- 更新日 : 2024年9月11日
なぜ業務引継ぎがうまくいかない?伝わる引継書の書き方・伝え方・成功のコツ
業務引継ぎとは、仕事の内容やノウハウを後任者に伝え、担当者が変わってもスムーズに業務を遂行できるようにすることです。引継ぎがうまくいくためには、事前の準備が重要です。
本記事では、業務引継ぎの重要性、うまくいかない理由、業務引継ぎの手順、成功のコツ、引継書の書き方と、無料で使えるテンプレートを紹介します。
目次
業務引継ぎとは?
業務引継ぎとは、仕事の内容やノウハウなどを後任者に伝えることです。人事異動やプロジェクトチームの再編、休職や退職などの理由で業務の担当者が変更になる際に必要になります。
業務が適切に引き継がれることで、担当者が変わっても生産性が落ちたりトラブルが発生したりすることなく、スムーズに業務を遂行できるようになります。
業務引継ぎの重要性
業務引継ぎは、担当者が変わってもこれまでどおり業務を進行するために重要です。適切な引継ぎが行われなければ、後任者は手探りで業務を進めなければならず、ミスやトラブルを引き起こす恐れがあります。場合によっては、顧客や取引先からの信頼を失うことにもつながりかねません。
また、後任者が業務内容を把握できていないと、前任者へ頻繁に問い合わせをしなければならない状況が発生します。前任者は業務を離れてからも後任者をフォローしなければならず、負担が大きくなるでしょう。適切な業務引継ぎは、前任者と後任者のいずれにとっても負担軽減につながります。
業務引継ぎがうまくいかない理由
業務引継ぎがうまくいかない理由には、次の6つが考えられます。
- マニュアル・資料が不十分
- タイトなスケジュール
- 前任者の情報共有が不十分
- 後任者のスキルや経験不足
- コミュニケーション不足
- 業務を引き継げる人がいない
それぞれについて解説します。
マニュアル・資料が不十分
前任者が作成したマニュアルや資料の内容が不十分だと、後任者が一から業務を再考しなければならないこともあります。また、顧客や取引先から必要な情報をヒアリングし直さなければならないケースもあるでしょう。
業務が停滞したり、余計な手間が発生したりすることを防ぐためにも、必要な情報が網羅された、誰にでもわかりやすいマニュアルや資料を用意することが大切です。
タイトなスケジュール
スケジュールがタイトな場合、伝えるべき内容が十分に伝わらないまま引継ぎ期間が終了する恐れがあります。
たとえば、急な異動や体調不良による休職など、業務引継ぎのための時間を十分に確保できないケースが考えられます。また、前任者と後任者のいずれかが出張で不在にしていたり、トラブルの対応に追われたりと、双方のスケジュールが合わないこともあるでしょう。
前任者の情報共有が不十分
担当業務に関連する資料が不足していたり、口頭での説明が不十分であったりした状態で前任者が去ると、後任者は手探りで業務を進めなければなりません。
とくに業務が属人化していた場合、詳しいことは前任者にしかわからず、周りのメンバーが後任者をフォローするのも難しいでしょう。日頃からチーム内で互いの業務内容を把握し、情報を共有しておくことが大切です。
後任者のスキルや経験不足
後任者のスキルや経験が不足している場合、業務引継ぎの内容がうまく伝わらず、スムーズに業務を進められないことがあります。たとえば、他部署から異動してきた人や新人など、後任者が業務内容に不慣れな場合は、一度説明しただけでは情報を受け止めきれないでしょう。
適切に引き継ぐためには、後任者の理解が遅くてもイライラせず、理解度に合わせて引継ぎを進めることが大切です。段階を踏んで少しずつ説明したり、一緒に作業したりするなど、丁寧に業務内容を伝えることが求められます。
コミュニケーション不足
コミュニケーションが足りないと、必要な情報の伝達漏れや誤解などに気付かないまま業務引継ぎを終える恐れがあります。また、質問や確認をする機会もなく一方的な説明のみで終えてしまっては、後任者が内容を十分に理解できたのかがわからないでしょう。
とくに資料のみの場合やリモートでの説明のみの場合は、情報の伝達がうまくいかない恐れがあります。状況に応じて対面での業務引継ぎの機会を設けることも検討するとよいでしょう。
業務を引き継げる人がいない
そもそも業務を引き継ぐ人がいない場合、せっかく引継ぎのために資料などを用意したとしても、前任者は十分な説明をしないまま業務を離れることになります。業務を引き継ぐ人がいない状況とは、たとえば急な退職で後任者がいない場合や、産休に入るまでに後任者が見つからない場合などが考えられます。
業務引継ぎを行う流れ
業務引継ぎは、次のような流れで行うとよいでしょう。
- 引継ぎの内容をリストアップ
- 引継ぎのスケジュールを決める
- マニュアル・資料を作成する
- 引継ぎを行う
- フォローを行う
それぞれについて解説します。
引継ぎの内容をリストアップ
まずは自分が担当している業務をすべて洗い出し、仕事の種類ごとに分類しながらリストアップしていきます。リストアップする際は、それぞれの業務内容を見直し「不要なものはないか」「非効率な進め方をしているものはないか」なども確認するとよいでしょう。引継ぎ業務をスリム化することで、業務効率化にもつながります。
ただし、不要な業務を削除したり効率的な進め方に変更したりする場合は、自身の判断だけではなく、上司や周りのメンバーに確認しながら進めるとよいでしょう。
引継ぎのスケジュールを決める
引継ぎの内容を整理できたら、いつまでにどの内容を伝達するのか、具体的なスケジュールを決めます。業務の内容によって、資料の説明のみで済むものもあれば、実際に作業に立ち会って確認が必要なものもあるでしょう。前任者と後任者の都合を合わせて、引継ぎ期間中にすべて完了できるように計画しましょう。
また、後任者のスキルや経験によっても引継ぎに必要な時間が異なります。後任者が新人の場合はとくに丁寧な説明が必要になることが想定されるため、スケジュールに余裕をもたせることが大切です。
マニュアル・資料を作成する
後任者へ引継ぎを行う日までにマニュアルや資料を作成し、業務内容を漏れなく伝達できるように準備しましょう。マニュアルや資料は、業務の内容や流れ、進行中の案件や未処理事項など、担当業務全般を網羅できるように作成することが大切です。
誰にとっても理解しやすい平易な表現を心がければ、未経験者や新人が後任者の場合でもスムーズに業務を開始できます。丁寧に作成したマニュアルや資料は、次回以降の引継ぎにも役立つ資源となるでしょう。
引継ぎを行う
引継ぎを行う際には、作成したマニュアルや資料を用いながら説明していきましょう。必要に応じて業務に使用するツールを実際に使用しながら説明したり、後任者にも作業に立ち会ってもらいながら説明したりするとよいでしょう。
前任者が一方的に説明するのではなく、各業務の内容や手順を後任者が理解できているのかを確認し、疑問点をヒアリングしながら進めることが大切です。
フォローを行う
業務引継ぎは一度伝達したら終わりではなく、後任者の業務が軌道に乗るまでは必要に応じてフォローを行うことが大切です。後任者が実際に業務を開始すると、業務引継ぎの際には気付かなかった疑問点や問題点が浮上することがあります。
疑問点や問題点にはすぐにフォローを入れて、重大なミスやトラブルにつながる前に対処しましょう。
わかりやすい業務引継書の書き方
業務引継書を作成する際には、次のような項目を記載するとよいでしょう。
- 引継書の作成日と作成者の名前
- 業務の目的と概要
- 作業手順
- 作業期間や期限
- 関係者や取引先の担当者の名前と連絡先
- 関連データの保管先
- 過去のトラブル対応履歴や対処法
- 業務の進捗状況
上記の項目をはじめ、業種や職種に応じて必要な項目を含めて作成しましょう。分量が多いと後任者が必要な情報を探す手間が生じるため、目次や見出しを活用し、体系的にまとめることが大切です。
業務引継ぎに役立つテンプレート
業務引継書は日々の業務の合間に作成しなければならないため、自分で一から作成するよりも、テンプレートの利用がおすすめです。テンプレートを利用すれば、入力項目やデザインなどを考える時間を削減できるため、効率的に業務引継書を作成できます。
マネーフォワードクラウドでは、業務引継ぎに役立つ無料テンプレートをご用意しております。ご自由にダウンロードしていただけますので、ぜひお気軽にご利用ください。
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相手に伝わる業務引継ぎの仕方
業務内容をわかりやすく伝えるためには、相手の立場で考え、後任者に合わせた引継ぎを心がけることが大切です。たとえば後任者が新人なのか、経験者なのかによって、説明の仕方が異なります。後任者のスキルや経験に応じて、業務内容の伝え方やスケジュールを考えるようにしましょう。
また、後任者が業務の進め方をイメージしやすいように、はじめに業務の目的や目標、全体像を伝えることも大切です。「なぜその業務が必要なのか」「どのような結果が得られるのか」といった背景やゴールを伝えておくと、理解が進むでしょう。
さらに、前任者が自分の体験談を交えて説明すると、後任者はより具体的なイメージをつかみやすくなります。過去の失敗談やトラブルの対応事例などを交えて、各業務のポイントや注意点を説明できるとよいでしょう。
業務引継ぎを成功させるコツ
業務引継ぎを成功させるコツは、次の5つです。
- 詳細な引継ぎの資料を作成する
- 業務間の連携や関与する人々を明記する
- 十分な時間を確保する
- コミュニケーションを重視する
- こまめにフォローする
それぞれについて解説します。
詳細な引継ぎの資料を作成する
業務引継ぎがうまくいくためには、誰にとってもわかりやすい、詳細な資料を作成することが重要です。前任者にとっては当たり前と思っていることでも、後任者にとっては詳しい説明がないと理解できないこともあります。
詳細な説明が省かれていると後継者の業務に支障をきたす恐れがあるため、未経験の人でも理解できるような資料になるよう心がけましょう。必要な情報をただ長文で書くと要点がわかりにくいため、項目ごとに整理したり、図表を活用したりすることも大切です。
業務間の連携や関与する人々を明記する
多くの業務は独立しているものではなく、さまざまな業務と関わり合っているため、連携が必要な業務や関与する人々についても明記しておくことが大切です。「担当する業務は社内業務全体においてどのような位置付けなのか」「どの部署の業務と関わりがあるのか」「連携が必要な業務の担当者は誰なのか」など、具体的に伝えるようにしましょう。
連携する業務の関係者が明確化すれば、担当者変更のあいさつや、業務引継ぎ後の連絡がスムーズに行えるようになります。
十分な時間を確保する
異動や退職などで業務を離れることが確定したら、すぐに上司へ相談し、引継ぎのために十分な時間を確保できるように調整しましょう。十分な時間を確保できないと、後任者は業務内容を理解できないまま業務を開始することになってしまいます。
業務内容によって引継ぎに必要な時間が異なるため、どのくらいの期間があれば十分に伝達できるかを検討し、スケジュールを組むことが大切です。
コミュニケーションを重視する
必要な情報を確実に伝達するためには、前任者と後任者のコミュニケーションが重要です。前任者が一方的に伝えたり、後任者がただ聞き手にまわったりしているだけでは十分に内容が伝わりません。
前任者は後任者の反応を確認しながら、理解度に応じて説明することが大切です。後任者は実際の業務をイメージしながら説明を聞き、疑問点や不明点はその場ですぐに質問して解決できるようにしましょう。
こまめにフォローする
すべての業務の引継ぎを終えても、一定期間はこまめにフォローに入れる体制にしておくことが大切です。いざ業務を始めると、前任者が説明しきれていなかったことや、後任者が理解しきれなかったことなど、疑問点が出てくることもあります。後任者が業務に慣れるまでは、連絡を取り合えるようにしておくとよいでしょう。
また、イレギュラーなトラブルなどは、引継ぎの期間内に都合よく発生するものではないため、その場に応じた対処法を伝えるためのフォローが必要でしょう。
業務引継ぎをスムーズに行うには、事前の準備が重要
業務引継ぎを適切に行うことで、担当者が変わっても生産性が落ちたりトラブルが発生したりすることなく、スムーズに業務を遂行できるようになります。
業務引継ぎをスムーズに行うには、詳細な引継ぎ資料の作成やスケジューリングなど、事前の準備が重要です。誰にでもわかりやすい引継ぎ資料を用意し、後任者と十分にコミュニケーションをとりながら適切に進め、引継ぎを成功させましょう。
※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。
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