- 作成日 : 2023年12月8日
生産管理とは?工程管理との違いや業務を効率化する方法について解説
生産管理は、ものづくりを担う製造業において必要不可欠な業務です。しかし、生産管理がカバーする業務領域は多岐に渡るため、具体的な仕事内容についてよく分からないという方も多いのではないでしょうか。
この記事では、生産管理の概要や工程管理との違い、生産管理を効率化するためのポイントなどを解説します。
目次
生産管理とは?
製造業における生産管理とは、生産計画にもとづいて製品を製造するための業務全般を広く管理する仕事です。
「どの製品をいつまでにいくつ製造するのか」「品質チェックはどのように行うのか」などの具体的な計画を立てて、出荷・納品までの工程を適切に管理します。
生産管理の担当者は、複数の部署・部門をまたがって管理することが必要となるため、重要なポジションかつ難易度の高い業務であるといえるでしょう。
企業における生産管理の重要性
生産管理において重要なのは「QCD」の最適化です。QCDとは品質(Quality)、原価(Cost)、納期(Delivery)の3つの単語の頭文字であり、多くの製造現場で意識されている要素です。
QUDの水準が低い場合、自社製品の競争力が弱まり、他者との競争優位性を築けません。QCDを最適化させることによって「高品質なものを、低価格で、短期間で」顧客に提供できるようになり、顧客満足度の向上と継続的な収益につながります。
生産管理と工程管理の違い
生産管理とよく似た言葉として「工程管理」が挙げられます。両者の大きな違いは、管理する範囲の広さです。
工程管理は、材料の加工などの手順や人員配置など、製造工程の管理・計画を指します。一方で生産管理は、工程管理を含む生産計画の策定・材料の調達・品質管理など、受注から納品までの全般の管理業務を指して使われます。
生産管理の主な業務内容
生産管理における主な業務内容は、以下の8項目です。
- 需要予測・受注管理
- 生産計画
- 調達・購買計画
- 製造管理
- 品質管理
- 在庫管理
- 原価管理
- 外注管理
それぞれの業務内容をひとつずつ見ていきましょう。
需要予測・受注管理
生産計画を立てるうえで最初に取り組むのが、受注管理です。過去の受注データや競合他社の状況などを踏まえ、自社の製品やサービスがどれくらい売れるかの需要予測を立てます。
過剰在庫や無駄な設備投資につながらないよう、さまざまなデータを分析して、需要と供給のバランスを正確に見極めなければなりません。
生産計画
需要予測をもとに、製品の生産量や時期などの計画を立てるのが生産計画の業務です。
必要な設備・人員・資材などを整理し、ムリ・ムダが発生しないよう、最適な生産量と納期タイミングをプランニングしていきます。
調達・購買計画
生産計画に沿って、必要な時期に必要な量の資材を確保すべく、調達・購買計画を策定します。
資材が不足すれば生産ラインそのものが止まってしまいますし、資材を仕入れすぎるとキャッシュフローが悪化する原因となります。生産計画に合わせて、適切な量の資材を調達することが大切です。
製造管理
製造現場における作業工程を管理するのが、製造管理の業務です。製品を製造するために必要な部品・人員・作業内容などを管理し、生産性の向上を担う役割があります。
オーソドックスな管理方法としては、紙やホワイトボードを活用した方法が挙げられます。
品質管理
品質管理は、製造した製品が品質要求を満たしているかどうかを確認するための業務です。
完成品や検査工程の確認だけでなく、不良品への対応・報告も行い、顧客満足度の向上ならびにクレームの防止を目指します。
在庫管理
在庫管理は、製品を需要に合わせて過不足なく提供できるよう、在庫数を適正な水準に保つための業務です。
欠品と過剰在庫のリスクを回避し、企業のキャッシュフロー向上やコスト削減につながる役割を担います。
原価管理
原価管理は、製造にかかった費用を計算し、原価を割り出す管理です。見積もり時と実績を比べて統制をとり、分析結果をもとにコスト削減につなげるのが目的です。
外注管理
外注管理は、生産工程の一部もしくはすべてを外部業者に依頼する場合に、外注先の品質や進捗状況を管理する業務です。
外注管理を怠ると、自社と外注先との認識にズレが生じ、品質の低下や納期の遅れが発生しかねません。そのため外注管理においては、明確なルール設定と密なコミュニケーションが大切です。
生産管理が抱える課題
生産管理において、企業でよく見られる課題は以下のとおりです。
- 部門間のコミュニケーション不足
- 各工程の進捗がリアルタイムに把握できない
- 属人化している業務が多い
- ヒューマンエラー(誤発注・在庫切れ)が発生する
- 不良やトラブルの発見が遅れる
それぞれの課題について見ていきましょう。
部門間のコミュニケーション不足
生産管理をスムーズに進めるためには、部署間での連携が欠かせません。部門間のコミュニケーションが不足すると、進捗状況の共有ができず、生産活動に悪影響が生じるためです。
日頃から部署間で効率的にコミュニケーションを取れる環境構築が求められます。
各工程の進捗がリアルタイムに把握できない
工程進捗を把握するための作業日報を手動で作成している場合、集計や確認に多くの時間がかかるため、現在の進捗状況をリアルタイムで確認できません。
「計画どおりに進んでいるのか」「進捗に遅れはないか」といった状況を把握できないと、トラブルが発生した際に対応が遅れてしまうことになります。
属人化している業務が多い
生産管理の業務は、特定の担当者のスキルや経験によって属人化しているケースが少なくありません。
生産管理の仕事において、特定の人物しか遂行できない業務がある場合、生産工程のスケジュール全体に遅れが生じる可能性は高まります。
特定の人物が現場にいない場合でも、業務が滞りなく進行できる仕組みが求められます。
ヒューマンエラー(誤発注・在庫切れ)が発生する
近年、製造業ではさまざまな工程がデジタル化されています。しかし、データの手入力や目視でのチェックなどが依然として必要なため、人の手をまったく使わないことは非現実的でしょう。
人が作業する限りヒューマンエラーをなくすことは難しいものの、第三者によるチェックを挟むなど、ヒューマンエラーを防ぐ取り組みは必要不可欠です。
不良やトラブルの発見が遅れる
作業日報などからの情報では進捗状況をリアルタイムで確認できないため、その日に起こった不良やトラブルなどの発見が遅れることはよくあります。
不良・トラブルの発見が遅れた場合、原因の調査や顧客対応が遅れ、クレームのほかに納期遅延といった大きな問題に発展しかねません。
問題が起こった際に備えて、すぐに報告・共有できる仕組みを構築することが大切です。
生産管理の課題を改善・効率化するには?
生産管理を改善・効率化するポイントは、以下のとおりです。
- 生産管理システムでリアルタイムに情報を共有する
- 業務フローを把握しマニュアル化する
- PDCAサイクルを意識する
それぞれのポイントをひとつずつ解説します。
生産管理システムでリアルタイムに情報を共有する
生産管理をスムーズに行えるよう、自社に適した生産管理システムを導入し、リアルタイムで情報を共有しましょう。
生産管理システムによってデータを一元化することで、現場の正確なデータを素早く収集でき、業務効率化や生産性向上に役立てられます。
業務フローを把握しマニュアル化する
生産管理の最適化を図るべく、自社の業務フローを把握してマニュアルに落とし込みましょう。マニュアル作成を行うことで、品質が一定化し、業務効率の大幅な向上が見込めます。
マニュアルを作成する際は、組織の課題を明確にし、読み手が理解しやすいシンプルな構成にするとよいでしょう。
PDCAサイクルを意識する
生産管理を効率化するには、PCDAサイクルを意識することも大切です。
PDCAサイクルは、Plan(計画)、Do(実行)、Check(確認)、Action(改善)の4つのプロセスを繰り返すことで、業務効率を改善していく管理方法です。
特に製造現場の業務を維持管理するために活用され、数多くの企業で業務効率の向上を実現しています。システム導入や業務フローのマニュアル化と合わせて、PCDAサイクルを取り入れるとより効果的でしょう。
より高度な生産管理を実現しよう
この記事では、生産管理の概要や工程管理との違い、生産管理を効率化するためのポイントなどを解説しました。
生産管理を適切に行うには、課題を解決する仕組みづくりが不可欠です。生産管理システムの導入やマニュアル化などを進め、組織の利益を最大化するための環境構築に努めましょう。
※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。
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