• 更新日 : 2024年2月21日

物流・運送業界の2024年問題とは?働き方改革関連法や対策も解説!

物流・運送業界の2024年問題とは?働き方改革関連法や対策も解説!

2024年問題は働き方改革関連法改正により懸念される問題で、物流・運送業界の経営に大きく関わります。早めに対策を練らなければ、ドライバー不足や利益の減少などが生じます。損失を避けるには問題の本質を理解し、自社にどのような対策が必要か考えることが大切です。

本記事では2024年問題が物流・運送業界に与える影響や対策を解説します。自社に取り入れられる対策はないか参考にしてください。

物流・運送業界の2024年問題とは?

物流・運送業界の2024年問題とは、働き方改革関連法改正によりトラックドライバーの労働時間が制限されることで生じる問題の総称です。トラックドライバーの長時間労働による若手不足や高齢化を改善するために、働き方改革関連法改正によって、労働時間の制限が定められました。

2024年4月1日以降、トラックドライバーの時間外労働時間は、年間960時間(休日を除く)が上限になります。時間外労働時間が制限されることで、1人あたりの走行距離が短くなり、物流・運送業界の業務に大きな支障が出る恐れがあります。

働き方改革関連法改正による変更点は?

働き方改革関連法改正による主な変更点は、次のとおりです。

  • 拘束時間の短縮
  • 勤務間インターバル制度の導入
  • 時間外労働の上限規制
  • 時間外労働の割増賃金引き上げ

それぞれの変更点について、以下より詳しく解説します。

拘束時間の短縮

働き方改革関連法改正後は、従業員の拘束時間を年間原則3,300時間、最大でも3,400時間に抑える必要があります。改正前は3,516時間だったので、216時間の短縮です。1日8時間勤務を前提とした場合、27日分、拘束時間が短くなります。

また、1ヶ月の拘束時間は、改正前の原則293時間から284時間、最大320時間から310時間に短縮されます。

勤務間インターバル制度の導入

働き方改革関連法改正により、勤務間インターバル制度の導入も努力義務となります。勤務間インターバル制度とは、退勤後、翌日の出社までの間に一定時間以上の休息時間(インターバル)を設ける制度です。インターバルを設けることで、働き手の睡眠時間やプライベート時間の確保を促進します。

「働き方改革推進支援助成金」では、9時間以上11時間未満、または11時間以上のインターバルの導入を目標としています。

出典:働き方改革推進支援助成金(勤務間インターバル導入コース) |厚生労働省

時間外労働の上限規制

時間外労働の上限は月45時間、年360時間が原則です。特別な事情がある場合に限り、以下の範囲内で労働時間を延長できます。

  • 年720時間以内
  • 複数月平均80時間以内(休日労働を含む)
  • 月100時間未満(休日労働を含む)

ただし、原則である月45時間の時間外労働を超えてよいのは、年間6ヶ月までです。

大企業や中小企業ではすでに施行されており、2024年4月以降は自動車運転業務や建設事業、医師なども時間外労働の上限規制の対象となります。

なお、ドライバーはその他の職種とは異なり、年960時間の時間外労働の上限規制が適用されます。1ヶ月の上限はありません。

時間外労働の割増賃金引き上げ

時間外労働が月60時間を超える場合、時間外割増賃金が適用されます。月60時間を超える場合の割増賃金率は、50%以上です。以前は大企業だけが対象でしたが、2023年4月からは中小企業でも適用されます。

月60時間までの割増賃金率は25%なので、たとえば時間外労働が月65時間だった場合、60時間分は通常の1.25倍、5時間分は通常の1.5倍の時給が発生します。

2024年問題が物流・運送業界に与える影響は?

2024年問題が物流・運送業界に与える主な影響は、次の5点です。

  • 物流・運送会社の売上が減る
  • ドライバーの収入が減る
  • 荷主の支出が増える
  • 商品調達が柔軟にしにくくなる

それぞれの影響について解説しますので、物流・運送業界の方は参考にしてみてください。

物流・運送会社の売上が減る

物流・運送会社の売上減少が懸念されます。働き方改革関連法改正により、ドライバー1人あたりの労働時間が短くなるため、対応できる業務量も少なくなり、結果的に売上がこれまでより減ってしまうでしょう。

労働時間の少なさを従業員の数でカバーするとなると、今度は人件費がかかります。売上自体はこれまで通りを維持できても、人件費の増加により利益が減ると予想されます。

ドライバーの収入が減る

物流・運送会社の売上や利益が少なくなることにより、ドライバーの収入も減る恐れがあります。時間外労働が制限されることにより、残業代で稼ぐのも難しくなるでしょう。

収入が減り現在の生活レベルが維持できなくなると、多くのドライバーが他業界へ転職する可能性があります。結果的にドライバー不足にもつながり、ますます物流・運送会社の経営が厳しくなるでしょう。

荷主の支出が増える

労働時間の少なさやドライバー不足を補うために人件費が高騰した結果、荷主の支出が増えると予想されます。

人件費を確保するために送料が値上げされ、1回の運送にかかる料金負担が大きくなります。これにより、荷主の利益も減ってしまうでしょう。送料無料のようなサービスも難しくなり、経営方針の転換が必要となります。

商品調達が柔軟にしにくくなる

ドライバーの時間外労働や拘束時間の制限により、柔軟な配送が困難となる恐れがあります。短期間での長距離輸送が難しくなったり、急な配送依頼を受けてくれる物流・運送会社が見つからなくなったりするでしょう。

結果、商品の調達にこれまで以上のスケジュール管理が求められるようになります。商品の調達先自体の見直しや、社内体制の改革も必要となる可能性があります。

2024年問題の対策として必要な取り組みは?

2024年問題に対応するには、以下の対策を検討しましょう。

  • ドライバーの労働条件を見直す
  • ドライバーを採用する
  • システムを導入する
  • 勤怠管理を正確に行う
  • 荷主と調整を行う

ドライバーの労働条件を見直す

現在のドライバーの労働条件を見直しましょう。

2024年4月以降、時間外労働は、年960時間に抑えなければいけません。現状でどのくらい時間外労働が発生しているのか計算し、規定内に収まるよう運行計画を作り直しましょう。

残業時間の短縮に合わせ、今まで残業代で補っていた収入を基本給にプラスすれば、ドライバーの生活レベルを維持でき、人材の流出を防げます。また、定期昇給や賞与の支給、評価制度などを見直して、会社に貢献するほど収入が上がる仕組みが大切です。

ドライバーの人員確保に悩んでいる場合、労働条件を適切に設定できているか確認してみてください。

ドライバーを採用する

新しいドライバーを採用して、人手を増やしましょう。

ドライバー1人あたりの労働時間が短くなるため、これまで通りの業務量をこなすには、ドライバーの数を増やす必要があります。2024年問題は物流・運送全体が抱える問題のため、人員の確保は早い者勝ちです。

給与体系や有給休暇、教育制度などの待遇を整備し、他の企業に対して差別化を図り、人が集まるようにしましょう。

システムを導入する

システムを導入して業務を効率化しましょう。労働時間が少なくなる分、業務の効率化による対応が急がれます。

業務の効率化に便利なのが、各種システムの導入です。たとえば、輸配送管理システムを導入すれば、最適な配送ルートや配車計画を瞬時に管理できます。また、トラック予約受付システムはドライバーの荷待ち時間の削減に役立ちます。

運送伝票や受け渡しデータをデジタル化すれば、データ管理の業務にかかるコストを削減でき、トラックドライバーの人員確保・維持にリソースを割けるでしょう。

システムの導入にはコストがかかりますが、業務の効率化により人件費を抑えることで長期的な利益の減少を回避できる可能性があります。

勤怠管理を正確に行う

最適な労働環境を作るため、ドライバーの勤怠管理を正確に行いましょう。働き方を見直すには、まずは現状を正確に認識することが大切です。

ドライバーの年間時間外労働は960時間までで、1ヶ月あたり平均80時間です。1ヶ月の上限は決まっていないので、繁忙期・閑散期に合わせて労働時間を管理すれば、繁忙期は月130時間、閑散期は月30時間になるよう時間外労働を管理することもできます。

繁忙期・閑散期に必要な労働時間を見極めるには、現状の勤怠を把握する必要があります。打刻忘れがないよう呼びかけ、正確な稼働時間を確認しましょう。

荷主と調整を行う

割増賃金や人材の確保により人件費が上がること、労働時間の制限により柔軟な配送が難しくなることを得意先に説明しましょう。

2024年問題は物流・運送会社だけで解決できるものではなく、輸送コストの上昇や対応可能時間の削減は避けられない部分もあります。

きちんと説明しておくことでクレームやトラブルを最小限に抑えられます。やむを得ない措置であることを荷主に理解してもらいましょう。

2024年問題は早めの対処が必要

トラックドライバーの労働時間が制限されるために生じる2024年問題は、物流・運送業界全体に大きな影響をもたらすと考えられます。売上の減少やドライバー不足などに対処するため、早めにシステムの導入やドライバーの待遇の見直しなどを実施しましょう。

物流・運送会社だけでは対応しきれない部分もあるため、荷主に理解を求めることも大切です。送料や配送日数などに変更がある場合は、荷主に丁寧に説明して理解してもらいましょう。


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