• 作成日 : 2023年12月26日

業務の自動化とは?メリットや方法、実施の手順を紹介

業務の自動化とは、人が行っていた仕事をITツールに任せて効率化につなげることを指します。コスト削減や、人材不足を解消できる点などがメリットです。

本記事では、業務の自動化の定義や目的・必要なツール・成功事例を解説します。業務の自動化の意味を深く理解して、生産性向上につなげましょう。

業務の自動化とは?

業務の自動化とは、今まで人が行っていた作業をITツールに任せて、業務効率や生産性向上などに役立てることです。

昨今IT技術の進歩により、簡単な仕事であればITツールやロボットを活用して自動化されています。

株式会社矢野経済研究所の調査によると、自動化を行う方法の一つであるRPAの市場規模は、2019年に国内で529億7,000万円を達成したと報告されました。

このように、自動化は注目を集めており多くの企業が導入しています。

自動化により、単純な作業や手間のかかる仕事を行わずに済み、人間が行えるクリエイティブな業務に力を入れられるでしょう。

参考:株式会社矢野経済研究所

自動化しやすい主な業務・具体例

自動化には、向いている業務があります。例を挙げると、データ抽出や集計です。数多くのデータを人が処理すると膨大な時間はかかりますが、ITツールに任せることにより短時間で完了します。

また、売上管理も自動化に向いている業務です。ミスがおきづらくスピーディーに対応できるため、経理担当者の負担を減らせます。売上管理が早く正確にできると事業の戦略を立てやすくなるのがメリットです。

本項では、自動化しやすい業務や具体例を解説します。

データ抽出や集計

自動化しやすい業務の中で代表的なものがデータ抽出です。大量のデータ収集や集計は、人が行うと多大な時間がかかります。しかし、AIやITツールにより自動化すると、スピーディーに行えるでしょう。

業務の効率化につながるだけでなく、AIやITツールの方が正確に抽出・集計できるメリットもあります。

顧客の購買行動や競合企業の分析などを自動化すると、ミスなく業務効率化につなげられます。

売上や支払い、資産の管理

今まで経理担当者が行っていた売上管理も自動化に向いています。売上や支払い、資産の管理はExcelで行われることが多かったです。しかし、多大な時間がかかりミスをしてしまう可能性がありました。

したがって経理作業は、自動化により作業時間を削減して正確に行う方がよいでしょう。

ほかにも、自動化すると業務効率化だけでなく、データ表示の切り替えがしやすくなったり、情報の分析がしやすくなったりするメリットがあります。

それにより、現状の課題を把握でき、事業の戦略立案が行いやすくなるでしょう。

勤怠や労働者の管理

勤怠や労働者の管理もITツールが自動化を得意とする分野です。なぜなら、手作業で勤怠管理を行うと時間がかかり、手間が増えるためです。

例えば、通常の出退勤管理だけでなく、リモートワークの勤怠管理であれば内容を切り替えるのに時間がかかります。

しかしITツールで自動化を行えば、社員がPCの画面をクリックするだけで、出勤退勤打刻が可能になります。さらに、勤務状況が可視化されるため、長時間労働の把握と削減につなげられるでしょう。

顧客対応(チャットボット)

コールセンターや問い合わせ窓口で行っている顧客対応も業務の自動化に向いています。

理由は、人員不足の中、顧客一人ひとりに対応すると社員の負担が大きくなるためです。

顧客対応の場合は、チャットボット(顧客からの質問や問い合わせにチャットで自動的に回答するシステム)により、問い合わせへの対応を自動化するのが好ましいでしょう。

具体的には、資料請求や予約受付、商品の不具合などの対応が可能です。

これにより、自社の社員の業務負担が減り人件費の抑制にもつながります。

業務を自動化するメリット

業務の自動化には、さまざまなメリットがあります。時間短縮につながるため、社員の労働時間を減らしつつ、クリエイティブな業務に携われるでしょう。社員満足度向上や人件費削減にもつながります。

そのほかにも、昨今問題となっている人材不足解消につながるのが魅力です。できるだけITツールに任せて自動化すると、人手がいなくても作業できます。

本項では、業務を自動化するメリットを解説します。

時間短縮・コスト削減につながる

業務の自動化により、企業全体の時間短縮やコスト削減につながります。これまで人が行ってきた作業をITツールやAIに依頼できるためです。

とくにデータ集計や売上管理など、長時間費やしてきた作業が不要になり、1日2時間といった作業時間の短縮につながる場合もあるでしょう。

短縮された時間を使って人にしかできない業務に時間を費やせます。

人件費の削減もできるため、企業の利益率向上にもつながります。

人材不足の解消につながる

業務の自動化により、日本で問題視されている人材不足解消になります。

帝国データバンクの調査によると、正社員における人手不足の割合は51.4%と報告されまし

た。多くの企業が人材不足に悩んでいるため、人材を活用しなくても業務のサポートをしてくれる、自動化に注目が集まっている状況です。

また経済産業省は、人手不足を解消するには、ITやIoT、AIなどのデジタルツールやロボットなどの活用が必要と言及しています。

このように今後は、ITツールの活用により、人材不足解消につなげる必要があります。

参考:株式会社帝国データバンク「人手不足に対する企業の動向調査(2023年7月)」
参考:経済産業省「『デジタルツールなどの利活用』を通じた生産性向上・人材不足対策の推進」

ミスやエラーを防止できる

業務の自動化のメリットは、ヒューマンエラー(人間の行為が要因となって発生する失敗や事故)の防止につながることです。人が作業すると、集中力の低下による不注意などにより、自社や取引先に損害を与えるミスが起こる可能性はあります。

しかし、作業をツールで自動化できれば、ミスが起きやすい業務を防止できるでしょう。例えば、自動化のツールであるRPAにより、データ入力・分析を正確にできるようになると、間違った戦略を立てずに、事業を立案できます。その結果、売上低下を防げるでしょう。

ミスやエラーを防げるのが自動化のメリットです。

属人化を防止できる

顧客や案件対応などの業務の属人化を防止できるのが自動化のメリットです。

業務が属人的になってしまうと、担当者が変更になった際に、顧客満足度の低下につながります。例えば、顧客への説明が担当者によって違うと、重要な部分が伝わらないことはあります。

そのため、自動化による業務の標準化により、人によってばらつきがでない仕組みづくりをする必要があるでしょう。

業務を自動化する方法

業務の自動化には、ITツールの導入が効果的です。定型的な作業であればITツールにより、データ入力のような作業を大幅に削減できます。

また、AIツールの活用も推奨します。カスタマーサポートをAIで行うと、顧客満足度を下げずに社員の労働時間を減らせるでしょう。

本項では、業務を自動化する方法を3つ解説します。

自動化ツールを導入する

業務の自動化をするには、ツールの導入を推奨します。

RPA(手順に従って動作するように作成したロボットを用いて、自動的に業務を行う仕組み)を利用して、定型的な作業を自動化できます。

具体的には、データ入力や売上管理などの作業を自動化できるでしょう。単調な作業が減るため、社員の満足度向上にもつながります。

プログラミングを作成し自動化する

業務の自動化には、自身でプログラミングを作成する方法もあります。社内で作成できるため、自分で思い描いたとおりにカスタマイズできるのがメリットです。

実際に、売上管理の調整やExcelへのデータ入力などの業務をプログラミングにより自動化できます。例えば、プログラミング言語であるPythonは、Excelと組み合わせると、定型的な操作の自動化ができます。

新規作成と保存も自動化できるため、大量にファイルを作る際にも便利です。

AIを活用する

業務の自動化において、AIを活用する流れもあります。

総務省によると、世界のAIに関連するソフトウェアの市場規模は、2021年で3,827億円と報告されました。市場規模が大きく、業務効率化においてもAIを積極的に活用できます。

例えば、JALではAIチャットボットを導入することで、カスタマーサポートの自動化に成功しました。

顧客への対応もAIにより自動化できるため、社員の業務負担が減るでしょう。

参考:総務省「情報通信分野の現状と課題」
参考:ディップ株式会社

業務を自動化する手順

業務の自動化を行うには、必要な流れがあります。

例えば、自動化する業務範囲を決めたり目標を立てたりすることです。事前に何を自動化するのかを決めると、目標を達成しやすくなります。

また、実際に自動化を行う際には、効果測定しながら改善し続ける姿勢が求められます。導入した自動化方法に効果があるのかを測定してください。

本項では、業務を自動化する手順を解説します。

自動化する業務範囲を決める

最初に、自動化の業務範囲を決めましょう。社内の業務をリストアップして、自動化できる部分を見極めてください。

例えば、単純作業や属人化されている業務、負担の大きい仕事が挙げられます。

そのほかにも経理や書類作成、カスタマーサポートも自動化できます。

後述する「業務の自動化の成功事例」も参考にしながら、対象となる業務範囲を決めてください。

目標を明確にする

自動化における目標の明確化も必要です。目標は、業務の効率化なのか、生産性向上なのかを明確にしましょう。

目標を立てる際には、数値化すると達成しやすくなります。例えば「AIツールを導入して、会計処理にかかる時間を1日2時間削減する」「売上を10%アップさせる」といった目標です。

現状、業務に費やしている時間を確認して、現実的な目標を立てましょう。

ITツールを選定し業務の自動化を行う

効果的に自動化するには、自社の業務に合うツールの利用が欠かせません。以下の点を考慮してください。

  • 自動化したい業務範囲
  • コストパフォーマンスの良さ
  • 操作性

自動化する業務範囲を確認しながら、自社に合うツール選定をしてください。また、自動化には、料金以上の価値があるかどうかも確認が必要です。

そのほかにも、社員が使いやすいように、簡単に操作できるツールを選んでみましょう。

社内全体に周知する

業務を自動化する際には、現場で実施する社員への通知が必要です。これまでと違った対応でわからない点が増えるため、事前に告知しておきましょう。

周知する際には、自動化により得られる効果を説明してください。導入するメリットを知ることで、積極的に活用しやすくなります。

また、使い方を解説して、スムーズな進行につなげましょう。

効果測定と改善を行う

業務の自動化は、試験的に導入して効果を測定する必要があります。なぜなら、実際にITツールを導入しても自動化につながらない場合があるためです。

したがって、時間を測定したり売上を確認したりして、業務の自動化の効果がでているのかを確認してください。

そのほかにも、社員へのアンケートを実施して、主観的な負担度も測定するとよいでしょう。

効果を測定したら、ITツールを利用し続けるか、使い方を変えるかなど、改善点を考えてください。

業務の自動化の成功事例

業務の自動化を行ううえで、実際の成功事例を参考にすると実施しやすくなるでしょう。

本項では、Money Forward クラウド会計を利用した企業の成功事例を紹介します。

とくに、社内の中でも負担の大きい経理業務を自動化させた事例を紹介します。膨大なデータの手入力や紙でのやりとりをなくせるため、担当者の負担軽減につながるでしょう。

本項を読んで、業務の自動化に成功させてください。

浜崎海運株式会社

エネルギーの海上輸送を手がける浜崎海運株式会社は、経理業務の属人化や紙でのやり取りに悩んでいたため、Money Forward クラウド会計の利用を決意しています。

導入して感じた点は、経理における仕訳をMoney Forward クラウド会計が提案してくれるため、業務の効率化につながっていることです。

また、ツールの補助機能があるため、基本的なルールを理解すれば、使用経験のない社員でも、業務をスムーズに進められています。

このような便利な機能から、経理業務のペーパーレス化に成功し、担当者の業務負担削減につながりました。ほかの社員のIT活用にも役立っており、自動化に成功しています。

株式会社パルミー

イラストやマンガの描き方をオンラインで学べるサービスを運営している株式会社パルミーは、スプレッドシートでの会計処理からMoney Forward クラウド会計に移行しています。移行の理由は、会計項目が複雑になりスプレッドシートでの管理に手間がかかると感じたためです。

Money Forward クラウド会計では、決済履歴を手入力しなくても自動でデータ取得してくれるため、担当者の負担軽減につながっています。経営状況を確認する際にも、スマホですぐに決算書を把握でき、内訳の管理に役立ちました。

Money Forward クラウド会計の経費・請求書も導入することにより、さらなる自動化につなげています。例えば、社員が各自で経費申請できるようになり、経理担当者の負担が削減されました。

その結果、創業時と比べると社員が約5倍に増えましたが、バックオフィスは1人で担当できています。

このようにITツールを導入して自動化することで、膨大な作業でも社員負担や人件費を抑えられるでしょう。

業務の自動化のポイントや注意点

業務を自動化する際には、スムーズに進めるため、注意点を把握しておきましょう。

具体的には、ツールを利用できる人材を育てて、エラーが起こった際に解決できるようにしてください。また、必要以上にコストをかけないため、自動化する必要のない無駄な業務を事前に削減しておきましょう。

本項では、業務の自動化のポイントや注意点を解説します。

ITツールを利用できる人材を育てる

ITツールを導入して業務を自動化する場合が多いため、利用できる人材を育てておきましょう。ITツールに詳しい人材がいると、わからない点がある際に業者に聞かなくてもすぐに解決できます。

とくに、エラーが生じた際にどのような対応を行うのかを社員に共有しておくと、問題が起こった際にすぐに解決できるでしょう。

ITツールを導入する際に説明会を開き、多くの社員が理解できる環境を作りましょう。

自動化の前に業務の無駄をなくす

自動化の前に、業務自体に無駄がないのかを確認してください。

不要な業務を自動化しようとすると、ツールのコストがかかってしまいます。行う必要のない業務は削減するようにしましょう。

例えば、紙の資料の書きおこしや必要のないデータのバックアップなどが挙げられます。

全業務をリストアップして、無駄な業務を減らしてください。

 自動化を成功させてスムーズに業務を進めよう

業務の自動化は、作業時間の短縮や人手不足への対応など、メリットの多い方法です。データ入力や経理作業などを自動化できます。

業務を自動化する際には、目標を数値化して自社に合うITツールを選択しましょう。ITツールを利用するときは、他社の自動化の成功事例を参考にするとよいでしょう。

業務の自動化を成功させて、滞りなく仕事を進められるようにしてください。


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