• 更新日 : 2024年12月12日

【テンプレあり】119番通報マニュアルの内容は?答え方を解説

「交通事故が発生してけが人がいる」「職場で火災が発生した、または発生しかけている」「目の前で人が倒れた」といった、救急隊・救助隊や消防隊が必要なときには119番通報をします。しかし、119番通報をするときは非常事態に陥っていることもあり、多くの場合冷静さを失っています。一刻も早く出動してもらうためには、落ち着いた冷静な119番通報が重要です。

そこで今回は、119番通報マニュアルの概要から無料テンプレート、さらに119番通報に記載するべき正しい通報の流れ、企業がすべき防災訓練の例まで紹介します。

119番通報マニュアルとは

119番通報マニュアルとは、火災や事故、急病・けが人が発生した際、119番へ円滑に通報できるよう手順を伝えるマニュアルです。

119番への通報時は、消防指令センターのオペレーター(通信指令員・指令管制官)につながります。オペレーターは、通報内容にもとづいて指令室から緊急車両の出動指令を各所に出します。

非常事態を目の当たりにしている通報者側にとって緊急通報時は冷静さを失いやすく、正確な情報を伝えるのに手間取る可能性もゼロではありません。しかし、1秒でも早く救急車・消防車を到着させるためには、適切な情報を落ち着いてスムーズに伝える必要があります。

基本的に119番通報マニュアルは各消防局の公式ホームページなどでも公表されていますが、企業・事業所が従業員向けにより詳しいマニュアルを作成・設置するケースもあります。

119番通報マニュアルの無料テンプレート

企業・事業所が「住所」や「シーン別の通報の流れ」などを記載した119番通報マニュアルを従業員向けに作成することで、業務時間中に何らかの緊急事態が発生しても速やかに119番通報ができます。さらなる被害の拡大・業務の停滞を防ぐことにもつながるでしょう。

また、119番通報マニュアルはテンプレートを活用するとスムーズに手間なく作成できます。下記のテンプレートは無料でダウンロードできるため、ぜひ使用してください。

119番通報マニュアルに記載するべき正しい通報の流れ

「119番通報マニュアルを作成しようと考えているものの、何を記載すべきか分からない」という方も多くいるでしょう。

各消防局が提示する119番通報マニュアルは、基本的な通報の流れしか記載されていません。しかし、オペレーターからの質問や返答は通報の内容や状況によって適宜異なります。

どのような状況においてもスムーズに通報できるようにするためには、通報内容別の119番通報の流れをマニュアルに記載するのが望ましいでしょう。

ここからは、119番通報マニュアルに記載するべき正しい通報の流れを、「火災が起きたとき」「急病人やけが人が出たとき」「事故が起きたとき」の3つのシーンに分けて説明します。

火災が起きたときの119番通報の流れ

火災が起きた際は、炎のさらなる拡大を防ぐためにも1秒でも早い119番通報が重要です。しかし、まずは自分が安全な場所に移動した上で通報しましょう。

火災が起きたときの119番通報の流れは、下記の通りです。

聞かれること答え方の例通報のポイント
「はい、119番消防です。

火事ですか?救急ですか?」

「火事です。」
  • オペレーターからの問いに対して簡潔にかつはっきりと答える
「場所はどこですか?」「〇〇市(町)〇〇丁目〇番〇号の〇〇〇です。」

「〇〇市(町)の〇〇の交差点にある〇〇スーパーです。」

  • 場所を正確に伝える
  • 住所が分からない場合は、目印となる建物や交差点名、さらにそれらからの方角・距離を伝える
「何が燃えていますか?」「家の2階から煙が出ているのが見えています。」

「スーパーの駐車場で車が燃えています。」

  • 状況を正確に伝える
  • 自身の安全状況のほか、逃げ遅れた人やけが人の有無について伝えておくとスムーズ
「あなたのお名前と電話番号を教えてください。」「〇〇〇です。電話番号は、〇〇〇-〇〇〇〇-〇〇〇〇です。」
  • 数字は聞き間違いをしやすいため、はっきりと答える

基本的に、消防車は通報者側から場所を聞いた時点で出動準備を開始するため、その後オペレーターからの状況確認に関する質問があっても焦ることなく落ち着いて対応しましょう。火は短時間で爆発するように燃え広がるケースもあるため、できる限り安全な場所に避難しておくことも大切です。

急病人やけが人が出たときの119番通報の流れ

次に、急病人やけが人が出たときの119番通報の流れを紹介します。

聞かれること答え方の例通報のポイント
「火事ですか?救急ですか?」「救急です。」
  • 簡潔にかつはっきりと答える
「場所はどこですか?」「〇〇市(町)〇〇丁目〇番〇号の〇〇〇です。」

「〇〇市(町)〇〇丁目にある〇〇〇公園です。」

  • 場所をできる限り正確に伝える
「誰がどうしましたか?」「通行人が突然倒れました。」

「70歳の父親が胸の痛みを訴えて倒れました。」

  • 急病人やけが人の名前、生年月日、年齢、現在の状況をはっきり伝える
  • 急病の場合いつから症状が出ていたか伝える
「意識・呼吸はありますか?呼びかけに反応はありますか?」「あります。」

「ありません。」

  • 簡潔にかつはっきりと答える
「あなたのお名前と電話番号を教えてください。」「〇〇〇です。電話番号は、〇〇〇-〇〇〇〇-〇〇〇〇です。」
  • 聞き間違いをされないようにはっきりと答える

救護を必要とする人物との関係性によっては、持病やかかりつけの病院などより詳しい状況について尋ねられます。

また、急病人やけが人の意識・呼吸がない場合は、救急隊員が到着するまでの間に応急手当の実施を指示されるケースもあります。応急手当の実施方法についてはオペレーターが詳しく説明してくれるため、落ち着いて対応しましょう。

事故が起きたときの119番通報の流れ

次に、交通事故が起きたときの119番通報の流れを紹介します。

聞かれること答え方の例通報のポイント
「火事ですか?救急ですか?」「交通事故です。」
  • 簡潔にかつはっきりと答える
「場所はどこですか?」「〇〇市(町)〇〇丁目〇番〇号の〇〇〇です。」

「〇〇市(町)〇〇丁目〇番の商店街前です。」

  • 場所をできる限り正確に伝える
「どのような事故ですか?」「信号を渡っていた自転車と右折してきた乗用車がぶつかりました。」
  • 事故の状況(横転・逸脱・転覆など)をできる限り詳細に伝える
「けが人は何人いますか?」「けが人は3人です。」

「普通乗用車の助手席にいる方が足を挟まれて事故車から出られない状況です。」

  • 現時点で分かっているけが人の人数・けがの程度などをできる限り詳細に伝える
「あなたのお名前と電話番号を教えてください。」「〇〇〇です。電話番号は、〇〇〇-〇〇〇〇-〇〇〇〇です。」
  • 聞き間違いをされないようにはっきりと答える

その他、事故車両から煙があがっていたりオイル漏れが生じたりしている場合もしっかりとオペレーターに伝えておきましょう。火災の危険性もあるため、できる限り事故車両から離れた上で119番通報することが大切です。

119番通報をするときの注意点

119番通報をするときは、下記の点に注意しておきましょう。

  • IP電話を使う場合の注意点

番号が「050」から始まる、インターネット回線を利用したIP電話は、119番通報ができない可能性があります。利用しているIP電話が119番通報に対応していない場合は消防本部の代表番号に通報するか、携帯電話から119番通報をしましょう。

  • 携帯電話を使う場合の注意点

携帯電話で消防本部の管轄境界付近から119番通報をした場合は、通報場所を管轄する消防本部とは異なる消防本部につながるおそれもあります。この場合、適切な消防本部への転送を行うため、通話は切らずに待っておきましょう。

  • NET119通報システムの利用方法

日本では、「NET119通報システム」というインターネット上の緊急通報システムが提供されています。スマートフォンなどから通報用サイトにアクセスし、位置情報や状況を入力すれば消防局指令情報センターに通報がつながるというもので、音声による119番通報が困難な方々を対象としています。

NET119通報システムの利用にあたっては事前登録が必要で、登録には居住地を管轄する消防本部への問い合わせが必要です。

119番通報マニュアルの作成以外に企業がすべき防災訓練の例

119番通報マニュアルは、災害や緊急性の高い事態が起きたときに大いに役立ちます。しかし、通報マニュアルを整備するだけでなく、防災訓練も実施していざというときに備えておくのも大切です。

最後に、119番通報マニュアルの作成以外に企業がすべき防災訓練の例を紹介します。

119番通報訓練

119番通報訓練とは、火災や救急、交通事故といった緊急事態が発生した際の119番通報において、正確に状況を伝えるスキルを習得するための訓練です。

内線電話を利用して、通報者役と消防機関のオペレーター役を従業員同士で分担して実施するケースと、実際に消防局の通報訓練サービスを利用して実施するケースがあります。消防局の通報訓練サービスを利用する場合、訓練の際も実際に119番通報を行います。

119番通報訓練であらゆるシーンに応じたさまざまな初動対応を訓練することで、緊急事態の発生時から通報までの適切な行動要領を習得できます。

避難訓練

避難訓練とは、火災や台風、地震など何らかの災害が発生した際に、建物から従業員を安全・迅速に避難させるための訓練です。従業員や顧客などを安全な場所に誘導するのが主となることから、「避難誘導訓練」とも呼ばれます。

避難訓練の具体的な内容・項目としては、災害発生時における適切な避難ルートの選定や、避難時の誘導・点呼・報告の役割決めなどが挙げられます。

なお、どのような避難ルートが適しているかは災害の種類によって異なります。そのため、あらゆる災害を想定した上で避難経路をあらかじめ考えておくことが大切です。

情報収集訓練

情報収集訓練とは、災害時に向けて従業員の安否や施設の被災状況、必要な対応といったさまざまな情報を収集し、かつ的確に伝達するための訓練です。

大規模災害時は、インターネット回線や電話回線が混雑・遮断する可能性があります。不確かな状況によって現場にさらなる混乱が起きないよう、状況に合わせた適切な情報収集の方法を決めておくのはもちろん、あらかじめ緊急時の連絡網を作成しておくことも大切です。

企業にとって119番通報マニュアルは「危機管理の要」

119番通報マニュアルは、火災や事故、急病・けが人が発生した際、119番へ円滑に通報できるよう手順を伝えるマニュアルです。

企業にとって119番通報マニュアルは、「万一に備えた危機管理の要」として重要な役割を果たします。緊急時に迅速かつ適切な対応が求められる中で、社員が正確な手順を把握しているかどうかは、事故や災害による被害の拡大を防ぐためのカギとなります。

企業全体での防災意識を高めるためにも、119番通報マニュアルを作成してみましょう。


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