• 作成日 : 2024年11月5日

ペーパーレス化の成功事例とは?企業や自治体、失敗事例も解説

ペーパーレス化は、自治体や企業、学校、病院などさまざまな場所で行われています。事例が多く存在する一方で失敗事例も少なくありません。この記事ではペーパーレス化の事例や失敗事例、さらには推進する際の手順などについて解説しています。業務効率化を考えているビジネスパーソンはぜひ参考にしてください。

目次

東京都のペーパーレス化の事例

東京都では、ペーパーレス化に向けた取り組みを行っています。これは、仕事の仕組みや決まりなどを見直し、紙ベースの仕事環境からペーパーレス環境へと移行して、都政のDXを進めていくものです。

たとえば、東京都では2023年3月末時点でのコピー用紙調達量は約5,695万枚でした。これは2016年度の同月と比較して約72%削減されたもので、ペーパーレス化に向けた取り組みが順調に進んでいることを意味しています。

参考:東京都「5つのレス徹底推進プロジェクト

企業・自治体のペーパーレス化の事例

東京都だけでなく、企業や他の自治体でもペーパーレスに関する取り組みは行われています。ここでは具体的にどのような事例があるのか解説します。

参考:総務省「10のワークプレイス改革の取組

【企業】ノンペーパーへの取り組み(株式会社野村総合研究所)

株式会社野村総合研究所では、オフィスに紙が溢れる状況となり、セキュリティ面や業務効率等を考慮してペーパーレスに向けた取り組みを行いました。具体的には、机や足元、共用キャビネットなどの整理線との他、ノートパソコンの配布、ミーティングスペースの設置などです。また、会議に関してもペーパーレスで実施することとしました。

その結果、オフィス内には不要な紙がなくなり、個人が紙の資料を持たなくても仕事ができる環境が整いました。

【企業】ペーパーレス化とフリーアドレス化(コニカミノルタビズコム株式会社)

コニカミノルタビズコム株式会社は、新しいワークスタイルを生み出すことを目指して、ペーパーレスに関する取り組みを実施しています。

たとえば、同社ではフリーアドレス制を導入し、オフィスのレイアウトを変更したほか、文書を紙媒体で保存しないようにするペーパーストックレスを取り入れるなどしました。その結果、ペーパーレスが促進され、また、フリーアドレス化によるスペースの効率化などの効果も見られるようになりました。

【自治体】ペーパーレス会議の取り組み(長野県長野市)

長野県長野市では、会議などにおける資料の準備の手間がかかるという課題に対してペーパーレス会議の導入を進めました。具体的には、対象とする会議を選び、その上で適切な会議システムを決めるなどしています。また、職員に対する意識改革にも取り組んでいる点が特徴です。

取り組みの結果、紙の使用量は削減され、会議の準備にかかる手間も削減できました。

【自治体】文書管理への取り組み(千葉県我孫子市)

千葉県我孫子市では、公文書の保管が適切に行われておらず、どこに保管されているかわからないといった課題に対して、ペーパーレスに向けた取り組みを行いました。これは、文書の私物化や執務環境の悪化といった課題に対して、ファイリングシステムを導入するなどして文書管理の統一的な方法を定めるというものです。

取り組みの結果、文書管理の方法が統一され、必要な文書のみが保管されるようになり、円滑な業務が可能となりました。

マネーフォワードのペーパーレス化の事例

ペーパーレス化に関する取り組みはマネーフォワードでも行われています。引き続きここではマネーフォワードの事例について解説します。

【建設】経理業務のペーパーレス化で作業負荷を軽減

北海道で総合建設コンサルティングサービスを提供している北王コンサルタント株式会社では、経営陣が主導して積極的にDX化を進めており、その一環として経理業務の負荷を軽減するためにペーパーレス化に取り組んでいます。

以前から同社における経費精算フローは複雑なもので、申請するだけでも時間がかかっており、解決するべき課題とされていました。

マネーフォワード クラウド経費を導入したことで、スマートフォンによる領収書の撮影やデジタル保存が可能になるなど、紙での申請にかかる手間を大幅に削減できました。

関連リンク:https://biz.moneyforward.com/case/10958/

【人材サービス】紙ベースからの脱却で業務時間の削減

人材サービス会社であるランサーズ株式会社では、紙による各種申請作業でミスの発生リスクやそれに伴う修正作業が増加している状況でした。また、紙での申請となるとどうしてもリモートワークに対応できない点も課題でした。

業務効率化および内部統制の対応強化を目指してマネーフォワードPlusを導入した結果、承認申請フローが効率化され、業務時間を70時間削減できました。また、効率化によって時間が生まれたことで、メンバーの学習意欲も高まったそうです。

関連リンク:https://biz.moneyforward.com/case/9443/

【物流】毎月400件の支払依頼書作成をペーパーレス化

JPロジスティクスグループ株式会社では、紙の伝票を使った処理が中心でリモートワークに対応できておらず、さらに支払依頼書を1件ずつ作成していたこともあり、処理だけで6日もかかっている状況でした。

このような中で、改正電子帳簿保存法の施行が迫ってきたことで、会計システムの検討・導入をすぐに進めなければならなくなります。

数あるサービスの中で、マネーフォワード クラウドを選んだのは、導入支援サービスがあったためです。支援を受けることで短期間での導入を実現させ、さらに従来はできなかったリモートワークができる環境づくりにも成功しています。

関連リンク:https://biz.moneyforward.com/case/7661/

【医療・介護】押印作業や製本作業のコスト削減

ヘルスケア × データ分析に関する事業を展開する株式会社テックドクターでは、契約業務に関して押印証跡を残したいと考えており、ワークフロー機能を兼ね備えた電子契約サービスを探しており、マネーフォワード クラウドを導入しました。

マネーフォワードクラウドを選んだ理由は、紙の契約書のアップロードにも対応していたためです。これにより電子契約だけでなく従来の紙の契約書も引き続き利用できる環境となりました。

導入の結果としては、押印作業にかかるコストを削減できたほか、アラート機能によって契約期限の見逃しを防げるようになったそうです。

関連リンク:https://biz.moneyforward.com/case/7002/

【製造】紙の経費精算フローの月83時間を削減

スポーツ用品などを手掛ける株式会社モルテンでは、精算書を従業員が作成し、それを印刷したものに領収書を添付して提出するという形で精算を行ってとっていました。また、精算済みの申請書は本社に送付して紙ベースで保管していました。

しかし、このような形をとっていると作業に時間がかかってしまいます。実際に同社では、会社全体で経費精算だけで月に83時間、1年間で1,000時間以上を割いている状況でした。

このような中でマネーフォワード クラウドを導入したことで、決裁者の承認が降ればすぐに経理担当者に通知が来るようになり、精算業務の効率化が実現します。また、支払までのスピードも従来の1ヶ月から1週間に早まっています。

関連リンク:https://biz.moneyforward.com/case/9922/

ペーパーレス化で起こりがちな失敗事例

ここではペーパーレス化に取り組む際に起こりがちな失敗例を紹介します。反面教師にする意味でもぜひ参考にしてください。

印刷して確認してしまう

ペーパーレスは一覧性が低いデメリットを持つため、ペーパーレスにしたにもかかわらず資料を印刷して確認する人もいます。これでは余計に手間がかかってしまい、ペーパーレス化の推進が難しいものとなるでしょう。

システム導入や運用コストがかかりすぎる

ペーパーレス化にあたっては、Web会議ツールや勤怠管理ツール、電子契約システムなどのシステムの導入が必要です。システム自体は便利なものですが、導入コストがかかってしまうため、コスト面での課題をクリアできず、ペーパーレス化を進められないケースも起こり得るでしょう。

管理システムを使いこなせていない

ペーパーレス化に伴い導入する各種システムを社員が使いこなせないケースもあります。特に、デジタルツールの扱いに慣れていない、ITリテラシーが不足しているといった状態の社員だと難しいでしょう。そのため、必要に応じてマニュアル作成や研修などを行わなければなりません。

運用ルールが守られていない

運用ルールを守らないためにペーパーレス化に失敗するケースもあります。これは、新システム導入後も従来の慣れたやり方で作業を進める人が出てきてしまうためです。失敗を回避するためにも、ルールの遵守は徹底しなければなりません。

システム障害への不安がある

ペーパーレス化はシステム障害が起こると大きな影響を受けるために、万が一に備えて紙の書類も準備しておくといった人もいます。しかし、このような状態だと、ペーパーレスにした意味がなくなってしまいます。

事例をもとに無理なくペーパーレス化を進める手順

ここではペーパーレス化を進める手順を紹介します。どのようにすれば無理なく導入できるのか、ぜひ参考にしてください。

社内の協力体制を整える

ペーパーレス化を進めるにあたっては、社内で協力体制を整えなければなりません。社内でペーパーレスにいいイメージを持っていない人がいると、スムーズな推進の妨げとなります。早い段階で話し合い、協力を得られるようにしましょう。

紙で運用している業務の洗い出し

ペーパーレスを実現するには、まずどの業務でどのくらい紙を使用しているのか把握する必要があります。そのため、業務の洗い出しと整理を行ってください。細かい部分でも紙を使っている可能性があるため、注意が必要です。

ペーパーレス化する業務を決定

業務の洗い出しができたら、具体的にどの業務をペーパーレス化するのかを決めます。ポイントは、全ての業務をいきなりペーパーレス化しないことです。スモールスタートとすることで、移行に伴う負担を抑えられます。

ツールやシステムを選ぶ

ペーパーレス化に伴い、適切なツールやシステムを導入することも重要です。予算や使いやすさ、機能、ペーパーレス化の目的などを踏まえた上で選びましょう。特に従業員にとって使いやすいかどうかは、ペーパーレス化の成否にも関わる部分で非常に重要です。

運用ルール・ワークフローを策定

ペーパーレス化に伴い、従来と業務フローが変わるため、新たな運用ルールやワークフローを決める必要があります。たとえば社内での各種申請をペーパーレス化するのであれば、申請手順を整理しなければなりません。また、ルールが決まったら速やかに従業員に共有してください。

部署ごとなどスモールスタートから始める

先ほども触れていますが、ペーパーレス化は大きな混乱を防ぐためにもスモールスタートがおすすめです。たとえば、部署単位で各業務のペーパーレス化から始めるといった形ができるでしょう。一方でいきなり契約書や発注書など外部の企業が関係すると、導入の手間がかかります。

取引先にも協力を依頼する

契約書や発注書、請求書など、取引先や協力会社に対して送付する資料をペーパーレス化する場合、事前に協力を依頼しなければなりません。取引先がペーパーレス化に対応していないケースではどうするのかについても、あわせて考えておきましょう。早い段階で相談しておくことをおすすめします。

紙の使用量を見える化する

ペーパーレス化の効果を確認するためにも、紙の使用料を見える化しておくことが大切です。ペーパーレス化前後でどのくらいの変化があったのか、紙代やインク代はどのくらい節約できているのかといったことがわかれば、従業員もペーパーレス化に取り組みやすいでしょう。

ペーパーレス化の事例を参考に取り組んでみよう

ペーパーレス化は自治体や企業などさまざまな団体、組織で行われており、一般的なものだといえます。一方で、ペーパーレス化を推進したいものの、失敗するケースも少なくありません。

これからペーパーレス化を進めようとしている企業の担当者は、ぜひ今回紹介した事例を参考にしてみてください。


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