- 更新日 : 2024年11月27日
日報をペーパーレス化するメリットとは?進め方やアプリも紹介
デジタルトランスフォーメーション(DX)の進展に伴い、業務のペーパーレス化が企業の重要な課題となっています。特に毎日作成される日報は、紙媒体での管理に多くの時間とコストがかかり、情報共有の遅延や保管スペースの問題など、さまざまな課題を抱えています。ペーパーレス化の一歩目として日報のペーパーレス化を進めれば、属人化防止にもつながるでしょう。
この記事では、日報をペーパーレス化することによって得られるメリットや、具体的な進め方、さらに活用できるアプリケーションを紹介します。
目次
日報のペーパーレス化(電子化)とは
日報のペーパーレス化(電子化)とは、従来は紙媒体で作成・管理していた日報を電子化し、電子データでの作成・管理に切り替えることです。
そもそもペーパーレス化とは、組織内の事務作業などについて電子化を進めて、紙を使用しないようにする取り組みを指します。ペーパーレス化を進めることで企業はさまざまな情報を電子データで扱うようになり、業務効率の改善やコスト削減といった成果を上げられます。
ペーパーレス化は、2019年にスタートした「働き方改革」の基盤となる取り組みです。日報は毎日作成しなければならない書類であり、ペーパーレス化によってさまざまな恩恵を受けられます。
ペーパーレス化のやり方としては、紙の書類をスキャンし、PDFやJPGなどの形式で電子的に保管する方法と、書類作成のフローをデジタルで完結する方法の2つがあります。日報をペーパーレス化する場合は、日報作成に使えるアプリケーションやソフトウェアにより、日報の作成フローをデジタル化するのが一般的です。また、紙で保管された過去の日報は必要分をスキャンしデータとして保管することで、日報に関する作業をすべてデジタルで完結できるようにします。
手書き・紙の日報の課題・デメリット
業務日報や営業日報などの日報を手書きし、紙媒体で管理することには、以下のような課題・デメリットが存在します。
日報を手書きする場合は、ペーパーレス化をした場合よりも日報の作成に時間がかかります。日報を書くためだけに残業が発生する可能性もあるでしょう。 また、手書きは誤字脱字が発生しやすく、日報の正確性が損なわれるデメリットがあります。
紙の日報は上司に直接提出する必要があり、提出の手間がかかります。 また、提出した日報を上司がすぐに読んでくれるとは限りません。日報の確認や情報共有が遅れ、発生している問題の解決ができないおそれがあります。
紙の日報を作成する際は用紙代・インク代・印刷代が発生します。日報を保管するためのスペースも確保しなければなりません。
日報に記載されているデータから集計・統計を作成するには、表計算ソフトへの入力作業が必要です。日報の文字を逐一確認する作業は大変であり、管理者の業務負担が増えます。 |
毎日の業務報告である日報に多くの課題・デメリットがある状態では、企業全体の業務効率低下や経営コストの増大につながります。
日報をペーパーレス化するメリット
手書き・紙の日報で課題やデメリットを感じている場合は、なるべく早期にペーパーレス化を進めたほうがよいでしょう。
日報をペーパーレス化すれば、業務効率化につながる以下のようなメリットを得られます。
リアルタイムに報告内容をチェックできる
ペーパーレス化によって日報を電子データで作成・管理すると、上司や管理者はリアルタイムに報告内容をチェックできます。日報に素早く目を通して、情報を活用することが可能です。
現場で発生中の問題が報告された場合も、ペーパーレス化された日報であれば上司や管理者はすぐに対策できるでしょう。進捗管理や関係者への情報共有も簡単にできるため、業務の現状に沿った指示をスムーズに出せます。
記入漏れを把握しやすい
ペーパーレス化された日報は企業全体でフォーマットが統一されていて、どこに何を書けばよいかが分かりやすくなっています。記入漏れやミスなどのヒューマンエラーを防ぐ仕組みもあるため、日報の正確性を確保することが可能です。
日報に記入漏れ・ミスがある場合、データの集計・管理時に社員に確認を取ったり、ミスを修正したりしなければなりません。
また、ペーパーレス化によってデータの集計・管理時に生じる手間を軽減できるメリットもあります。
記載内容を検索できる
ペーパーレス化で作成した日報は電子データのまま保管されるため、日報の記載内容を簡単に検索できます。
紙媒体の日報では、記載内容を調べる際に日報を取り出して読む必要がありました。
対して、ペーパーレス化された日報はキーワードなどでの検索が可能であり、日報全体を読まなくても必要な情報を素早く取得できます。データ集計・管理をしたり、業務の経緯を確認したりするときに便利な機能です。
ナレッジを共有しやすい
日報には、業務を担当した社員の知識・ノウハウが言語化されていて、業務関係者に役立つナレッジが存在するケースがあります。日報をペーパーレス化していれば業務関係者が複数人いても簡単に内容を読め、ナレッジを共有しやすい点がメリットです。
ナレッジを共有すると業務の質を均一化できるため、業務効率化につなげられます。業務内容を関係者全員が理解することで、業務の属人化も防げるでしょう。
また、電子データ化された日報は長期間の保存が可能で、保管場所を空けるために破棄する必要もありません。業務の担当者が異動・退職する場合にも過去の日報は残り、後任者へと業務の説明をするときに役立ちます。
日報のペーパーレス化の進め方
日報は多くの社員が作成・管理に携わるため、企業のペーパーレス化を推進する最初の1手に適しています。
日報のペーパーレス化は下記の手順で進めるとよいでしょう。
1 | 日報の作成・管理について現状を把握する。 |
---|---|
2 | 日報のペーパーレス化で解決したい課題を明確化する。 |
3 | 日報のペーパーレス化に必要なツールを選定する。 |
4 | ペーパーレス化後の業務手順を定める。 |
5 | ペーパーレス化のスケジュール・計画を決定する。 |
日報のペーパーレス化を進める際は、まず日報について現状を把握することが大切です。現状を把握することで問題点をはっきりと認識し、ペーパーレス化で解決すべき課題を明確化できます。
ペーパーレス化に必要なツールは、明確化した課題を解決できる製品を選びましょう。ツールの特徴や機能はもちろん、初期コスト・運用コストといった費用面も検討して選定する必要があります。
ペーパーレス化の業務手順を定めるステップは、選定したツールを前提として進めます。ツールの機能によっては業務手順が大きく変わる可能性もあるため、マニュアルなどを作成することがおすすめです。
最後のペーパーレス化のスケジュール・計画は、「いつまでにペーパーレス化を実現するべきか」という目標から逆算して組み立てましょう。後は決定したスケジュールと計画に沿って進めれば、日報のペーパーレス化を実現できます。
日報のペーパーレス化に使えるアプリ
日報のペーパーレス化に使えるアプリはさまざまな製品が登場しています。最適な日報アプリを選ぶためには、下記のポイントを押さえましょう。
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ペーパーレス化のために導入する日報アプリは、自社の日報に必要な機能を備えていて、かつ紙の日報で抱えている課題を解決できることが大前提です。
また、オフィス内・オフィス外のどちらでも使えるように、PCとモバイル端末(スマホ・タブレットなど)の両方で使えるかどうかも確認しましょう。
セキュリティ対策が万全であり、導入後のサポートも得られる製品であれば、安心して利用できます。
以下では、日報のペーパーレス化に使えるアプリを3つ紹介します。
日報アプリおすすめ10選!(無料あり)導入するメリットや選び方を解説 | マネーフォワード クラウド
kintone
kintoneはサイボウズ株式会社が提供する、業務アプリをノーコード・ローコードで作成できるツールです。パーツをドラッグ&ドロップで組み合わせることで、日報機能を備えた専用の業務アプリを作成できます。
kintoneは自社のチームで日報アプリを作成できるため、自社にとって最適なアプリを導入しやすい点が特徴です。設定できるパーツの種類も多く、ニーズに合わせた柔軟なアプリを導入できます。
200種類以上のサービスとのデータ連携機能により、作成した日報データをさまざまなサービスで活用可能です。
kintoneの料金体系は「ライトコース」「スタンダードコース」「ワイドコース」の3種類です。導入前に30日間の無料トライアルも利用できます。
出典:「Kintone」kintone(キントーン)- あなたの「その仕事に」
gamba!
gamba!は株式会社gambaが提供する日報アプリで、項目を自由に設定できるテンプレート機能があり、求める情報を収集しやすい日報テンプレートを作成できます。
gamba!は日報以外に、目標管理や社内SNSの機能を備えている点も特徴です。
目標管理では売上目標や商談などの目標を設定して日々の進捗状況を記録し、達成度を数字で把握できます。
また、日報や目標管理はメンバー全体で共有したり、コメントやスタンプを送ったりできるため、社内コミュニケーションの活性化につながるでしょう。
gamba!の料金体系は「年額割引プラン」と「月額プラン」があります。15日間の無料トライアルもあり、導入前にgamba!の機能を体験することが可能です。
出典:「日報アプリgamba!」日報アプリgamba!|日報をシェアしてコミュニケーションを活性化
nanoty
nanotyは株式会社サンロフトが提供する、自由な項目設定や、作成された日報へのコメント・リアクション、お気に入りなどの多彩な機能が搭載されたアプリです。
nanotyの特徴は、AIサービスのChatGPTによる日報の要約・分析が提供されている点です。忙しい中でも情報を把握できるようになり、日報確認の業務負担を軽減できます。
nanotyの料金体系は「スモールプラン」「ミディアムプラン」「ラージプラン」の3つです。nanotyの全機能を体験できる15日間の無料トライアルも用意されています。
まとめ
日報をペーパーレス化すれば、情報のリアルタイム共有や記載漏れの防止、データ検索の容易化が可能です。日報に重要な情報が書かれていたときはすぐに上司が把握でき、早期に問題へ対処できる環境を作りやすくなるでしょう。また、日報に蓄積された知識やノウハウを組織全体で共有すれば、業務の標準化や社員のスキルアップにも貢献します。
ペーパーレス化を成功させるためには、現状の課題を明確にし、自社のニーズに合った日報アプリなどのツールを選定することが重要です。従業員が使いやすいツールを導入し、業務の効率化を進めましょう。
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