• 更新日 : 2025年2月12日

出版企画書とは?採用される企画書の書き方・テンプレートを紹介

書籍の出版を成功させるためには、企画の魅力を伝えることが欠かせません。その際に重要な役割を果たすのが「出版企画書」です。どれほど優れたアイデアであっても、魅力が適切に伝わらなければ採用には至りません。そのため、企画書の作成にあたっては、出版社が求める情報を網羅しつつ、簡潔で説得力のある内容にまとめることが大切です。

この記事では、出版企画書の基本的な構成や、採用されるためのポイントを詳しく解説します。さらに、無料の出版企画書のテンプレートも紹介するので、ぜひ参考にしてください。

出版企画書とは

出版企画書とは、書籍の企画者が出版社に向けて、原稿を書く前のタイミングで、企画している本のタイトルやターゲット、構成案などをまとめる形で作る企画書のことです。特に企業出版を検討している社長や広報担当者にとって、出版企画書は企画が通るかどうかが決まる重要書類になります。

企業が書籍を出版する目的は、自社のブランディング強化や事業の拡大、専門性の発信などさまざまです。したがって、出版企画書は出版社に対して「なぜこの本を出すのか」「どのような価値があるのか」を伝えるチャンスです。企画の価値が伝わる出版企画書を作成することで、出版社の担当者に企画の魅力を伝えやすくなり、編集会議で採用される可能性が高まります。

出版企画書が必要な理由

出版企画書が必要な理由として、代表的なものは以下の通りです。

  • 企画の魅力を伝えられる
    出版社の編集部は日々多くの企画を検討しています。他の企画に埋もれることなく、自身の企画の魅力や独自性を的確に伝えるためには、情報の整理が必要です。出版企画書を使えば企画の要点や強みを伝えられるので、編集者の関心を得やすくなります。
  • 出版の可否を判断する材料になる
    出版物が売れるか否かは、出版物の方向性が読者のニーズと合致しているかどうかで決まります。ターゲット読者や市場分析、競合書籍との差別化ポイントなどを出版企画書にまとめることで、出版社が企画の採用に踏み切りやすくなります。
  • 企画の方向性が明確になる
    企画書を作成する過程で、著者自身が企画の目的やターゲット、内容構成を再確認・整理でき、出版物の方向性を明確にできます。著者側が執筆の際に後で見返す資料としても、出版企画書は重要です。

出版企画書の無料テンプレート

出版企画書を作るときには、幅広い項目の執筆が求められます。執筆にあたってはテンプレートを活用することで、書き洩らすことなく、出版社が求める情報を網羅した出版企画書が作れます。

以下のような無料のテンプレートを活用して、出版企画書を作りましょう。

出版企画書のテンプレートのダウンロードはこちら

出版企画書の項目と書き方のコツ

出版企画書を作成する際には、出版社の担当者が書籍の魅力を理解しやすいよう、簡潔に分かりやすく必要な情報をまとめることが大切です。

ここでは、出版企画書に含めるべき重要な項目と、それぞれの書き方のポイントについて詳しく説明します。

本のタイトル

タイトルは企画書を受け取る担当者の目に最初に飛び込む要素であり、「書店に並んだときに読者が惹かれるか」という観点でも重要なポイントです。キャッチーな言葉を盛り込むだけでなく、ジャンルや読者が得られるメリットも同時に想像できるようなフレーズになっていると好印象を与えられます。

ビジネス書のように課題解決を目的とする作品の場合は、数値や具体的なキーワードを入れたサブタイトルを活用し、「自分のことだ」と思わせる工夫が効果的です。対して、小説やエッセイのようにストーリー重視の場合は、作品の世界観や雰囲気を暗示する言葉選びを心がけると良いでしょう。

どのジャンルでも共通して言えるのは、「一目でどのような本かざっくり分かるタイトル」に仕上げることです。第一印象ですぐに興味を惹かせないと、ターゲットユーザーに届かない可能性があります。

目的・背景

書籍を出版する目的や動機、そこに至った背景を示すことは、企画書の説得力を大きく左右します。読者や出版社が「なぜ今このテーマなのか」「著者は何を実現しようとしているのか」をイメージできるよう、企業や個人の課題や社会的ニーズを明確に書きましょう。

例えば企業出版であれば、自社製品やサービスのブランディング、あるいは経営理念やノウハウの発信をどういった形で世の中に伝えたいのかを整理しておく必要があります。商業出版の場合は「自分自身が抱えた問題を解決した経験を共有したい」「他の人に勇気を与えたい」といった個人の思いを示すことで、編集者の興味を引きやすくなります。

ターゲット

読んでほしいターゲットについて著者が理解していると示すことは、出版企画書の重要なポイントの1つです。ビジネス書であれば、「製造系中小企業の社長・60代」や「IT系企業の管理職・40~50歳」といった肩書、年齢層、業界などを具体的に示しておくと、市場規模の目安を編集者が調べるときにも役立ちます。

ターゲット像が定まっているほど、その層に届く書店展開やマーケティング方法も検討しやすくなります。反対にターゲット像が曖昧だと、編集者側はどのように販売戦略を組めばよいか判断しにくいため、説得力を持たせるためにもターゲット設定は入念に行ってください。

書籍概要

書籍の概要では、ジャンルやおおまかな内容、想定ページ数などをまとめます。例えば、「ビジネス書で、約200ページを予定」「自社の顧客事例を収録して、ノウハウを具体的に解説」などのように、大まかな全体像を見せた書き方をしましょう。

企画書段階では概要部分に細部を書き込む必要はありません。ただし、「どのようなテーマで、どの程度のボリュームになるか」を端的に示すだけでも、作品の価値やスケールがかなり分かりやすくなります。

コンセプト

書籍の軸となるコンセプトは、目的・背景と連動させて書きましょう。目的・背景と差別化する方法としては、より感覚的かつ訴求力のある表現でまとめるのが効果的です。

例えば、ビジネス書であれば「組織づくりに悩む経営者が、業務効率と人材育成を両立するための具体策を学べる本」といった形で「何を実現できるか」をはっきり打ち出すと、読者のメリットが明確になります。

一方、小説のように感情移入を促したい作品では、「日常の息苦しさを忘れ、読むだけで心がほっとする」などの言葉でコンセプトを語ることが大切です。作品の世界観やゴールを端的に言語化するのがコンセプトの役割なので、狙っている読者像と矛盾しないようにしましょう。

内容計画・章立て

大まかな書籍の概要やコンセプトを示したら、次はより具体的な章立ての構成を出版社の担当者向けに書きます。どの章にどのような話題やノウハウを盛り込むか、あるいはどのような論展開をするのかについて分かりやすく記載してください。

ハウツー本なら、悩みを解決する手順を順番に組み立てるのが分かりやすい方法です。小説なら起承転結を意識しながら、章ごとにどの登場人物が活躍し、物語がどの段階まで進むのかを示しておくと、編集者も構成の整合性をイメージしやすくなります。また、各章で特に読者に伝えたいポイントや展開も簡潔に補足しておくと、一層理解が深まるでしょう。

著者情報

著者情報は「どのような人が、どういった理由で書いているか」を確認する材料になります。

特にビジネス書や自己啓発書の場合は、説得力を高めるために実績や経験をできるだけ著者プロフィールとして明示するとよいでしょう。企業の経営者なら社歴や実績、研究者や専門家なら資格や研究内容などをしっかり記載しておくことで、出版社が「この著者なら信頼できる」と判断しやすくなります。

小説家やエッセイストなら、受賞歴や活動歴などをアピールポイントとして示すのがおすすめです。背景や経歴が興味深いものだと、出版社にとっては作品そのものだけでなく「著者のキャラクター」も含めた売り出し方が考えやすくなり、一気に企画の魅力が増す可能性があります。

出版スケジュール

書籍をいつ頃出版したいか、そのためにどのような工程が必要かを示すのが出版スケジュールです。執筆開始から初稿の提出時期、編集作業や校正の期間、書店に並ぶまでの大まかな流れを記載します。

企業出版では社内での確認や調整が必要になるケースもあるので、あらかじめ目安となる時期を企画書の段階で提示しておくと、出版社や社内のスタッフが動きやすくなります。

商業出版であっても、イベントや時事的なタイミングに合わせたリリースの予定がある場合は、スケジュールを細部まで示しましょう。スケジュールの裏付けがあると、出版社は「この著者は計画性がある」と感じ、採用に前向きな印象を持ちやすくなります。

予算・コスト

出版にかかる費用の目安や、著者・企業がどれくらい負担できるのかを記載することも大切です。企業出版の場合は、広告費やデザイン費などを企業側が負担するケースもあり、あらかじめ予算を示しておくとスムーズに契約内容の検討へ進めます。

商業出版であれば基本的に出版社が負担しますが、印税や希望部数などの条件をあらかじめ伝えておきたい場合はここに記載しましょう。特に、著者がSNSやブログでのPRを行うなど、販促協力が期待できる場合は、その情報を一緒に示すことで企画の価値を高められます。

ただし、不安な場合は出版社に任せるという選択肢もありますので、無理に詳細を決める必要はありません。

テンプレートを活用して出版企画書を作ろう

出版企画書は、全体を通して「作品の魅力をいかに分かりやすく、説得力をもって伝えられるか」が肝心です。想定する読者層や目的がはっきりしているほど、出版社は売り方や市場における強みをイメージでき、出版に踏み切りやすくなります。

タイトルや著者情報、コンセプトといった要素は特に注目されやすいポイントですので、最後まで手を抜かずに整合性を持たせましょう。加えて、完成した企画書を一度俯瞰して読み返し、自分の意図がしっかり伝わる表現になっているかどうかを確認することが大切です。

テンプレートを活用して、情報の漏れがない出版企画書を作りましょう。


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