- 更新日 : 2024年10月17日
在庫管理表のメリットや作成のポイント、効果的な運用方法について解説
企業が仕入れ・販売をする商品の数量・単価などを適切に管理するための表が、在庫管理表です。無駄なコストの発生を抑えて、品質の向上を図るためには、在庫管理表の活用が欠かせません。この記事では、在庫管理表を作成するメリットや、適切な在庫管理ができない場合に起こるリスクについて解説するので、ぜひ参考にしてください。
目次
在庫管理表とは?
在庫管理表とは、在庫を管理するために作成する表です。主にエクセルや在庫管理システムで作成します。小売店や飲食店などの在庫を抱えている店舗が、在庫の保管状況を可視化して社内で共有する際に役立ちます。在庫管理表にはさまざまな種類があり、棚卸表や入出庫管理表と呼ばれることもあります。
在庫管理表では、例えば以下の在庫情報を管理できます。
- 商品の保管場所
- 商品ごとの在庫数
- 仕入れ日、仕入れ数
- 出庫日、出庫数
- 在庫管理期間、賞味期限(使用期限)
在庫管理表で在庫情報をまとめて管理し共有することで、社内全体が現在の在庫状況を正確に把握することが可能になります。「在庫数=店舗や会社の資産の量」であり、在庫管理表で在庫数や入出庫の流れを明確にすることで、過剰在庫や在庫切れを防止することにつながるでしょう。
在庫管理表(棚卸表)のひな形、無料テンプレート
在庫管理表(棚卸表)の作成には、テンプレートを利用するのが効率的でおすすめです。
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在庫管理表を作成するメリット
在庫管理表の作成によって、企業は多くのメリットを得ることが期待できます。在庫管理表が整備されると倉庫などの在庫保管スペースが整理整頓されて、現場で入出庫作業を効率よく行えるメリットがあります。また、余剰在庫や不良在庫の削減につながり、適正な在庫量をキープできるようになるでしょう。
適正な在庫量をキープできる
在庫管理表で正確な在庫情報を管理することで、常に適正な在庫量をキープできます。適正な在庫量をキープできるということは、企業にとって、より効率よく利益向上を目指せることに直結します。
なぜなら、どのタイミングでどれだけの在庫量が必要になるのかが見えてくることで、本当に必要なタイミングで必要な分だけ仕入れられるためです。余分な在庫による保管スペースの圧迫を防止することにもつながります。
不良在庫を抑え無駄なコストを省ける
在庫管理表を見れば、常にリアルタイムで在庫数を確認できます。在庫管理表の情報をもとに仕入れのタイミングや数を調整することで、廃棄になる在庫の削減・保管スペースの縮小が期待できるでしょう。
商品を仕入れすぎたことによる余剰在庫や不良在庫を減らしていくことで、在庫管理のコストを削減することが可能になります。
倉庫の適切な確保や品質向上につながる
在庫管理表の作成は倉庫のスペース確保や商品の品質向上にも貢献します。在庫管理表で商品ごとに在庫が管理されている状態とは、つまり倉庫内でも商品ごとに保管スペースを区分けして管理されている状態であると言えます。倉庫内を整理整頓することでデッドスペースを減らし、本当に必要なスペースだけを保管場所にあてられるようになります。
さらに、在庫管理期間や賞味期限(使用期限)が切れた在庫を都度廃棄して長期間の保管をなくすことで、在庫の劣化を防いで品質向上につなげることが可能です。
在庫管理ができていない場合のリスク
適切な在庫管理ができていないと、社内に現在どれだけの在庫があるのかを正確に把握できません。在庫管理に伴う、よくある課題は次の通りです。
在庫数の過不足が発生する
正しく在庫管理ができていないと、余剰在庫を抱えてしまったり、反対に在庫不足や欠品による発送遅れ・販売機会の損失につながってしまったりします。
保管スペースが管理できない
在庫管理表が間違っているということは、保管スペースを適切に管理できていないということです。出庫時におけるピッキング作業の効率や入庫時の作業効率も低下します。
在庫管理表を使いこなせない
時間をかけて在庫管理表を作成したにもかかわらず、記載内容が正確でないと在庫を管理できず、正しく使いこなせません。また、在庫管理表を使用した社内共通の業務フローの作成・周知が不可欠です。
在庫管理表の作成に必要な項目
在庫管理表に特に決まったフォーマットはありませんが、以下の項目を設けることが一般的です。
商品名、品番(商品コード)
商品の名前と品番を併せて記載することが望ましいです。品番とは、商品管理する際に任意で割り当てる英字や数字を用いた番号のことです。「発売日が異なる同じ商品」「色やサイズが異なる類似した商品」を分かりやすく区別する際に役立ちます。
日付
在庫に動きがあったタイミング(入庫日、出庫日)を記載します。
入庫数
発注して保管した商品の数を記載します。
出庫数
保管していた商品が出庫したら記載します。
在庫数
在庫数は、「入庫数-出庫数」の計算式で数量を導き出せます。入庫日と入庫数、出庫日と出庫数が正確でないと正確な在庫数を管理できません。
保管場所
商品がどの場所に保管されているかを記載します。商品を移動させた時には情報の更新が必要です。
在庫管理期間、賞味期限(使用期限)
在庫管理期間や賞味期限(使用期限)を記載することで、品質保持に役立ちます。期間や期限が過ぎた商品を、一定のタイミングで廃棄するフローを確立して、使用可能な商品と使用不可の商品を区別するようにしましょう。
管理項目が増えれば増えるほど記載ミスなどのヒューマンエラーも起こりやすくなるため、管理が必要な情報の取捨選択は必要ですが、最低限上記の7項目を設けるとよいでしょう。
在庫管理表を作成する際のポイント
在庫管理表を作成する際は、「なぜ在庫管理表を作成するのか」という目的を意識するとよいでしょう。ここでは、主にエクセルで作成することを想定した在庫管理表作成のポイントを紹介します。
情報を明確化する
在庫管理表の作成目的は、適切な商品数を必要なタイミングで用意・提供できるようにすることです。そのためには漠然と情報を記録していくのではなく、必要な情報のみを分かりやすく記録する必要があります。「なぜその情報を管理する必要があるのか」をポイントに必要な情報を明確化させて記録しましょう。
データの入力忘れや入力漏れがないようにする
在庫に変動があった際には、必ず在庫管理表への入力が必要です。在庫管理表を目立つ場所に置く・作業工程表の中に「在庫管理表への入力」という工程を組み込む・入力ミスが起きやすい項目の見せ方を工夫するなどの対策が効果的です。
分かりやすくシンプルな表を心がける
在庫管理表の管理者はもちろんのこと、管理者以外も含む誰もが一見して情報を把握できるような管理表を目指しましょう。分かりやすい表を作るには、「見た目を統一すること」「簡略化できる部分は簡略化してシンプルにすること」がポイントです。
在庫管理表の運用方法
在庫管理表の効果を発揮させるためには、事前に運用ルールを定めておくとよいでしょう。特に複数人で同じ在庫管理表を使用する場合に大切です。運用ルールを決めておくことで、記載方法の違いによる情報の煩雑化やデータ入力漏れなどを防げます。
在庫管理表の運用時に確認するとよいポイントは以下の通りです。
「誰が」「どのタイミングで」「どの項目を」記載するか決めておく
在庫管理表の情報を常に正確で最新に更新するために、「誰が」「どのタイミングで」「どの項目を」記載するか決めておくことは、欠かせないポイントと言えるでしょう。管理者が複数人いる場合、担当者の設定など管理方法を明確にしていないと、データ入力漏れにつながります。
運用ルールの分かりやすくする
運用ルールは、誰が見ても理解しやすいシンプルな内容にするとよいでしょう。在庫管理表のフォーマットに関しても同様です。誰もが分かりやすいルールにすることで人為的なミスの削減や、管理者のスムーズな引き継ぎが可能になります。
バックアップを取る
在庫管理表をエクセル管理している場合、定期的にバックアップを取っておくと安心です。会社のパソコンや社内サーバーで管理していると、急なエラーやパソコンの故障で在庫管理表にアクセスできなくなってしまう可能性がないとも言い切れません。トラブルの際に、こまめにバックアップを取っておけば被害を最小限に抑えることができます。
在庫管理表を活用して無駄のない経営を!
適切な在庫量を維持して不良在庫を生み出さないようにするためには、在庫管理を徹底する必要があります。商品名・入出庫の日付・入出庫数・在庫数などを在庫管理表できちんと記録することで、適切に在庫を管理することが可能です。また、在庫管理表はシンプルで明快なルールを設けて運用することで、運用時にミスの発生を防げます。在庫管理表を上手に活用して、無駄のない経営を実現しましょう。
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