• 更新日 : 2024年9月11日

リモートワークを導入する企業・従業員のメリットとデメリットを解説

リモートワークは、時間や場所に縛られることがなく、柔軟に働ける方法です。オフィスから離れた場所でも働くことが可能であり、育児や介護と両立しながら働くことができます。

リモートワークは便利に見えるものの、メリットだけでなくデメリットもあることに注意が必要です。当記事では、リモートワークを導入する企業と従業員のメリット・デメリットを解説します。

【企業】リモートワークのメリット

リモートワークは、企業に多くのメリットをもたらす制度です。

以下では、リモートワークの導入で企業が享受できるメリットを3つ解説します。

コストを削減できる

リモートワークの導入により、企業はさまざまなコストを削減できます。たとえば、オフィススペースの縮小による賃料の削減、光熱費や設備維持費の節約が可能です。在宅勤務者が増えれば、広いオフィスを維持する必要がありません。

時々出社する従業員には、共有デスクを導入すれば問題なく作業できるでしょう。従業員のオフィスワークが必要な頻度が減少すれば、オフィス内の備品や設備の消耗も抑えられます。

リモートワークでは、書類や資料の電子化が必須です。ペーパーレス化が進めば、プリンターの紙代・インク代といった細かい経費を削減できます。また、従業員の通勤手当交通費の支給も不要になるため、さらにコストを削減できるでしょう。

人材を確保しやすくなる

リモートワークは、企業にとって多様な人材を確保する絶好の機会です。従来の出社前提の勤務形態では、地理的な制約や個人的な事情で優秀な人材を逃すことがありました。

地理的な制約がなく、時間の融通が利きやすいリモートワークなら、出産や育児、介護などの理由で退職する必要がありません。育児中・介護中の従業員が在宅で仕事を続けられるようになれば、離職率の低下につながります。

柔軟な働き方ができれば、企業の人材採用の幅も広がり、全国各地、さらには海外からも優秀な人材の採用が可能です。多様なバックグラウンドを持つ人材を確保しやすくなれば、組織の強化や新しいアイデアの導入にもつながるでしょう。

企業のブランドイメージが向上する

企業のブランドイメージが向上するのも、リモートワークを導入するメリットの1つです。柔軟な働き方を提供するリモートワークは、現代の働き方改革の一環として注目されています。

働きやすい職場環境を提供する企業は、求職者にとって魅力的な雇用先です。優秀な人材が集まりやすくなり、結果として企業全体の競争力向上と市場での優位性の確立につながるでしょう。

リモートワークの導入は、通勤で発生する二酸化炭素排出の削減やオフィス資源の節約など、環境への配慮や社会的責任を果たす企業としての姿勢を示すこともできます。こうした取り組みは企業の社会的評価を高める要因となり、持続可能な経営を支えます。

【企業】リモートワークのデメリット

リモートワークを導入すると、企業側には人材確保やコスト削減といったメリットが得られる一方、デメリットも存在します。

以下のデメリットを理解し、適切な対策を講じることが重要です。

人事評価・労務管理が難しくなる

リモートワークを導入すると、従業員の勤務状況や労働実態の把握が難しくなります。オフィスでは上司が直接働きぶりを目にすることで評価できるものの、リモートワークでは細かいチェックが困難です。勤務時間管理や業務進捗管理も課題であり、従業員が正しく働いているかどうかを確認する手段が必要になります。

対策としては、業務ログを取得するシステムや勤怠管理ツールを導入し、労働時間と作業内容の透明性を確保する方法が有効です。また、成果に基づく評価制度を取り入れると、人事評価の公平性を確保しやすくなります。

情報漏洩のリスクが高くなる

自宅やカフェなどの外部環境で仕事をするリモートワークでは、情報漏洩のリスクが高まるのもデメリットの1つです。たとえば、公共のWi-Fiを使用する場合、不正アクセスによるデータ流出の危険性が指摘されています。また、業務に使用するデバイスの紛失や盗難によって、機密情報が外部に漏れる可能性も無視できません。

対策としては、セキュリティソフトの導入やVPNの利用、パソコンやモバイル端末のセキュリティ設定の徹底が挙げられます。従業員に対するセキュリティ教育と、情報管理のルールの明確化も必須です。

生産性低下のおそれがある

リモートワークは、生産性の低下を引き起こすおそれがあります。自宅での仕事は家族や生活環境の影響を受けやすく、効率的に仕事を進めるのが難しいケースがあります。また、上司や同僚とのコミュニケーションが不足しがちで、情報共有の遅れや共有した情報の認識違いが発生する場合もあります。

定期的なWeb会議の開催やビジネスチャットツールの活用は、リモートワークにおける生産性低下対策として有効です。コミュニケーションを円滑にすることで、チームの連携が強化され、生産性向上や業務効率化につながります。

【従業員】リモートワークのメリット

リモートワークの導入は、企業に多くのメリットをもたらすだけでなく、従業員にとっても有益です。

以下では、リモートワークが従業員側に与える主なメリットを3つ解説します。

通勤時間を短縮できる

リモートワーク導入による最大のメリットは、通勤時間の短縮です。オフィス勤務では、ほとんどの従業員が通勤に時間を費やす必要がありました。満員電車や長時間の移動は、大きなストレスの要因です。しかし、リモートワークなら自宅からの勤務が可能になり、通勤時間を大幅に削減できます。

通勤時間がなくなれば、従業員は通勤に費やしていた時間を有効に活用できます。朝の時間を読書や運動に充てたり、家族と過ごす時間を増やしたりできるでしょう。また、通勤による疲労やストレスが軽減されるため、よりよいコンディションで仕事に取り組むことができます。

理想のワーク・ライフ・バランスを実現しやすくなる

オフィス勤務では、仕事と私生活のバランスを取るのが難しいと感じる人も多いでしょう。一方、リモートワークなら、従業員が自分の生活スタイルに合わせて仕事のスケジュールを調整しやすくなります。

たとえば、育児や介護と仕事の両立が可能です。子どもの送り迎えや家族と食事をする時間を確保しやすく、生活の質が向上します。また、子どもの急な体調不良にも即座に対応できるため、職場を早退する必要がありません。

介護が必要な家族がいる場合でも、リモートワークなら介護の合間に仕事を続けることができます。家庭の事情に合わせた柔軟な働き方ができれば、仕事のモチベーションも向上します。

好きな地域・場所で働ける

オフィス勤務では、勤務地に縛られることが多く、住む場所も勤務先に近いところに限られるのが一般的でした。しかし、勤務地の制約がないリモートワークであれば、住む場所を自由に選べます。

たとえば、家賃の高額な都市部を避けて、郊外や地方に住むといった選択が可能です。これにより、生活費を抑えられて経済的な負担が軽減されます。また、自然豊かな場所や好きな地域での生活により、心身の健康を保ちやすいのもメリットです。さらに、パートナーの転勤や家族の都合で引っ越す場合でも、リモートワークなら柔軟に対応できます。

【従業員】リモートワークのデメリット

リモートワークを導入すると、従業員には通勤時間の短縮やワーク・ライフ・バランスの向上といったメリットが得られる一方、デメリットも存在します。

以下のデメリットを理解し、適切な対策を講じましょう。

コミュニケーション不足になりやすい

同僚や上司と直接顔を合わせる機会が減るリモートワークでは、日常的な雑談や軽い確認がしづらくなります。テキストベースでのやり取りが主になるため、相手の意図やニュアンスを正確に汲み取れず、誤解が生まれるケースも珍しくありません。これにより、チーム内の一体感が失われたり、疎外感や孤独感を感じたりすることがあります。

対策としては、定期的なオンラインミーティングの開催やビデオ会議システムの導入が有効です。チャットツールを活用し、従業員同士の日常的なコミュニケーションの場を設けるのもよいでしょう。

作業効率が落ちるおそれがある

環境によっては作業の効率性が低下するのも、リモートワークのデメリットです。自宅やカフェでは、オフィスと比べて快適な作業環境を整えにくい傾向があります。たとえば、家族の動きや生活音により集中しにくかったり、上司の目がないために自己管理を怠ってしまったりすることがあります。

対策としては、仕事とプライベートの時間を明確に分ける方法が有効です。たとえば、勤務時間中は専用の作業スペースを設ける、家庭内でのルールを設定するなどが考えられます。

運動不足になりやすい

通勤が不要になるリモートワークでは、日常的な運動量が減少するのもデメリットの1つです。運動不足に陥りやすく、長時間座りっぱなしになることで筋肉の緊張を招くだけでなく、体重増加や生活習慣病のリスクが高まります。

対策としては、意識的に運動時間を確保することが必要です。たとえば、定期的にストレッチを行う、仕事の合間に軽いエクササイズを取り入れる、散歩に出かけるなどの方法があります。

リモートワークを導入する手順

リモートワークの導入は、計画的に進める必要があります。以下は、リモートワークを導入する際の大まかな手順です。

1導入目的を明確にする
2導入範囲や実施頻度を決める
3推進体制を構築する
4現状を把握する
5ICTツールを導入する
6セキュリティ対策を実施する
7トライアルを行う
8評価と改善を繰り返す

リモートワーク導入の際は、まず目的を明確にしましょう。目的が不明確だと、リモートワークの効果を適切に評価できません。

次に、導入範囲や実施頻度を決めます。最初は一部の部署や従業員を対象にトライアルを行い、効果を検証しながら徐々に拡大していくとよいでしょう。

リモートワークを推進する体制の構築も欠かせません。プロジェクトチームを作り、リモートワークの導入をリードするメンバーを決定します。現状の就業規則や勤怠管理制度を見直し、必要に応じて変更を行います。

ICTツールの導入は、リモートワークの成功に不可欠です。コミュニケーションツールや勤怠管理システムを活用し、オフィスと同様の業務環境を整える必要があります。また、セキュリティ管理も徹底しましょう。VPNの利用やデバイスの管理など、情報漏洩を防ぐための対策が求められます。

最後に、トライアルを実施して問題点を洗い出し、定期的に評価と改善を繰り返すことが重要です。リモートワークは一度導入して終わりではありません。常に改善を続けることで、より効率的で快適な働き方が実現します。

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リモートワークの導入はメリットとデメリットの両方を確認しよう

リモートワークの導入により、企業はコスト削減や人材確保のメリットがあるものの、情報漏洩のリスクや生産性低下の可能性といったデメリットを考慮する必要があります。従業員にとっては、好きな場所で理想の働き方を実現できる一方、コミュニケーション不足や作業効率の低下といった懸念があるかもしれません。

リモートワークを導入する際には、単にメリット・デメリットを確認するだけでなく、企業と従業員の双方が満足できるような体制を整えることが重要です。


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