• 更新日 : 2024年8月27日

ファイル共有サーバーの特徴とは?NASとの違いやクラウド化の利点

ファイル共有サーバーとは、ネットワークを通じてデータを保管・共有・管理できるサーバーのことです。社内やグループ内のネットワークに接続しているパソコンからアクセスでき、データ共有やファイル管理を簡単に行えます。

しかし、企業で使用していない場合は、利用シーンが想像できず、安全性や機密性に不安を感じることもあるでしょう。当記事では、ファイル共有サーバーの特徴やメリット・デメリットについて詳しく解説します。

ファイル共有サーバーとは?

ファイル共有サーバーとは、社内やグループ内のネットワークを介して文書や画像などのデータを管理するサーバーのことです。社内やグループ内のネットワークに接続しているパソコンからファイル共有サーバーにアクセスし、データやフォルダを保管・共有することができます。

ファイル共有サーバーがない場合、個人のPC端末やUSBメモリ・外付けHDDなどの記録媒体に保管しているデータを共有するためには、メールにデータを添付したり記録媒体を渡したりするのが一般的です。しかし、メールの添付や記録媒体の手渡しという方法では、外部にデータが漏えいする可能性があります。データが大容量の場合は、メールで送信できなかったり、PCや記録媒体の容量が足りず保存できなかったりすることもあります。

その点、ファイル共有サーバーは大容量のデータも保管でき、サーバーにアクセスすれば他の人もデータの閲覧・持ち出しが可能です。何らかの形で外部に出力しなくても、ネットワークを通じてデータを共有できることが、ファイル共有サーバーの特徴です。

ファイル共有サーバーとNASとの違い

NAS(Network Attached Storage)とは、社内ネットワークを経由してデータを共有できるハードディスクです。一般的な外付けのハードディスクと違い、USBなどの有線でつなぐ必要はなく、ネットワークに接続すれば複数のPCで使えます。

「ネットワーク経由でデータの保管・管理ができる」という点では、ファイル共有サーバーとNASは同じです。しかし、NASよりもファイル共有サーバーのほうが拡張性があり、自由に機能をカスタマイズできることが両者の違いとして挙げられます。

そのほかのファイル共有サーバーとNASの相違点は下記の通りです。

ファイル共有サーバーNAS
導入コスト比較的高い低い
導入工数比較的多い少ない
アクセス権の設定細かく設定できる製品ごとに定められた範囲で設定可能
セキュリティ対策細かく設定できる製品ごとに定められた範囲の対策が可能
ファイル編集編集できる基本的に保管のみ
機能の拡張拡張性が高い拡張性は低い

ファイル共有サーバーのメリット

業界や業種を問わず、ビジネスシーンにおいてパソコン上でデータを取り扱うのは当たり前です。ゆえに、ファイル共有サーバーを使うことには、データの保管・共有にとどまらないメリットがあります。

ここからは、ファイル共有サーバーを活用するメリットを3つ紹介します。

ファイル共有がスムーズになる

ファイル共有サーバーがあれば、必要なデータをサーバーにアクセスするだけで取得できるので、社員間の情報共有がスムーズになります。他部署からデータの提出が求められた場合でも、すぐに必要なデータをファイル共有サーバーから見つけることができ、データを出力・検索する手間を省けます。

また、複数人が関わるプロジェクトの進捗状況が分かりやすくなる点も、ファイル共有サーバーを使うメリットです。ファイル共有サーバーに最新の進行表を保管しておけば、今どの段階まで進んでいるのか、プロジェクトのメンバーはいつでも確認できるようになります。複数人で同じファイルを編集するなどの共同作業も進めやすくなるでしょう。

PCの容量を気にせずファイル共有できる

ファイル共有サーバーにデータを保管すれば、PCに保存する必要がなくなるので、PCの容量不足を解消できます。ビジネスシーンでは、デザインデータや動画データなど、1つで数GBにもなる大容量のデータを取り扱うことも少なくありません。デジタルデータでやり取りするのが当然の現代では、毎日増え続けるデータをPC1台にすべて保存するのは不可能です。

ファイル共有サーバーに容量の大きいデータを移行すれば、PCの容量を確保でき、容量不足による処理速度の低下を防ぐこともできます。ファイル共有サーバーの容量が足りなくなってもストレージを簡単に追加できるので、容量不足で悩むことはないでしょう。

ファイルを一元管理できる

ファイル共有サーバーは、各々の社員が使うデータを1か所に集約できるため、共有ミスを防止して業務効率化を図れます。たとえば、常に最新の状態に更新する必要があるデータはファイル共有サーバーで保管すれば、「間違って古いデータを更新した」「情報の行き違いがあった」というデータ管理上のミスを防げるでしょう。

また、ファイル共有サーバーにある過去の資料のデータを流用して新しい資料を作るなど、保存されているデータを活用して作業にかかる手間や時間を削減することも可能です。

ファイル共有サーバーのデメリット

PCの容量不足を気にせずデータの一元管理・共有ができる利便性の高さは、ファイル共有サーバーならではのメリットです。しかし、ファイル共有サーバーを使うことにはデメリットもあるので、それらを踏まえた上で導入を検討しましょう。

ここからは、ファイル共有サーバーを使うデメリットを3つ紹介します。

導入に手間がかかる

ファイル共有サーバーを自社で導入するには、さまざまな手順を踏むのに専門知識や技術が必要です。たとえば、サーバー本体とOSの選定、動作環境・システムの構築、各種機能の設定など、知識や技術がなければ導入は難しいと言えます。

また、ファイル共有サーバーの導入後も、アクセス権限の設定や不要データ・不正アクセスのチェックなど、運用の手間が生じます。専門的な知識や技術を持つ社内エンジニアを配置するか、導入・運用を外部に委託するかをまず検討しましょう。

自社で構築・運用する場合コストがかかる

本体費用、関連機器の費用、人件費など、ファイル共有サーバーを自社で導入する際は数十万円以上のコストが発生します。特に自社でゼロから導入する場合は、コストが増える傾向にあります。

また、ファイル共有サーバーの導入後も、光熱費や保守点検費用などのランニングコストがかかります。ファイル共有サーバーは導入して終わりではなく、運用にもコストがかかることを考慮しておきましょう。

ファイル共有サーバー本体の設置場所を確保する必要がある

ファイル共有サーバーの本体は、電源やセキュリティ面を踏まえて、適切な場所に設置する必要があります。設置場所によっては騒音や熱が発生したり電力供給に影響が及んだりするため、本体をオフィスのどこに置くべきか検討しておきましょう。

しかし、ファイル共有サーバーの本体を社内に置くことにはサーバーの停止・故障リスクが伴います。「停電で電気が止まった」「地震が発生した」など、不測の事態が起こってサーバーが停止すれば、データが消失する恐れがあります。万が一のトラブルに備えて定期的にサーバーのメンテナンス・バックアップを実施しておきましょう。

ファイル共有サーバーをクラウド化する利点と注意点

ファイル共有サーバーのクラウド化とは、オンライン上でファイル共有サーバーのサービスを利用することを指します。クラウドとは、インターネットを通じてサービスを提供する形態のこと。近年はさまざまなクラウドサービスが登場しており、クラウド型ファイル共有サーバーのサービスを提供する事業者もあります。

ファイル共有サーバーをクラウド化する利点は下記が挙げられます。

  • 自社にファイル共有サーバーの本体を設置する必要がない
  • ファイル共有サーバーの導入・運用の手間を省ける
  • 自社でシステムエンジニアや運用担当者を配置する必要がない
  • 情報漏えいを防ぐセキュリティ対策が講じられている
  • バックアップを取るので災害時にデータが消失する可能性が低い

その一方で、ファイル共有サーバーをクラウド化する際には注意点もあります。

  • 毎月の利用料が発生する
  • 自社管理と比べるとカスタマイズ性が低くなる
  • 社員に操作方法の教育が必要になる

クラウド型のファイル共有サーバーは、サービス事業者によって料金や機能が異なります。「料金に見合ったサービスを受けられるか」「セキュリティ管理は問題ないか」など、多角的な観点から比較検討することがポイントです。

ファイル共有サーバーで業務効率化を図ろう

ファイル共有サーバーは、社内インターネットを使ってあらゆるデータを一元管理することが可能です。必要なデータを迅速に共有できれば、作業効率の向上やミスの低減が期待できます。ファイル共有サーバーは自社での導入・運用もできますが、専門知識と技術を持つ人材の確保が難しい場合はクラウド型のファイル共有サーバーの利用も選択肢に入れるとよいでしょう。


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