- 更新日 : 2025年1月31日
営業フローを作成するメリットと具体的な流れ|無料テンプレも紹介
かつて、営業手法の主流は各担当者の勘や経験に頼った職人芸でした。そのため、それぞれの営業担当者に業務が属人化しやすく、「営業に客がついてくる」という事態も発生していました。属人化を解消し、営業活動を標準化するために役立つのが営業フローです。
この記事では、営業フロー作成のメリットや具体的な進め方について解説しています。さらに、簡単に使える無料テンプレートも紹介しているので、自社の営業活動を見直したい方はぜひ参考にしてください。
目次
営業フローとは?
営業フローとは、見込み顧客の発見からクロージングに至るまでの営業活動をステップごとに分け、図やチャートなどの形でやるべき行動を可視化する手法です。営業活動の手順書とも言えるでしょう。
営業フローがあれば、営業担当はチーム全体で営業活動の流れについて共通認識を持て、ステップごとに取るべき行動や達成すべき目標を把握できるようになります。
営業フローと似た言葉に営業プロセスがありますが、それぞれ異なる意味を持っています。営業フローがステップごとにすべきことを詳しく解説するのに対し、営業プロセスは全体の流れを俯瞰してまとめる手法です。通常、営業部門が定めた営業プロセスに沿って、営業フローは作られます。
営業フローの無料テンプレート
営業フローを構築するときは、テンプレートを活用するのがおすすめです。無料のテンプレートをもとに、自社の営業プロセスに沿って営業フローを構築すれば、必要な情報を伝え漏れる可能性を減らしつつ、見やすい営業フローが作れます。
以下のようなテンプレートを活用して、自社の営業フローを作りましょう。
営業フローを作成するメリット
営業フローを作成すれば、かつては個人の勘と経験に頼る部分が多かった営業活動を可視化・標準化できます。結果として、以下のようなメリットを得られるでしょう。
営業活動の見直し・改善ができる
営業フローを作成することで、自社の営業活動全体を客観的に把握でき、どの段階で課題が発生しているのか、どのプロセスが効率的に機能しているのかを分析しやすくなります。
例えば、同じ成約率が低いという課題が起きていても、ヒアリング段階での情報収集が不足しているのか、提案内容が顧客のニーズに合っていないのかによって対応策は変わります。営業フローによって業務を標準化していれば、ステップごとの活動を振り返ることで原因を突き止めやすくなり、適切な改善が可能です。
また、市場の変化や顧客ニーズの進化に合わせて営業フローを定期的に更新すれば、最新の状況に合わせて業務を変革できるのもメリットです。営業チーム全体のパフォーマンス向上にもつながるでしょう。
対応の漏れを防ぐことができる
営業担当者は通常、1人で複数の案件を同時に管理するため、対応漏れが発生しやすい環境です。営業フローを明確に定義することで、各ステップで必要なタスクを洗い出し、漏れを防止することが可能です。例えば、見込み顧客へのフォローアップや商談後の提案資料送付など、細かなタスクをステップごとに分割すれば、営業担当者は何をするべきか正確に把握できます。
また、タスク管理ツールやプロジェクト管理ソフト、カレンダーツールなどと連携させることで、各担当者の進捗状況をチーム全体で共有し、抜け漏れを早期に発見可能です。セルフチェックでは限界がある場合でも、営業担当者同士がお互い協力してカバーし合えるようになる点もメリットです。
営業効率を高められる
営業フローを作成すると営業活動が体系化され、誰もが同じ手順で効率的に動けるため、営業チーム内での活動品質のばらつきを最小限に抑えられます。担当者が変わると顧客満足度が下がる、特定の担当者しか対応できない属人化した業務がある、といった営業活動でありがちな課題を解決でき、営業効率が上がるのもメリットです。
また、営業フローは新人営業担当者が早期に業務に慣れ、営業成績を上げやすくなるための教育ツールとしても活用できます。優秀な営業担当者の営業スキルを盗んで覚えるような効率の悪い教育ではなく、営業フローをマニュアルとした教育をすれば、新人も即戦力として活躍可能です。
営業フローを活用した効率的な営業活動は、結果として教育コストの削減にもつながり、顧客対応により多くのリソースを割くことができるようになります。
営業フローの具体的な流れ
営業フローを作るためには、ステップごとに何をするのかを把握するのが大切です。以下では、一般的な営業フローにおける各ステップの内容を解説します。
見込み顧客を獲得する
営業活動は見込み顧客(リード)を獲得するところから始まります。リードとは、将来的に自社商材を購入する可能性のある顧客のことです。営業担当者がリードを獲得する代表的なチャネルは、以下の通りです。
サイトからの問い合わせ | 自社のウェブサイトに訪問したユーザーが、問い合わせフォームや資料請求フォームを通じて連絡をする方法です。 |
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展示会やセミナーでの名刺交換 | 自社が展示会やセミナーに出展・登壇したり、あるいは業界の展示会・セミナーに参加したりして、名刺交換をする中でリードを獲得します。 |
広告・キャンペーン | マーケ部門が行った広告やキャンペーン施策から流入したリードを営業担当者が受け取る方法です。 |
既存顧客からの紹介 | 既存の顧客から、自社の商品やサービスに興味があるリードを紹介してもらう方法です。 |
リードにはホットリードとコールドリードの2種類があります。ホットリードとは、商品やサービスへの興味関心が強く、きっかけがあれば購入に至る可能性が高い見込み顧客のことです。対して、コールドリードはまだ購買意欲が薄い見込み顧客です。
営業部門が担当するのは主にホットリードであり、コールドリードを育てるのは通常マーケ部門の職務分掌である職場が多いでしょう。
見込み顧客にアプローチする
獲得した見込み顧客に対して、営業担当者がアプローチする段階です。初回接触となるため、電話やメール、Web会議、直接訪問など、見込み顧客の状況に応じた適切な接触方法を選ぶ必要があります。
初回接触では、自分自身と会社について簡潔に紹介し、信頼感を持ってもらうことが目標です。その上で、相手の興味を引く情報や事例を提供し、次の段階である詳細なヒアリングにつなげる環境を整えます。
ニーズを掴むためにヒアリングを実施する
アプローチに成功したら、次は見込み顧客のニーズを掴むためのヒアリングを実施します。ヒアリングでは、見込み顧客が抱える課題や問題を深掘りし、現在の状況を正確に把握する段階です。営業担当者は顧客に対して売り込みを行うのではなく、顧客の現状や課題、求めている解決策について把握するのが大切です。
ヒアリング前に、まずは顧客の業界、製品やサービス、競合他社などの基本情報を事前に調査して、情報にもとづいて客が抱えるであろう課題やニーズについて仮説を立てます。その上で、質問を決めて、ヒアリングしながら仮説を検証し、修正しながら顧客の現状が把握できるようにしましょう。
課題解決のために提案をする
顧客のニーズや課題がつかめたなら、課題解決のために自社の商品やサービスを提案します。提案を行う前に、ヒアリングで得た顧客のニーズや課題を再度整理し、顧客と共有した上ですり合わせておきましょう。
提案にあたっては、提案内容が顧客の課題解決にどのように寄与するのかがしっかりと伝わるようにするのが大切です。抽象的にメリットを伝えるのではなく、具体的なデータや事例を用いると効果的です。特に、投資対効果を数値で示すと、導入後の成果をイメージしやすくなります。
クロージングをする
クロージングは商談の最終段階で、契約締結に至るステップです。クロージングの前提として、これまでの各営業フローで、顧客の購買意欲を高めることが重要です。
また、顧客が購入を決断する際、価格や導入手順、アフターサポートなどに不安を感じることがあります。障壁を取り除くために、複数の価格プランの提示や、導入後のサポート体制の説明、保証制度の案内などを伝えましょう。
顧客から質問や懸念点が示された場合は、真摯に耳を傾け、誠実に答えるのが大切です。営業活動は長期的な信頼関係の上に成り立つので、顧客の不安を丁寧に解消してください。
クロージングが成功したなら、契約手続きや納品スケジュールなど、今後の流れについて分かりやすい形で伝えましょう。
パターン別の営業フロー
営業フローは、ターゲットとする顧客や、目的によって変わります。以下では3つのシナリオにおける営業フローをそれぞれ解説します。
新規顧客開拓は、基本的に「リード獲得」→「アプローチ」→「ヒアリング」→「提案」→「クロージング」と進みます。フロー全体を営業部門が担当する場合もあれば、リード獲得はマーケ部門が担当する場合もあります。通常、見込み顧客との信頼関係が未構築であるため、最も成約までのハードルが高いと言えます。自社の製品やサービスへの認知度が低い場合が多いため、初期段階で資料提供や説明を通じて、価値を理解してもらうことが重要です。 また、新規顧客開拓においては、顧客が流入したチャネルごとにアプローチ方法を変えるのが効果的です。例えば、名刺交換で獲得したリードであれば、すぐにテレアポによるフォローを行うなどの形で、リードの関心を惹きましょう。
既存顧客を掘り起こす営業フローでは、「顧客リストの整理」→「フォローアップ」→「ヒアリング」→「提案」→「クロージング」と進みます。過去に接点がある顧客を対象にするため、新規開拓よりも比較的アプローチしやすいのが特徴です。 既存顧客を掘り起こすときは、過去の商談や取引履歴を確認するのが大切です。もし過去に成約に至らなかったものと似た商品やサービスを提案する場合は、再アプローチをした理由を明確に伝える必要があります。例えば、「御社の業界動向に合わせた新しいサービスを提案できます」などの形で、顧客にとってのメリットを伝えましょう。
問い合わせ対応の営業フローは、「問い合わせの初期対応」→「ヒアリング」→「顧客ニーズの分析」→「提案」→「クロージング」という形で進みます。問い合わせ対応は、すでに顧客が一定の興味やニーズを持っている場合が多いため、新規開拓より比較的短い時間で成約につながる可能性があります。 ただし、問い合わせのレスポンスが遅いと顧客の関心が薄れるだけでなく、信頼を損ねる可能性があるため、スピーディーな対応が重要です。また、初期対応にあたっては顧客がどのような動機で問い合わせをしてきたのかを明確にすることが不可欠です。例えば、具体的な購入意欲があるのか、それとも単なる情報収集なのかによって、その後の提案内容が大きく異なります。 |
テンプレートを活用して営業フローを作成しよう
営業フローがあれば、営業活動をよりスムーズに進められるようになります。何をいつ、どのようにするべきかがはっきりするので、ミスを防ぎやすくなり、チーム全体の効率も上がります。また、営業フローをもとにすれば、経験が浅い営業社員も成果を出しやすくなるため、結果として教育コストを下げられる点も魅力です。
この記事で紹介した方法やテンプレートを使って、自社に合った営業フローを作ってみてください。
※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。
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