- 作成日 : 2025年3月31日
カスタマーサクセス ツールとは?メリットや機能、選び方を紹介
近年ではSaaSやサブスクリプション型サービスの提供が増えており、顧客の継続利用が企業の持続的な成長のために欠かせない要素となっています。そこで注目されているのが、顧客に能動的に働きかけ、顧客満足度の向上や継続的な利用を促すカスタマーサクセスツールです。
本記事ではカスタマーサクセス ツールとは何か、どんな不安が解消できるか、導入メリットやツールの選び方について解説します。おすすめツールがわかるので、比較検討にぜひ役立ててください。
目次
カスタマーサクセスツールとは?
カスタマーサクセスツールとは、CSツールとも呼ばれ、企業側からの働きかけによって顧客が自社の商品・サービスによって成功体験を重ね、継続的な利用へと導くツールです。
CSツールの目的
カスタマーサクセスツールは、自社の商品・サービスを通じて顧客が成功体験を得られるよう積極的に支援する機能の提供を目的としています。
顧客の成功体験によって顧客満足度が向上すれば継続的な利用が見込めるほか、口コミなどを介して新規顧客獲得につながるからです。
CSツールの役割
カスタマーサクセスツールは、顧客に成功体験を届けることで長期にわたる良好な関係を築き、企業の持続的な成長につなげる役割を担っています。
たとえばカスタマーサクセスツールを利用すれば、商品・サービスの利用状況を数値化したヘルススコアを通じて、解約の予兆を検知することが可能です。これにより業務効率化を実現しながら、解約を未然に防ぐための適切なアクションがしやすくなります。
カスタマーサクセスツール導入のメリット
カスタマーサクセスツールは、定着率の向上のほか、アップセル・クロスセルによる収益の向上やカスタマーサクセス領域の業務効率化に有効です。ここではカスタマーサクセスツールを導入することで得られるメリットを5つ紹介します。
顧客対応の質が向上
顧客管理機能を搭載、あるいはCRMと連携できるCSツールは、顧客対応の質を向上させられる点がメリットです。問い合わせ対応の効率化はもちろん、24時間365日対応、1on1コミュニケーションを提供できるツールもあります。
顧客は必要なときに必要な情報に利便性の高いチャネルからアクセスでき、スムーズに問題を解決できることから、顧客の満足度を高め、関係性の強化につなげられます。
解約率を低減
顧客の行動変化を的確に把握できることから、結果として解約率を低減できる点がメリットです。
カスタマーサクセス部門には、「解約数をできるだけ減らす」ことが求められます。ツールを導入し、ヘルススコアを活用してみましょう。ヘルススコアがあれば、解約しそうな兆候のある顧客を定量的に把握し、解約前に適切なアクションをとることが可能です。
データに基づいたアクション
データ分析から得た情報をもとに適切にアクションできることから、顧客満足度の向上が期待できる点がメリットです。具体的には、データから読み取った顧客のニーズに合わせて機能を追加・改善したり、マーケティング施策へ活用したりといった事例が挙げられます。
顧客からのフィードバックを収集し、データに基づいた継続的な改善に取り組むことで、企業の持続的な成長や発展につなげられるでしょう。
社内の情報共有がスムーズ
ツールの活用によって情報管理を一元化し、カスタマーサクセス担当内での情報共有がスムーズになることから、業務効率化や顧客満足度の向上につながる点もメリットです。
過去のやり取りや顧客データを共有することで、どの担当者でも一貫した対応を提供できるようになります。問い合わせの度に一から確認する手間を削減できるので、顧客からのクレームや担当者の負担を大幅に軽減できるでしょう。
業務の効率化、自動化
ツール導入に伴う業務効率化によって、リソース不足に対処できる点も大きなメリットです。スタッフ数が顧客数の拡大に追いつかない、1対1の対応に時間がかかるなどリソース不足に悩むカスタマーサクセス部門も多いでしょう。ツールの活用によって、繰り返し発生する顧客対応を自動化することが可能になります。
カスタマーサクセスツールのタイプ
自社に合ったカスタマーサクセスツールを導入するためにも、どのような種類があるのか押さえておきましょう。ここでは、カスタマーサクセスツールの種類について紹介します。
顧客体験の向上
顧客体験の向上を目指すCSツールは、顧客データの分析から顧客のニーズや期待、嗜好を把握し、一人ひとりに合わせた提案を行う機能を搭載しています。問い合わせの受付から解決までを一環してサポートできるツールであれば、顧客体験は飛躍的に向上するでしょう。
近年ではカスタマーサクセスに生成AIを導入し、人間味のあるパーソナライズされたやり取りを提供するツールも登場しているのでチェックしてみてください。
顧客の定着
顧客の定着を促すCSツールは、さまざまなキャンペーンの実施や定期的なコミュニケーションを可能にする機能を搭載しています。
操作が複雑で製品を使いこなせず、早期解約に陥りやすい場合には、顧客のオンボーディングを支援するツールを検討するとよいでしょう。作成したチュートリアルで利用方法をガイドし、利用継続のハードルを下げます。
顧客の解約防止
顧客の解約防止に役立つCSツールは、アラートによる早期検知や、顧客の離脱防止活動がしやすくなる機能を搭載しています。
- CS担当者へのタスク・リクエストの割り当てや管理を効率化する
- CRMツールへ情報を自動連携する
- 顧客のヘルス状況を可視化する など
またヘルススコアに応じて、メールやポップアップ通知の配信を自動化することもできます。
顧客満足度の計測
顧客満足度の計測が可能なCSツールは、定量的および定性的に顧客満足度を評価するための機能を搭載しています。顧客満足度(CSAT)調査の作成、NPS(顧客ロイヤルティ指標)の追跡などのことです。
リピート率の改善や商品開発に向けた調査など、自社の目的に見合った調査の設計機能の確認はもちろん、調査設計に関するサポートを期待できるツールもあります。
コミュニティの構築
コミュニティの構築に役立つCSツールは、コミュニティの開設・運営を行えるプラットフォームを提供します。構築されたオンラインコミュニティでは、ユーザー間および企業とユーザー間で双方向のコミュニケーションが可能です。
オンラインフォーラムやライブイベントの開催を通じて顧客の参加意欲を高めることで、顧客満足度の向上や解約率の低減、CSの工数削減を期待できます。
おすすめのカスタマーサクセスツール
自社の提供する製品・サービスの種類や解決したい課題によって、適切なツールは異なります。ここでは、比較検討の参考になるよう、おすすめのCSツールを7つご紹介します。
Zendesk
Zendeskとは、世界10万社以上で導入されている顧客管理機能を搭載したCSツールです。Zendeskの料金や特徴は以下のとおりです。
無料プランの有無 | – |
---|---|
基本料金 | 年間契約:8,000円〜/ユーザー 単月契約:10,100円〜/ユーザー 無料トライアルあり |
特徴 | シンプルな操作性と高い拡張性に加え、カスタマーサービスに特化したAIを搭載 |
出典:Zendesk
Service Cloud
Service Cloudとは、Salesforceが提供しており、コスト削減を実現できるAIプラットフォームを備えたCSツールです。Service Cloudの料金や特徴は以下のとおりです。
無料プランの有無 | – |
---|---|
基本料金 | 月額3,000〜60,000円/ユーザー 無料トライアルあり |
特徴 | さまざまな関連アプリやアドオン製品を組み合わせてカスタマイズが可能 |
Fullstar
FullstarとはSaaSツール向けに顧客のオンボーディングを支援するCSツールです。Fullstarの料金や特徴は以下のとおりです。
無料プランの有無 | ◯ |
---|---|
基本料金 | 要問い合わせ 初期費用は無料 |
特徴 | チュートリアル、エンゲージメントの点数やアンケートの作成、解約兆候を把握可能 |
出典:Fullstar
commune
communeとは、企業と顧客、顧客同士が活発に交流できるコミュニティを構築するCSツールです。communeの料金や特徴は以下のとおりです。
無料プランの有無 | – |
---|---|
基本料金 | 要問い合わせ 初期費用+月額費用 |
特徴 | 自社オリジナルアプリの設計や顧客が喜ぶ独自インセンティブの設計が可能 |
出典:commune
pottos
pottosとは、B2BのSaaSツール向けに顧客対応を自動化するCSツールです。pottosの料金や特徴は以下のとおりです。
無料プランの有無 | – |
---|---|
基本料金 | 要問い合わせ |
特徴 | オンボーディング管理や顧客のサービス利用状況に合わせたアクションの自動化が可能 |
出典:pottos
EmotionTech CX
EmotionTech CXとは、情緒的な満足度を高める施策に適したCSツールです。EmotionTech CXの料金や特徴は以下のとおりです。
無料プランの有無 | – |
---|---|
基本料金 | 要問い合わせ |
特徴 | NPS調査設計や高度な分析機能により、「最も優先的な課題」の解明が可能 |
Braze
Brazeとは解約防止はもちろん、エンゲージメントの向上、オンボーディングの最適化や生産性の向上を目指せるCSツールです。Brazeの料金や特徴は以下のとおりです。
無料プランの有無 | – |
---|---|
基本料金 | 要問い合わせ |
特徴 | 国内パートナーからなる「Braze alloys」を増やしながら、日本市場で目覚ましい成長を実現 |
出典:Braze
カスタマーサクセスツールの選び方
ここでは、実際に製品を選ぶ際の比較ポイントや注意点について見ていきましょう。
収集可能なデータや分析方法
データに基づいた有効なアクションをとるためにも、自社の課題解決につながるデータの収集や分析方法が備わったツールを選択することが重要です。まず自社が解決したい課題を明確に言語化しなくてはなりません。
解約率など定量的な分析のほか、解約リスクやアップセルの予測分析、定性的な「心の満足」を計測できるNPS調査を設計できるツールもあります。
たとえば顧客体験を改善したい場合には、解約ユーザーが抱えていたストレスやリピート顧客が満足しているポイントがわかるツールを選ぶとよいでしょう。
顧客状況の調査方法
自社にとって最適な調査方法を提供するツールを選ぶようにしましょう。顧客のヘルススコアを算出する際に必要な要素は、製品・サービスによって異なります。そこでツール選びの前に、ログインの頻度で顧客のヘルス状況を把握するのか、NPSやアンケート結果で顧客満足度を測るのか、自社にとって最適な調査方法とは何かを見極めることが必要です。
必要な機能
自社にとって必要な機能とは何かを絞り込み、必要十分なツールを選ぶことが重要です。たとえば、顧客ベースが急速に拡大している企業は、AIの活用を検討します。顧客基盤が大きくなると、AIなしではパーソナライゼーションのレベルを維持できなくなるからです。
グローバル展開している場合は、自分の選んだ言語で顧客がサポートを受けられるよう、多言語サポート機能が必要になります。付加価値の高い業務にCS担当者を注力させたい場合には、繰り返し発生する顧客対応を自動化できるツールを選びましょう。自動応答の精度を向上させたい場合には、高度な生成AIを搭載したツールを選択します。
費用対効果
カスタマーサクセスツールの導入・運用にかかる費用の情報を収集・比較し、予算内で必要十分な機能が使えるツールを選定することで、費用対効果を高められます。十分なリサーチをした上で、無料トライアルやデモなどを利用し、UIの使い勝手や導入効果を事前に評価するようにしましょう。
リサーチ後に即導入すると、費用をかけているにもかかわらずツールをうまく使いこなせないかもしれません。操作がわかりにくいと、チームメンバーのモチベーションが低下する可能性があるので注意が必要です。
正しく顧客を理解し持続的な成長を目指そう
顧客データを活用すれば、一人ひとりに合わせた顧客体験の創出が可能になります。自社のニーズに合ったカスタマーサクセスツールを選ぶことで、正しく顧客を理解できるようになるでしょう。
その結果、顧客ロイヤルティとファン化を加速させ、顧客とともにビジネスの持続的な成長を実現できるようになります。課題解決など顧客の成功を効果的に支援するためにも、各ツールが提供する導入後の活用事例から、どんな不安が解消できるか参考にしてみてください。
※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。
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