- 更新日 : 2024年10月17日
API仕様書とは?テンプレートをもとに書き方や運用のポイントを解説
API仕様書の作成はソフトウェアを開発する上で非常に重要です。ユーザー側がそのAPIを適切に活用できるよう情報を漏れなく記載する必要があります。
本記事ではAPI仕様書を作成する際の必須項目やポイントを解説します。無料でダウンロードできるテンプレートも用意しているのでご参照ください。
目次
API仕様書とは?
API仕様書とは、そのAPIの目的や種類、リクエストやレスポンスの形式などが記載されたドキュメントです。基本的には、APIの種類、認証形式、エンドポイント、パラメータなどの情報を記載します。
Webサービスを提供する企業は、より多くのユーザーが機能やデータを活用できるよう外部にAPIを公開する場合があります。そのような場合、API仕様書も作成し一緒に外部に公開しましょう。
組織の内部だけで活用されるAPIの場合、当然外部への情報公開は必要ありません。しかし、そのような場合でも、API仕様書は基本的に作成されます。システム関連の仕様を口頭で伝えるのは非効率なためです。APIを開発する際は、基本的仕様書を作成しましょう。
そもそもAPIとは
APIとは「Application Programming Interface」の略です。APIの呼び出しにより外部システムの機能の活用やデータ取得が可能で、システム開発の際などに利用されます。
APIを公開しているWebサービスとしては、Google MapやXが挙げられます。提供されているAPIを利用し、その機能やデータを自社システムで活用可能です。
APIにはさまざまなメリットがあります。たとえば、開発コストの削減です。APIを使えば自社システムの機能を拡張できます。また、システムの利便性を向上させたい場合なども有効です。ユーザーが何かの情報を入力する際、APIで他サービスから情報を取得し、入力作業そのものを省略できます。
API仕様書を作成する目的
SEやプログラマーが難なくAPIを使用できるように仕様書を作成しましょう。API仕様書を作れば、開発者は適切にAPIを活用できます。
逆にAPI仕様書がない場合、システムへの機能追加や改善は難しくなるでしょう。不具合や不正アクセスなどに繋がる懸念が出てきます。
API仕様書のテンプレート-無料ダウンロード
以下より無料のテンプレートをダウンロードしていただけますので、ご活用ください。
API仕様書に記載する内容・必要項目
API仕様書には記載すべき項目があります。漏れや不備があるとAPIの活用が難しくなります。記載すべき主な項目と内容を以下にまとめました。API仕様書を作成する前にしっかり確認しておきましょう。
【項目1】概要
まず、APIの概要を記載しましょう。どのような目的での活用を想定しているのか、どのような用途で利用可能なのか、といった観点で記載します。
利用シナリオも記載しておくと良いでしょう。ユーザーに活用イメージが伝わりやすくなります。
【項目2】認証方式
APIの認証方式に関しては基本的に記載必須です。認証機能がないAPIの実装は可能ですが、さまざまなリスクがあります。たとえば、データの不正利用や漏洩、サイバー攻撃などが懸念されます。ユーザーが適切であることを確認するため、通常はどのような種類のAPIであっても認証機能が必要です。
認証機能は主にセキュリティ対策で実装されますが、それ以外にも、たとえば有償のAPIであれば課金の仕組みを作るために必須になります。またAPIの利用状況を把握し、パフォーマンスを維持する意味でも重要です。
【項目3】エンドポイント
ここではAPIのURLを記載します。APIが複数ある場合は一つひとつその概要を説明しましょう。「GET」や「POST」など、使用するHTTPメソッドを明確にします。
【項目4】リクエスト
この項目では、リクエストのヘッダー情報に関して説明します。それに加え、APIを呼び出す際に設定するパラメータに関しても記載しましょう。
APIを呼び出す際に設定が必須なのか任意なのかパラメータごとに明確にします。また、ユーザーが適切にパラメータを設定できるように詳細な説明も加えておきましょう。
【項目5】レスポンス
APIを実行した結果、どのようなレスポンスが取得できるのかを記載します。まずはレスポンスのフォーマットについて説明しましょう。たとえば、JSON形式やCSV形式など、取得できるレスポンスの形式について明確にします。
その上で、正常と異常それぞれの場合のステータスコードおよびその詳細な説明も記載しましょう。レスポンスとして取得できる値のサンプルを記載しておくとより親切です。APIのユーザーがレスポンスを受け取った後のプログラムを実装しやすくなります。
【項目6】エラーハンドリング
API側で処理した結果がエラーとなった場合、APIのユーザーはどのような対応をすべきか記載します。通常、APIの処理がエラーとなった場合、ユーザーにエラーコードを返します。
具体的には、各エラーコードの意味を解説しましょう。たとえば、エラーコードが1001であればパラメータが不正、1002であれば認証エラーといった内容を記載します。このような説明があれば、ユーザーはエラーが発生した場合の適切なプログラムを実装できます。
【項目7】利用制限
APIに設けている利用制限について説明します。たとえば「1分間に100リクエストまで」など、特定の期間における回数制限などを記載しましょう。
【項目8】セキュリティ
対応済みのセキュリティ対策に関して記載します。APIは情報漏洩に繋がることも多いため、扱う情報などに合わせて適切なセキュリティ対策が講じられます。
セキュリティ対策の内容はユーザー側にとって非常に重要です。ユーザーはこれらの情報を確認し、使っても問題ないAPIであるかどうか判断します。データの暗号化方法、ログなどの監視方法、対策済みのサイバー攻撃(DDoS攻撃、SQLインジェクション、XSS、etc)などについて具体的に記載しましょう。
【項目9】FAQ
よくある質問を記載します。本項目はもちろんAPIを開発する上で必須ではありませんが、運用面でメリットがあるため記載しておくとよいでしょう。
APIに関する問い合わせ件数の削減、問い合わせに対する業務の軽減、ユーザー側の満足度向上などの効果が期待できます。
【項目10】問い合わせ先
ユーザーがAPIに関して問い合わせができるように連絡手段などを説明します。具体的には、メールアドレスや連絡用フォームなどに、問い合わせ先やメンテナンスの詳細に関して記載しておきましょう。
API仕様書の書き方のポイント
API仕様書の書き方に関して絶対的なルールはありません。作成する際は、いくつかのポイントを押さえましょう。テンプレートはネット上にも、数多く掲載されています。ポイントを押さえて作成しやすくなるので、積極的に活用しましょう。
API仕様書の目的を理解する
API仕様書は通常、ユーザーにAPIを適切に使ってもらうために作成します。仕様書を作成する際は必ず目的を頭に置いておきましょう。
API仕様書がなければ、そもそもユーザーはAPIを使用できませんし、不備がある場合も危険な使われ方をしてしまう可能性があります。安全にAPIを活用できるよう工夫しましょう。
必須項目を漏れなく記載する
ユーザーがAPIの仕様を正しく理解し、安全に活用できるよう努めましょう。テンプレートなどを参考にどのような情報が必要なのかユーザーの立場で考え、API仕様書に含めるべき内容を判断するべきです。
必要な情報を漏らさないためにも、テンプレートを有効活用しましょう。たとえば「FAQ(よくある質問)」などの記載は必須ではありませんが、概要、認証、エンドポイント、リクエスト、レスポンス、エラーなどの情報は基本的に必須になります。また、専用ツールの利用も漏れ防止に有効です。
API仕様書の運用方法や注意点
APIは一度開発すれば終わりではありません。機能改修などの際は更新が必要になります。APIがブラックボックス化しないように仕様書を適切に管理しましょう。
仕様書に不備がある場合、せっかく開発したAPIをユーザーがうまく活用できなくなる可能性があります。また、APIの機能追加や改修の際、エンジニアがソースコードを読む手間が発生してしまう懸念も出てきます。
APIを開発する際は、API仕様書を管理するための運用業務も含め検討しましょう。
ユーザーが求める情報を網羅したAPI仕様書を作成しよう
API仕様書はシステムを開発していく上で非常に重要です。近年は、DXが社会的に推進される時代になりました。多くのシステムはAPIを利用して外部と連携しています。外部リソースの活用は、新しい付加価値の創出や開発のコスト削減など期待できるメリットが非常に多いです。
APIは必要なシステムを開発していく上で非常に有益です。そのためには、当然API仕様書も求められます。ぜひここで紹介した無料テンプレートも活用し、ユーザーが使いやすいAPI仕様書を作成してみてください。
※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。
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