• 更新日 : 2024年10月17日

企画書の書き方は?基本構成や分析方法、記載例を基にわかりやすく解説

アイデアをもとに新規プロジェクトを始める際に不可欠なのが企画書です。しかし企画案を言語化するのは、慣れない人にとって簡単な作業ではありません。

まずは読み手側にすぐに把握してもらえる企画書の作り方を把握することが大切です。そこで本記事では、わかりやすい企画書の基本や書き方、分析に役立つフレームワークについて解説します。

 

企画書とは?

イベント企画書や商品企画書などさまざまな企画書がありますが、どのような文書を企画書というのでしょうか。ここでは企画書の役割・目的、提案書との違いなどについてご紹介します。

企画書の役割や目的

企画書とは、新規プロジェクトを始めたり新商品を開発したりするときに実行プランを伝える文書です。英語では「proposal」もしくは「business proposal」といいます。企画書の役割は、アイデアはもちろん、収益性やスケジュール、予算などを関係者に伝えることです。

次に企画書を作成する目的をみていきましょう。

  • 賛同者・協力者を増やす
  • 外部から資金提供を受ける
  • 新規プロジェクトに社内リソースを割り当てる

口頭やメモのままでは、受け取った側から重要だと思われない可能性があります。企画書の体裁をとることで、アイデアを検討してもらえる可能性が高まるのです。

企画書と提案書の違い

企画書と提案書は似た言葉ですが、厳密には意味するところが異なります。

意味、使い方
企画書
  • アクションプランを盛り込んだ文書
  • 内外の意思決定者に実施の了解を取り付けるための文書
提案書
  • 主に顧客向けに大まかな方向性を示す文書
  • 課題の認識を共有し、解決策までを提案した文書

企画書と提案書の書き方はよく似ているため、当記事を提案書作成の際に参考にしてみてください。

 

ビジネスでの企画書の重要性

ビジネスにおいて、企画書はなぜ重要視されているのでしょうか?なぜなら、新しいアイデアの具体的なイメージを正確に共有し、決裁権のある意思決定者から了解を得るために、企画書は不可欠だからです。

意思決定者は、ユニークな着想のアイデアをいつも求めています。企画や提案を求めている意思決定者は、自分の要求にマッチしたアイデアかどうか企画書の1枚目を読んで判断することが多いです。

話し言葉やメールなどのテキストだけでは、誰もアイデアの根拠や必要性を十分に検討・評価できません。企画書は検討され、最終的には賛同を得るためのものです。投入する予算や収益の見込みなど、実現可能性を示すことも求められます。

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企画書を書く前に~事前準備~

企画書を書き上げるまでには、いくつかのプロセスを踏む必要があります。ここでは企画書作成の事前準備として、次の4つのプロセスをご紹介します。

  • 企画の方向性を考える
  • ターゲットを決める
  • 企画の概要を書く
  • 企画書を作成するツールを選定する

では、それぞれについて見ていきましょう。

企画の方向性を考える

最初に考えるべきは、企画の方向性です。企画書の種類にかかわらず、含む内容はほとんど同じで大まかな流れが決まっています。

企画書に含む内容と大まかな流れは、次のとおりです。

  1. 現状分析
  2. 課題
  3. 解決策の提案
  4. その効果
  5. 予算・スケジュール

空き時間や移動時間を利用して、これらの項目についてじっくり考えてみましょう。アイデアがわかないときは、関連書籍に目を通したり現場でヒアリングしたりするとインスピレーションがわくかもしれません。

ターゲットを決める

次に企画案のターゲットを決めましょう。そのターゲットを選定したのはなぜか説明できるように整理したうえで、ターゲットを設定してください。

また企画書を提出する相手には、誰が主体となって当該企画を実行するのかを提示することも大事です。企画案のターゲットと、企画の運営主体を混同しないように整理して伝えます。

企画の概要を書く

企画の概要とは、企画全体の要旨のことです。後述するエグゼクティブサマリーにも使えます。まず課題やその解決策、企画がもたらすインパクトについて書き出してみましょう。企画の概要は、箇条書きでまとめるのがおすすめです。

企画書を作成するツールを選定する

企画書はMicrosoft PowerPointや、MacユーザーならKeynoteを使うケースが多いかもしれません。Google Slidesにも企画書のテンプレートが搭載されているので、チェックしてみてください。

ほかにも企画書作成に便利に使えるツールは数多く登場しており、代表的なものは次のとおりです。

  • マインドマップを美しく描けるツール
  • データの裏付けなど計算に役立つツール
  • 企画書のテンプレート集(PowerPoint、Word、Excelなど)
  • 作図ツール
  • インフォグラフィック作成ツール
  • ガントチャート作成ツール
  • 画像編集ツール
  • 動画編集ツール
  • 素材集
  • フローチャート作成ツール
  • グラフ作成ツール

視覚的にわかりやすい企画書の作成に役立ちますので、使いやすいツールを探してみましょう。

企画書の書き方:基本構成

企画書の基本構成は、おおむね次の6つの要素からなります。

  1. エグゼクティブサマリー
  2. 現状分析、問題提示
  3. 企画の目的と全体像
  4. 企画の具体的な内容
  5. スケジュールや予算、収支計画
  6. 施策の目標、ゴール

では、それぞれの構成要素について見ていきましょう。

1.エグゼクティブサマリー

エグゼクティブサマリーは、企画書の導入部分です。エグゼクティブサマリーを読んで、意思決定者は続きを読むかどうかを決めるため、重要な役割を果たします。

そこで、エグゼクティブサマリーでは企画書の要旨を簡潔に明記しましょう。具体的には読み手に何を期待し、どのような価値を提供する企画書なのかを書き出してください。

2.現状分析、問題提示

現状分析をもとに、ストーリー性を加えて企画の背景を説明します。読み手を説得するために参考文献や統計資料を使い、取り組んでいる課題には価値があることを論理的に伝えましょう。現状分析の良し悪しが、企画そのものの説得力を決めます。

企画書で最も重要なパートが、課題の解決方法の提示です。実際にこの企画を実行すれば、現状分析を通じて提示した課題を解決できることを論理的に示します。

3.企画の目的と全体像

企画の目的とゴールを明記することで、企画の全体像を読み手に伝えます。現状分析で把握したいくつかの課題の中から、解決すべき課題を選び出しましょう。課題を改善する施策を提示したうえで、最終的にどのような状態を目指すのか企画のゴールを示してください。

4.企画の具体的な内容

企画の目的を踏まえて、企画の具体的な内容を示します。次の「CTPT」を含めることで、具体的なアクションプランをわかりやすく読み手に示せるので試してみましょう。

  • C:コンセプト
  • T:ターゲット(ペルソナの設定)
  • P:プロセスの提示
  • T:ツール

「CTPT」を軸に企画書を作成すると、読み手の興味を喚起するために不可欠なストーリー性がうまれます。

5.スケジュールや予算、収支計画

スケジュールや予算や収支計画などを立て、企画の実現にかかる日数、プロセスを可視化しましょう。「ヒト・モノ・カネ」に代表されるリソースの配分計画もあわせて示すことで、企画の実現に説得力がうまれます。

費用対効果(ROI)を算出し、企画を実現するメリットも含むことも重要です。 意思決定者に向けて、投下する予算と企画を実施すると見込まれる「利益・メリット」も伝えることを忘れてはいけません。

また関係部署や外部サービスとの連携を前提とする企画であれば、実現不可能な計画を立てるのは避けるようにしてください。一度立てた計画も、必要に応じてその都度見直しすることが大切です。

6.施策の目標、ゴール

最後に企画書の結論に相当する「まとめ」を、自信に満ちたことばで作成します。企画によって立ち上げたプロジェクトが取り組む課題と、その解決策となる施策の目標、ゴールについて示してください。

冒頭のエグゼクティブサマリーとのバランスもあるので、簡潔に締めくくるようにしましょう。

企画書作成に活用できるフレームワーク

論理的な思考の助けとなるフレームワークを活用して、企画書の説得力を高めましょう。ここでは企画書作成に活用できるフレームワークを、次のとおり3つ紹介します。

  • 6W2H
  • 3C分析
  • SWOT分析

ではそれぞれのフレームワークについて見ていきましょう。

6W2H

6W2Hは、情報の整理に役立つフレームワークです。下記の8つの項目に従って整理をするだけで、事実を正確に伝えられます。

6W2H思考プロセスの例
Why「なぜ」この企画を実施するのか、社会的背景や競合他社の状況など
What新規事業・サービス・製品で「なに」を実現したいのか
Where「どの」マーケットに参入するのか
Whom「だれを」ターゲットとするのか
When「いつ」実施するのか、その時期やスケジュール
Who「だれが」主体となって実施するのか
How to「どんな方法で」実施するのか
How much予算・投資・収益は「いくら」を想定するのか

この思考プロセスを丁寧に取り組めば、わかりやすい企画書を作成するための基礎が固まります。

3C分析

3C分析とは、マーケティング環境を分析・把握するためのフレームワークです。下記の3つの頭文字からとった3Cに従って、自社を取り巻く環境について事実関係を整理していきます。

3C分析する項目の代表例
Customer(市場・顧客)【業界および市場】

  • 業界の市場規模
  • 市場の成長性

【顧客】

  • 顧客ニーズ
  • 顧客の消費行動など
Competitor(競合)【業界全体および特に注意すべき競合企業】

  • 競合他社のシェア
  • 競合他社の特徴
  • 新規参入・代替品の脅威
  • 競合の業界ポジション
Company(自社)
  • 自社の企業理念・ビジョン
  • 既存事業・自社製品の現状
  • 現時点で保有しているヒト・モノ・カネ

3C分析で特に注意したいことは、事実のみ収集することです。収集した情報の解釈は、次にご紹介するSWOT分析を活用します。

SWOT分析

SWOT分析とは、経営戦略を策定する際に活用されるフレームワークです。下記の4つの頭文字をとったSWOTに従って、自社の内部環境と外部環境について検証をしていきます。

SWOT分析する項目の代表例
Strengths(強み)
  • 自社が得意とすることはなにか?
  • 他社にはないユニークな点はなにか?
  • ターゲット層が自社を評価している点はなにか?
Weaknesses(弱み)
  • うまくいっていない取り組みはどれか?
  • なぜその取り組みはうまくいっていないのか?
  • パフォーマンスを改善するために必要なリソースはなにか?
Opportunities(機会)
  • 自社の売上・利益拡大にプラスに働く外部環境はなにか?

法律の改正、政治動向、景気動向、金利の推移、人口動態、生活スタイルなど

Threats(脅威)
  • 自社の売上・利益拡大にマイナスに働く外部環境はなにか?

たとえば「製品」「採用」など、さまざまなテーマをもとにSWOT分析を行うことで自社が解決すべき課題が見えてきます。

わかりやすい企画書を作るポイント

わかりやすい企画書を作るポイントは、次の3つが挙げられます。

  • 客観的な視点で、受け手の共感を得る
  • メリットや数値目標を提示する
  • 読みやすさに配慮する

では、それぞれのポイントについて見ていきましょう。

客観的な視点で、読み手の共感を得る

読み手の共感を得るためには、客観的なデータを参照して自社が抱える課題を明示する必要があります。読み手が納得感を得やすいように、前述した分析フレームワークを活用しましょう。

3C分析やSWOT分析では、客観的な事実やデータを集めて分析を行います。その結果、導かれた課題に説得力が増し、読み手も賛同しやすくなるでしょう。

インパクトや数値目標を提示する

企画書では、企画を実行することで見込まれるインパクトや数値目標を提示します。成果を数値で表しにくい教育研修などを企画する場合には、目標水準をテキストで示すことも検討しましょう。

収益の向上は大事な目標ですが、ブランディングや販売チャネルの拡大など副次的な効果も提示すると効果的です。

読みやすさに配慮する

企画書の作成においては、読みやすさに配慮することも重要です。1枚のスライドに情報を詰め込みすぎると、読み手はスルーするかもしれません。

重要なポイントを把握しにくい文書だと、はじめから読む価値のない企画書と判断されがちです。箇条書きや改行・余白などを活用して、わかりやすい企画書を作成しましょう。

企画書を仲間づくりのツールとして活用しよう。

新しいプロジェクトや商品開発には、賛同・協力してくれる仲間が必要です。その意味では、企画書は仲間づくりのツールといえます。

最初のうちは、説得力のある企画書の作り方がわからず苦戦するかもしれません。何度も作成するうちに思考プロセスが洗練され、効果的な企画書を生み出せるようになります。

企画書作成の積み重ねが、あなたのプロジェクトを成功へと後押ししてくれるでしょう。


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