- 更新日 : 2024年12月12日
工事依頼書(工事注文書)とは?書き方や注意点・テンプレを紹介
工事依頼書(工事注文書)は、工事内容や条件を明確にし、発注者と施工業者の正式な契約を結ぶ書類です。下請事業者に工事を発注することが多い建築業・土木業界において、工事依頼書は重要で、施工管理者などは記入方法を知っておく必要がある書類の1つです。しかし、初めて作成する方や、慣れていない方は、どのような項目を記載すればよいのか、何に注意すべきか悩まれることも多いでしょう。
この記事では、工事依頼書の基本的な役割や必要性を解説し、具体的な記載項目や書き方のポイントをご紹介します。また、すぐに使える無料のテンプレートも提供しますので、効率的に正確な書類を作成するためにお役立てください。
目次
工事依頼書(工事注文書)とは
工事依頼書とは、発注者が施工業者に対して工事を正式に依頼する際に作成する書類のことです。工事注文書や工事発注書とも呼ばれます。建設工事の契約内容を明確にし、後々の紛争やトラブルを未然に防ぐ目的で作られ、工事の内容、範囲、仕様、スケジュール、費用、支払い方法などが記載されます。
工事依頼書と似た言葉として注文請書(発注請書)がありますが、工事依頼書は発注者が作成するのに対し、注文請書は受注する施工業者側が作成する書類です。工事依頼書と注文請書が交付された時点で契約が成立したとみなされ、受注側と発注側の双方に契約を履行する義務が生じます。
法人は税務上、工事依頼書などの取引関係書類を確定申告書提出期限の翌日から7年間保存することが義務付けられています。
工事依頼書(工事注文書)の無料テンプレート
工事依頼書の項目は多岐にわたるので、テンプレートを活用して書くのがおすすめです。テンプレートを使えば、項目の抜け漏れをなくしやすくなり、後々のトラブルを未然に防げます。無料の工事依頼書のテンプレートは、以下からダウンロードできます。
工事依頼書(工事注文書)のテンプレートのダウンロードはこちら
工事依頼書(工事注文書)の記載項目と書き方
一般的な工事依頼書の記載項目は、以下の通りです。
発注日 | 工事の発注日を記載します。通常、注文請書より前の日付を書きます。 |
---|---|
発注者情報 | 社名、住所、電話番号、連絡先、担当者名を記載し、社印を押印します。また、書類の管理番号がある場合も書きます。 |
受注者情報 | 工事を請け負う企業の社名、住所、連絡先、担当者名を記載します。 |
工事名称 | 工事の正式名称を記載します。 |
工事内容 | 依頼する工事の詳細、使用する材料の仕様、数量、単価などを記載します。なお、発注内容に変更が生じた際、工事を始める前に契約変更手続きが必要です。施工業者が工事を始めてから工事内容を変えると、建設業法違反になる恐れもあるため注意しましょう。 |
工期 | 事前協議の上で、着工日と完成予定日を記載します。 |
取引金額 | 工事の見積金額について、税抜金額、消費税額、合計金額を分けて書きます。 |
支払い条件 | 支払い方法(現金、振込など)、支払い期限、分割払いの場合のスケジュールといった支払いに関する情報を記載します。 |
瑕疵や契約不履行が発生した際の解決手段 | 工事に瑕疵があった・納期を守れなかった・契約が履行されなかったといった場合の責任分担や、紛争解決手段、違約金・損害金について記載します。 |
備考 | 特記事項や注意点がある場合に記載します。 |
記載にあたっては「工事一式」のような曖昧な書き方は避け、詳細な点まで伝えるのが大切です。特に、受注側の責任施工範囲や施工条件については、誤解がないよう具体的に記載しましょう。
工事依頼書(工事注文書)を作るときの注意点
工事依頼書(工事注文書)を作成する際には、以下の3つの点に注意しましょう。
- 原則として収入印紙は必要ない
工事依頼書は、発注の意思を示すための書類であり、単体で契約が成立するものではないことから、通常は課税文書に該当せず、収入印紙を貼る必要はありません。ただし、工事依頼書のみで契約が成立する合意をしている場合や、注文請書を兼ねている場合、当事者双方の署名や押印がある場合は、課税文書とみなされ収入印紙が必要となります。なお、工事依頼書を電子メールなどで送信した場合、印紙税はかかりません。
出典:国税庁「請負契約に係る注文請書を電磁的記録に変換して電子メールで送信した場合の印紙税の課税関係について 別紙」
- 基本契約書の有無を確認する
取引先と基本契約書を締結していない場合、工事依頼書に「契約約款」を添付する必要があります。契約約款には、依頼書に記載されていない重要な事項や補足情報が含まれます。基本契約書がある場合は、依頼書に「記載事項以外については、基本契約書の通り」と明記することで、約款の添付を省略できます。なお、約款が複数ページにわたる場合は、割印を押すなどして書類の信頼性を高めることが重要です。
- 記載ミスした場合は再発行が必要になる
工事依頼書に記載ミスが見つかった場合、原則として訂正した新しい依頼書を再発行する必要があります。どうしても再発行が難しいときは、誤った箇所に二重線を引き、正しい内容を記入して訂正印を押すのが一般的な訂正方法です。訂正の際は、依頼書に使用した印鑑と同じものを使用しましょう。ただし、取引先によっては独自の訂正方法を設けている場合があるため、自己判断で訂正せず、必ず相手先に確認してから対応してください。
工事依頼書(工事注文書)を作るときはテンプレートを活用しよう
工事依頼書(工事注文書)は、工事開始後に「言った言わない」のトラブルを防ぐためにも重要な書類です。各項目は具体的に、第三者が見ても責任範囲を判断できる形で書きましょう。ただし、基本契約書がある場合、内容を一部省略できます。また、記載ミスがあった場合、内容に誤解がないように基本的には再発行が求められます。
書類作成の際は原則収入印紙が不要ですが、注文請書を兼ねている場合など収入印紙が必要なケースもあります。ただし、PDFやメールなどのデジタル形式であれば、印紙税は不要です。
※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。
※本サイトは、法律的またはその他のアドバイスの提供を目的としたものではありません。当社は本サイトの記載内容(テンプレートを含む)の正確性、妥当性の確保に努めておりますが、ご利用にあたっては、個別の事情を適宜専門家にご相談いただくなど、ご自身の判断でご利用ください。
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