• 作成日 : 2024年12月27日

研究論文を整理する文献管理ソフト・アプリ8選(無料あり)

文献管理ソフトとは、研究論文のPDF・メモを整理・管理するためのツールです。主な機能に、タグ付けや参考文献リストの作成などがあります。

選ぶ際は、「日本語対応しているか」「検索しやすいか」などを比較することがおすすめです。本記事では、文献管理ソフト・アプリ8選や、無料版と有料版の違いなどについて解説します。

文献管理ソフトとは?

文献管理ソフトとは、研究活動のために主に学生や学者などが利用するソフトのことです。リファレンスマネージャーや引用マネージャーなどと呼ばれることもあります。

主な特徴は、研究論文PDFを整理・管理する点です。ここから詳しく解説します。

研究論文PDFを整理・管理するソフト

文献管理ソフトを使えば、参考文献とする研究論文を一括で管理できます。

研究やビジネスで多数の論文を読んでいると、論文の内容や自分が参照したい論文がどこにあったのかわからなくなることがあるでしょう。探し出すまでに時間がかかれば、その分研究や仕事に費やす時間が削がれてしまいます。

文献管理ソフトを使って整理して一元管理しておけば、キーワードなどを活用して探せるため、時間を有効に使える点がメリットです。

文献管理ソフトの主な機能

文献管理ソフトに備わっている主な機能は、以下のとおりです。

  • 文献の整理・タグ付け
  • 文献のデータベースの作成
  • グループで共有
  • 論文を書く時の参考文献リストの作成
  • Microsoft Wordなどと連動

各機能について、紹介します。

文献の整理・タグ付け

取得した論文を整理できることが、文献管理ソフトに備わっている主な機能のひとつです。文献管理ソフトを使うことで、ローカルフォルダ内を探し回らなくても、さまざまなデバイスで簡単にアクセスできます。

また、タグ付けも文献管理ソフトに備わっている機能です。タグ付けすることにより、文献を検索しやすくしたり、共同作業者に対象論文の作業中であることを示したりできます。

文献のデータベースの作成

文献のデータベースを作成できることも、主な機能のひとつです。

論文を作成する際は、「参考にする論文に漏れがないか」「研究対象に対して幅広い内容を参考にできているか」などを確認するために、データベースを作成することがあります。文献管理ソフトを使用すれば、著者名・論文名・掲載されている雑誌名・発行年などの情報を手軽にまとめられるでしょう。

グループで共有

グループで共有できることも、文献管理ソフトの機能として挙げられます。

効率よく共同論文の作業を進めるためには、こまめに情報共有することが大切です。その点、文献管理ソフトで文献を扱えば、ほかのメンバーもどのような文献が追加されたのかを把握できます。

なお、ソフトによってファイル自体を共有可能な場合と、文献リストを共有可能な場合があるため注意が必要です。

論文を書く時の参考文献リストの作成

文献管理ソフトには、論文を執筆する際の参考文献リストを作成する機能も備わっています。

論文を作成する際、どこまでがすでに発表されているもので、どこからが自分の考えなのかを明確にするために、参考文献リストを作成しなければなりません。参考文献リストの書き方には、ハーバード方式・バンクーバー方式のように決まりがあります。

決まりに則って、大量の参考資料を記入するのには、手間がかかるでしょう。そこで、文献管理ソフトを利用すれば、作成済みの文献リストを自動で論文に掲載する参考文献リストの形式に変換できます。

Microsoft Wordなどと連動

文献管理ソフトのなかには、Microsoft Word(以下、Word)と連動できるソフトもあります。

連動可能であれば、Word内で参考文献リストの作成や引用が手軽にできます。一般的に、論文はWordで作成するため、作業の手間を大幅に削減できるでしょう。

文献管理ソフト・アプリ8選(無料あり)

文献管理ソフトは、無料を含めてさまざまなソフトやアプリが存在します。代表例は、以下のとおりです。

  • EndNote
  • ReadCube Papers
  • ナレカン
  • Stock
  • Notion
  • Zotero
  • Mendeley
  • Cite This For MeRefME

ここから、8つのソフト・アプリの特徴を解説します。

EndNote:論文を書くときも引用文献リストを簡単に作成

EndNote料金
要問い合わせ

EndNote(EndNote21)は、論文内の引用や参考文献リストの形式を簡単に作成できる文献管理ソフトです。Cite While You Write(CWYW)ツールを用いることで、EndNoteに保存している文献の情報をMicrosoft Word やApple Pages内の引用欄・文献欄に挿入できます。

いつでも・どこでもアクセスできる点もEndNoteの特徴です。EndNote Webを使って、デスクトップパソコンやiPadアプリなどさまざまなデバイスでアクセスできます。

参考:EndNote 研究を加速させる。

ReadCube Papers:論文リストにメモつき

ReadCube Papers料金(月額)
Essentials7ドル
Pro14ドル
Enterprise要問い合わせ

ReadCube Papersは、文献のリストにメモをつけられる文献管理ソフトです。主に英文の論文を参照するケースでも、文献リスト内にメモを日本語で残しておけば、ひと目で理解できます。

AIアシスタントを活用することで、不慣れな言語で書かれた論文を理解しやすくなる点も特徴です。登録済みの文献に関連する文献を紹介してくれる機能もあります。

参考:papers by ReadCube Research Streamlined for Effortless Organization & Discovery(英語)

ナレカン:日本語・英語で論文を整理

ナレカン料金
ビジネスプラン
エンタープライズプラン要問い合わせ
プレミアムプラン要問い合わせ

ナレカンは、社内のナレッジにアクセスできるツールです。論文のPDFを蓄積することにより、文献管理ソフトとしての役割も果たします。

ナレカンの特徴は、日本語でも英語でも情報を整理できる点です。また、ファイル内まで検索可能なため、対象の資料をスムーズに見つけられます。

さらに、プレミアムプランに備わっている「ナレカンAI」に質問すれば、蓄積したナレッジを横断して適切な回答を自動生成する点も強みです。

参考:ナレカン 社内のナレッジに、即アクセスできるツール「ナレカン」

Stock:研究メモを簡単に管理・共有

Stock料金(月額)
ビジネス5(5人以下のチーム)3,000円
ビジネス10(10人以下のチーム)6,000円
ビジネス20(20人以下のチーム)12,000円
ビジネス30(30人以下のチーム)18,000円
エンタープライズ5(5人以下のチーム)5,000円
エンタープライズ10(10人以下のチーム)10,000円
エンタープライズ20(20人以下のチーム)20,000円
エンタープライズ30(30人以下のチーム)30,000円

Stockは、社内の情報ストックやタスク管理などができるツールです。Stockのノートに研究メモを記載したり、関連論文を添付したりすれば、共同研究の進捗管理ができます。

また、Stock内においてメンバー間でのメッセージやり取りが可能なため、ほかのツールを並行して使用する手間を省けるでしょう。

参考:Stock チームの情報を、最も簡単に管理できるツール「Stock」

Notion:論文を階層に分けて整理

Notion料金(月額)
プラス2,000円/メンバー
ビジネス3,000円/メンバー
エンタープライズ要問い合わせ

Notionは、タスク管理やドキュメント作成などさまざまな機能を備えたツールです。Notionの「ページ」は「ブロック」で構成されているため、論文の情報が多岐にわたる場合でも階層に分けて見やすく整理できます。

また、AIに質問するだけで、関連する情報を見つけてくれる点も特徴です。

参考:Notion 美しいものを作りましょう。

Zotero:参考文献リストを自動作成、100MBまで無料

Zotero料金(月額)
2GBプラン1.67ドル
6GBプラン5ドル
無制限プラン10ドル

Zoetroは、対象のページ上でクリックするだけで、自動で文献情報を取得できる文献管理ソフトです。また、Microsoft WordやGoogleドキュメントなどで、自動的に参考文献リストを作成できます。

さらに、ストレージ上限が300MBまでであれば無料で利用できる点も特徴です。

参考:Zoetro Your personal research assistant(英語)

Mendeley:文献リストをチームで共有

Mendeley料金
Premium要問い合わせ

Mendeleyは、ブラウザ上であればどのデバイスからも資料にアクセスできる文献管理ソフトです。Microsoft Wordで参考文献リストを自動で作成できるうえに、Mendeleyを使っているほかの研究者とも手軽に共有できます。

また、2GBまでであれば、Premiumプランに入らず無料で利用できる点も特徴です。

参考:Mendeley I M DISCOVERY

Cite This For Me:文献リストの保管

Cite This For Me料金(月額)
Premium6.99ポンド

Cite This For Meは、主に文献リストの保管機能を備えた文献管理ソフトです。また、対象のウェブサイト上でクリックすることで、参考文献リストのフォーマットに変換できます。

なお、無料版で使える引用スタイルは、ハーバード方式のみです。Premiumプランであれば、7,000以上の形式に対応できます。

参考:Cite This For Me Create Harvard, APA & MLA citations

文献管理ソフト・アプリの選び方

文献管理ソフト・アプリの主な選び方は、以下のとおりです。

  • 日本語対応か
  • 検索しやすいか
  • マルチデバイス対応か
  • 無料と有料の違いは何か

それぞれ解説します。

日本語対応か

文献管理ソフト・アプリを選ぶ際は、日本語に対応しているか注目しましょう。ソフトによっては、英語のみ対応している場合があります。

マニュアルも英語で書かれているため、英語に不慣れであれば操作方法を理解するまでに時間がかかるでしょう。また、日本語の検索機能にも対応していなければ、日本語で書かれた文献の管理には向いていません。

検索しやすいか

自分にとって、検索しやすいソフトなのかも確認するとよいでしょう。検索機能・検索方法は、文献管理ソフトやプランによって異なります。

たとえば、ファイル内も検索できるソフトであれば、よりスムーズに検索できるでしょう。また、AIアシスタント機能があるソフトであれば、自分では探しにくい情報でも対話形式で簡単に見つけられます。

マルチデバイス対応か

マルチデバイスに対応しているかも、選ぶうえで大切なポイントです。パソコン・タブレット・スマートフォンいずれにも対応していれば、いつでもどこでも必要な情報を確認できます。

また、ブラウザ対応なのか、デスクトップアプリ対応なのか、モバイルアプリ対応なのかなどの確認も必要です。当初アプリを提供していても、さまざまな事情で終了することもあるため注意しましょう。

無料と有料の違いは何か

「無料版があるのか」「無料版がある場合は有料版の違いは何か」にも注目することが大切です。

一般的に、無料版は期間限定だったり、容量やサポートが制限されていたりします。そのため、利用シーンに応じて、最初から有料版にすべきなのかをあらかじめ考えておきましょう。

なお、有料版を選択する場合も、金額によって対応している機能が異なることがあります。

文献管理ソフトは文献情報の一元化に便利

文献管理ソフトとは、文献情報の一元化に役立つソフトです。

文献管理ソフトを使えば、文献にタグ付けしたり、データベースを作成したりして研究論文の執筆作業をよりスムーズに進められます。また、論文を書く際に自動で参考文献リストを作成できて便利です。

文献管理ソフトを選ぶ際は、日本語に対応しているか、検索しやすいかなどに注目しましょう。決めきれない場合は、無料版から始めて導入すべきか検討する方法もあります。


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