- 作成日 : 2024年11月5日
ペーパーレス化のデメリットとは?紙文化との比較や対策・補助金を解説
ペーパーレス化には多くのメリットがある一方で、メモを取りにくい、資料を把握しにくい、導入コストがかかる、セキュリティ面での不安が残るなどデメリットも少なくありません。しかし、これらのデメリットは解消可能なものです。
この記事ではペーパーレス化のデメリットと、その解決方法について解説します。
ペーパーレス化のデメリットとは?
ペーパーレス化にはさまざまなメリットがある一方で、デメリットも少なくありません。ここでは具体的にどのようなデメリットがあるのか解説します。問題点やリスクを把握したうえで、デジタル化によるペーパーレスに取り組むようにしましょう。
メモや書き込みがしにくい
ペーパーレス化のために書類などをデジタル化すると、メモを取ったり書き込んだりするのが難しくなります。紙の資料であれば、ペンで簡単にメモが取れます。しかし、デジタル化された資料だとタブレットやパソコンなどを立ち上げ、キーボードを使ってメモするか専用のタッチペンを使わなければなりません。
メモの取りやすさという点では紙の資料が優れていることを踏まえたうえで、ペーパーレス化に取り組むことが大切です。
資料全体の把握が難しい
ペーパーレス化された資料はタブレットやパソコンのディスプレイだと見にくく、資料全体の把握が難しくなる可能性があります。細かい部分を見たい場合には拡大する必要がありますが、拡大すると他の部分が見えなくなるため、結果的に全体の把握が難しくなるでしょう。
システムの導入コスト
ペーパーレス化は印刷代を節約できるメリットがありますが、システム導入に伴うコストが発生する点に注意しなければなりません。システムのコストが高いと、場合によっては導入段階では印刷するよりもコストがかかる可能性もあるでしょう。また、紙からペーパーレスへの移行に伴う人的コストもかかります。
システム障害の影響を受ける
紙の場合、印刷さえできれば自由に扱えますが、ペーパーレス化によってシステム上で資料などを確認するとなると、システム障害などの故障の影響を受けることとなります。会議中にシステム障害が起こると必要な資料を確認できなくなるほか、バックアップが取れていないとデータを失う可能性もあるでしょう。
ITリテラシーが求められる
ペーパーレス化を進める場合、ITツールやシステムの利用は必須となるため、社員にはITリテラシーが求められます。ITツールや機器の利用に慣れていない人は、操作方法を身につけることから始めなければなりません。また、セキュリティに対する意識が欠けている場合、教育する必要があるでしょう。
セキュリティのリスク
ペーパーレス化したとしても、書類に重要な情報が記載されていることに変わりはないため、常にセキュリティに対するリスクが伴います。たとえばデータを保管していたUSBを紛失してしまう、ITツールの操作に慣れていない社員が誤ってデータを消失してしまうといった事態も起こり得るでしょう。
また、ハッキングなどによる情報漏洩の恐れもあるため、常に注意しなければなりません。ペーパーレスへと移行する際は、セキュリティソフトやセキュリティサービスをあわせて導入しましょう。
書類によっては紙で保存する必要がある
現在では「e-文書法」や「電子帳簿保存法」といった各種法律によって、多くの書類がデジタル化したうえでの電子保存が認められています。しかし、中には電子保存が認められておらず、紙で保存していなければならないものもあるため注意してください。
社内の書類を全て電子化しようとむやみやたらにスキャンして紙を廃棄していると、後々大きなトラブルにつながる恐れがあります。
紙文化・紙業務を続けるデメリット
紙文化や紙業務を続けることで、企業はさまざまなデメリットを被ることとなります。ここでは具体的にどのようなデメリットがあるのか解説します。デメリットを踏まえたうえでも紙を使い続けるのかどうか、ぜひ検討してみてください。
FAX・押印のために出社が必要
紙の申請書類や請求書などを使用していると、FAXや押印するために出社しなければならず非効率です。昨今ではリモートワークが珍しいものではなくなり、自宅やオフィス以外の場所で働きたい人も増えていることを考えると、出社が必要になる点はデメリットだといえます。
書類を探すのに時間がかかる
紙の書類は、探す手間がかかる恐れがあります。保管ルールがきちんと守られていれば問題ありませんが、誰かが持ち出していたり、保管場所を間違えたりすると、探してもなかなか見つからないといった事態になりかねません。
保管場所の確保が必要
紙の書類や資料などは印刷して物理的に存在するものであるため、保管場所の確保が必須です。車内に広いスペースがあれば問題ありませんが、余裕がない場合は場所の確保だけでも手間がかかります。また、保管する書類の量が多くなると、必要な書類が見つけにくくなるかもしれません。
郵送・収入印紙代などのコストがかかる
契約書などの書類を作成する場合、郵送や収入印紙代などのコストがかかります。一方、PDFデータをメールで送れるようにすればコストはかかりません。取引先が関係してくる部分であるため調整は必要ですが、この点も紙を使い続けるデメリットといえます。
書類廃棄のコストがかかる
書類は永遠に保管するものではなく、多くは一定の期限がきたら廃棄します。しかし、紙の量が多いと廃棄のコストもかかってしまいます。たとえば廃棄する書類を仕分けして、まとめたうえで廃棄場所まで持っていくといった人的リソースが必要です。また、シュレッダー処理をする場合のリース費用や電気代、企業ごみ処理費用といったコストもかかります。
紛失・盗難のリスク
紙の書類や資料は物理的に存在するため、紛失や盗難のリスクが伴います。たとえ社外に持ち出すことはなくても、棚や机の隙間に落ちてしまい紛失する可能性もあるでしょう。このような事態を回避するには、扱う人が細心の注意を払うしかありません。
ペーパーレス化のデメリットを解消する対策
ここまで紹介したようにペーパーレス化にはさまざまなデメリットが伴いますが、それらに対する解決策もあります。ここではどのようにしてデメリットを解消できるのか解説します。
経営陣がメリットを体感する
ペーパーレス化のデメリットの一つが、システムの導入に伴うコストですが、これを解消するためには、予算の判断を下す立場にある経営陣がペーパーレス化によってどういったメリットがあるのか理解することが重要です。
コストがかかるといったデメリットよりも導入するメリットが大きいと理解してもらえれば、導入へのハードルが低くなるでしょう。
補助金を活用して初期投資を軽減する
コストのハードルに関しては、補助金の活用がおすすめです。たとえば中小企業などがITツールを導入する際に活用できるIT導入補助金を活用すれば、費用負担を抑えられるでしょう。
ペーパーレス化の目的を明確にする
ITツールに慣れていない人、苦手な人の場合、ペーパーレス化を嫌がるかもしれませんが、このような場合は目的を明確にすることで導入する意義を理解してもらいやすくなります。たとえばペーパーレス化によって業務効率が向上すること、また紙の使用量や印刷コストが減り、結果的に会社にとってプラスとなることなどを理解してもらえれば、ペーパーレス化に協力してもらいやすくなります。
ペーパーレス化の対象書類を決める
いきなり全ての書類をペーパーレスにしようとすると現場が混乱するため、最初はスモールスタートがおすすめです。そのために、ペーパーレス化の対象となる書類がどれなのか決めておきましょう。たとえば、人事の書類や稟議書など社内で完結する書類はペーパーレス化を進めやすいといえます。
目的に合ったシステムを選定する
ペーパーレス化の目的を踏まえたうえで適切なシステムを導入することも大切です。たとえば文書管理に加えて勤怠管理もペーパーレスで進めたい場合は、2つの管理機能を搭載したシステムが最適です。機能性や操作性なども確認しつつ適切なものを選びましょう。
ペーパーレスを試験的に導入する
いきなりペーパーレス化を実施するのではなく、検討段階で試験的に導入することをおすすめします。スモールスタートにすることで業務への影響を最小限に抑えつつ、ペーパーレス化のメリットを実感できるためスムーズです。また、試験導入時の意見を反映したうえで、正式導入することもできます。
業務フローやルールを策定する
ペーパーレス化によって従来の業務フローが変化するため、改めてフローやルールを策定することも大切です。フローの変更は現場に直接的な影響を及ぼすため、事前に策定できていればデメリットを最小限に抑えられるでしょう。
アクセス権限などセキュリティ強化を行う
セキュリティ面での不安はペーパーレス化に伴う課題の一つのため、アクセス権限を設定するなどして強化する必要があります。また、暗号化ソフトを活用してデータを暗号化しておくことも大切です。さらに、消失してしまうケースも考慮して定期的にバックアップを取るようにしておきましょう。
ペーパーレス化に関する補助金、助成金
先ほども説明しているように、ペーパーレス化を進めるためにツールやシステムを導入する場合、補助金や助成金を活用できます。ここでは具体的にどのようなものがあるのか解説します。
IT導入補助金
IT補助金は、ITツールの導入によって業務効率化や生産性向上に伴う競争力強化をサポートするための補助金制度です。対象は中小企業や小規模事業者などです。
ここでいうITツールには、パッケージソフトやクラウドサービスの本体費用・導入費用・初期費用などが含まれています。そのため、ペーパーレス化を推進するためのツールもIT補助金を使って導入可能です。実際に申請する際には導入用途に応じて申請枠がいくつか用意されているため、自社にあったものを選ぶ必要があります。
「マネーフォワード クラウド」サービスはIT導入補助金に対応
マネーフォワードが提供する「マネーフォワード クラウド」サービスも、IT導入補助金の対象となっています。
マネーフォワードでは、クラウドツールの導入による企業のDX推進をサポートしています。IT導入補助金を活用することで「マネーフォワード クラウド」のサービス料金が最大で80%補助されるため、コスト面を気にしてツールやソフトの導入を躊躇している企業にとっては大きなメリットだといえるでしょう。
「マネーフォワード クラウド」サービスでは、請求書やインボイス、経理業務における経費、給与計算、勤怠管理、契約・法務における契約管理など、さまざまな業務に対応しています。一つのサービスでペーパーレス化を効率よく進められるため、ぜひ導入を検討してみてください。
ペーパーレス化のデメリットは解消できる
ペーパーレス化には、メモや書き込みがしにくい、資料全体の把握が難しい、システム障害の影響を受ける恐れがある、コストがかかるなどさまざまなデメリットがあります。
しかし、これらのデメリットは事前に対策を立てることで解消可能です。経営陣がメリットを理解する、ペーパーレス化の目的を設定し、試験導入をしたうえでスモールスタートから始める、IT導入補助金を活用するなどして、デメリットを最小限に抑えましょう。
マネーフォワードの「マネーフォワード クラウド」サービスはIT導入補助金に対応しており、さまざまな業務のペーパーレス化推進に役立つため、ぜひ利用をご検討ください。
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