• 作成日 : 2023年12月8日

情報リテラシーとは?低いとどうなる?意味や企業が行う対策を簡単に解説

情報リテラシーとは、世の中にある情報を適切に把握して活用できる能力です。IT化が進みさまざまな情報が存在する現代において、情報漏洩や誤情報の発信を防ぐために求められます。

本記事では、自身や社内のメンバーの情報リテラシーを高めたい方に向けて、情報リテラシーの意味や使い方、身につけ方を解説します。情報リテラシーを理解して、企業の評価を高めましょう。

情報リテラシーとは?

情報リテラシーとは、世の中に溢れる多種多様な情報を、適切に活用できる基礎能力です。ビジネスパーソンとして働くうえで、正確な情報をもとに業務を行う点が求められます。

顧客に正しい情報を提示するためや重大なトラブルを防ぐことを目的に、情報リテラシーを高める対応が必要です。間違った情報を活用すると、システムのエラーにつながるなどのリスクがあります。

情報リテラシーには、以下のような具体的な能力が含まれます。

  • 情報を検索・取捨選択する力
  • 得た情報が本当に正しいものか見極める力
  • 情報を正しく解釈・分析・評価する力
  • 情報を正しく作成・発信する力

情報リテラシーは、新聞やSNS、ブログ、友人の話など、世の中にあるすべての情報を指します。情報リテラシーを身につけると、業務におけるマイナスの影響を防げるだけでなく、効率的に仕事を進められます。

ITリテラシーとの違い

ITリテラシーとは、コンピュータやそのほかのIT機器にまつわる知識・利用能力です。コンピュータ操作やデータ作成・整理ができる能力、インターネットやツールを利用した情報検索能力などがあります。

一方、情報リテラシーは、情報自体を使いこなす能力です。ITリテラシーは、情報リテラシーの一部と考えられます。

ITリテラシーが高い場合でも、情報リテラシーが高いとは限りません。ITツールを使って得た情報を、正しく理解・活用するには、情報リテラシーが必要です。

メディアリテラシーとの違い

メディアリテラシーとは、メディア(テレビや新聞、ラジオ、インターネットのサイトなど)から得た情報を読み解き・活用する力です。主にメディアの情報を精査し活用する能力といえます。

一方、情報リテラシーは、メディアリテラシーよりも広い意味合いをもちます。あらゆる情報の中から必要な情報を収集し真偽を読み解き、目的に応じて活用する能力です。

メディアリテラシーは、情報リテラシーの一部と考えられます。メディアの情報だけでなく、ほかの情報源からも知見を得るには、情報リテラシーが必要です。

企業で情報リテラシーが注目されている背景

情報リテラシーが必要とされる背景は、主に次の2つです。

  • 根拠の薄い情報が増えている
  • 誰でも発信できるようになった

昨今では、インターネットやSNSなどで、真偽不明な情報やフェイクニュースが多く流通しています。実際に、株式会社野村総合研究所が2021年3月に行った調査によると、回答者の直近1ヶ月でのフェイクニュース接触率は75%にも達していると報告されました。

このような情報に騙されると、業務上の判断ミスや損失を招く可能性があります。

また情報リテラシーがなければ、自身も誤った情報を発信することも考えられます。具体的には、SNSで不適切な発言や画像を投稿したり、誤った情報を拡散したりする事態です。それにより、企業としての信用や評判を失う恐れもあるでしょう。

このような問題を起こさないためにも、情報リテラシーを鍛える努力が欠かせません。

参考:株式会社野村総合研究所 「フェイクニュース」に関するアンケート(過去調査比較を踏まえて)調査結果

情報リテラシーが低いとどうなる?

情報リテラシーが不足していると、数多くの問題が発生します。具体的には、個人情報の漏洩につながったり、企業のSNSで誤情報を発信したりといった例です。結果として、企業の信頼性が下がり、売上低下や顧客離れにつながります。

本項では、情報リテラシーが低いとどのようなリスクがあるのかを具体的な事例を挙げて説明します。

情報漏洩のリスクがある

情報漏洩は、情報の重要性や危険性を理解し、適切な対策を取ると防止できます。しかし、情報リテラシーが低いと、セキュリティ意識が低くなり、サイバー攻撃や誤操作によって情報が漏れてしまう場合もあるでしょう。

実際に、リクルートキャリアでは、個人情報が含まれるExcelファイルを誤って送信してしまい、約3万7,000人の個人情報が流出する事故が起きました。

情報リテラシーが不足しており、セキュリティ意識が低い場合、重大なトラブルを引き起こす可能性が高いでしょう。

参考:株式会社リクルートキャリア

誤情報を信じる、発信する

誤情報とは、事実と異なる情報や、意図的に歪められた情報です。誤情報は、インターネットやSNSなどで簡単に拡散される可能性があります。

情報リテラシーが低いと、誤情報を見分けられず信じてしまう場合や、発信してしまった場合に発展するでしょう。

また、業務にも影響を与えることも考えられます。例えば、最近のニュースを間違って伝えたり、根拠のない情報を拡散したりすると、企業における信頼性の低下や顧客や取引先とのトラブルに発展します。

そのため、情報を発信する場合は、公共機関の情報や論文などの信頼ある情報源から取得するようにしてください。

企業の信頼性が低下する

企業の信頼性は、今後の成長や競争力の向上に大きく影響しますが、情報リテラシーが不足していると低下する恐れがあります。

一度でもセキュリティ事故や情報漏洩が起きると、企業の信頼性は大きく損なわれるでしょう。

例えば、個人情報を流出させてしまうと「この企業が情報をもつと、今後も情報漏洩するのではないか」という疑念をもたれ、情報を入力するサービスの登録が減少するかもしれません。

さらに、投資家は、セキュリティリスクの高い企業に投資することをためらいます。その結果、企業が成長しない事態につながるでしょう。

情報リテラシーを身につけるには?

情報リテラシーは、多くの情報を収集して比較することで身につけられます。幅広い視点でものごとを考えられ、間違った情報に偏りにくいためです。

また、データを扱う資格を取得する方法も効果的です。一般論や主観だけでなく「この情報に根拠はあるのか?」といった点を考えられるようになります。

本項では、情報リテラシーを身につける具体的な方法を解説します。

多くの情報を収集し比較する

情報リテラシーを身につけるには、多くの情報を収集し、客観的に比較する対応が有効です。具体的には、インターネットだけでなく、本や会社のメンバーなどからも情報を得ると、幅広い視野でものごとを考えられるようになるでしょう。

それに関連して、一つの情報だけを鵜呑みにしない「クリティカルシンキング」と呼ばれる思考法も身につけてください。クリティカルシンキングとは「本当にこれで正しいのか」という疑問をもち、自分の考えを構築していく思考法です。

クリティカルシンキングを身につけることにより、情報の真偽や論理性を判断できるようになるでしょう。

さらに、情報を比較する際には、情報の出所や信頼性を確認する点も重要です。

例えば「政府や調査機関が報告している1次情報なのか」を意識すると、情報の価値や信憑性を見極められます。

事実が正しいのかを常に意識して、情報収集する点を心がけてください。

資格取得を通して学ぶ

情報リテラシーを身につけるためには、資格取得を通して常に学び続ける姿勢が大切です。新入社員のころは学習する機会が多いですが、長年会社にいると新しい知識を学ぶ意欲が減ってしまうためです。

しかし、情報は日々変化しているため、古い知識や方法に固執していると、時代に取り残されるでしょう。そこで、新しい知識を身につけることを目的として、資格取得を推奨します。

資格取得の例を挙げると、IT技術やデータ分析など、情報リテラシーに関連するスキルの習得が勧められます。具体的には、IT技術を身につけたい方は、ITパスポートや基本情報技術者試験などの資格がおすすめです。

また、データを精査する力を身につけたい方は、データサイエンティスト検定などの資格取得が挙げられるでしょう。

資格取得の勉強は、オンライン上で学習できる環境が整っているため、忙しい方でも学びやすくなっています。

企業が行う情報リテラシー対策4選

社員に情報リテラシーを身につけるよう伝えるだけでなく、企業においても対策が必要です。情報リテラシーを身につけるには時間がかかり、習得しても人為的なミスが発生する場合があるためです。

したがって、情報リテラシーを身につける研修を行ったり、社内のセキュリティを強化する施策を実行したりしましょう。ITツールやシステムを導入する点も効果的です。

本項では、企業が行う情報リテラシー対策を紹介します。

1.社員のレベルに合わせて研修を行う

情報リテラシーのレベルは個人によって異なるため、習熟度に合わせて研修を行う対応が効果的です。

研修を行う前にはアンケートの実施や、業務における情報リテラシーのレベルを確認することにより、社員のレベルを把握できます。

研修では、企業における情報セキュリティの基本的な知識や、SNSなどによる情報発信のリスクを学べるでしょう。

例えば、以下の点を学べます。

  • 情報リテラシーが求められる背景
  • 企業の失敗事例
  • 情報リテラシーを上げることによる利益

研修中には、社員に「自分の情報リテラシーのレベル」「どのような対策が必要なのか」を考えてもらうと、自分の頭で考える力や情報リテラシーレベルを向上させられるでしょう。

2.情報の取り扱いをルール化する

情報の取り扱いをルール化する対応も、情報リテラシー対策の一つです。個人情報の流出を防ぐには、情報の取り扱いのルール化が求められるでしょう。

具体的には、政府広報オンラインでは、個人情報保護法をわかりやすく解説しており、情報の取り扱いに関する基本的なルールを提示しています。

例えば、以下のようなルールが明記されています。

  • 個人情報の利用目的はあらかじめホームページなどにより公表する
  • 個人情報を利用する際は本人に知らせる
  • 取得した個人情報は利用目的の範囲で利用しない
  • 個人データを保管・管理するときはパスワードをかける

とくに、オウンドメディアやSNSでの発信をしている企業は、情報の取り扱いに関するルールを明確化する点が必要です。

参考:政府広報オンライン 個人情報保護法」をわかりやすく解説個人情報の取扱いルールとは?

3.セキュリティを強化する

情報リテラシー対策として、セキュリティを強化する点も大切です。社員の情報リテラシー向上を期待するだけではなく、人為的なミスを防ぐために組織としても対策を行う必要があります。

具体的には、外部からのサイバー攻撃やスパムメール開封などが発生した際に、情報が漏洩したり、システムが停止したりする恐れがあります。そのような場合に対応するために、セキュリティソフト(ウイルス対策ソフト)を常に最新バージョンにアップデートしておきましょう。

そのほか、UTMという機器も効果的です。UTMとは、外部のネットワークと社内のネットワークとの間に設置して、セキュリティ対策を一括管理できるコンピュータです。セキュリティレベルをより一層高めたい場合に利用してみましょう。

セキュリティを強化すると、情報リテラシー不足で誤操作を行っても、情報漏洩やシステム障害を防げる可能性が高くなります。

4.ITツールやシステムを導入する

情報リテラシー対策として、ITツールやシステムを導入することもおすすめです。IT資産や情報資産を守るために、必要です。

例を挙げると、PC操作ログ管理やネットワーク検閲機能などのツール・システムを用いると、社員のPCやネットワークの利用状況を監視し、不正な操作やアクセスを検知・対処できます。

ITツールやシステムの導入は、クラウド上のものも増えているため、不便なく利用できるでしょう。

また、IT導入補助金という制度があり、経済産業省がITツールやシステムの導入にかかる費用の一部を補助してくれる可能性もあります。補助金を活用しながら情報リテラシー対策につなげましょう。

参考:経済産業省 よくわかるIT導入補助金の「ITツール」

情報リテラシーを高めて企業の評価を高めよう

情報リテラシーとは、情報を適切に扱える能力です。情報リテラシーが低いと、情報漏洩や誤情報の拡散などのリスクが高まり、企業の信頼性や成長に影響を与える可能性があります。

情報リテラシーを身につける方法として、多くの情報を収集し比較することや、資格取得を通して学ぶといった対応が挙げられます。

社員の情報リテラシーレベルを高めて、企業の評価を高めましょう。


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