• 更新日 : 2023年12月13日

労働生産性とは?計算方法や向上させる方法、業種別の違いについて解説

労働生産性とは?計算方法や向上させる方法、業種別の違いについて解説

近年の働き方改革で注目される、企業の「労働生産性」。労働人口の減少も影響し、限られたリソースでどのように成果を上げるかに悩む企業が増えてきています。本記事では、労働生産性の定義や計算方法、向上させるポイントを解説します。自社の業務の生産性や効率化に課題を抱えている方は、ぜひ参考にしてみてください。

労働生産性とは?

労働生産性は、労働者1人あるいは1時間あたりに生み出すことのできる成果を、産出量や産出金額として数値化した指標です。労働生産性には、「物的労働生産性」と「付加価値労働生産性」の2種類があり、記事後半で詳細を解説します。

労働生産性が高い、低いとは?

労働者1人あたりが一定の時間で高い成果を生み出せていれば、労働生産性が高いといえます。逆に特定の業務に対して複数人が担当しても1人でやった場合と変わらない成果しか生み出せない場合は、労働生産性が低いといえるでしょう。

一般的には企業規模が大きくなるほど労働生産性が高い傾向にあります。また、機械化やAIによる自動化が進んでいる業種は、企業間で労働生産性に大きな差があります。

生産性との違い

生産性は生産活動を行うときに用いられる指標で、投入量に対する産出量(産出量÷投入量)で算出できます。生産活動に対してどれだけ生産性に寄与しているかを数値化でき、組織が成長するための重要な指標となります。

日本の労働生産性が低い理由

世界から見た日本の実質労働生産性は、OECD諸国の中では低い水準となっています。労働生産性が低い理由としては、長時間労働や時間軸の給与制度などが挙げられます。

日本では伝統的に「仕事が終わらなければ長時間働けばいい」という習慣が根付いていることから、労働生産性が上がらない傾向にあるのです。限られた時間で成果を残す考え方への転換が求められています。

また、給与制度においても成果報酬やインセンティブなどを導入している企業が少なく、月給制や時給制を採用している企業が多い点も、労働生産性の向上を妨げる原因の一つです。生み出した成果で評価されないと、なかなか社員のモチベーションが上がらず、業務の効率化に目が向きにくいでしょう。

労働生産性を向上させるメリット

企業の労働生産性を向上させることでどんなメリットがあるのでしょうか。ここでは労働生産性を高めることの重要性も交えながら詳細を解説します。

人材不足への対応、解消

労働生産性を高めることは、企業の労働力不足を解決する効果があります。少子高齢化により労働人口が減少している側面がありますが、1人が生み出す生産量を改善できれば、労働力不足を補うことが可能です。

コストの削減

1人の従業員の生産性を高めることで、コスト削減につながります。人件費をはじめ、成果を生み出すためにかかる費用を削減でき資金に余裕が生まれるため、新たな事業への投資や設備投資などに資金を投入できるようになります。

企業競争力の向上

前述しましたが、日本企業の労働生産性は世界で低い水準となっているため、労働生産性を高めることで、海外の市場や企業に匹敵する競争力を得られます。企業のグローバル化に注力する場合は、競争力を高める上で労働生産性の改善は必須といえるでしょう。

ワークライフバランスへの貢献

労働生産性が高まると、労働時間の短縮につながるため、ワークライフバランスにも好影響です。特に近年では働き方改革に伴って、従業員が働きやすい職場環境を整備することが重要視されています。ワークライフバランスの向上を目的に労働生産性を改善することも、大切な取り組みの一環です。

労働生産性の計算式

労働生産性の計算式を用いて、実際に現状の労働生産性を計算してみましょう。ここでは、「物的(物理的)労働生産性」「付加価値労働生産性」「人件費の計算方法」について解説します。

物的(物理的)労働生産性

物的(物理的)労働生産性は、生産物の量や個数を生産量として考えた場合の労働生産性を指します。計算式は以下の通りです。

▼計算式

物的労働生産性=生産物の物量÷労働量

労働量を労働人数に変換することで、労働者1人あたりの物的労働生産性を求められます。また労働人数に労働時間を掛け合わせると、労働者数の単位時間あたりの物的労働生産性を算出可能です。

物的労働生産性は、さまざまな要因が挙げられます。

  • 技術の進歩
  • 生産プロセスの改善
  • 資本の導入
  • 教育・訓練の水準 など

これらの要因がうまく調和することで、生産性の向上を期待できます。

付加価値労働生産性

付加価値労働生産性は、企業のサービスやモノの金銭的価値を産出量とした場合の労働生産性を指します。計算式は以下の通りです。

▼計算式

付加価値労働生産性=付加価値額÷労働量

付加価値額=売上高ー原価

付加価値額は、「粗利」と同じ意味になります。原価には、モノやサービスを生み出すために購入した材料費、外注費などが含まれます。

物的労働生産性と同様に、労働量を労働人数労働人数×労働時間に変換することで、労働人数に対する付加価値労働生産性を算出可能です。

人件費の計算方法

人件費は付加価値の中の要素の一つで、付加価値を左右する大きな変動要素です。人件費の計算式は以下の通りです。

▼計算式

人件費=付加価値額ー(企業運営費+経常利益減価償却費

人件費には給与や賞与だけでなく、社会保険料や福利厚生において従業員にかかる全ての金額が含まれます。

労働生産性の業種別の違い

業種別に労働生産性を見ていくと、一般的に労働生産性の低いとされる業種には以下が挙げられます。

  • 宿泊業
  • 飲食サービス業
  • 娯楽業 など

一方で以下のような非製造業は、労働生産性が高いとされています。

  • 卸売業
  • 技術サービス業
  • 運輸業
  • 不動産・物品賃貸業 など

また企業規模が大きくなるほど、労働生産性も高い傾向があります。以下の業種では、企業規模による労働生産性の格差が大きいことがわかっています。

  • 建設業
  • 製造業
  • 情報通信業
  • 卸売業 など

ただし、業種ごとに労働生産性の水準や向上させる上での課題が異なるため、一概に企業規模を大きくしたり、経営努力をしたりするだけでは、労働生産性の向上は実現できないことも示唆されています。

参照元:中小企業庁  2020年版 小規模企業白書 令和元年度(2019年度)の小規模事業者の動向

労働生産性を向上させる方法

ここでは、労働生産性を向上させる具体的な方法について見ていきましょう。

マニュアルを整備する

労働生産性を向上させるにはまず、業務を見直すことから始めましょう。業務の効率化を図るには、マニュアルを整備することが大切です。既存のマニュアルをシンプルでわかりやすい内容へ更新することで、労働生産性を改善できる可能性があります。

特に新入社員や経験の浅い社員の業務のオンボーディングに使用する資料は、整備に工数をかけることで、労働生産性の向上につながるでしょう。

業務のIT化、自動化を図る

業務のIT化や自動化を図ることも有効です。例えば、RPA(ロボティック・プロセス・オートメーション)を導入して事務作業を自動化させたり、チャットツールを導入することで社員のコミュニケーションコストを削減したりする取り組みが挙げられます。

注意点としては、ITシステムやツールを管理していくコストを忘れてはいけないということです。業務の変更に伴ってルールや規則を定めておかなければ、従業員の業務遂行に時間がかかってしまうリスクもあります。

テレワークなど労働環境を整備する

テレワークをはじめとした労働環境の整備も、社員の働き方の自由度を高め、労働生産性の向上に効果的です。企業によって従業員の求める労働環境が異なりますので、従業員の希望や意見を取り入れましょう。

労働環境の整備と合わせて、組織体制や人員配置を見直すことも、労働生産性を改善させるきっかけとなるため、検討してみることをおすすめします。

従業員の教育に注力する

従業員の教育や育成に注力することも、労働生産性を高める上で重要です。スキルアップを目的とした研修の開催や教育コンテンツを用意することで、実務における生産性を改善できる可能性があります。

また、従業員同士の交流があることで、モチベーションアップの維持や、仕事に関する情報交換ができ、労働生産性の向上が期待できるでしょう。

定期的に労働生産性を見直すことが組織成長につながる!

労働生産性は、企業および企業で働く従業員にとって重要な要素です。企業の利益や職場環境に影響するため、組織全体で改善に向けて取り組むことが不可欠です。

定期的に労働生産性を振り返ることで、時代に合わせて組織が変化していくことが、これからの企業に求められるでしょう。


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