• 作成日 : 2024年8月9日

営業DXとは?従来との違い、成功事例、導入方法をわかりやすく解説

営業DXとは、デジタルツールを活用して、顧客の購買行動や営業プロセスを最適化することです。営業活動におけるデータのデジタル化や業務効率化、さらにデジタルツールの特性を生かしたビジネスモデルの変革を目的としています。

本記事では、営業DXと従来の営業との違いや代表的な営業DXツール、成功事例や導入方法を紹介します。

営業DXとは?

営業DXとは、データとデジタル技術を活用して顧客の購買行動や営業プロセスを最適化し、顧客の抱える課題を解決できる組織を構築することです。具体的には、顧客管理のデジタル化やマーケティング活動の自動化、営業活動のオンライン化などが挙げられます。

DXの読み方は「デジタルトランスフォーメーション」で、データとデジタル技術を活用して、ビジネスモデルを変革することを意味します。経済産業省が企業のDX化に向けてさまざまな施策を進めるなか、各企業でも経理や人事、事務、営業などさまざまな部門でDX化が求められています。

営業DXと従来の営業との違い

従来の営業は、客先訪問など対面での活動がメインでした。しかし、営業DXを推進することで、オンラインと対面を組み合わせながら効率的に営業活動を行うことが可能になります。営業DXと従来の営業との主な違いは、次のとおりです。

 

営業DX従来の営業
営業手段オンラインと対面を組み合わせて行う対面がメイン
営業方法
  • オンライン訪問
  • ウェビナー
  • オンラインコミュニティ

など

  • 客先訪問
  • 展示会
  • セミナー

など

営業DXとデジタル化の違い

デジタル化とは、既存のシステムや業務をデジタルツールで代替し、業務効率化を目指すことです。たとえば、請求書の送付を郵送からメールに変えたり、紙で作成していた営業日報をExcelでの管理に変えたりすることがデジタル化に該当します。

一方で営業DXは、デジタル化を実施したうえで、ビジネスモデルそのものの変革を目指します。売上データや市場トレンドの分析を行い、市場の変化・顧客の動向に迅速に対応できるような体制を強化することが一例です。

営業DXの目的と解決できる課題

営業DXの目的と解決できる課題は、次のとおりです。

  • 属人化からの脱却・全情報の社内共有
  • 顧客ニーズの可視化
  • 生産性・効率性の向上

それぞれについて解説します。

属人化からの脱却・全情報の社内共有

従来の方法では「案件の詳細や業務の進め方は担当者しか把握していない」「異動や退職で引き継ぎがうまくいっていない」などのデメリットがありました。

営業DXを推進することで、あらゆる情報の社内共有が可能になり、属人化されていたスキルの標準化につながります。デジタルツールを活用して顧客情報や案件情報、商談の進捗状況などを一元管理することで、担当者以外でもさまざまな情報を正確に把握できるようになります。

顧客ニーズの可視化

デジタルツールを利用して顧客情報を一元管理することで、購買情報や問い合わせ履歴などを分析して営業活動に活用できるようになります。顧客情報をデータ化することで顧客ニーズが可視化され、パーソナライズした顧客アプローチが可能になります。

また、デジタルツールに蓄積されたデータを基に、将来の課題を予測したり、顧客満足度の向上につながる新たな商品やサービスの提供に役立てたりすることも可能です。

生産性・効率性の向上

営業DXを推進することで、これまで見込み顧客の選定やアプローチにかけていた労力を大幅に削減できるようになります。デジタルツールを適切に活用すれば、見込み顧客リストの一元管理や定期的なメール配信など、効率的な営業活動が可能です。

さらに、営業データから商談化の可能性が高まっている顧客に対して集中してアプローチすることで、営業の効率性や生産性の向上が期待できます。

営業DXが遅れている理由

IMDが発表した「IMD世界デジタル競争力ランキング」の2023年版において、64の国と地域のうち、日本は32位という結果でした。この調査は「デジタル技術をビジネス、政府、社会における変革の重要な推進力として活用する能力と態勢」を調査したもので、日本は2017年の調査開始以来、過去最低のランクとなりました。

項目別の結果では「技術的枠組み」「科学的集積における優位性」は上位だったものの、「ビジネスの俊敏性」「規制の枠組み」「人材」は下位となっています。

とくに人材においては「上級管理職の国際経験」「デジタル/技術的スキル」「高度外国人材への魅力」の評価が低くなっています。国際的なデジタル技術やスキルを持った人材が不足していることは、日本の営業DXが遅れている要因のひとつであると考えられるでしょう。

出典:IMD「2023年世界デジタル競争力ランキング 日本は総合32位、過去最低を更新」

営業DXを進めるには?

営業をDX化する方法には、主に次の3つがあります。

  • 顧客情報をデジタル移行する
  • 顧客行動・ニーズを分析する
  • 営業スキルを数値化し共有する

それぞれについて解説します。

顧客情報をデジタル移行する

営業をDX化する際には、まずはデジタルツールを使用して顧客情報をデジタル化するとよいでしょう。顧客情報として管理するのは、顧客の年齢や性別、居住地域、職業などの属性、購入履歴、問い合わせ歴、商談履歴などです。

顧客情報の管理には、顧客管理ツールや営業支援ツール、Excelなど、さまざまな方法があります。予算が限られている場合や分析機能が不要な場合は、Excelでも問題ありません。

効率的な管理や高度な分析機能などを活用したい場合は、顧客管理ツールや営業支援ツールなどの営業DXツールの導入がおすすめです。

顧客行動・ニーズを分析する

顧客情報をデジタル化したら、顧客の属性や購買履歴などを基に、顧客行動やニーズを分析しましょう。顧客行動とは、商品やサービスを購入するプロセスでとる行動のことを意味します。

顧客行動やニーズを分析することで、顧客が抱える課題が明らかになり、営業戦略の策定に役立てられるようになります。顧客分析の際にも、営業DXツールの活用がおすすめです。

営業スキルを数値化し共有する

営業をDX化する際には、営業スキルを数値化し、標準化できるように共有することも必要です。これにより、チーム全体で安定した成果を上げやすくなり、営業力の底上げにつながります。

営業スキルの共有には、業務を通じて得た知識や経験を効率的に共有するため「ナレッジ共有サービス」を活用するとよいでしょう。

営業DXツールの代表例

営業のDX化に活用できるツールの代表例は、次のとおりです。

  • 営業支援(SFA)
  • 顧客管理(CRM)
  • データ分析・可視化(BI)
  • セールスイネーブルメント
  • カスタマーサポート

それぞれのツールについて解説します。

営業支援(SFA)

営業支援(SFA)とは、営業活動のプロセスや顧客との関わり方、案件の進捗状況などを可視化し、営業業務を効率化するためのツールです。既存顧客や見込み顧客に関する情報の管理や商談管理、予実管理、行動管理などの機能が備わっています。

営業支援(SFA)ツールを導入することで、営業担当者の業務効率化や、営業業務の属人化の回避などが期待できます。

顧客管理(CRM)

顧客管理(CRM)とは、顧客との関係を管理し、効果的な顧客対応を実現するためのツールです。主な機能としては、顧客情報の管理や顧客分析、問い合わせ管理、メール配信機能などがあります。

顧客管理(CRM)ツールを導入することで、部署間の情報共有がスムーズになり、効率的に顧客情報を管理できるようになります。また、顧客分析を基に適切なアプローチができれば、顧客の購買行動を促したり、顧客満足度が向上したりすることにもつながるでしょう。

データ分析・可視化(BI)

データの分析や可視化に使用するBI(ビジネスインテリジェンス)ツールとは、企業に蓄積されたデータを収集して分析し、経営やマーケティング、営業活動などさまざまな場面での意思決定に役立てるためのツールです。

社内の多様なデータをインプットして集計と分析を行い、グラフなどに置き換えて可視化し、自動分析機能で意思決定に必要なデータを作成してくれるのが主な機能です。

データ分析・可視化(BI)ツールを活用すれば、データの集計や分析にかかる時間を大幅に削減できます。また、データを可視化することで、問題や課題の早期発見にもつながるでしょう。

セールスイネーブルメント

セールスイネーブルメントとは、営業組織が継続的に成果を上げていくために、組織全体の営業スキルの強化や最適化を図るためのツールです。主に自社の商品やサービスに関連するコンテンツ管理やチーム内のコミュニケーション管理、商談相手とのアクション管理、営業スキル管理などの機能が備わっています。

セールスイネーブルメントツールを活用することで、営業活動や人材育成を標準化でき、営業活動の効率化や組織全体の営業スキルの向上が期待できます。

カスタマーサポート

カスタマーサポートとは、問い合わせ対応業務の効率化や自動化を行うためのツールです。寄せられた問い合わせを一括管理できる機能や顧客管理機能、FAQシステムやチャットボットなどの回答支援機能、顧客やチーム内でのコミュニケーション機能など、さまざまな機能が備わっています。

カスタマーサポートツールを活用することで、顧客への対応スピードや回答品質の向上、問い合わせ内容の効率的な管理などが可能になります。


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