- 作成日 : 2024年3月22日
バックオフィスとは?効率化するメリットや方法、企業事例を紹介
バックオフィスとは、営業職やコールセンターなどを後方で支える業務のことを指し、効率化することで業務全体の生産性向上が期待できます。バックオフィスの効率化は、オンラインツールの活用やデジタル化により可能です。効率化に成功すると、時間やコストの削減が期待できます。
本記事では、バックオフィスの効率化のメリットや方法、企業事例を詳しく紹介します。
目次
バックオフィスとは?
バックオフィスとは、お客様と直接関わる営業職やコールセンターなどを後方で支えることをいいます。直接お客様と関わるわけではありませんが、業務を円滑に進めるために欠かせない業務です。
バックオフィスは「事務部門」と呼ばれることもありますが、一般的な事務とは違いがあります。
- バックオフィスと事務の違い
- バックオフィス業務の言い換え
上記について、詳しく見ていきましょう。
バックオフィスと事務の違い
バックオフィスと事務には、次のような違いがあります。
バックオフィス | 人事・総務など一般的な事務のほかに、法務・情報システム・公報のような顧客と直接関わらない幅広い業務を担当する |
事務 | バックオフィス業務のうち、電話対応やデータ入力などの日常的なタスクやオフィス業務を担当する |
一般的な事務はバックオフィス業務の一部であり、その中でも日常的な業務を担当しているといえます。バックオフィスは、一般的な事務のほかにも専門的な業務に関わる部門なのです。
バックオフィス業務の言い換え
バックオフィスは、次のように言い換えられます。
- 事務部門:書類作成・データ入力など、一般的な事務業務を行う
- 管理部門:法務、情報システムなど、企業全体の管理業務を行う
- 間接部門:売上に直接貢献しない業務を行う
一方、お客様と直接関わり売上を生み出すのがフロントオフィスです。具体的には、次のように言い換えられます。
- 営業部門:お客様への提案や受注などの営業活動を行う
- 顧客部門:お客様対応やサポートなどを担当する
- 直接部門:売上に直接貢献する業務を行う
それぞれの業務は異なる役割を持ち、連携することでスムーズな経営や生産性向上が期待できます。
バックオフィスの業務一覧
バックオフィスの主な業務を一覧にまとめると、次のとおりです。
【主なバックオフィス業務の一覧】 | |
---|---|
一般事務 | オフィス内の日常業務を管理し、文書作成やメールの管理・スケジュール調整などを行う |
経理・財務 | 会社の財務状況を管理し、資金の流れや予算の策定・経理処理などの財務関連業務を担当する |
人事・労務 | 従業員の採用や配置・給与計算・労働法の遵守・労働問題の解決など、人材に関するさまざまな業務を行う |
法務 | 企業活動における法的リスク管理や契約書の作成や審査、訴訟や紛争解決などの法的な側面を担当する |
総務 | オフィス環境の管理や設備の運用、社内イベントの企画・運営など、企業全体の運営に関わる広い範囲の業務を担当する |
情報システム | システムやネットワークの構築や管理・セキュリティ対策など、情報技術に関する業務を担当する |
バックオフィス業務を効率化するメリット
バックオフィス業務を効率化するメリットは主に4つあります。
- 生産性の向上
- コストの削減
- ヒューマンエラーの防止
- 属人化の解消
詳細について、事項より詳しく説明します。
生産性の向上
バックオフィス業務を効率化すると、生産性の向上につながります。たとえば、今まで手作業で行っていた業務を効率化することにより、マネジメントや管理体制の強化など、人でなければできない業務に人材を充てられるようになります。
その結果、会社全体の競争力が強化され、激化する市場競争の中でも成長を続けられるようになるのです。
コストの削減
バックオフィス業務の効率化は、コスト削減の効果も期待できます。業務を効率化すると、今まで業務に携わっていた人材を他に充てられるため、会社全体の人件費削減につながります。
さらに、今まで紙で行っていた業務をペーパーレス化することにより、紙代や印刷代・切手代などのコストも削減可能です。
ヒューマンエラーの防止
バックオフィス効率化ツールを導入することにより、ヒューマンエラーの防止も可能になります。データ集計や転記などは、疲労や注意力散漫が原因によるミスが起こりがちです。しかし、ツールは単純で定型的な作業を得意としています。作業量が膨大になっても、正確性を保ったまま同じように処理ができるのです。
このことからも、バックオフィスにツールを活用し効率化することは、ヒューマンエラーの防止につながるといえます。
属人化の解消
ツールを活用することにより、属人化の解消も可能です。人に頼った作業では「この作業はあの人にしかできない」がよく起こりますが、手順をツールに記憶しておけば、担当者が不在でも作業ができるようになります。このように、定型的な作業をツールにより標準化しておくと、人に頼らなくても業務が円滑に進みます。
バックオフィス業務を効率化する方法
バックオフィス業務を効率化する主な方法は6つあります。
- ペーパーレス化を推進する
- ERPを導入する
- RPAツールを導入する
- ITツールを利用する
- チャットボットを導入する
- アウトソーシングを活用する
それぞれの方法について、詳しく見ていきましょう。
ペーパーレス化を推進する
業務のペーパーレス化を推進することで、バックオフィスの業務効率化が図れます。紙の書類は、検索に時間がかかったり保管場所が必要になったりします。紛失リスクも高く、セキュリティ上の問題も否めません。
紙の書類を電子データにしてペーパーレス化すると、保管や検索・セキュリティの問題も解決可能です。その結果、人は業務に集中できるようになり、作業効率の向上も期待できます。
ERPを導入する
ERP(Enterprise Resource Planning)システムを導入することも、バックオフィス業務の効率化を可能にする方法のひとつです。
ERPは、会社のさまざまな資源を統合的に管理するシステムです。導入することにより、人材・資金・設備などの情報を一元化し、効率的に活用できます。具体的には、生産計画の最適化、在庫管理の最適化、財務データのリアルタイム分析などが可能です。
さらに、情報の集約化により意思決定が素早く行えるようになり、業務効率化が可能になります。
ERPについて詳しく知りたい方は、下記の記事も合わせてご参照ください。
RPAツールを導入する
RPA(Robotic Process Automation)ツールを導入することにより、バックオフィス業務の自動化が可能になり、業務効率化につながります。
RPAは、単純で定型的な作業を自動化するロボットによる仕組みのことを指します。たとえば、データ入力や集計・分析などはRPAが得意としている分野です。これらにおいては、人が行うよりも正確で素早く作業を終えられます。
RPAは時間を問わず稼動できるので人的コストの削減も可能です。効率よくRPAを活用することで業務効率化とコスト削減の両方が期待できます。
ITツールを利用する
近年では、業務効率化のためのITツールも多く開発されています。それらを効率よく活用することも、有効な手段のひとつです。
主なITツールは次のとおりです。
- コミュニケーションツール:メンバー間のコミュニケーションを円滑にする
- タスク管理ツール:タスクの割り当てや進捗管理などを効率よく行う
- ワークフローシステム:仕事の流れやプロセスを自動化し、業務効率化を支援する
- 電子契約システム:電子契約に関わる業務を一元管理する
- 勤怠管理システム:の出退勤や勤務時間を管理し、給与計算などの業務を支援する
ITツールを活用すると、ペーパーレス化や作業効率アップなどが可能になり、業務効率化につながります。
チャットボットを導入する
チャットボットを導入することも、業務効率化には有効です。
チャットボットとは、自然言語処理(NLP)と人工知能技術(AI)を組み合わせて、今までは人でなければできなかった質問への回答を自動でできるようにしたシステムのことです。
チャットボットは、時間を問わずに応答できるため「お客様を待たせることがない」「気軽に利用できる」などのメリットがあります。コールセンターやヘルプデスクへの問い合わせも減少するため、運用コストの削減も期待できるのです。
アウトソーシングを活用する
社内業務の一部を外部に委託するアウトソーシングも、バックオフィス業務効率化に有効な手段のひとつです。たとえば、データ入力やお客様との電話およびメール対応を外部に任せることで、社員は本来の業務に集中できるようになります。
アウトソーシングで専門的な知識を持つ人材に業務を任せることにより、人材を育成する時間と手間を省くことも可能です。社内で不足している技術やノウハウを外部から補うことで、会社全体の生産性や競争力の向上も期待できます。
バックオフィス効率化ツールのおすすめ
バックオフィスの効率化に有効なツールを3つ紹介します。
- WinActor
- NotePM
- Coopel
バックオフィス効率化ツールにはそれぞれ特徴があります。ツールの導入を検討している方は、ぜひ参考にしてください。
WinActor
WinActorは、プログラムに関する知識がなくても業務効率化ができるRPAツールです。純国産で完全日本語対応しているので、誰でも安心して利用できます。
料金プラン | ・要問い合わせ ※無料トライアルあり |
主な特徴 | ・直感的でわかりやすい操作画面により、ITの知識がそれほどなくても利用可能 ・ExcelやWord・ERPシステムなど、さまざまなアプリケーションに対応している ・NTTデータや全国のパートナー企業がサポートするので、RPAツールに触れたことがなくても安心して利用できる |
運営会社 | 株式会社NTTデータ |
公式サイト | https://winactor.com/ |
おすすめの企業 | 経理や日常的な事務業務などが煩雑化しやすい企業 |
※2024年3月13日現在
NotePM
NotePMは、社内のナレッジやノウハウを一元管理できるナレッジマネジメントツールです。高機能エディタやテンプレートを活用してマニュアルが簡単に作成できます。また、ツリー型のわかりやすいUIのため、パソコンが苦手な方でもつまずくことなく操作可能です。
料金プラン | ・プラン8:月額4,800円 ・プラン15:月額9,000円 ・プラン25:月額15,000円 ・プラン50:月額30,000円 ・プラン100:月額60,000円※価格は税込み ※100名を超えるプランは、100ユーザー単位で月額60,000円追加 ※閲覧のみのユーザーは無料(ユーザー数の3倍まで) |
主な特徴 | ・社内の情報をひとつにまとめて管理し、社内wikiとして共有できる ・資料だけでなく、動画も貼り付けて共有できる ・強力な検索機能で、必要なファイルがすぐに見つかる ・ツリー構造のわかりやすいUIで情報整理が簡単にできる ・変更履歴は自動で保存され、誰がどこを変更したかも一目でわかる |
運営会社 | 株式会社プロジェクト・モード |
公式サイト | https://notepm.jp/ |
おすすめの企業 | 経理や事務業務に人員を割きにくい中小企業から大企業 |
※2024年3月13日現在
Coopel
Coopelは、専門的な知識がなくても簡単に利用できることを目指したRPAツールです。クラウド型のため、インターネットに接続できる環境であればどこからでも利用可能です。
料金プラン | ・Businessプラン:1ユーザーにつき月額5,940円
※価格は税込み |
主な特徴 | ・特別な知識がなくても簡単にシナリオを作成できる ・クラウド型のため、インターネットがつながる環境であればどこでも利用できる ・社内ネットワーク内(ローカル環境)でも使用できる ・1アカウントから契約ができる ・ロボット開発のナレッジが共有できる |
運営会社 | 株式会社ディー・エヌ・エー |
公式サイト | https://coopel.ai/ |
おすすめの企業 | RPAツールをリーズナブルに利用したい中小企業 |
※2024年3月13日現在
バックオフィスの効率化に成功した企業事例
バックオフィスの効率化に成功した企業事例を3つ紹介します。
- 月900時間の経費精算業務を1/3に短縮!|サンラリー株式会社
- POSデータを収集・分析するRPAを導入|サッポロビール株式会社
- 問い合わせ業務対応にチャットボットを導入|株式会社LIXIL
それぞれの目的に合わせてバックオフィスを効率化すると、事例のような大きな成果を得られるようになります。
それぞれについて、詳しく見ていきましょう。
月900時間の経費精算業務を1/3に短縮!|サンラリー株式会社
サンラリー株式会社では、紙ベースの経費精算をバックオフィス効率化ツールに切り替えた結果、業務時間が1/3に短縮されました。
導入前は月間900時間かかっていた作業が、スマホ専用アプリを活用した柔軟な申請・承認プロセスにより効率化されたからです。さらに、チャットや自動連携によって手入力のミスを削減し、以前より業務がスムーズになりました。
また、以前は口頭でやりとりしていたため「言った」「言わない」とうまく伝わらないこともありましたが、チャットに履歴が残るため「言った」「言わない」問題の解消にもツールは役立っています。
POSデータを収集・分析するRPAを導入|サッポロビール株式会社
サッポロビール株式会社では、手作業で行っていたPOSデータ収集作業がRPAの導入により解決しました。導入前は手作業で収集作業を行っており、1企業のPOSデータを収集するのに20〜30分程度としても、毎日十数企業分実施するため限界を感じていたのです。
RPA導入後は、平日朝8時過ぎに対象のパソコンの電源が自動的に入り、ダウンロードを開始します。人が何もしなくても、14時半頃にはすべての会社およびカテゴリーのPOSデータを取得できるため、大幅な作業効率化につながりました。
問い合わせ業務対応にチャットボットを導入|株式会社LIXIL
株式会社LIXILでは、自動応答システムを導入し、お客様の問い合わせに24時間365日対応する取り組みを行いました。たとえば、コールセンターではお客様とのやりとりを自動的に音声認識し、要約して記録する技術を導入しました。その結果、電話応対後の後処理が不要となり、生産性の向上につながっています。
今後は、Q&A作成や自動応答サービスへの展開をさらに進め、サービスの向上に役立てていく予定です。
バックオフィスの効率化で生産性をアップしよう
バックオフィスは、営業職やコールセンターなどのお客様に直接関わる役職をサポートする役割を担っています。バックオフィスが煩雑化すると業務効率が低下し、業務が滞る恐れがあります。バックオフィスの効率化は、企業にとって解決しなければならない問題となっているのです。
バックオフィスの効率化には、ツールの使用やペーパーレス化を促進するなどさまざまな方法があります。できることから始め、バックオフィスの業務効率化と生産性アップを図りましょう。
※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。
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