- 更新日 : 2024年7月24日
Sloos(スルース)とは?使い方や安全性、他の文字起こしアプリとの違いを紹介
ZoomやMicrosoft Teamsでウェブ会議をしながら、文字起こしをもとに議事録を作成できたら、担当者の負担は大きく軽減するでしょう。実際にテレワークの普及によって会議が増加する中、数多くの文字起こしアプリが登場しています。
そこで本記事では、話者ごとの文字起こしが可能なSloosの使い方や安全性、他のアプリとの違いについてご紹介します。
目次
Sloos(スルース)とは?
出典:SloosサービスHP
Sloosとは、話者ごとの自動文字起こしを可能にし、AIが自動で議事メモを作成するツールです。QuantumCore社によって提供されており、対面やウェブ会議ツールで会話をしながら、話者ごとに文字起こしができます。
さらに録音データや音声ファイルを再生している同じ端末でSloosを利用したり、異なる端末同士を近くに置いて文字起こしをしたりすることも可能です。
話者ごとに文字起こしできるツール
Sloosは、レザバーコンピューティングを活用した話者認識技術を搭載しており、話者ごとに高精度な文字おこしを実現できるツールです。10秒程度の音声を登録すると、発言者名を表示しながら文字起こしできる点が最大の特徴となります。そのためSloosは、手軽に話者を識別しながら、精度の高い文字起こしが可能なソリューションとして注目されています。
2020年5月にβ版が、同年10月に正式版がリリースされ、2021年3月からは音声認識の精度が42%改善されました。さらに、利用時間は無制限かつ完全無償化されています。
Sloosの機能の特徴
ここでは、高精度な文字起こしを実現するSloosの機能の特徴をご紹介します。
最大10名までの話者を認識できる
Sloosは、特別なマイクでなくても汎用的なマイクを用意することで、最大10名までの話者を認識できる文字起こしツールです。なお最大10名は運営会社が示した推奨人数であり、環境によっては10名以上であっても一定の精度で識別可能とされています。
高い音声認識精度
QuantumCore社によると、Sloosは標準の音声認識と比べて42%以上も認識精度を改善しています。そのためノイズが多い環境のほか、マスク、スピーカー、ウェブ会議越しの音声であっても音声認識率が高い点が特徴です。
また音声認識の精度を飛躍的に高める「音声認識オプション」機能も搭載されています。さらに個人ごとの辞書モデルを作成し、話者認識を活用することで、自動で辞書を発言者ごとに切り替えることが可能です。結果的に、Sloosの音声認識の精度を高められます。
議事録の作成機能
Sloosアカウントを持つホストの画面に表示される「議事録の作成開始」をクリックすれば、議事録を作成することも可能です。議事録の作成が開始されると、話した言葉が表示される音声ウィンドウの下にある議事録ウィンドウに結果が表示されます。
議事録終了後、文字起こしの結果はCSVとテキストファイルの2つの形式で自動的にダウンロードされる仕組みです。
完全無償化無料トライアル
2024年6月時点では、高度に改善された認識精度を誇るSloosは、サービス拡大のために完全無償で提供されています。さらに時間無制限で利用可能です。
Microsoft TeamsやZoomと併用可能
Sloosは、Microsoft TeamsやZoomなど、ウェブ会議ソフトを使いながら利用することも可能です。多様なOSやブラウザで利用できることから、Sloosにブラウザからアクセスし、ウェブ会議ソフトを立ち上げて同時に利用してみましょう。
スピーカー音量およびマイク感度を最大にするほか、Windowsのユーザーは排他モードを解除する必要があります。
Sloosの始め方・インストール
ここでは、Sloosの始め方やインストールについて見ていきましょう。
インストール方法
Sloosを利用する際には、スマホアプリやデスクトップアプリをインストールする必要はありません。まずは動作環境として、下記の表から使用するブラウザを確認し、必要があればインストールしてください。
利用可能な端末はPCやMacのほか、スマホなどモバイル端末も該当しますが、PCあるいはMacを利用するのがおすすめです。iOSやAndroid向けには、Sloosプレビュー版が提供されています。そのため、スマホの機種やOSバージョンによっては、動作が安定しないケースがあるので注意してください。
Windows | MacOS | iOS | Android | |
---|---|---|---|---|
リアルタイム音声認識 | Google Chrome | Google Chrome | – | Chrome for Android |
音声認識オプション | Google Chrome Microsoft Edge Safari | Google Chrome Safari | Safari | Chrome for Android |
出典:Sloos ヘルプページ
アカウント作成
トップページ右上にある「新規作成」から、アカウント作成・登録を行ってください。メール認証を経て、簡単にアカウントを作成可能です。登録用のメールアドレスを入力すると、確認コードが送信されると同時に、確認コードの入力欄が表示されます。確認コード、任意のパスワードや氏名などを入力したら、アカウント作成をクリックします。
ログイン
アカウントが作成されると、ログイン状態になります。次回以降は、登録済みのメールアドレスとパスワードでログインしてください。
初期設定
Slooseを利用するためには、オーディオ設定やブラウザ設定が必要です。オーディオ設定では、スピーカー音量・マイク感度は、最大に設定してください。Windowsを利用している場合は、排他モードの解除が必要です。端末正面に顔を向けている際のみ集音するといった、端末独自の設定は解除するようにしましょう。さらに、ブラウザのマイク利用を許可する必要があります。
またSloosを利用中の端末が、スリープ状態やインターネット接続が解除された状態では、文字起こしの抜け漏れが発生するため注意してください。利用する端末は、常に起動している状態にしておきましょう。
長めのプレゼンテーションなど、会議中に端末を一定時間操作しないことが考えられる場合には、電源とスリープの設定を事前に調整しておくのがおすすめです。
Sloosの使い方
Sloosは無償で提供されているために、完全セルフサポート形式で利用することになります。実際にSloosを利用する際には、ヘルプなどを参照しながら自己解決していくことが大切です。
ここでは、Sloosの使い方について見ていきましょう。
ルームを作成する
議事録作成に必要な「ルーム」を作成してください。アカウント1件につき、ルームを1つ発行できます。Sloosの利用範囲は、ホストとゲスト合わせて合計10名(推奨)までです。
ルームを作成すると、発行から24時間有効なルームIDが発行されます。なおウェブ会議の参加者全員が、個別のイヤフォンマイクを使用する場合のみ、URL共有が可能です。自身でメール・チャットなどを介して、参加者にルームIDを共有する必要があります。
参加者の声を登録する
セキュリティの観点から、ゲストの音声録音は重要とされています。そこで、ルームIDを共有されたゲストがルームに参加する場合、ゲストの音声録音は必須です。音声の録音データなしでゲストが参加する場合には、ホスト1名だけがSloosを使用し、ルームIDを共有しないようにしましょう。
ルームIDを共有しない場合には、スピーカーマイクを利用した上で、ゲストの事後登録を行います。
参加者の声を録音する際には、下記の点に留意してください。
- 静かな場所で音声を録音する
- マイクに接近しすぎない
- 音声登録時と文字起こし時は、同じ環境を推奨
上記を踏まえ、音声登録は「参加者を追加」から行ってください。
会議を開始する
「Sloosを開始」をクリックすると、画面が切り替わるので、早速会議を開始しましょう。文字起こしの結果は、チャット形式で表示されます。テキスト横に表示された「・・・」からテキストの編集や話者名の変更が可能です。
出典:Sloos ヘルプページ
Zoomと併用する
Zoomなどウェブ会議ツールとの併用は、下記の3つのシーンが考えられます。
- イヤフォンマイク無し
- イヤフォンマイク有り
- オーディオミキサー
イヤフォンマイク無しの場合は、ホスト1名の端末でSloosにアクセスします。ホスト端末スピーカーから出力されるゲスト音声を、Zoom経由でホスト端末マイクで入力する流れです。
イヤフォンマイク有りの場合は、各参加者の端末からSloosにアクセスします。各端末から入力される音声から文字起こしする流れです。
オーディオミキサーの場合は、ホスト1名の端末でSloosにアクセスします。ホスト端末に内蔵されたオーディオミキサーへ出力されるゲスト音声を、ホスト端末の内部からSloosへ入力する流れです。
Sloosの料金プラン
2021年3月より、全ユーザーを対象にSloosは完全無償化されたことから、かつて有料プランを契約していたユーザーの利用料金の支払いは停止しています。
2020年10月の正式版リリース以降は、月額プラン(800円/2000円)や音声認識オプション(120円/時間)の利用料金が発生していました。サービス拡大プロモーションの一環で、2024年6月時点においても、Sloosは引き続き完全無償で提供されています。
Sloosの安全性は?
Sloosは、日本国内に設置されたマイクロソフト社のAzureサーバー上で稼働しています。そのためSloosの安全性は高いと言えるのですが、若干の不安点がいくつかあります。
例えば利用にあたっては、自社の情報システム部門に相談するなどしてファイアウォール等のセキュリティを解除しなくてはなりません。またインターネット上でのデータ通信を暗号化するTLSバージョンについて、Sloosは最新バージョンではなく1.2のみに対応しています。
Sloosと他の文字起こしアプリとの違い
話者ごとに文字起こしできるソリューションはSloos以外にも存在しますが、Sloosのように簡単には利用できません。他の文字起こしアプリは、主に次の3つがネックになって気軽に使いにくいのです。
- 高価な専用マイクを、参加者の人数に合わせて用意する必要がある
- 数分程度の音声を登録する必要がある
- 対応できる発言者は3名までといった限定等がある
一方、Sloosは汎用的なマイク1つで10名まで識別できるという大きな違いがあります。しかもレザバーコンピューティングを活用した「話者認識APIのVDQore(ブイディーコア)」を搭載したSloosは、10秒程度の音声登録で発言者を特定できるのです。
最初に音声登録をすることで、文字起こしの際に発言者名を表示しますが、未登録の場合は「Unknown」と表示します。さらに文字起こしを開始してから、文字起こし中の文章を利用して事後登録することも可能です。
Sloosは議事録作成だけでなく、次のようなシーンで利用できます。
- コールセンター:お客様からの問い合わせ内容の把握や対応方法の改善抽出
- 対面あるいはオンライン診療:問診した内容をカルテ記録に反映
- 人材採用の面接:面接官と求職者のやり取りを可視化
利用料一切不要で、全機能を利用可能
ZoomやMicrosoft Teamsを併用しながら、簡単・手軽に話者ごとに文字起こしが可能なツールとして、Sloosはビジネスパーソンの間で注目されています。2024年6月時点で、Sloosはサービス拡大を目指して無償で提供されているために、利用料は一切不要で全機能を利用可能です。
その分、完全セルフサポート形式で運用されているので、ヘルプなどを随時確認しながら利用することになります。
会議を開催する回数が増えて、議事録作成に負担を感じている方は、この機会にSloosを利用してみてはいかがでしょう。
※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。
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