• 作成日 : 2024年2月7日

顧客満足(CS)とは?向上のための8つの具体例と成功した企業事例

顧客満足(CS)とは?向上のための8つの具体例と成功した企業事例

「顧客満足(CS)」は顧客の満足感を示すものであり、アンケートなどの定量的調査およびインタビューなどの定性的調査によって測定できます。顧客に自社の製品やサービスを購入し続けてもらい、売上を伸ばしていくためにも、顧客満足の向上は重要です。

この記事では顧客満足の意味や顧客満足を向上するメリット、調査方法や測定指標、具体的な施策および顧客満足度向上に成功した企業の事例について解説します。

顧客満足(CS)とは?

顧客満足(CS)とは、商品やサービスを利用した際に顧客が得る満足感です。

顧客は、商品やサービスの利用前に持った期待値を上回る価値が提供された場合に満足感を得ます。高い満足感を得るほど顧客満足度が向上し、反対に、提供された価値が期待値に満たない場合は不満を持ち、顧客満足度が低下します。

現代は多様な顧客ニーズに応じる無数の商品やサービスが開発され、販売される時代です。顧客が新商品やサービスを認知する手段が多様化していることもあり、品質や技術のみが理由の差別化は行いにくい傾向があります。顧客満足度の向上は、競争が激化する時代において、継続的な企業成長を図る手段としても重視されている施策です。

顧客満足と混同されやすい言葉に「顧客ロイヤルティ」があるものの、時間軸が異なる点に注意しましょう。顧客満足度は商品やサービスの利用時点における満足感を示す指標です。対して、顧客ロイヤルティは商品やサービスを周囲にすすめたいかどうかも含む、より長期的な時間軸の満足感を示す指標にあたります。

顧客満足の言い換え

顧客満足は「顧客満足度」や「CS(カスタマーサティスファクション)」などの言葉に言い換えられることもあります。表記による意味の違いはないものの、「CS」と記載する場合には「カスタマーサクセス」を意味する英語の「CS」と混同される可能性があるため、注意しましょう。

カスタマーサクセスとは商品やサービスを利用した顧客に「よかった」「満足した」と感じる成功体験を与えるため、積極的なサポートを行う取り組みです。カスタマーサクセスの強化は、顧客満足度を向上させる手段の1つにあたります。

顧客満足度の向上によるメリット

顧客満足度の向上に取り組むことで、企業にとって多くのメリットが期待されます。以下で解説する企業にとってのメリットを再確認し、顧客満足度向上施策を行う際のモチベーションにつなげてください。

企業価値・ブランド力が高まる

顧客満足度が向上すると好意的な評価が社会に広く認知され、企業としてのブランド力を高められます。ブランド力が高まると商品やサービスに付加価値が生まれ、競合他社との差別化につなげることが可能です。競合他社との差別化に成功すれば、無理な価格競争をしなくとも、自社の考える適正価格で商品やサービスを販売できます。

また、ブランド力は、企業価値を左右する重要要素の1つです。ブランド力が高まると企業価値も向上し、以下のメリットを期待できます。

  • 取引先に信頼されやすくなる
  • 資金調達の難易度が下がる
  • 倒産リスクを軽減できる

企業価値の高さは、優良企業であることを示す証拠の1つです。優良企業は取引先・金融機関・投資家などに信頼されやすく、資金調達や新規顧客開拓の難易度も下がるため、スムーズにビジネスを展開できます。結果として倒産リスクも軽減できるでしょう。

顧客ロイヤルティが高まる

顧客ロイヤルティとは、企業もしくは商品・サービスに対する愛着や忠誠心を指す言葉です。顧客ロイヤルティの高い顧客は「ロイヤルカスタマー」と呼ばれ、企業にとってはビジネスの成功を強力にバックアップする味方と言えます。

顧客満足度は、顧客ロイヤルティを左右する要素の1つです。継続的に顧客満足度を向上させれば顧客ロイヤルティが高まり、ビジネスの安定的な成長を図れる可能性があります。

ただし、顧客ロイヤルティと顧客満足度の高さは、必ずしも比例しません。顧客満足度を一時的に向上させても、将来的に競合他社の商品やサービスを選択するケースがあることには注意しましょう。

リピーターが増える

顧客満足度が向上すると、「再度購入、利用したい」と考えるリピーターが増加します。リピーターにはアップセルやクロスセルの提案を行いやすく、顧客満足度を向上させると効率的に売り上げアップを図れます。

アップセルとは、過去に購入した商品・利用したサービスの上位版を紹介して単価アップを目指すことです。クロスセルとは関連商品やサービスを紹介して、同時購入・利用を促すことを指します。

新規顧客と比較して企業の提案を受け入れる可能性が高い層にもあたるため、リピーターを育成すれば、販売促進戦略の工夫による売り上げアップのチャンスが拡大します。

口コミから新規顧客獲得や販促費削減につながる

商品やサービスに大きな価値を感じた顧客は、自分自身の体験を家族や友人に紹介することがあります。紹介によって新規顧客を獲得できれば、販促費の削減を図れるでしょう。

また、近年は、自分自身の体験を口コミとしてレビューサイトやSNSに投稿する人も多い時代です。ポジティブな口コミの拡散が理由で商品やサービスに関心を持つ人が急増し、売り上げアップにつながることも珍しくはありません。

顧客の口コミは企業が一方的に発信する情報と比較し、消費者に信頼されやすい傾向があります。その上、顧客が自発的に行う口コミには、販促費が発生しません。よい口コミが拡散されれば、販促費をかけずに潜在的な顧客にアプローチできます。

顧客満足度の調査方法

顧客満足度向上施策を実施する際には、施策がどの程度効果的なのか、費用対効果は適切か、次回以降どのような施策を立てるべきかを見極める必要があります。一定以上信頼性の高い調査を行えば、施策の精度が向上し、さらなる顧客満足度向上につながるでしょう。

顧客満足度調査の手法は主に、定量調査・定性調査の2種類です。

  • 定量調査

    定量調査とは顧客満足度を数値データによって計測する調査です。たとえば、インターネット・郵送・電話による顧客満足度のアンケートが定量調査にあたります。

  • 定性調査

    定性調査とは回答者と対話して、数値データによって把握できない情報を収集する調査です。たとえば顧客満足度の定性調査では、インタビューや行動観察調査を実施します。

インタビュー対面もしくは電話で顧客に商品やサービスの満足度・意見・要望などを質問する手法
行動観察調査商品やサービスの販売場所・利用場所で、顧客が購入判断に迷う様子や実際に利用している様子を観察する手法

顧客満足度を正しく把握するためには極力、定量調査と定性調査を組み合わせて実施しましょう。組み合わせで実施する際には定性調査で顧客の思考や満足度に関する仮説を導き、定量調査で検証する流れがおすすめです。

顧客満足度の測定方法

顧客満足度の定量調査を実施する際には事前に、数値データとして把握する指標を決定する必要があります。顧客満足度の定量調査で活用される代表的な指標は、以下3つです。

  • NPS

    NPSは、顧客満足度および顧客ロイヤルティを把握するために役立つ指標です。NPSは「商品やサービスを家族・友人に紹介したいか」の質問に0~10点の11段階で回答させ、6点以下を批判者、7~8点を中立者、9点以上を推奨者に分類します。その上で、推奨者の割合から批判者の割合を引くことで顧客満足度および顧客ロイヤルティを計算します。

  • CSI

    CSIは、アメリカを中心に世界中で利用されている顧客満足度の指標です。CSIでは「顧客期待値・顧客不満度・顧客忠実度・知覚品質(商品やサービスへの主観的評価)・知覚値(価格への満足度)」の5項目を100点満点で評価してもらい、利用前の期待値と実際に提供した価値の差を把握します。

  • JCSI

    JCSIは、CSIを日本用にカスタマイズした指標です。JCSIではCSIの項目に「推奨意向(商品を誰かにすすめたい度合い)」を加えた6項目を質問し、顧客満足度を数値化します。

上記のうちの「CSI」および「JCSI」は結果がばらつきやすく、十分なデータを収集しないと信頼度が低下します。そのため、主に大規模な組織が実施する顧客満足度調査で役立つ指標です。

顧客満足度を上げる6つの具体例

実際に顧客満足度を向上させるためには、さまざまな施策を実践する必要があります。顧客満足度の向上につながる施策の具体例を知り、自社で実践する際のヒントを得てください。

顧客ニーズの把握と調整

顧客満足度を向上させるためには、顧客ニーズに合う商品やサービスの開発が欠かせません。顧客ニーズとのミスマッチが疑われる場合には市場調査で顧客の声を正しく把握し、商品やサービスの改善に生かしましょう。

顧客ニーズには、顧客自身が自覚している「顕在ニーズ」と潜在的な欲求にあたる「潜在ニーズ」の2種類があります。潜在ニーズを顧客に自覚させた上で解決案を提案できる商品やサービスを開発すると、顧客満足度の向上につながるでしょう。

また、顧客によっては商品やサービスに対するニーズや期待度が過剰に高いケースもあります。その場合、あえて顧客にデメリットを伝えた上で利用してもらえば、実際に提供する価値とのギャップを回避し、顧客満足度の低下を防止できます。

ただし、商品やサービスのデメリットのみを過剰に強調した営業を行うと、市場における優位性が低下しかねません。優位性を維持できるよう、「デメリットとメリットの双方を伝える」など自社なりのルールに沿った営業活動を実践しましょう。

顧客満足度の定義統一

顧客満足度向上を図る施策は、全社的に足並みを揃えて取り組むことが理想です。個別の施策を実施する際には事前に顧客満足度の定義や目指すゴールを組織内で共有し、統一しましょう。

施策の実践後は顧客満足度調査の結果も組織内に共有すると、従業員のモチベーションにつながります。定性調査の結果を共有する際にはポジティブな評価も合わせて伝えると、より従業員のモチベーションが高まるでしょう。

質の高い接客と対応

従業員の接客態度や対応も、顧客満足度に影響します。定期的に接客研修を実施し、従業員を教育しましょう。以下は、接客研修で教育する内容の例です。

  • 接遇マナー(挨拶、身だしなみ、言葉遣いなど)
  • 気配り、心遣いのコツ
  • ホスピタリティマインド

顧客満足度の向上につながる接遇マナーや接客スキルは、短期間の研修だけでは習得が難しい能力です。新人からベテランまで、従業員の経験に合わせて定期的に学びなおす機会を設け、スキルアップを促しましょう。

接客の質を高めて顧客満足度の向上を図るときには、従業員満足度との相関性を意識することもまた重要です。一般的に従業員満足度と顧客満足度は比例すると言われるため、労働環境や待遇面の見直しで働きやすさを向上させると、接客の質を高められるケースもあります。

SNSでのコミュニケーション

SNSには双方向のコミュニケーションを行える特徴があることから、顧客満足度向上を図る上での重要なツールです。SNSを以下の方法で活用するとサービス品質の向上や信頼性の構築につながり、顧客満足度の向上を狙えます。

  • 商品やサービスへのフィードバックを得る
  • ポジティブな口コミに感謝を伝える
  • ネガティブな口コミに改善案を提案する
  • 企業と顧客や顧客同士のコミュニティを形成する

顧客同士のコミュニティが形成されると参加する人に仲間意識が芽生え、商品やサービスに対する愛着を育成する効果を期待できます。企業と顧客のコミュニティでは商品やサービスに対するフィードバックを受け取り、改善につながるヒントを得ることが可能です。

カスタマーサクセスの強化

カスタマーサクセス部門を立ち上げて商品やサービスの利用後に感じる不満を予測し、先回りした対策を実施することによっても、顧客満足度の向上を図れます。以下は、カスタマーサクセス部門で実施できる施策の具体例です。

  • 初期設定作業を代行し、サービスの導入を支援する
  • セミナーや勉強会で商品の活用方法を紹介する

ただし、カスタマーサクセスの強化目的で手厚いサポートを実施するほど、コスト面の負担は増大します。実施する施策を検討する際には、費用対効果のバランスを考えることもまた重要です。

CRM(顧客管理システム)の導入

継続的に顧客満足度の向上を図るためには、CRM(顧客管理システム)を導入する方法も一案です。CRMとは大量の顧客情報をリアルタイムで分析し、顧客にとって最適なタイミングで商品やサービスを提供できる体制づくりをサポートするシステムです。

以下は、多くのCRMに搭載されている主な機能と概要を示します。

顧客情報管理顧客の基本情報、商品やサービスの利用履歴などを一元管理できる機能
データ分析購入日や利用頻度などの指標で顧客をグルーピングしたり、テキストマイニングで商品やサービスの課題を発見したりできる機能
マーケティング支援既存顧客に対するアフターフォローや情報発信を支援する機能
問い合わせ管理顧客の質問内容・返信履歴・対応状況などを可視化して、問い合わせ業務の属人化を防止する機能

CRMと混同されやすい「SFA」は、潜在顧客の顧客化を狙った営業活動をサポートするシステムです。近年ではCRMとSFAを兼ねたシステムもあるため、期待する導入効果に応じたものを活用するとよいでしょう。

顧客満足度向上の取り組みに成功した企業事例

顧客満足度の重要度を意識した経営により、業績アップを実現した企業の事例は多くあります。顧客満足度向上の成功パターンや取り組み事例を以下で把握し、自社の利益につなげましょう。

スターバックスコーヒージャパン株式会社

スターバックスコーヒージャパン株式会社は自宅や職場に並ぶ「第三の居場所」として居心地の良い空間を提供し、成長した企業です。スターバックスコーヒージャパン株式会社には、接客マニュアルが存在しません。従業員には行動規範の記載された小冊子が配布され、顧客のために自分自身で考えて行動することが推奨されます。

スターバックスコーヒージャパン株式会社は、地域のアイデンティティを尊重した店舗づくりにも注力している企業です。地域の顧客に愛される店舗を表彰する制度もあり、従業員は生き生きと顧客満足度の向上につながる店舗づくりに取り組めます。

出典:スターバックスコーヒージャパン株式会社「Business Report FY2011」
出典:スターバックスコーヒージャパン株式会社「会社案内」

株式会社ネクステージ

株式会社ネクステージは、新車・中古車の販売と買取サービスを提供する企業です。株式会社ネクステージでは販売・買取後のアンケートにおける「不満足」の撲滅を目標に、顧客満足度の向上に取り組んでいます。

取り組みの一環として株式会社ネクステージでは問い合わせ対応のサポートツールを導入し、問い合わせ電話の待機時間を短縮しました。さらに、納車後のアンケートをデジタル化して顧客ニーズをより正確に把握できる体制を整備し、サービスの改善に役立てています。

出典:株式会社ネクステージ「ステークホルダーと共に」

ソニー損害保険株式会社

ソニー損害保険株式会社ではサービス品質の向上を目指し、顧客の声を経営に生かす取り組みを行っています。重要情報は顧客にとって分かりやすい形で提供し、顧客ニーズに合う保険の選択をサポートする方針です。

自動車保険に関しては24時間365日事故対応するサービスや外国語通訳サービスなどが支持された結果、JSCIの調査において、業界トップクラスの評価を獲得した実績があります。火災保険に関しても2019年から5年連続、オリコンが実施する顧客満足度調査において業界トップクラスの評価を獲得しました。

出典:ソニー損害保険株式会社「JCSI(日本版顧客満足度指数)の調査において、4年連続で損害保険業界第1位」
出典:ソニー損害保険株式会社「2024年オリコン顧客満足度(R)調査「火災保険」で総合第1位」
出典:ソニー損害保険株式会社「お客さま本位の業務運営方針」

株式会社NTT ExCパートナー(旧:NTTラーニングシステムズ株式会社)

株式会社NTT ExCパートナー(旧:NTTラーニングシステムズ株式会社)はNTTラーニングシステムズ株式会社時代に顧客満足度の低下に対する施策として、CRMシステムを導入しました。システム導入の主な狙いは、担当者同士の情報共有を円滑化することや異動の多い営業担当者のノウハウを社内に蓄積することです。

システムの導入後は全社的に共有できる情報量が格段に増加し、正確性も高まりました。取り組みの結果も受けて株式会社NTT ExCパートナーは、オリコンの若手・一般社員向け企業研修満足度ランキングにおいて2023年に上位を獲得しています。

出典:オリコン顧客満足度ランキング「【最新】おすすめの企業研修 若手・一般社員向け公開講座ランキング・比較」

顧客満足度の向上は企業価値向上につながる

顧客満足(CS)を向上すれば、企業価値やブランド力も同時にアップし、ロイヤルカスタマーの育成やリピーターの増加にもつながります。口コミも増えて新規顧客を獲得しやすくなり、販促費も削減できると数多くのメリットがあります。

顧客満足度の向上には、顧客ニーズを把握した上で顧客とのコミュニケーションを強化することが必要です。研修などにより接客の質を上げるほかにも、カスタマーサクセス部門の創設やSNSでの顧客とのコミュニケーション、顧客管理システムの導入なども効果的な施策と言えるでしょう。


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