- 作成日 : 2025年2月6日
顧客管理ソフトとは?選ぶポイントやおすすめのアプリを紹介
顧客情報の管理は、企業活動を円滑に進める上で不可欠です。多くの企業では、顧客管理ソフトを導入しており、昨今ではさまざまな機能が搭載された顧客管理ソフトが提供されています。
本記事では、顧客管理ソフトの主要な機能、導入をおすすめできるケース、代表的なソフト・システムを紹介します。顧客管理ソフトの理解を深めるきっかけとしてください。
目次
顧客管理ソフトとは
顧客管理ソフト(Customer Relationship Management)とは、顧客情報を一元的に管理し、営業、マーケティング、顧客サポートなどの活動を効率化するためのソフトウェアです。
ソフトを活用することで、顧客との関係構築や維持がスムーズになり、業務効率の向上や売上増加、顧客満足度の向上が期待できます。
クラウド型とオンプレミス型の違い
顧客管理ソフトは、クラウド型とオンプレミス型に区別されます。クラウド型は、インターネット経由で利用するタイプで、初期費用が抑えられ、場所を問わずアクセス可能です。
オンプレミス型は、自社内にシステムを構築するタイプです。カスタマイズ性やセキュリティ面で優れていますが、初期費用が高くなる傾向があります。
顧客管理ソフトの導入を検討する際には、導入目的を明確にしたうえで、これらの違いを踏まえて自社に最適なソフトを選ぶことが重要です。
顧客管理ソフトの主要な機能
顧客管理ソフトに搭載されている主要な機能について、詳細を解説します。
顧客情報の一元管理
顧客管理ソフトを利用することで、顧客情報を一元管理できます。顧客に関する多様な情報を一つのシステム上で統合的に管理できるようになると、各部門や担当者が必要な情報にすぐにアクセスでき、顧客対応や分析に役立てられます。
一元管理される主な顧客情報には、以下のようなものが含まれます。
- 氏名、連絡先、住所などの個人情報
- 過去の購入商品、購入日時、購入金額などの購買履歴
- 問い合わせ内容、メールや電話の記録などのコミュニケーション履歴
活動履歴の管理
顧客とのやり取りを時系列で管理できるのも顧客管理ソフトの魅力です。必要に応じて履歴を記録・保存し、必要に応じて参照・活用できます。
コミュニケーション履歴、商談履歴、サポート履歴などが蓄積されるため、顧客のニーズや要望に沿った対応につなげられます。また、次回のフォローアップや重要なタスクを通知するリマインダー機能や営業戦略やマーケティング施策の改善に役立てるレポート作成機能が搭載されている顧客管理ソフトもあります。
名刺の管理と共有
名刺管理機能が搭載されている顧客管理ソフトもあります。スキャナーやスマートフォンを用いて名刺を読み取り、OCR(光学文字認識)技術でテキストデータに変換します。
データ化された名刺情報をクラウド上で一元管理すると、社内の関係者とリアルタイムで共有でき、部門間での情報共有がスムーズになるなど、営業活動の効率化が図れます。
リード抽出
顧客管理ソフトの中には、営業やマーケティング活動に活用するためのリード抽出機能を搭載しているものもあります。
展示会、ウェブサイトの問い合わせフォーム、資料請求、セミナーなど、さまざまなチャネルで得た顧客情報をもとに、リードナーチャリング(顧客育成)を実施する際に有効です。
メール配信
メール配信機能は、顧客データベースと連携し、適切なタイミングでターゲットに合わせたメールを自動的に配信する機能を指します。
顧客データベース内の日付情報(登録日、契約更新日)をもとに、自動的にメールを送信するオートメールや特定のイベント(例:フォーム登録)から一定の間隔で、段階的にメールを送信するステップメールなどが挙げられます。
顧客管理ソフトの導入がおすすめなケース
顧客管理ソフトの導入がおすすめなケースをいくつか紹介します。
- 顧客情報が各部署で分散管理されている
- 顧客満足度を向上させたい
- 他の業務システムとの連携を図りたい
顧客情報が各部署で個別に管理されていると、情報の共有や更新が遅れ、顧客対応の質が低下する可能性があります。顧客管理ソフトを導入することで、顧客情報を一元管理でき、全社的な情報共有がスムーズになります。
顧客満足度をさらに向上・改善させたい場合にも有効です。顧客の購買履歴や問い合わせ履歴を適切に管理し、個々のニーズに応じた対応ができるようになるため、顧客満足度の向上を期待できます。
また、顧客管理ソフトは、会計ソフトやMAツールなどと連携し、業務の効率化を図れます。業務全体の見直しや統合を検討する企業は導入を検討するとよいでしょう。
顧客管理ソフトを導入するメリット・注意点
顧客管理ソフトを導入する際には、メリット・注意点を踏まえて、自社に最適なものを選定しましょう。ここでは、代表的なメリットや注意点をいくつか紹介します。
メリット
導入するメリットを以下にまとめます。
- 顧客情報を一元管理できる
- 部署間の連携強化につながる
- 業務効率を改善できる
まず、顧客情報を一元的に管理することで、マーケティングや経営戦略の検討がしやすくなり、顧客満足度の向上につながります。他部署との情報共有が効率的に行え、顧客の対応品質の向上も図れます。
また、メール配信やレポート作成などの機能を活用することで、他のシステムの導入が不要となり、コストの削減が可能です。ITソフト・システム未導入の企業が初めてシステムを導入する際には、:顧客管理ソフトを検討するとよいでしょう。
注意点
メリットと合わせて、以下のような注意点も押さえておきましょう。
- ニーズを明確にする
- コストや導入期間を見積もる
- 社員の意見に耳を傾ける
顧客管理ソフトを導入する具体的な目的を明確にすることが重要です。たとえば、「顧客情報を一元管理して営業担当者間での情報共有をスムーズにしたい」というような具体的な目標を設定することで、システム選定の基準が明確になり、自社に最適なシステムの選定につながります。
また、顧客管理ソフトの導入には、初期費用のほかにも、月額利用料、保守費用、バージョンアップ費用など、ランニングコストが発生します。システムの規模や機能の複雑さによっては、導入に数ヶ月から数年かかるケースもあるため、これらのコストと導入期間をしっかりと把握し、予算とスケジュールを立てることが重要です。
最後に社員の意見に耳を傾けることも忘れてはいけません。ソフトの導入による業務改善においては、社員の定着率を高めることが重要です。システムの操作方法だけでなく、データ入力のルールやセキュリティに関する知識など、従業員がシステムを適切に使える教育体制の整備も検討しましょう。
顧客管理ソフトを選ぶポイント
顧客管理ソフトを選ぶポイントを紹介します。導入を検討する際の参考にしてください。
自社の規模や業務内容とマッチしている
まず、自社の規模や業務内容とマッチしていることが重要です。自社の業務プロセスを詳細に分析し、どの業務をデジタル化・効率化したいのかを明確にしましょう。営業支援、マーケティング、自動化、顧客サポートなど、必要な機能が備わっている顧客管理ソフトを選ぶことで、業務の最適化を図れます。
また、事業規模の拡大を見据えて、顧客数の増加や機能追加に柔軟に対応できるかも重要なポイントです。
セキュリティ対策が充実している
事業規模の大きい企業ほど、セキュリティ対策が万全かを見極める必要があります。顧客管理ソフトには、顧客の個人情報や取引履歴など、機密性の高いデータが蓄積されており、適切なセキュリティ対策が欠かせません。
通信・データの暗号化、IPアドレス制限、二段階認証、監査ログなどの機能が搭載されている顧客管理ソフトを選ぶことで、顧客情報の保護やシステムの安全性を確保し、企業の信頼性を高められます。
機能や操作性がニーズに合っている
自社のニーズに顧客管理ソフトに搭載される機能や操作性がマッチングしていることが重要です。自社の業務プロセスや課題を明確にし、それらを解決・支援するために必要な機能をリストアップしましょう。
また、どれだけ高機能なソフトでも、使いこなせなければ意味がありません。直感的な操作が可能で、ユーザーインターフェースがわかりやすい製品を選ぶことで、従業員の負担を軽減し、スムーズな導入と定着を実現できるでしょう。
既存のシステムやツールと連携できる
既存システムやツールとの連携も選定ポイントの一つです。企業内で既に使用しているシステムやツール(例:営業支援システム、名刺管理ソフト、メール配信ツールなど)とCRMが連携できると、データの統合管理が可能となり、業務プロセスの効率化が図れます。
たとえば、営業支援ソフト(SFA)を導入している場合、顧客管理ソフトと密接に関わっているため連携が推奨されています。長期的な視野で業務改革を行う意識で、ソフト連携の柔軟性を検討しましょう。
おすすめの顧客管理ソフト・システム
ここからは、おすすめの顧客管理ソフトをいくつか紹介します。無料トライアル期間があるソフトが多いため、気になるソフトがあれば、試しに使ってみましょう。
Sales Cloud
Sales Cloudは、Salesforce社が提供する世界トップシェアの営業支援・顧客管理システム(SFA/CRM)です。顧客の基本情報、取引履歴、コミュニケーション履歴など、あらゆる情報の一元管理が可能です。
また、AI機能「Einstein」を活用し、過去のデータと顧客パターンを分析してリードスコアリングを自動化。成約可能性の高いリードに集中し、商談の成約率向上を実現します。
モバイルアプリも提供しており、外出先でも顧客情報の確認や更新が可能で、営業担当者の生産性向上に役立ちます。
Zoho CRM
Zoho CRMは、Zoho社が提供する世界25万社以上で導入されている顧客管理システムです。UIや情報の配置を自由に変更でき、ドラッグ&ドロップ操作で簡単にカスタマイズが可能です。
Google WorkspaceやMicrosoft Dynamics 365、Zoom、Slackなど、300以上のアプリケーションとシームレスに連携でき、既存の業務プロセスに合わせた運用を実現できます。
大手CRM/SFAツールと同等の機能を備えていますが、運用コストは5分の1と、コストパフォーマンスに優れています。初期費用や追加料金が発生せず、利用料金のみで導入が可能な点も魅力です。
Kintone
Kintone(キントーン)は、サイボウズ株式会社が提供する顧客管理ソフトです。顧客の名前、連絡先、購買履歴などの重要な情報を一つのデータベースで管理できます。
レポート機能が搭載されており、顧客ごとの利益や売上などのデータを自動で集計し、グラフ化できます。レポート作成や分析のたびにデータをまとめ直す手間がなく、工数が削減できます。また、売上傾向をグラフで可視化し、チーム内で簡単に共有可能です。
さらに、Kintoneの導入から活用して効果を出すまでをサポートするコンテンツやセミナー開催などが充実している点も魅力です。とくに初めて導入を検討する企業にとっては安心できるでしょう。
eセールスマネージャー
eセールスマネージャーは、ソフトブレーン株式会社が提供する顧客管理ソフトです。一度の情報入力で、ダッシュボード、タイムライン、スケジュール、商談情報、予測・実績管理など、さまざまな機能に情報を活用でき、作業負荷の軽減を期待できます。
また、OCR機能を備え、スマホで名刺を撮影するだけで情報をテキスト化し、登録可能です。導入サポート、稼働サポート、定着サポートなどのサポート体制が充実している点も魅力です。
ナレカン
ナレカンは、株式会社Stockが提供する社内のナレッジを一元管理し、必要な情報を簡単に検索・取得できる顧客管理ソフトです。フリーワード検索機能が搭載されており、複数のキーワードを組み合わせて自由に検索可能で、添付資料内の文字も検索対象となります。
また、AIの自動要約機能も便利です。WordやExcelなどの資料をアップロードするだけで、AIが自動的に内容を解析し、要約と重要ポイントを抽出できます。
導入前後で、従業員登録や既存データの移行支援、月1回のオンラインミーティングなど、定着に向けたサポート体制も魅力です。
Synergy!
Synergy!(シナジー)は、シナジーマーケティング株式会社が提供するクラウドベース型の顧客管理ソフトです。顧客管理からマーケティング活動のサポートに特化しており、メール配信、LINE配信、Webアンケート、問い合わせ管理など、多彩な機能を備えています。
店頭、Web、メール、アプリ、SNSなどさまざまなチャネルから収集した顧客情報をデータベースに集約し、一元管理します。顧客の属性や行動履歴を統合的に把握し、効果的なマーケティング施策を展開できるでしょう。
社内にある顧客情報やECシステムの購買情報など、既存の外部システムのデータを連携し、メール配信などに活用でき、カスタマイズ性も担保しているのが魅力です。
顧客管理ソフトの導入目的を明確化しましょう!
顧客管理ソフトは、顧客情報を記録・管理することで、さまざまなメリットを享受できます。一方で、導入目的が明確でなければ、ソフトを管理する負担がかかったり、業務に支障をきたしたりするリスクもあります。
顧客管理ソフトを導入し、どのような課題や問題を解決したいのかをイメージし、費用対効果を最大化する運用を実現させていくことが重要です。本記事を参考に顧客管理ソフトの理解を深めつつ、導入を検討してみてください。
※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。
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