そのため、RPAを利用することで、人による監視を必要とせずに、正確な在庫レベルを維持できます。RPAは在庫の確認や発注、補充などのプロセスを自動化し、在庫過多や不足による損失を防ぐことが可能です。在庫コストを削減し、顧客満足度の向上にもつながります。
マーケティング・カスタマーサポート
RPAは、パターン化されたマーケティング活動やカスタマーサポートにも有効です。例えば、顧客からの問い合わせに対する自動応答システムを設定することで、顧客は短時間での対応を受けられ、顧客満足度の向上につながります。また、マーケティングキャンペーンの追跡や顧客データの分析など、定型的な作業を自動化することにより、マーケティングの効果を最大化することも可能です。
データ分析
データ収集や分析は、パターン化された作業です。そのためRPAを活用することで、資料作成の時間を大幅に短縮できます。RPAは、複雑なデータセットからの情報抽出や分析、レポート作成を自動化し、業務の精度を向上させ、意思決定プロセスの加速にも貢献します。
システム運用
システムの監視やメンテナンスなどの運用業務も、RPAを活用することで入力から管理までのプロセスを自動化できるため、効率化を図ることが可能です。RPAは、システムのパフォーマンスを監視し、問題が発生した場合には自動的に対応策を実行できます。これにより、システムのダウンタイムを最小限に抑え、ビジネスの連続性を保てるのがメリットです。
RPAツールの導入方法
RPAツールを導入する際には、以下の手順を踏むとスムーズに進められるでしょう。以下で、それぞれの内容を解説します。
繰返し処理する仕事をリストアップ
RPAツールを導入する場合には、最初に繰り返し行われる作業を洗い出すことが重要です。例えば、日々のレポート作成やデータベースへのデータ入力、定型的なメールの送信といった、ルーチンワークが含まれます。これらの作業は、人にとって単調で時間の浪費になりがちです。RPAによって自動化することで、人はより創造的で価値の高い業務に集中できるようになります。
RPAツールの選定
適切なRPAツールを選ぶことは、成功への道を切り開くカギです。市場には多種多様なRPAツールが存在し、それぞれに得意とする領域やコストパフォーマンスが異なります。例えば、経理業務に特化しているものがある一方で、別のツールはカスタマーサービスの自動化に優れているかもしれません。
トライアル期間の利用
トライアル期間は、RPAツールが実際の業務にどのように適合するかを評価する絶好の機会です。UIの使いやすさ、業務プロセスへの統合の容易さ、サポートとメンテナンスの質などを重点的にチェックしましょう。またトライアルを通じて、従業員のトレーニングニーズを把握し、必要なサポート体制を整えることも可能です。
効果を検証
トライアル期間を経て、RPAツールの効果を定量的にも定性的にも検証します。作業時間の削減、エラー率の低下、従業員の満足度の向上など、具体的な指標を用いて評価を行いましょう。検証結果のデータは、RPAツールのROI(投資収益率)を計算し、導入の正当性を判断するために不可欠です。
本格運用を開始
効果を検証し、納得できるRPAツールを選定したら、本格的な運用を開始します。運用開始後も、業務プロセスの最適化や従業員のトレーニング、継続的なメンテナンス・改善が求められます。運用を通じて得られるフィードバックを活用し、RPAツールのパフォーマンスをさらに高めることが可能です。
RPAツールを選ぶポイント
RPAツールを選ぶときには、以下のポイントに留意しなくてはなりません。
- 必要な機能が搭載されているか
- 社内に専門知識のある人間がいるか
- 自動化によりどれくらいの効果が見込めるか
- 拡張性はあるか
- 導入時にトライアルが可能か
- サポート体制が整っているか
それぞれの内容を確認しておきましょう。
必要な機能が搭載されているか
RPAツールを選ぶ際には、自社の業務プロセスを徹底的に分析し、自動化したいタスクを特定することが大切です。例えば、データ入力やレポート生成、メールの自動応答など、日々の繰り返し作業をリストアップします。その後、市場にあるRPAツールを調査し、これらのタスクを効率的に実行できる機能が含まれているかを確認しましょう。
社内に専門知識のある人間がいるか
RPAツールの導入は、単にソフトウェアを購入するだけでは完了しません。導入後の運用や、メンテナンスも考慮に入れる必要があります。社内にRPAの専門知識を持つ人材がいるかどうかを確認し、いない場合は、外部の専門家を雇うか、社内のスタッフを研修することで対応しなくてはなりません。
自動化によりどれくらいの効果が見込めるか
RPAの導入による効果は、業務プロセスの効率化とコスト削減効果によって判断します。自動化によって、どれくらいの時間短縮やコスト削減が見込めるかを事前に分析し、費用対効果を評価することが重要です。例えば、あるタスクに毎日2時間かかっていたとして、それが自動化により30分に短縮されれば、1.5時間分の人件費が削減されることになります。このような分析を行い、投資の正当性を判断することが必要です。
拡張性はあるか
RPAツールの選定において、将来のビジネスの成長や変化に対応できるかどうかも重要なポイントです。他のシステムやツールとの連携が可能かどうか、また新しい業務プロセスに対応できるかどうかを確認します。拡張性があるツールを選ぶことで、将来的に他の業務と組み合わせてさらなる業務効率化が期待できるでしょう。
導入時にトライアルが可能か
RPAツールを実際の業務に適用する前に、トライアルを行うことは非常に有効です。トライアル期間を通じて、そのツRPAツールが自社の業務に適しているかどうかを確認できます。また、トライアル期間中に発見された問題点を修正し、よりスムーズな導入を実現できます。トライアルが可能なツールを選ぶことで、導入のハードルを下げ、リスクを軽減することが可能です。
サポート体制が整っているか
RPAツールの導入後には、予期せぬ問題や疑問が生じることがあります。そのような場合に、迅速かつ適切なサポートを提供してくれるかどうかは、RPAツールの選定において非常に重要なポイントです。サポート体制が整っているRPAツールを選ぶことで、使い方がわからないときやトラブルが起こったときでも、対応してもらえるため安心でしょう。
RPAを導入する企業の活用事例
実際の現場では、どのようにRPAツールが活用されているのでしょうか。ここでは、RPAツールを導入して業務効率化を実現した企業の事例をご紹介します。
月900時間の経費精算業務を1/3に短縮
サンラリー株式会社様は、マネーフォワード クラウド経費の導入により、月900時間かかっていた経費精算業務を1/3に短縮しました。スマホアプリを活用して経費の申請・承認をスピーディーに行えるようになり、ペーパーレス化を推進しました。その結果、手入力によるミスの削減と業務効率の大幅な向上が実現したそうです。
RPAにより2万時間分の業務を削減
RPAを活用して業務効率化を推進し、定型作業の自動化により、約20の業務で作業時間を大幅に削減し、累計2万時間もの労力を省いた事例もあります。その結果、従業員はより価値の高い業務に集中できるようになり、顧客サービスの向上にも寄与しました。
サービスの品質向上のためRPAによる自動化を実験
RPAを用いた実証実験を通じて、行政サービスの品質向上を目指した自治体の事例もあります。この実験は、定型的な業務プロセスの自動化を図り、職員がより創造的で価値の高い業務に集中できる環境を作ることが目的でした。RPAの導入により、業務時間の削減や作業ミスの減少がみられ、市民サービスの質が向上する効果が報告されています。
RPAとAIとの違い
RPAとAI(人工知能)は、業務自動化において異なる役割を果たします。RPAは、おもに定型的で反復的なタスクを自動化するためのツールです。一方、AIは学習能力や推論能力を持ち、より複雑なタスクや意思決定をサポートします。
RPAはルールベースのプロセスを実行することに対し、AIはパターン認識、自然言語処理、予測分析などを通じて、継続的に改善し、進化する能力を持つのが違いです。つまり、RPAは単純作業の自動化に適しており、AIはより高度な分析や学習が必要な作業に適しています。また、両者を連携して使用することで、業務の自動化と効率化をさらに推進させることが可能です。
RPAツールで業務効率化を実現しよう
RPAツールは業務効率や省人化を実現できるため、多くの企業で導入が進んでいます。少子高齢化で労働人口が減少傾向である日本企業において、RPAツールは欠かせません。本記事では、RPAの意味や導入方法、具体的な活用事例を紹介しました。業務の効率化とミス防止を目指して、ぜひRPAツールの導入を検討してみてください。
※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。
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