- 更新日 : 2024年12月12日
顧客満足度調査(CS調査)とは?作成の流れ・無料テンプレートも
顧客満足度調査(CS調査)は、企業が顧客の声を正確に把握し、事業改善やマーケティング戦略の見直しに役立てるための重要な手法です。顧客の期待や意見を数値化し、商品やサービスの評価を明確にすることで、具体的な改善策を打ち出せるようになります。
当記事では、顧客満足度調査の目的や手法、調査結果の活用方法、CSアンケートの作り方などを解説します。
目次
顧客満足度調査(CS調査)とは?
顧客満足度調査(CS調査)とは、商品やサービスの満足度合いや企業に対する期待度を把握するために実施する調査です。顧客満足度調査で収集した情報を数値化して分析すると、マーケティング課題の解決や業務改善につながるデータを把握できます。
顧客満足度調査を実施するメリットは主に、下記の通りです。
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ただし、顧客満足度調査を実施する際には、一定のコストが必要です。顧客満足度調査の実施方法を誤ると、顧客の率直な意見を収集できないケースもあるので注意しましょう。
顧客満足度調査(CS調査)の目的
顧客満足度調査の目的は企業によって異なるものの、代表的な例は下記の通りです。
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顧客満足度調査を定期的に実施して顧客の意見をリサーチすると、改善につながるアクションプランの検討が可能です。顧客対応やサポート体制の満足度を調査し、評価されているポイントを明確化してフィードバックすると、従業員のモチベーションアップを図れるケースもあります。
顧客満足度調査の無料テンプレート
顧客満足度調査の代表的な手段としては、CSアンケートを実施して、必要な情報を収集する方法があります。CSアンケートには「基本の型」が存在するため、スムーズに手間なく作成したい場合には、以下の無料テンプレートをぜひ活用してください。
顧客満足度調査(CS調査)の活用方法
企業の考える商品やサービスの差別化要素と顧客の評価ポイントが乖離している状態では、改善施策やマーケティング施策の方向性を見誤るリスクがあります。顧客満足度調査は、顧客の意見をもとに自社で把握できていない商品やサービスの弱み・強みを確認する良い機会です。
顧客満足度調査でCSアンケートを実施した場合はポートフォリオ分析を行うと、重点維持項目・維持項目・改善項目・重点改善項目を明確化できます。
CSポートフォリオ分析は、大きく4つのエリアに分類されます。
重点維持項目 | 満足度と重要度がともに高く、今後も重点的に維持したい項目 |
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維持項目 | 満足度が高いものの重要度は低く、投資配分の削減も検討できる項目 |
改善項目 | 今後の改善が必要とはいえ、重要度が低い項目 |
重点改善項目 | 自社の弱みにあたり、重点的な改善が必要な項目 |
商品やサービスの改善やマーケティング施策に回せる人員・予算が限定的である場合、CSポートフォリオ分析の結果を参考にすると、優先度を適切に判断できます。
顧客満足度(CS)の主な指標
顧客満足度調査はCSアンケートの他、インタビュー調査や覆面調査などの手段を活用して行い、結果を分析することで、顧客満足度を測定します。顧客満足度の測定や結果の分析に活用できる指標の代表例は、以下の通りです。
NPS
NPS(Net Promoter Score)とは、顧客ロイヤルティを計測する指標です。顧客ロイヤルティは、企業の商品やサービス、ブランドに対する忠誠心のことを言い、信頼性や愛着の大きさを表します。
NPSでは商品やサービスを購入した人に11段階で推奨意向を評価してもらい、点数によって顧客を以下のように分類します。
推奨者 | 9~10点 |
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中立者 | 7~8点 |
批判者 | 0~6点 |
NPSは、回答者全体に対する推奨者の割合から批判者の割合を引いた値です。
NPSには測定が比較的容易で、競合他社との比較も行いやすい特徴があります。また、NPSは売上成長率との相関性が高いとも言われ、事業の将来性を把握したい場合に活用が可能です。
CSI
CSI(Customer Satisfaction Index)は、約30か国で活用されている顧客満足度の指標です。CSIでは下記5項目に関する事項を30~35問程度質問し、平均値によって顧客満足度を測定します。
出典:公益財団法人日本生産性本部「世界のCSI(顧客満足度指数)」
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CSIは、母数が多いほど信頼度の高い結果を得やすい指標にあたり、大規模な調査を実施できる大企業に向いています。
JCSI
JCSI(Japanese Customer Satisfaction Index)は、CSIを日本の産業形態に合わせてカスタマイズした指標です。JCSIではCSIの5項目に「推奨意向」を加えた6項目に対して各3~4問程度の質問を行い、100点満点で指数化を行います。
JCSIの点数を競合他社と比較すると、自社に対する評価や顧客満足度を客観的な視点から把握できます。競合他社の点数を分析すると、自社の属する業界全体の傾向も把握できるのが特徴です。
出典:公益財団法人日本生産性本部「調査方法」
出典:公益財団法人日本生産性本部「他業種との比較」
顧客満足度調査(CS調査)の流れ
顧客満足度調査は、「調査目的の明確化・実施方法の検討・調査対象者の絞り込み・調査の実施とデータ分析」の手順を意識して実施しましょう。以下では、調査設計の流れやCSアンケートの作り方をより詳細に紹介します。
CS調査の目的を明確化する
調査設計の第一段階として「何を把握したいか」「結果をどのように活用したいか」などを考えて、顧客満足度調査の目的を明確化します。現在抱えている課題の解決を調査の目的とする場合には、調査設計の段階で現状仮説と戦略仮説を立てることも重要です。
現状仮説 | 現状として推測される課題の原因 |
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戦略仮説 | 現状仮説をもとに検討した課題の解決策 |
たとえば、「プロモーション不足で新商品の売り上げが伸びない」と現状仮説を立てた場合、積極的な広告出稿で露出機会を増やすことが戦略仮説になり得ます。
CS調査のタイミングを決める
顧客満足度調査は回答する顧客の都合に配慮して、タイミングを検討しましょう。顧客が多忙な時期に調査を依頼した場合、回答率が低下するためです。
顧客満足度調査の適切なタイミングは、調査の目的によっても変化します。たとえば、エアコンの除湿機能に関する意見を聞きたい場合、梅雨明けに調査を実施することが適切です。
顧客満足度調査の準備には多くの場合、一定の時間がかかります。調査のタイミングの決定後は詳細なスケジュールを検討し、極力早く行動しましょう。
CS調査の実施方法を決める
顧客満足度調査の実施方法には、結果を数値で把握する「定量調査」・数値化できない情報を把握する「定性調査」の2種類があります。定量調査は、インターネット調査で実施することが一般的です。定性調査は、インタビュー調査・覆面調査などによって実施します。
顧客満足度調査に精通した人材が社内にいない場合は、リサーチ専門業者のサポートを受けることも一案です。ただし、顧客満足度調査を外注する方法には顧客の意見を直接聞けないデメリットもあるため、目的に合わせて選択しましょう。
CS調査の対象者を決める
顧客満足度調査の対象者は、状況に応じて変化します。調査を実施する目的・期待する精度・必要な情報などに応じて顧客の抽出条件を検討し、絞り込みを行ってください。
たとえば、自社商品のリピーターの意見を調査したい場合には、2回以上購入履歴のある顧客が対象者です。子育て世帯のサービス利用満足度を調査したい場合には、家族構成を抽出条件に含めて、対象者の絞り込みを行います。
CS調査の指標を決める
顧客満足度調査ではNPS・CSI・JCSIなどの指標を活用し、顧客満足度を数値化します。事前準備の段階で、「いずれの指標で数値化するか」を決めてください。調査の目的によっては下記のデータも活用すると、より詳細な情報の把握が可能です。
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指標を決定した後は適切にCSアンケートを作成し、調査を実施してください。
CS調査票を作成する
顧客満足度調査ではインターネット調査・郵送・メールなどの手段でCS調査票(CSアンケート)を配布し、回答を回収します。CSアンケートを作成する際は、事前の仮説に基づいて設問や選択肢を厳選する必要があります。CSアンケートの基本的な項目は、下記の通りです。
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属性を質問する場合には、年齢・性別・居住地・職業の4項目を聞くことが基本です。不要な情報を詳細に質問すると、回答率が低下する可能性もあるため、注意しましょう。
CS調査の結果を集計・分析する
回収したCSアンケートの回答は、単純集計やクロス集計によって集計し、ポートフォリオ分析を行いましょう。
単純集計 | 未加工の回答結果を集計し、選択肢ごとの割合や平均値などを算出する手法 |
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クロス集計 | 2項目以上の回答結果を組み合わせ、より詳細な集計・分析を行う手法 |
クロス集計を活用すると「20代男性顧客の60%は商品に満足し、推奨意向が高い」のように、詳細なデータの把握が可能です。
顧客満足度調査(CS調査)の注意点
顧客満足度調査の成功事例も多い一方、有効活用できずに時間とコストを浪費するケースも少なくはありません。以下では、顧客満足度調査を効果的に実施するための注意点や回答結果を活用する際のポイントを紹介します。
対象者が分かりやすい設問にする
CSアンケートの設問は、「何を回答すれば良いか」が容易に分かる表現で記載しましょう。CSアンケートの回答率アップを目指すためにはその他、以下の工夫を行うこともおすすめです。
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自由記述式の設問は選択方式に置き換えると、回答者の負担を軽減できます。選択方式に置き換えできない場合には、必要に応じて、自由回答に変更する方法も検討しましょう。
対象者をエンドユーザー(顧客)に限定しない
商品やサービスの売上向上を目指すには、小売店の意見も聞く必要があります。ビジネスモデルによってはエンドユーザー以外の意見も調査し、商品やサービスの改善につなげましょう。
もちろん、顧客満足度調査の目的によっては、一部の顧客のみを対象者とすることが望ましいケースもあります。たとえば、新商品を購入した40代男性の満足度を調査したい場合には、条件を満たす顧客のみを対象者として調査を実施してください。
調査の軸が仮説から逸れないようにする
事前に立てた仮説によって、CSアンケートの設問内容は変化します。CSアンケートを作成する際には仮説を常に意識して、必要な情報を収集できる設問を検討しましょう。
CSアンケートの作成後には設問を見直して、「仮説に逸脱した内容はないか」をチェックすることも重要です。合わせて、「必要な情報を漏れなく質問できているか」も確認しましょう。
CSアンケートを活用して商品やサービスの改善に役立てよう
顧客満足度調査(CS調査)は、顧客の声を集め、企業が抱える課題を解決するための重要なツールです。調査結果を数値化し、マーケティング戦略やサービス改善に反映させることで、企業はより効率的に顧客満足度を向上させられます。CSアンケートの活用と結果分析を通じて、現状の強みと弱みを明確にし、今後の改善に向けた具体的なアクションを計画することが重要です。
※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。
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