• 更新日 : 2024年10月17日

マニュアル化とは?メリット・デメリットや効率よく進める方法を解説

マニュアル化とは、誰でも同じ品質で業務を行うことを目的とし、業務の手順や概要、背景を紙や電子データにまとめることです。

本記事ではマニュアル化するメリット・デメリット、マニュアル化を効率よく進める方法について解説します。マニュアル化にかかる時間を削減し、業務効率化や業務品質の向上にお役立てください。

マニュアル化とは?

マニュアル化とは、業務の手順や概要、背景を紙や電子データにまとめることです。具体的には業務に必要な知識、作業内容、ルール、品質基準を記載します。誰でも同じ品質で業務を行うことが目的です。

個人や少人数で仕事をする場合は、各個人で業務内容を理解していればよいでしょう。一方チームで仕事を進めるときは、マニュアルを使い情報共有することで、組織全体の業務効率化につながります。

マニュアル化の言い換え

マニュアル化と似た言葉で「標準化」があります。標準化とは、誰が作業しても同じ成果物や結果が得られるように、業務内容や手順を適切な内容にすることです。

具体的には申請用の書類様式を揃えることや、業務の基本的なルールを定めることが当てはまります。

マニュアル化は、誰でも同じ効率で業務を進めるための取り組みです。標準化は、成果物の明確な基準を設け、達成できるプロセスを構築します。そのため、マニュアル化は標準化の一部ともいえるでしょう。

業務をマニュアル化するメリット

業務をマニュアル化することで得られるメリットは以下の4点です。

  • 業務品質を均一化できる
  • 業務を効率化できる
  • 引き継ぎがスムーズになる
  • 属人化を防げる

マニュアルは組織内で業務に関する情報や知識を共有できるため、業務品質の均一化や効率化が見込めます。マニュアルを活用して業務の属人化を防ぎ、結果として組織の生産性向上にも有効です。

業務品質を均一化できる

マニュアルがない場合、業務品質は各個人のスキルや経験値により左右されるため、人により差が出る可能性があります。同じ組織内においても、情報共有がされていない状態では、業務品質が安定しないことが考えられるでしょう。

たとえば、業務の作業手順と確認用のチェックリストをセットにしたマニュアルを作成することで、誰でも同じ品質で業務を行えます。

業務に必要な情報や前提の条件が明文化されていると、業務品質の均一化が可能です。

業務を効率化できる

マニュアルで作業フローや業務内容が明確に記載されていると、業務全体の時間短縮や効率化につながります。

なぜなら、マニュアル化されていない場合は、正しい方法を調べる手間や時間が発生するからです。業務に必要な情報共有の不足は、作業が滞る原因のひとつです。

マニュアルを使い業務に必要な情報や知識を共有することで、早い段階から業務の全体像や目的を理解できます。適切な手順やアプローチでの作業が可能となり、業務効率化に有効です。

引き継ぎがスムーズになる

マニュアルがある場合は、業務の手順や方法を円滑に引き継ぐことが可能です。引き継いだ後も、マニュアルを参照することで自分の仕事の位置付けを認識し、キャッチアップが早くなるでしょう。

質問や確認をすることが難しい状況においても、マニュアルを参照し疑問を解消できます。具体的には部署移動の直後で業務への理解が不足している場合や、リモートワークのときなどです。曖昧な点を確認するのにも、マニュアルは有効です。

引き継ぎがスムーズにいくことで、早い段階から業務の品質向上に注力できるようになります。

属人化を防げる

業務内容や対応方法を担当者のみ把握している場合は、担当者の急な不在時にすぐ対応できず、業務が滞ります。マニュアル化されていれば、代わりの人が業務を進めることが可能です。

マニュアル化は業務を属人化したものではなく、組織内の役割として進めることにつながります。担当者が変更しても、業務品質の維持ができるでしょう。

属人化の防止は、チーム全体の生産性向上も見込まれます。仕事の質が人によらないため、誰が行っても同一コストで同じパフォーマンスを出せるからです。

業務をマニュアル化するデメリット

業務をマニュアル化することで生じるデメリットは以下の3点です。

  • マニュアル通りにしか作業できなくなる恐れがある
  • 自分で考えなくなる
  • マニュアルを作成する手間と時間がかかる

マニュアル化は誰でも同じように業務ができる一方、個人が創意工夫をする機会が少なくなるデメリットがあります。

マニュアル化する際には、マニュアルを作成する手間や時間も必要です。そのため、マニュアル化は個人に任せるものではなく、組織内の業務の一環として取り組むことが大切です。

マニュアル通りにしか作業できなくなる恐れがある

マニュアル通りに業務を進めることに縛られると、本来の業務の目的ではなく、マニュアル通りに業務を行うことが目的化する可能性があります。マニュアル通りにしか作業できない人が増えることも考えられます。

マニュアル通りの対応に慣れすぎると、イレギュラーな事態が発生した場合に、臨機応変な対応が難しいでしょう。

イレギュラーな対応が求められる業務においては、都度対応が必要なことをマニュアルに記載し、確認や検討を入れるプロセスを経ると有効です。

自分で考えなくなる

マニュアル化により臨機応変な対応をする機会が減ると、仕事の進め方を自分の頭で考えなくなるリスクがあります。業務に対する向上心や、創意工夫する意欲が低下してしまう恐れがあります。

都度判断が必要な業務は、あえて細かく内容を限定して記載せず、他の可能性が存在することを示すのもよいでしょう。

日頃から組織内の風通しをよくし、個人の意見の発言や、提案をしやすい環境をつくることも大切です。

マニュアルを作成する手間と時間がかかる

マニュアル作成には、記載する情報の整理や、実際に手を動かして作成するための時間が必要です。業務内容によっては文章だけでなく、図や写真を載せる必要もあるでしょう。

マニュアルは作成した後も、業務フローや組織、商材などの変化に伴い、更新するメンテナンスが必要です。更新時もどこを更新するかなどの洗い出しや、追記作業に時間がかかります。

メンテナンスがされないマニュアルは形骸化し、使われなくなります。組織としてマニュアルを更新する担当者を決め、マニュアル作成や更新を業務として運用することが重要です。

マニュアル化できる仕事とできない仕事

具体的にマニュアル化できる仕事とできない仕事を、実際の業務内容と合わせて紹介します。日々の業務を整理する際の参考にしてください。

マニュアル化できない仕事は、マニュアル化を諦めるのではなく、判断の基準や助けとなる方向性をまとめた指針をつくることが有効です。判断基準が存在すると、円滑に業務を進めることが期待できます。

  • マニュアル化できる仕事
  • マニュアル化できない仕事

マニュアル化できる仕事

マニュアル化できる仕事は、誰が作業しても同じ内容の業務で、最終的な成果物が同じになるものです。業務手順をフローチャートに書き出せる傾向があります。このような仕事は「定型業務」と呼ばれます。

マニュアル化できる仕事の具体例としては、以下の5点です。定型業務は、マニュアル化し品質を均一にすることで、業務効率化とミスの削減が期待できます。

  • 事務手続き
  • 作業
  • 工場や倉庫の作業
  • 受発注業務
  • カスタマーサポートなどの窓口対応

マニュアル化できない仕事

既定のフローが存在せず、自分で考えて行動する必要がある業務は、マニュアル化が困難です。専門的な経験や知識が必要なものや、クライアントに合わせた個別対応を行う傾向があります。マニュアル化ができない仕事を「非定型業務」と呼びます。

非定型業務の具体例は、以下の4点です。

  • 経営戦略の意思決定
  • 事業の企画
  • コンサルティング
  • 個別の営業対応
  • カスタマーサポートのクレーム対応

マニュアル化が難しい仕事は、マニュアルとしてまとめるのではなく、押さえるポイントや指針をまとめたガイドラインを作成し、業務の目的や方向性を示せるとよいでしょう。

ガイドラインについて詳しくは、以下をご確認ください。

ガイドラインとは?意味やマニュアルとの違い、作成のポイントを解説

マニュアル化を効率よく進める方法

マニュアル化は業務の棚卸しや、マニュアル作成作業に時間が必要です。通常業務を行いながらマニュアル作成を進めるのは難しいと感じる方もいるでしょう。

ゼロからマニュアル化をするのではなく、マニュアルテンプレートや、運用ツールを活用し、効率的にマニュアル化を進めてみてはいかがでしょうか。

  • マニュアルテンプレートの活用
  • マニュアル運用ツールの活用

マニュアルテンプレートの活用

テンプレートを活用すると、レイアウトやフォーマットを考えることなく、あらかじめ記載されている項目や順番に沿って記載することが可能です。

マニュアルテンプレートは標準化されたフォーマットのため、業務内容や情報を整理できます。項目の抜け漏れを防ぐ効果や、読み手の負担が減ることも期待できるでしょう。

具体的なテンプレートサイト8選は、以下をご確認ください。

マニュアルのテンプレートサイト8選!選び方や作成のポイントを解説

マニュアル運用ツールの活用

マニュアル運用ツールとは、マニュアル作成を効率化するためのソフトウェアです。テンプレートに比べマニュアル作成に特化した機能があるため、短時間で高品質なマニュアルを作成できます。

たとえば、読みやすいレイアウトや一貫性のあるデザインでマニュアルを作成できます。ソフトウェアを通してリアルタイムに情報共有も可能です。作成時だけでなく、運用時の更新作業や、バージョン管理の手間も削減されます。

おすすめのマニュアル運用ツール7選は、以下をご確認ください。

マニュアル作成ツールとは?オフィスソフトとの比較や選び方、おすすめ7選

業務マニュアル見直しのチェックリストの無料テンプレート・ひな形

以下より、テンプレートを無料でダウンロードいただけます。ぜひご活用ください。

マニュアル化をする際の注意点

マニュアル化をする際は、読み手を意識したマニュアル作成を心がけ、以下の4点に注意しましょう。

  • 難しい用語の回避
  • 簡潔でわかりやすい文章
  • 誰が読んでも同じ理解ができる内容
  • 図解や写真などの挿入

マニュアルを参照する人は、業務に詳しくない可能性があります。そのため、難しい用語を避け、専門用語には解説を入れましょう。文章は簡潔な表現とし、誰が読んでも同じ理解となることが重要です。文章だけでなく、図解や写真も有効です。

マニュアル化を成功させるための7つのコツや、マニュアル見直しのチェックリストについては、以下をご確認ください。

マニュアルとは?意味や手順書との違い、作成のコツやツールを紹介

業務マニュアル見直し10のチェックリスト

マニュアル化で業務効率化と業務品質を高めよう

マニュアル化とは、業務の手順や概要、背景を紙や電子データにまとめることです。定型業務をマニュアル化することで、業務品質の均一化や、業務効率化につながります。

一方でマニュアル通りにしか動けなくならないよう、イレギュラーな業務については都度対応を行うプロセスを記載するとよいでしょう。

マニュアル作成には時間が必要です。マニュアル化を効率よく進めるために、マニュアルテンプレートや、マニュアル運用ツールを活用することがおすすめです。マニュアル化で業務効率化と業務品質を高め、付加価値の高い仕事にできるとよいですね。


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