• 更新日 : 2024年9月11日

業務改善におすすめのフレームワーク9つ|効果的な使い方を解説

業務の効率化や改善を進めるときには、やみくもに課題に取り組むのではなく、フレームワークを活用して課題を洗い出すのが大切です。特に変化のスピードが急速な現代社会では、業務をこまめに見直して、フレームワークにより素早く改善することが欠かせません。

この記事では、業務改善におすすめのフレームワーク9つと、業務改善にフレームワークを効果的に役立てるポイントを解説します。フレームワークを活用してスピーディーな業務改善を目指している方は、ぜひ参考にしてください。

業務改善とは

業務改善とは、現状の業務プロセスを大きく変更せずに非効率な業務を改善することです。業務プロセス改善とも呼ばれ、時代の流れや社会状況にマッチする仕事環境を作り出すことが主な目的です。

具体的には、業務の中に隠れている「ムリ・ムダ・ムラ」の3つを見つけ出して、着手しやすい部分から改善を目指します。達成が難しい目標設定、余分な動作、パフォーマンスのばらつきなどを明確にするには、業務内容の可視化が重要です。

業務改善にフレームワークを用いるのがおすすめの理由

業務改善には、フレームワーク活用がおすすめです。

フレームワークとは、物事を考えるために必要な「枠組み」「骨子」「構造」を意味します。業務改善をスムーズに進めるには、フレームワークを活用して論理的に考えて実行するのが近道です。

業務改善にフレームワークを用いるメリットを3つ解説します。

問題を解決するためのとっかかりが見つけやすくなる

フレームワークを活用して業務内容の可視化と問題の明確化をすると、解決のためのとっかかりを見つけやすくなります。

問題を解決するには、物事を掘り下げて細分化したり、角度を変えて向き合ったりして根本的な原因を探ることが大切です。1つの問題に複数の原因が絡み合っているケースもあり、手当たり次第に取り組んでもなかなか解決できないことがあります。

「なぜ解決しなければならないのか」「クリアしなければならない課題は何か」が判明すれば、解決に向けて具体的な行動を起こしやすくなるでしょう。

問題や解決策を共有できる

問題や解決策の共有をスムーズに行える点もフレームワークのメリットです。

問題点や原因、改善策などの認識を、メンバー間で一致させることができます。認識が一致していない状態で業務改善に取り組んでも、期待通りの効果を得ることはできません。

「誰が対応するのか」「いつまでにやらなければならないのか」など、業務改善の流れをメンバー間でしっかり共有しましょう。問題や解決策の共有は、組織の一体感を高めることにもつながります。

より短時間で効率よく問題解決ができる

業務改善の効果が現れるまでには、長い時間が必要なケースもあります。できるだけ短期間で効率よく問題解決を目指すには、フレームワークの活用が効果的です。

フレームワークは、問題や解決策、具体的な手順がまとめられた道しるべです。従業員一人ひとりがやるべきことを一目で把握できるため、論点がずれたり誤った取り組みをしたりするリスクが少なくなります。

迷いなく取り組みを進められるため、従業員のストレスや不安も軽減できるでしょう。

業務改善・効率化におすすめのフレームワーク9選

業務改善や効率化に役立つフレームワークはさまざまあります。業務改善フレームワークの活用を検討している方は、どのような種類があるのかチェックしておきましょう。

業務改善・効率化に効果的なフレームワークのうち、代表的なフレームワークを9つ紹介します。

ECRS(イクルス)

ECRS(イクルス)は、下記の4つの言葉がベースとなるフレームワークです。

  • Eliminate(排除)
  • Combine(結合)
  • Rearrange(交換)
  • Simplify(簡素化)

Eliminate(排除)・Combine(結合)では、ムダな業務を排除し、同時に行える業務がないか検討します。さらに、Rearrange(交換)で効率化できる業務や工程がないか検討し、Simplify(簡素化)で複雑な業務の簡素化を目指します。

業務マニュアル作成や業務の自動化によって業務内容がシンプルになれば、業務の効率化や生産性向上、属人化の解消が期待できるでしょう。

課題抽出から業務の簡素化までシームレスに取り組めるため、実施しやすいフレームワークと言えます。

BPMN

BPMNは、次の4つの言葉がベースとなるフレームワークです。

  • Business(仕事)
  • Process(過程)
  • Model(モデル)
  • Notation(表記)

「Business Process Model=業務フロー」であり、BPMNは業務フローを図形や記号で標準化することを意味します。業務プロセスのモデリングをしたいときに役立つフレームワークで、業務プロセスモデリング表記法と呼ばれることもあります。

BPMNに取り組むときは、まず目的やゴールを明確にすることがポイントです。業務情報を洗い出したら、作成した骨子をもとにフロー図を作成します。

図式化に使用する線の種類や記号には決まりがあり、作成時はもちろん読み取るときの理解もスムーズです。

ロジックツリー

ロジックツリーは、樹形図を用いて課題や問題の原因を書き出すフレームワークです。課題や問題の原因を可視化・分解することで、多角的に分析・把握ができます。

問題を見つけるフレームワークとして使われるロジックツリーの種類は、下記の3つです。

  • Whyツリー(原因追求)
  • Whatツリー(要素分解)
  • Howツリー(課題解決)

例えば、Whyツリーの場合、1つの問題に対して考えられる原因を書き出し、原因に対する理由を掘り下げてツリー状に書き出します。「なぜ」を繰り返して樹形図を作成することで、原因の明確化ができます。

要素を網羅的に把握するにはWhatツリー、解決策の洗い出しが目的であればHowツリーを用いるのが一般的です。

KPT

KPTは、次の3つの言葉がベースとなるフレームワークです。

  • Keep(維持)
  • Problem(問題)
  • Try(試み)

比較的簡単に着手できるフレームワークで、主に業務が終了した直後、振り返りに活用されます。3つの項目を書き出し、業務改善につながる課題を検討する方法です。

Keep(維持)は「今後も継続したいこと」、Problem(問題)は「改善が必要なこと」、Try(試み)は「改善のため試みること」を指します。それぞれの項目については抽象的な書き方をせず、具体的に書き出しましょう。

現状の把握や課題の洗い出し、解決策の共有もスムーズに行えます。チームや社内全体はもちろん、個人単位でも取り組みやすいフレームワークです。

5W2H

5W2Hは、下記の7つの要素からなるフレームワークです。

  • When(いつ)
  • Where(どこで)
  • Who(誰が)
  • What(何を)
  • Why(なぜ)
  • How(どのように)
  • How much(いくら)

問題を解決するためにすべきことを要素ごとに整理すると、業務改善を進めやすくなります。要素が多く混乱しやすいため、メモを取って理解を深めることがポイントです。

必ずしもすべての要素の分析をしなければならないというわけではありません。不要な情報まで深堀すると混乱しやすくなるため、必要に応じて取捨選択をしましょう。

バリューチェーン

バリューチェーンは、ビジネスにおいて価値が生まれるタイミングを把握するためのフレームワークです。事業活動と利益を紐づけることで、自社の価値の連鎖を視覚的にイメージできます。

バリューチェーン分析では、事業活動を下記の2つに分類して利益を生み出しているタイミングを明確化します。

主活動

製造、流通、販売、アフターサービスなど

支援活動

原材料の調達、技術開発、人事・労務管理など

主活動は、生産から消費までに関わる活動です。主活動をサポートする活動は支援活動に分類されます。それぞれの活動におけるコストを可視化することで、業務改善につながる課題の発見につながります。

MECE(ミーシー)

MECE(ミーシー)は、次の2つの言葉がベースとなるフレームワークです。

  • Mutually Exclusive(互いに重複しない)
  • Collectively Exhaustive(全体として漏れがない)

MECEはマーケティング用語の1つであり、「漏れがなく重複しない」という意味で使われます。MECEで業務改善をするときには、業務内容を細分化した上で、「重複している無駄な作業がないか」「作業が抜け漏れて非効率になっているところがないか」を検討します。

フィッシュボーンチャート

フィッシュボーンチャートは、業務改善や効率化など問題解決に役立つフレームワークです。解決したい課題が発生した要因を図式化したもので、特性要因図とも呼ばれます。

フィッシュボーンチャートは、解決したい課題を魚の頭、業務プロセスの時間軸を背骨に見立て、結果や解決したい課題から逆算して、要因を特定するのが特徴です。

課題の要因をいくつか挙げて、大骨として背骨につなげます。課題の要因を細分化して見えてきたサブ要因は、小骨のイメージで配置しましょう。

課題の要因が可視化されることで、業務改善に向けて取り組むべき内容が明確になります。要因が多いときは、影響力が大きい要因から順番に着手することがポイントです。

マンダラチャート(マンダラート)

マンダラチャートは、目標達成に向けて必要な取り組みを可視化したいときに役立つフレームワークです。

曼荼羅模様に似ていることから、マンダラチャートやマンダラートと呼ばれています。手軽に取り組めて進捗状況を一目で確認できるのがメリットです。

マンダラチャートを使うときは、3×3の9マスを作成して中心のマス目にメインテーマとなる目標や課題を書き込みます。中心のマス目の周りには、小テーマとして関連する業務や取り組みを書き込みましょう。

さらに9マスを囲むようにマス目を作成し、小テーマから派生させて連想される内容を書き込みます。すべてのマス目を埋めると、業務改善に向けて取り組むべき内容が明確になります。中心のメインテーマを意識しつつ、取り組みやすい内容から着手しましょう。

フレームワークの効果的な使い方と業務改善のコツ

優れたフレームワークを活用しても、うまく使いこなせなければ十分な効果は得られません。フレームワークのメリットを引き出すためには、ただ当てはめるだけではなくポイントをおさえて取り組むことが大切です。

フレームワークの効果的な使い方とスムーズに業務改善を実現するためのコツを紹介します。

目標や課題を明確化した上で当てはめる

フレームワークを使う前に、「業務改善で何を目指すのか」「業務改善に向けて何をすべきか」を明確にしておきましょう。

目標や課題が明確化されていない状態では、目的を見失いやすくフレームワークを使っても十分な効果が得られない可能性があります。目的や課題によって相性がいいフレームワークは異なるため、現状を把握した上で活用するフレームワークを見極めましょう。

スムーズな業務改善を目指すには、従業員全員と目的や課題の共有をすることも大切です。部分的な最適化ではなく、全体にとってメリットとなる取り組みであることを理解してもらう必要があります。

QCDバランスを意識する

全体的な業務改善を実現するには、QCDバランスを意識することも重要です。

QCDは、生産活動を行うために欠かせない3つの要素です。Quality(品質)・Cost(費用)・Delivery(納期)を意味し、3つのバランスが崩れると生産性が低下します。

業務改善を行うと、1つの要素が向上してもほかの要素が低下することがあります。経費削減に力を入れすぎた結果、品質が低下するケースはめずらしくありません。

品質は顧客満足度に直結するため、最優先で考えましょう。費用と納期のバランスは、現場の対応や顧客の要求を考慮することがポイントです。

QCDとは?意味や品質・コストのバランスの取り方について解説

現場の意見を拾って計画を立てる

フレームワークの活用において、現場との連携は必要不可欠です。業務改善をスムーズに進めるために、現場の意見を拾って改善計画に反映させましょう。

現場の声を無視した業務改善は、顧客満足度の低下や従業員の不満につながります。業務改善をするつもりが、「効率が悪くなった」「従業員のモチベーションが下がった」など逆効果となる可能性もあります。

上層部や担当者は現場の意見に耳を傾ける姿勢を示し、従業員が意見やアイデアを出しやすい雰囲気をつくりましょう。集めた意見を可視化して、計画に反映したことを形にするのも効果的です。

業務改善提案書のテンプレート(無料)

以下より無料のテンプレートをダウンロードしていただけますので、ご活用ください。

まとめ

業務改善を効果的に進めるためには、適切なフレームワークの活用が重要です。フレームワークを使用することで、業務の可視化や問題点の明確化が容易になり、解決策を共有しやすくなります。問題がより短い期間で解決するため、業務が効率化できるだけでなく課題解決のプレッシャーも軽くなるのもメリットです。

ただし、フレームワークを効果的に使って業務改善をするには、QCDバランスを意識するのが重要です。また、どういった目的で業務改善を行うのか定め、現場の声を拾い上げて改善計画に反映しましょう。


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