• 作成日 : 2024年4月17日

スマートワークとは?働き方の事例や企業が導入するメリット・課題を解説

スマートワークとは?働き方の事例や企業が導入するメリット・課題を解説

スマートワークとは、ICTを活用し、テレワークやフルフレックス、ワーケーションなど時間や場所に囚われない働き方をすることを指します。近年さまざまなICTツールが登場する中、スマートワークを実施するハードルも下がっており、導入する企業も多数あります。

スマートワークの導入により、生産性の向上や残業時間の減少などが見込め、企業の利益を追求したり従業員のワークライフバランスを改善したりすることも可能です。実際に導入した企業の事例とともに、スマートワークのメリットや導入時の課題などを詳しく解説します。

スマートワークとは?

スマートワークとは、ICT(情報通信技術)を活用した柔軟な働き方のことです。

スマートワークを導入した職場では、従業員が時間や場所に縛られずに働けます。業務へのパフォーマンスを高められるようになり、生産性の向上を目指せる取り組みです。

スマートワークが注目されている背景

スマートワークが注目されている背景には「働き方の多様化」や「生産性向上」があります。

近年はライフスタイル・ワークスタイルが大きく変化し、労働についても自分の時間を大切にできる働き方を重視する方が増えました。企業側も働き方改革の推進として、多様で柔軟な働き方ができる環境の整備を求められている状況です。

また、日本では労働力不足が企業の課題となっています。労働力不足への対策の1つが「生産性向上」であり、雇用している人材の労働生産性向上はもちろん、潜在的な労働力の活用や人材の離職防止も必要です。

スマートワークは「働き方の多様化」「生産性向上」の実現につながるため、多くの企業に注目・導入されています。

スマートワークの種類や具体例

スマートワークには明確な定義がなく、ICTを活用した広範な働き方の種類があります。スマートワーク導入を検討する企業は、具体例を知っておきましょう。

スマートワークの主な種類を5つ紹介します。

テレワーク

テレワークとは、インターネットなどのICTツールを利用して、本来のオフィスとは離れた場所で勤務する働き方です。在宅勤務・モバイルワーク・サテライトオフィス勤務の総称であり、従業員は自宅やカフェ、遠隔地のサテライトオフィスなどで仕事をします。

テレワークは通勤時間・移動時間の削減ができる点がメリットです。従業員のライフスタイル・職務に合わせてテレワークを導入すると、生産性の向上が期待できます。

フルフレックス

フルフレックスとは、決められた総労働時間を満たしていれば、従業員が就業時間を自由に設定できる働き方です。企業によってはスーパーフレックスと呼ぶこともあります。

フレックスタイム制と似ているものの、フレックスタイム制には必ず勤務しなければならない時間帯の「コアタイム」が設けられています。フルフレックスはコアタイムがなく、働き方の自由度はより高い点が特徴です。

フルフレックスを導入した職場では、「子どもの送り迎えの時間を作りながら働く」「通勤ラッシュを避けて働く」といった選択ができるため、従業員にとって働きやすい職場となります。

パラレルワーク

パラレルワークとは、2つ以上の仕事を同時に取り組む働き方です。

パラレルワークは副業や兼業と混同されることが多いものの、パラレルワークで取り組む仕事には本業・副業の違いがなく、すべてを本業として扱います。

また、収入を得ることを目的とした仕事だけでなく、アーティスト活動・学術的活動やボランティアなどの社会貢献も、パラレルワークの仕事に含まれます。

パラレルワークを導入すると、従業員が目指すキャリアや経験を達成しやすくなり、自己実現の支援につながります。

ワーケーション

ワーケーションとは、観光地や帰省した地元などで休暇を楽しみながら、仕事も行う働き方です。主に休暇型と業務型の2パターンがあります。

休暇型は、福利厚生の有給休暇を活用してリゾート地や観光地でリフレッシュしつつ、空き時間でテレワークを行うスタイルです。

一方の業務型は、業務を主体にして、業務時間の前後や休憩時間に余暇を楽しむスタイルです。

ワーケーションの取り組み方は企業によって異なり、導入する企業ごとにさまざまなスタイルで実施されています。

クラウドソーシング

クラウドソーシングとは、企業がインターネットを介して、不特定多数の人材に業務を依頼・委託する方法です。

業務依頼の方法としては、一般的には委託したい業務の内容をインターネット上で開示し、受注希望者を募集するやり方が選択されます。集まった受注希望者の中から、企業側が委託する相手を選んで発注する流れです。

クラウドソーシングは社外に業務を委託する方法であるものの、ICTを活用する働き方であり、かつ企業の生産性向上につながるため、スマートワークの一種と言えます。

企業がスマートワークを導入するメリット

スマートワークは従業員にとって快適な働き方を実現できるだけでなく、企業にとってもさまざまなメリットがある取り組みです。

企業がスマートワークを導入するメリットを5つ紹介します。

優秀な人材の確保

企業がスマートワークを導入すると、従業員の多様な働き方を推進しているというブランディングができ、採用活動で幅広い層の人材が集まります。特に成長意欲が高い人材を発見しやすく、優秀な人材の確保ができるでしょう。

優秀な人材の確保につなげるには、スマートワークの取り組みを社外に発信することも大切です。

生産性の向上

スマートワークは従業員にとって仕事がしやすい環境を選んで働くことができ、生産性の向上につながります。

例を挙げると、従業員が長時間の通勤をして出社する環境では、通勤時間は生活と仕事のどちらにも貢献しないムダな時間です。

テレワークで在宅勤務やサテライトオフィス勤務を選択すれば、今まで通勤に使っていた時間を仕事に使用できて、生産性の向上が可能です。

ワークライフバランスの実現

スマートワークは、従業員のワークライフバランスの実現を支援できます。

ワークライフバランスとは、仕事と生活の調和が取れた状態のことです。ワークライフバランスを実現できた従業員は、生活の充実によって仕事がはかどり、さらに生活が充実していく好循環を生み出せます。

ワークライフバランスの実現は、従業員に長く健康的に働いてもらうために欠かせないポイントです。

従業員のモチベーションアップ

スマートワークによって従業員が働きやすさや仕事へのやりがいを感じることにより、モチベーションアップが可能です。

従業員がモチベーションを高められると、仕事に対して前向きに取り組めるようになり、生産性の向上にもつながります。高いモチベーションは他の従業員にも波及し、企業全体によい影響を与えるでしょう。

離職の防止

スマートワークは離職の防止にも効果的です。

従業員の中には、ライフスタイルの変化によって離職を考えるケースがあります。「子どもと過ごせる時間を作りたい」「親の介護が必要になった」などが、離職につながるライフスタイルの変化です。

スマートワークを導入すれば離職ではなく、新しいライフスタイルに合わせた働き方で勤務を続けてくれる可能性があります。

企業がスマートワークを導入する際の課題

スマートワークは多くのメリットがあるものの、導入時にはいくつかの課題もあります。企業はスマートワークの課題を把握し、解決策も考えておきましょう。

スマートワーク導入時の主な課題と、解決策を解説します。

業務フローの見直し

スマートワークを導入する際は、オフィス外で働く従業員の存在を踏まえて業務フローの見直しを行う必要があります。

例としては、スマートワーク勤務時のルール策定をしましょう。業務時間の管理や進捗管理の方法を決めて、業務で使用するツールを統一します。

スマートワークを推進するには、紙媒体の資料・文書といった社内データのペーパーレス化も必要です。

システム導入のコスト

スマートワーク実施にあたって導入する情報システムについて、コストが全体でどの程度かかるかを把握しましょう。

情報システム導入にかかる主なコストは、導入時にかかる「初期費用」と、運用中に発生する「ランニングコスト」の2つがあります。

特にランニングコストの中には毎月発生する費用もあるので、前もってしっかりコストのシミュレーションをしておくことが大切です。

勤怠や労務の管理

テレワークなどのスマートワークでは、社員証やタイムカードによる勤怠管理ができません。スマートワークに合わせた、勤怠・労務管理を導入する必要があります。

スマートワークの勤怠・労務管理は、ICT技術を活用することで解決可能です。従業員が社内システムにログイン・ログアウトした時刻で勤怠管理をしたり、操作ログやGPS情報をもとに業務状況を把握したりする方法があります。

人事評価制度の整備

スマートワークで働く従業員の勤務態度は、上司が目視で確認できません。人事評価制度についてもスマートワークを前提とした見直し・整備が必要となるでしょう。

スマートワークに適した人事評価制度には、従業員個人の目標達成度を評価する「目標管理制度」や、同僚や部下目線の評価も取り入れる「360度評価」などがあります。

情報漏洩のリスク

スマートワークを導入すると従業員が社外で働く機会が多くなり、情報漏洩のリスクも高くなります。情報漏洩を防ぐセキュリティ対策や情報管理が必要です。

例としては、スマートワークで利用するPCのHDD・SSD内データの暗号化や、USBメモリ内データの暗号化が挙げられます。社内ネットワークへの接続についても、データ通信の暗号化ができるVPNの利用を徹底しましょう。

スマートワークに必要となるICTツールの例

スマートワークを導入するためにはICTツールの活用が必要不可欠です。ICTツールはさまざまな種類があり、導入することでスマートワークが進めやすくなります。

以下では、スマートワークに必要となるICTツールの例を3つ紹介します。

情報共有ツール

情報共有ツールは、業務に関する情報・知識の共有に使えるツールです。ビジネスチャットツール・マニュアル作成ツール・社内Wikiといった種類があります。

テレワークなどのスマートワークでは対面でのコミュニケーションが難しく、社内における情報共有の停滞が課題となります。情報共有ツールを活用すると、社内・社外の従業員のコミュニケーションを活性化でき、蓄積された情報をどこからでも確認可能です。

Web会議ツール

Web会議ツールは、インターネット通信を介して音声・動画を共有し、リアルタイムでのコミュニケーションを可能とするツールです。

スマートワークでは従業員が社外で働くケースが多く、オフィスの会議室で行う実際の会議に参加できないことがあります。Web会議ツールを導入すれば、社外にいる従業員もパソコン・スマートフォンを活用して会議に参加できます。

他にも遠隔地の営業先との商談や採用面接にも活用できるなど、Web会議ツールは使い道が広いツールです。

電子署名(電子サイン)ツール

電子署名(電子サイン)ツールは、パソコン上で使用するファイルに電子署名を行うツールです。電子署名をしたファイル・データは、確かに本人が署名し、データの改ざんがないことを証明できます。

スマートワークで書類への署名が必要な場合、紙書類を受け取りにいったり郵送をしてもらったりするのは時間とコストがかかります。電子署名ツールを導入すればパソコン上で書類への署名ができて、業務効率化が可能です。

スマートワークの企業事例

スマートワークの導入を進める際は、企業の導入事例を参考にすることもおすすめです。

最後に、スマートワークを導入した企業の事例4つと、各社が導入によって得られた効果を解説します。

株式会社リクルートスタッフィング

株式会社リクルートスタッフィングは人材派遣業の企業であり、2013年よりスマートワーク推進を行っています。

同社は最初にスマートワークの定義を社内に浸透させることから始め、限られた時間での生産性向上と営業力強化を目指しました。推進活動によって時間あたりの売上向上や、深夜労働・休日労働を含む労働時間の削減といった成果を得ています。

また、近年はテレワーク導入を進める企業が増えたことで、2021年8月には同社における派遣スタッフのテレワーク導入割合は50%以上となりました。

出典:(株) リクルートホールディングス「限られた時間の中で、最大の成果を」 スマートワーク推進で変わる働き方のルール」
出典:株式会社リクルート公式note「一人ひとりの「働きたい」を叶えるために。リクルートが「テレワーク派遣」普及に取り組むわけ」

コニカミノルタ株式会社

コニカミノルタ株式会社は電子機器・ヘルスケア・ソリューションサービスなど幅広い事業分野を展開する企業です。

同社は2013年より働き方改革を実践しており、テレワーク・フルフレックス・フリーアドレスといった多様で柔軟な働き方につながる取り組みを導入しています。

コニカミノルタ株式会社では、2018年度と比較して2020年度に39%の残業時間削減に成功しました。テレワーク中の業務生産性も、82%の社員が維持・向上できたとしています。

出典:コニカミノルタ株式会社「つなぐオフィス」
出典:コニカミノルタジャパン 採用サイト「働く環境を知る」

ソフトバンク株式会社

ソフトバンク株式会社は、スマートフォンに代表される移動端末の通信サービス提供などを事業とする企業です。

同社は組織と個人のパフォーマンス最大化を目的として、2017年から働き方改革を本格的にスタートしました。社内スローガンに「Smart & Fun!」を掲げ、在宅勤務・フルフレックス・サテライトオフィスなどの労働環境づくりを行っています。

ソフトバンク株式会社のスマートワークへの取り組みは社会的に評価されており、企業のブランド力強化につながっています。

出典:SoftBank「スマートワークスタイルの推進」

ダイキン工業株式会社

ダイキン工業株式会社は、空調機器・化学製品をメイン事業とする企業です。

同社は従業員の柔軟な働き方を推進するために、在宅勤務・フレックスタイム制(フルフレックス含む)などの勤務形態を用意しています。

ダイキン工業株式会社はスマートワークやダイバーシティへの取り組みにより、多様な人材の能力を生かしたイノベーション創出や生産性向上といった成果を挙げています。

出典:ダイキン工業株式会社「ダイバーシティについて」

スマートワークの推進で働き方の多様化を

ICTを活用し、テレワークやフルフレックスなどを取り入れる「スマートワーク」という働き方には、生産性の向上や離職防止、ブランディング強化などさまざまなメリットがあります。実際にスマートワークを推進する企業は増えており、今後ますます注目されていく働き方だと言えるでしょう。

労働力不足が問題となる中で人材確保を行うためにも、多様な働き方ができる体制を整え、従業員一人ひとりにとっての良い働き方を尊重していくことが今後の企業には求められます。


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