- 更新日 : 2024年9月11日
社内文書の書き方とは?ルールや種類別の例文・注意点を解説
社内の人に向けて発信するビジネス文書のことを「社内文書」と言います。社内文書は、社内での情報共有・コミュニケーションに欠かせません。基本的なレイアウトに従って作成することで、分かりやすい社内文書を作成できます。この記事では、社内文書とは何か、その概要を解説しつつ、社内文書の種類や書き方について説明するので、ぜひ参考にしてください。
社内文書とは?役割も解説
社内文書とは、社内の人に向けて発信するビジネス文書のことを言います。主に、社内での情報共有やコミュニケーションを円滑にするために作成されます。
各種お知らせや報告文書のほかにも、指示や通達のための書類、承認を得るための書類などその目的はさまざまです。一方通行に情報伝達するだけの文書もあれば、相手のリアクションが必要な文書もあります。また、全体に共有するために発信するものもあれば、個別に伝える目的で作成される文書もあります。文書でコミュニケーションを取る相手に関しても、新人からベテランまで、幅広い社員から上司に至るまで、社内のポジションは問いません。
社内文書は、業務の効率化や社内のコミュニケーションを円滑に進めるために重要なツールです。
社内文書と社外文書の違い
ビジネスにおいて作成される文書を「ビジネス文書」と言い、ビジネス文書には社内文書と社外文書の2種類があります。
2つの文書の違いは、送り先と送る目的です。社内文書は社員間でのコミュニケーションツールですが、社外文書は取引先や関係者など社外向けに作成します。
例えば、社外文書には見積書・請求書・発注書・納品書・領収書などの取引で使用する書類があります。取引で使用する書類に関しては、文書内容をめぐってトラブルに発展するのを避けるためにも正確さが重要です。
他に、案内や通知のために作成する挨拶状・招待状・案内状・お礼状・見舞い状などの社外文書もビジネス文書ではよく作成されます。これらの儀礼的な役割を果たす文書を「社交文書」と言い、失礼のないように、より礼儀を重んじた言葉選びに注意を払う必要があります。
社外文書は、先方と円滑なコミュニケーションをとるために欠かせない文書です。社外に対して、会社の代表者として社外とのやりとりをするための文書のため、読み手の立場に立って考え、内容の正確さはもちろん礼を尽くした表現が必要です。
社内文書の種類5つ
社内文書にはいくつか種類があり、書類やメールなどを活用して発信されます。社内での円滑なコミュニケーションや情報共有のためにも適切に作成し、運用ルールに従い発信することが大切です。
ここからは、代表的な社内文書の種類5つをご紹介します。
通知・案内に関連する文書
社員に通知・案内しておきたい情報を発信することを目的にした文書です。主に、会社の上層部や、部門の担当者などから発信されます。具体的には「社内の決定事項の共有」「会議日程や社内行事・イベントの案内」「人事異動・慶弔などのお知らせ」などが該当し、その内容は多岐にわたります。
通知・案内に関連する文書は、決定事項を社内全体に広く発信する文書のため多くの社員が目にする書類です。そのため、ぱっと見ただけで重要な情報が目に留まりやすく、伝わりやすい文書であることが求められます。
稟議・提案に関連する文書
稟議とは自分の判断で決定できない事柄の承認を得ることであり、稟議書はその時に提出する書類です。会議を開いて判断するまでもない事象に対して、権限のある方に決済・承認してもらうために作成します。企業によっては、稟議書が必要な金額や基準などを定めているケースもあります。
稟議が必要な主なシーンは以下の3種類です。
- 経費で備品やサービスを購入したい際の「購買稟議」
- 他社との契約の承認を得るための「契約稟議」
- 新しい社員を採用する際の「採用稟議」
稟議・提案に関連する文書は、提出先が決裁に関与する上司などに決まっており、目を通す社員も限られています。承認してほしい内容を分かりやすく明記し、決済期限も設定しておくと、承認までの流れがスムーズです。
届出・申請に関連する文書
勤怠における届出・申請や業務内容などを日常的に報告するための文書です。届出・申請に関連する文書には以下のような書類があります。
- 欠勤、早退、有給届け
- 退職、休職届け
- 日報、週報、月報
- 始末書、顛末書
- クレーム報告書
- 研修報告書
- 出張報告書
- 活動報告書
- 営業報告書
勤怠届は、従業員の勤怠状況の管理や給料を計算するために大切な書類です。報告書に関しては、活動状況を把握するだけでなく、内容を振り返り次の活動につなげるためにも役立つ資料になります。
指示・指令に関連する文書
指示・指令に関連する文書は、上層部が社員に対して発信する書類です。主に「人事に関する辞令」「業務指示書」「残業指示書」などが該当します。
指示書に関しては、指示を受けた社員が文書を見ただけで正確かつスムーズに業務に取り掛かれるような記載が必要です。指示内容の記載方法によって、業務の正確さや効率が左右されます。
指令・命令といったニュアンスの文書では、高圧的な表現にならないように注意が必要です。
記録・共有に関連する文書
記録・共有に関連する文書とは、議事録や社内データのことを言います。
議事録には会議の日時や出席者などを明記し、話し合った内容を分かりやすくまとめることが大切です。トラブルを避けるための備忘録としての役割や、会議に参加しなかったメンバーへの情報共有ツールとしての役割があります。
社内データには、売上やマーケティングに関するデータのほか、人事など社員に関するデータまでさまざまです。課題を見つけたり、企業の戦略を立てたりして、データをうまく活用することで、企業の成長につなげられます。
社内文書の書き方
社内文書には、一般的に利用されている書式や記載ルールがあります。内容に関係なく、同じレイアウトの文書で作成すればよいので、テンプレート化しておくと便利です。基本項目とレイアウト、構成を確認してみましょう。
社内文書の基本レイアウト
社内文書の基本的なレイアウトはどの文書も同じで、上から前付け・本文・付記の順番で構成されています。受取人の情報は左寄せ、発信者側の情報は右寄せにして記載します。
基本的なレイアウトを以下にまとめました。
文書番号 | 右寄せ |
---|---|
発信日付 | 右寄せ |
文書の受取人 | 左寄せ |
文書の発信者 | 右寄せ |
表題 | 中央寄せ |
本文 | 文頭を一字下げにして左端から記載 フォントは大きめ・太字 |
記書き | 中央寄せで「記」と記載 箇条書きは一字下げ |
以上 | 右寄せ |
担当者名(連絡先) | 右寄せ |
社内文書の構成・必須項目
社内文書に記載すべき必要項目は、以下の通りです。
文書番号 | 文書番号は必須項目ではないが、番号をつけておくと文書が整理しやすくなる |
---|---|
発信日付 | 文書作成日ではなく発信日付を記入する 和暦か西暦かは社内ルールに従う |
文書の受取人 | 受取人の所属部署名・職名・氏名・敬称を記入する 複数の社員に向けた発信は「◯◯各位」などと記す |
文書の発信者 | 発信者の所属部署名・職名・氏名を記入する |
表題 | 「◯◯について」「◯◯の件」などと記載する |
本文 | です・ます調で記載する 簡潔で分かりやすい文章にまとめる |
記書き | 重要な内容を箇条書きで記載する |
以上 | 本文と記書きの後、続きがないことを示す |
担当者名(連絡先) | 発信者とは別に担当者がいる場合などに記載する |
社内文書の例文
ここからは、実際の例文を示しながら書き方のポイントをご紹介します。「お知らせ・案内文」「お願い・依頼」「お詫び・始末書」の例文を確認してみましょう。
お知らせ・案内文の社内文書の例文
お知らせ・案内文には、従業員に広く知らせたい会議・社内イベントの告知や、人事・慶弔のお知らせなどがあります。複数の従業員が見る文書だということを意識して記載します。
■例文1
関係者各位
下記の通り、総合防災訓練を実施いたします。当日は、消防員立ち会いのもと、火災の被害を想定した訓練を行います。館内アナウンスに従い迅速に行動してください。
ご多忙中とは思いますが、ご協力のほどよろしくお願いします。
1. 日時:令和◯年◯月◯日(◯) ◯時◯分〜◯時◯分(予定)
2. 対象:全従業員(派遣社員・アルバイト含)
3. 内容:各フロアから非常階段を使用し駐車場へ避難
消火器の使用訓練
4. 備考:当日までに避難経路を確認しておいてください。
災害用避難袋の中身を確認し、不足があれば総務部◯◯までご連絡ください。
以上
総務部 担当 ◯◯
内線:◯◯◯
■例文2
従業員各位
令和◯年◯月◯日付で、以下の従業員の人事異動が発令されましたので、お知らせします。
新 旧
総務部
山田 太郎 総務部長 総務部総務課長
田中 花子 総務部総務課長 総務部庶務課
2.営業部
山本 二郎 ◯◯支店支店長 営業部営業一課課長
お知らせ・案内文は、大切なことにポイントを絞って、分かりやすく簡潔に記載しましょう。詳細や不明点を担当者に問い合わせてもらう場合には、結びの後に担当者の名前と連絡先を記載しておくと親切です。
以下より無料のテンプレートをダウンロードしていただけますので、ご活用ください。
お願い・依頼の社内文書の例文
アンケートや書類の提出を依頼する場合は、誰から誰に向けて依頼している書類なのかが分かるようにしておく必要があります。依頼する相手や依頼主を明確にし、提出先と提出期限も忘れず明記しましょう。
■例文1
社員各位
下記の要領でアンケート調査を実施いたします。
このアンケートは、社内におけるハラスメントに関する従業員の意識や実態を把握し、ハラスメント防止に取り組んでいくために実施するものです。
働きやすい職場をつくるための検討材料にさせていただきますので、率直にご回答いただきますようお願いいたします。
1. 調査事項 :ハラスメントに関する社内アンケート
2. 提出方法 :別紙回答用紙に必要事項を記入
3. 提出期限:◯月◯日(◯)17:00
4. 提出先 :総務部 担当◯◯ (内線:◯◯◯)
■例文2
部長各位
令和◯年度 事業計画作成のため、各部門の部門計画案が必要です。下記要領にて期限までに提出をお願いいたします。
1. 提出方法:所定様式に必要事項を記入
2. 提出期限:令和◯年◯月◯日(◯)17:00
3. 提出先 :経営企画部 担当◯◯ 宛に社内メールにて提出
以上
総務部 担当 ◯◯
内線:◯◯◯
mail:◯◯◯@◯◯◯
お願い・依頼をする目的やその書類が必要な理由を明確にしておくと、相手もリアクションを起こしやすくなります。
お詫び・始末書の社内文書の例文
お詫び・始末書は、仕事上で何らかのトラブルが発生した際に、その経緯を報告したりお詫びや反省の気持ちを表したりするために記載する文書です。「始末書」は不祥事やミス・トラブルに対する反省文、「顛末書」は事例共有により注意喚起や再発防止、サービス向上につなげる書類の意味合いがあります。
■例文1
◯◯部長殿
私は令和◯年◯月◯日◯時頃、◯◯駅付近で◯◯を紛失し、◯◯課をはじめ、多くの部署の方に多大なるご迷惑をおかけいたしました。
今回のことは私の不注意によるものであり、深く反省するとともに、今回の不始末で会社へ多大なご迷惑をおかけしたことについて、改めてお詫び申し上げます。
今後は二度とこのような不始末を繰り返さぬよう、細心の注意を払って業務に取り組みます。
誠に申し訳ございませんでした。
■例文2
◯◯部長殿
この度発生しました◯◯の発注ミスにつきまして、経緯と今後の対策を下記の通りご報告申し上げます。
1. 発生日時:令和◯年◯月◯日(◯) ◯時頃
2. 発生場所:スーパー◯◯
3. 発生経緯:発注先であるスーパー◯◯・担当者◯◯様より本日届いた◯◯の納品確認をしたところ、注文数1000個に対して、500個しか届いていないと連絡があった。
4. 原因:◯月◯日◯時頃に、◯◯様より追加注文を電話で受け付けていたが、担当者が発注数変更の手続きを忘れてしまった。
5. 対応:すぐに再発注を行うも、お客様の求める納期である特売日の◯月◯日に間に合わなくなった。
6. 再発防止策:取引先より追加注文やキャンセルなど個数の変更を受けた場合は、その場で発注書を作成し担当者へ申し送る。
発注書の控えを毎日勤務の終わりに最終確認し、上長に報告する。
この度は担当者の不注意でこのような事態を起こしてしまいました。伝達不足・確認不足を防ぎ、二度と起こらないよう再発防止を徹底いたします。
顛末書は、見た人が経緯を把握しやすいように箇条書きなどを利用して分かりやすく記載することが大切です。
社内文書のルール
社内文書には、さまざまな基本ルールがあります。社内でやりとりされる文書なので「相手の立場になって文章を書くこと」「敬語は最小限にすること」が求められます。ここからは他のルールも紹介しますのでポイントを押さえてください。
時候の挨拶は不要
取引先や顧客への文書では冒頭に時候の挨拶や感謝の挨拶を入れますが、社内文書では必要ありません。あくまで自社だけで交わされる文書なので、形式や礼儀を重視するよりも簡潔で分かりやすい文章が重視されます。
結論を先に書く
社内文書は挨拶を省略するので、冒頭から文書の主旨を記載します。ぱっと見た時に何について書かれてある文書なのかが分かるように、結論を先に伝えましょう。冒頭の前置きが長すぎると、何を伝える文書なのか分かりづらくストレスを与えてしまいます。
まずはタイトルで文書の主旨を簡潔に伝え、誰に向けた通知なのかも一目で分かるようにすることが大切です。効率よく業務ができることも考えて、読み手に配慮した文書を作成しましょう。
1つの文書には1つの用件
社内文書は、1つの社内文書に1つの用件が原則のルールです。同じ文書にあれこれ記載されていると、文書の主旨が分からなくなってしまいます。要件によっては対象者が違う場合も考えられるので、テーマを絞って分かりやすいタイトルをつけ、それに沿った内容のみを記載するのがベストです。複数発信したい内容がある場合には、それぞれの要件で別の文書に分けて発信するとよいでしょう。
「です」「ます」調の正しい敬語を使う
社内文書の文章は「です」「ます」調で統一するのが一般的です。箇条書きの部分では、体言止めや「だ」「である」調の表現が使われますが、本文中ではあまり使用されません。
社内文書とは言え、最低限の礼儀は必要です。「です」「ます」の正しい敬語で、正確に記載しましょう。必要以上にへりくだったり回りくどい表現を使ったりする文章よりは、簡潔で分かりやすい文章が求められます。
箇条書きを活用し見やすく
例文で示したように、本文の下の記書きには「記」と記して、お知らせしたい内容を箇条書きで並べて簡潔にまとめると視認性が高まります。
箇条書きで記す項目は、お知らせ・案内文の場合で言うと「日時」「場所」「内容」「持ち物」「備考」などです。これらの内容が長文の中に埋め込まれていると、そこから大切な情報を引き出さなくてはなりません。
箇条書きをうまく利用して、情報を整理して伝えましょう。
誤字脱字がないか確認する
文書を書き終えたら、誤字脱字をチェックし校正するのは文書作成の基本です。
記載内容に誤りがあれば、社内の業務に支障をきたしたり、トラブルを起こしたりする可能性があります。ミスが発覚し訂正のために再発信することになれば、多くの手間が発生してしまいます。
また、人の名前や役職名などを間違えるのも失礼にあたります。社内文書とは言え、誤りがあった場合には信用を落としてしまいかねません。誤字脱字を十分に確認してから発信しましょう。
A4書類1枚に収まるように心がける
社内文書は、できるだけA4書類1枚に収まるようにまとめるのがベストです。大切な事項を端的にまとめます。
どうしてもボリュームが多くなる場合には、別紙に記載するとよいでしょう。別紙に記載した場合には、記書きに「別紙参照」「詳細は別紙」などと記します。まずはA4書類1枚を見るだけで概要が理解できるようにすると、分かりやすくなります。
社内文書を郵送する場合は送付状は必要
送付状とは、文書を送る際に受け取った相手に何枚送ったかを知らせる書類です。文書を回覧したり掲示板に掲示したりする場合なら必要ありませんが、送る場合には送付状が必要です。
社内文書であれば送付状はいらないのではないかと考えてしまうかもしれません。しかし、社内でやりとりする書類でも「受け取っていない」「枚数が足りない」といったトラブルを避けるためにも送付状を付けたほうが安心です。
送付状に記載する内容は「日付」「宛先」「差出人」「同封内容」です。社内文書の場合、本文はシンプルな内容で構いません。郵送やFAXで文書を送付する場合は、送付状を付けて送るようにしましょう。
社内向けの送付状の書き方は、下記のリンク記事で詳しく解説しているので、ぜひ参考にしてください。
ルールに沿って分かりやすい社内文書を作成しよう
社内文書は、社内の人に向けて発信するビジネス文書です。社内文書には、さまざまな種類があり、状況に応じて使い分ける必要があります。また、社内文書はルールに沿って書くことで、分かりやすい文書を短時間に作成できます。この記事で紹介したルールやレイアウト・基本構成に沿って、分かりやすい社内文書を効率的に作成しましょう。
※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。
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