- 更新日 : 2025年1月31日
障害対応のフローと迅速に対応するためのポイント|無料テンプレも
システム運用中に障害が発生した場合、適切な対応が遅れると、業務への影響やユーザーの信頼喪失につながる恐れがあります。リスクを防ぐためには、システム障害対応フローを事前に作成し、関係者全員で共有しておくことが重要です。当記事では、障害対応の基本的なフロー(流れ)や、障害対応フロー図の無料テンプレートを紹介します。システム運用を担当するエンジニアやトラブル対応を効率化したい管理者の方は、ぜひご覧ください。
目次
障害対応とは?
障害対応とは、システムやネットワーク、アプリケーションに発生した問題を解決し、通常通り利用できる状態に戻すための対応作業のことです。障害要因は内的なもの(プログラムのバグ、設定ミス、ハードウェアの故障)や外的なもの(自然災害、アクセス集中、サイバー攻撃)など多岐にわたります。
近年では、障害管理の一環として「インシデント管理」の重要性が増しています。システム運用における「インシデント」とは、利用者がITシステムを使って本来できるはずの業務や操作が、何らかの問題によってできなくなる状態のことです。システム障害もインシデントの要因の1つであり、企業は迅速かつ正確に対応することで影響を最小限に抑え、ユーザーへのサービスを維持することが求められます。
障害対応プロセスを標準化し、効率的な復旧を図ることで、ユーザーからの信頼性の向上と再発防止を実現できるでしょう。
障害対応フロー図の無料テンプレート
障害対応フロー図を活用することで、運用現場での混乱を最小限に抑え、関係者間の役割分担を明確化できます。以下のフローチャートテンプレートは無料でダウンロードできるので、ぜひご利用ください。
障害対応のフローとは?
システムやネットワークで障害が発生した場合、冷静かつ迅速に対応するためにも事前準備が重要です。障害対応の業務フローを作成する前に、まずは管理の対象となるシステムの構成図を作成します。ネットワーク図・設定情報・グループポリシー・ライセンス情報・データセンター情報などを事前に収集しましょう。
また、発生する障害のレベルによって対応方法や対応時間が異なるため、内容ごとにフローを変えたい場合は「レベル1・レベル2・レベル3…」といったように定義します。
ここからは、具体的な障害対応の流れ(フロー)を分かりやすく解説します。
障害の規模・内容を把握する
システム障害が発生した場合、初動で行うべき作業は障害の規模と内容の確認です。障害発生時には、検知ツールやユーザーからの障害報告を基に、発生している現象、影響範囲、障害対応レベルなどを特定します。詳細な調査に時間をかけると対応の遅れにつながるため、確認ポイントを絞ることが不可欠です。
システム障害対応においては、問題の発生対象や影響を受けたインフラの状態を迅速に特定し、さらに障害の再現性や周辺システムへの影響も見逃さないようにする必要があります。障害の原因は複数の要因が絡み合っていることが多いため、発生箇所だけでなく周囲全体を広い視野で確認することが求められます。
関連部門や担当者に連絡する
障害が発生した際、範囲を確認した後の最初のステップは、関連部門や担当者への連絡です。事前に定められたフローに沿って迅速に行動することで、対応遅延や混乱を防ぐことができます。特に影響範囲が広い場合、顧客への早急な通知が必要になるケースも少なくありません。
連絡時には、速さを優先する一方で、不明確な情報を伝えることで混乱を招かないよう注意します。不確定な要素は「調査中」や「未確認」と明確に伝えることで、誤解を防ぎます。また、伝える内容は簡潔かつ整理されている必要があり、関係者全員が状況を正確に把握できることが重要です。
社内・ユーザーへの影響範囲を調べる
障害発生時に迅速な復旧を実現するためには、社内やユーザーへの影響範囲を的確に調査することが重要です。まず、障害が発生したシステムやアプリケーションを特定し、その周辺部分や関連する他のシステムに不具合がないか確認します。また、業務やサービスの提供にどの程度の影響が出ているのかを調査し、影響範囲を正確に把握することが求められます。
影響が広範囲に及ぶ場合や、復旧対応が長時間にわたる場合には、業務を継続するための代替策を迅速に検討しましょう。具体的には、予備サーバーへの切り替えや代替システムの利用、場合によっては電話やFAXによる対応への切り替えが有効です。
障害の原因を調査する
障害の原因を調査する際には、システム監視ログやレポートを基に、異常が発生した時点のデータを解析します。障害箇所が特定できない場合には、過去の類似障害を参考に仮説を立て、検証を重ねて原因を追求します。特にサーバー障害では、下層から上層へと順に確認する切り分け作業が有効です。
人的ミスによる障害の場合、操作内容の詳細を確認する必要があります。情報を引き出すためには適切なコミュニケーションが必要です。情報収集が的確であるほど、復旧作業がスムーズに進むだけでなく再発防止策の精度も向上します。
復旧作業に取りかかる
障害対応において、原因が特定されたらすぐに暫定対応を行います。暫定対応では、業務やサービスの影響を抑えることを最優先に、最低限の機能を回復させるか代替手段を用意しましょう。その後、ユーザーへ復旧の目処や代替ツールの利用方法について情報を共有します。
暫定対応が完了したら、恒久的な復旧作業に移行します。恒久対応では、作業計画を立てて手順を確立し、本番環境での慎重な操作が必要です。具体的には、バックアップの取得、作業ログの記録、複数人によるクロスチェックを実施します。
事後対応・再発防止に努める
障害対応業務の最終段階である事後対応では、障害の原因分析と再発防止策の策定が重要です。まず、障害の概要や業務への影響、暫定および恒久対応の詳細を報告書にまとめ、関係部門と共有します。報告書は、将来的なトラブルに備えるナレッジとして活用されます。
分析手法として、「なぜなぜ分析」が広く使われます。「なぜなぜ分析」は、表面的な原因だけでなく、背後にある根本原因を明らかにするために有効です。繰り返し「なぜ」を問いかけることで、問題の本質を追求できます。
迅速に障害対応をするためのポイント
システム障害は、万全を期していてもいつ・どのような規模で発生するか分からないものです。いざというときのシステム障害に備えるためにも、事前に障害対応フロー図を作成したり、日頃から従業員同士で丁寧なコミュニケーションを心がけたりすることが大切です。
ここでは、迅速に障害対応をするためのポイントを解説します。
障害対応フロー図を作成する
障害対応フロー図とは、障害が発生したときに、「記録しておくべき情報」や「対応の流れ」を整理して、視覚的に分かりやすくまとめたものです。
障害の検知から初動対応、復旧作業、再発防止策までの流れをまとめることで、障害発生時に必要な行動を順序立てて整理し、対応漏れや遅れ、混乱を防げます。フローチャートのように見やすいテンプレートもあるため、ぜひ活用しましょう。
可能な限り早い段階で障害を検知する
障害の兆候を可能な限り早い段階で捉えることで、対応の迅速化と影響の最小化が可能になります。監視システムやアラート機能を導入し、ITインフラやソフトウェアの稼働状況をリアルタイムで監視する体制・仕組みを構築しましょう。迅速に障害を検知する仕組みがあれば、異常が検知された瞬間に管理者へ通知され、即座に対応を開始できます。
早期検知が実現すれば、障害の拡大を防ぎ、ダウンタイムを大幅に短縮できるため、システムの安定運用に大きく貢献します。特に、ユーザーからのクレームや問い合わせによって障害を初めて把握する状況は避けるべきです。ユーザーに支障が出る前に兆候を捉え、対処を開始することが理想です。
丁寧なコミュニケーションに努める
システム障害が発生した際、迅速な復旧にはスムーズな連携と丁寧なコミュニケーションが欠かせません。事前にチャットツールやメール、電話といったコミュニケーション手段を明確にし、チームや関係者全員がその手段を把握しておくことが重要です。情報共有が滞るとミスが増え、対応の遅れにつながるため、正確かつ簡潔な伝達を心がけましょう。
また、関係者間でのコミュニケーションだけでなく、ユーザーからのヒアリングも重要です。冷静に状況を把握し、相手の立場に立った丁寧な説明を行うことで、信頼関係を築くことができます。特に、専門用語を多用せず、誰でも理解できる言葉を選ぶことがポイントです。
障害対応フロー図を活用してシステム障害に備えよう
障害対応フローを整備することで、システム障害が発生した際の混乱を防ぎ、迅速かつ正確な対応が可能になります。フロー図には、障害の検知、初動対応、原因調査、復旧作業、再発防止策までの一連の流れが記載されており、全関係者が同じ手順で行動できるようサポートできます。ぜひ、障害対応フロー図やフロー図のテンプレートを活用してシステム障害に備えましょう。
※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。
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