- 更新日 : 2026年4月28日
形式知化とは?暗黙知との違いや具体例・変換する方法などを解説
会社や組織が抱えるさまざまな問題を解決するために、ナレッジマネジメントは非常に有効な手段です。ナレッジマネジメントとは、個々の社員が持つ知識やノウハウを組織全体で共有し、業務の質や生産性を向上させる経営手法のことです。特に重要な要素として「形式知」があります。
当記事では、形式知の意味や暗黙知との違い、具体的な変換方法について詳しく解説します。形式知の理解を深め、実際に組織で活用するための具体例やステップを紹介するので、参考にしてください。
目次
形式知とは?
会社などの組織におけるさまざまな問題の解決策として、ナレッジマネジメントは有効な手段です。ナレッジマネジメントとは、個人が持つナレッジ(知識やノウハウ)を組織全体で共有することで、業務の質や組織の生産性向上を目指す経営手法を指します。
ナレッジマネジメントにおいて重要なキーワードの1つが「形式知」です。まずは、形式知の意味や関連語との違いについて解説します。
出典:J-STAGE「看護実践の知識伝授プロセスにみられる暗黙知伝授の有用性の検討」
形式知の定義
形式知とは、言語や文章で共有・活用しやすい知識のことです。個人が持つナレッジを形式知化すれば、お互いの業務をサポートできる人材を増やせたり、ほかの仕事にチャレンジしやすくなったりと多くのメリットがあります。
また、形式知化したナレッジは誰もが把握しやすく、組織全体の知識として蓄積できる点も大きなメリットです。
暗黙知との違い
形式知と関連する言葉に「暗黙知」があります。暗黙知とは見える化されていない知識・ノウハウのことです。主に個人の感覚や経験に基づく知識であり、他人への共有・伝達が難しいのが暗黙知の特徴となっています。
形式知と暗黙知の大きな違いは、他者への共有・伝達の難しさです。形式知は見える化されており容易に共有できますが、暗黙知は見える化自体が難しく、他者に説明して理解を得るのが困難です。
集合知・実践知との違い
集合知とは、関連する多くの知識が体系的に集められた情報のことです。ある目的のために多くの人の知識や洞察・経験などを集めて活用することを指します。形式知と少し意味が似ていますが、形式知が記録・伝達されるナレッジなのに対し、集合知は人々が集まって問題を解決するためのプロセスであるという違いがあります。
実践知とは、実践の場で的確な判断に必要な能力です。実践知も経験に基づく暗黙知であり、形式知とは異なり見える化が難しい点があります。
形式知と暗黙知の具体例
形式知・暗黙知それぞれの具体例は、以下の通りです。
|
形式知 |
|---|
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マニュアル化や業務フローの作成を通して、誰でも客観的に理解できる資料にしたものが形式知にあたります。身近なもので言えば、料理レシピなども形式知の一種です。 |
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暗黙知 |
|---|
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一人ひとりが独自に身に付けた技術やテクニック、経験、勘などが暗黙知にあたります。勘に頼った作業や長年の経験に基づく技術といった暗黙知は、他者には共有されずに個人の内面にとどまっていることが多いです。 |
暗黙知は文章や図での見える化が難しく、そのままにしておくほうが楽な場合も少なくありません。しかし、業務が属人化し、暗黙知を持つ本人がいないと成り立たないという状況は、本人だけではなく周囲や組織全体の成長を妨げる恐れがあるため注意が必要です。
自動車の運転からみる形式知の具体例
自動車の運転を例に、形式知とは何かを見てみましょう。自動車を初めて運転する際には、事前にハンドルの切り方やブレーキのかけ方といった基本操作をマニュアルや口頭などの形で教えられます。つまり、自動車の運転で必要な基本操作は、他者に説明できる知識である形式知です。
教わった内容を知識として身に付けられても、実際に上手に運転できるようになるには運転経験を積み、コツや感覚を掴む必要があります。最終的には基本的な操作方法をわざわざ考えなくても、個人の感覚で運転できるようになるでしょう。しかし、自分で掴んだ感覚やコツを人に教えるのは困難です。つまり、個人の感覚やコツは暗黙知ということになります。
暗黙知を形式知化する方法
組織の成長を図るためには、社員の有益な個人的知識を形式知化し、業務効率化につなげることが大切です。暗黙知は主観的なものですが、形式知は自分以外の人が使う情報である点を念頭に置く必要があります。そのナレッジを使う人・検索する人・読み返す人それぞれの目的に合わせて適切な形式に落とし込むことが重要と言えるでしょう。
今回は、暗黙知を効率よく形式知化する方法について解説するので、参考にしてください。
SECIモデルを活用する
暗黙知の形式知化においては、SECI(セキ)モデルというフレームワークを活用するのが有効です。SECIモデルでは、以下の4つのステップに沿って暗黙知の形式知化を図ります。
|
共同化(Socialization) |
まずは、社員同士で共同作業を行う中で、暗黙知を暗黙知として共有することが大切です。例えば、新入社員にベテラン社員の仕事を見せたり、先輩社員の外回りに同行させたりといった手段があります。 |
|---|---|
|
表出化(Externalization) |
共同化で共有した暗黙知を、文章や図などで客観的に理解できる形にし、他者に共有するステップです。表出化のステップが暗黙知の形式知化にあたります。 |
|
連結化(Combination) |
表出化で共有した形式知をほかの既存の形式知と結びつけ、新しい情報や商品・サービスなどを生み出すステップです。 |
|
内面化(Internalization) |
形式知が社員それぞれのスキルや知識に落とし込まれ、実践される中で新たな暗黙知が生まれます。 |
SECIモデルは一度実践して終了ではなく、一連のプロセスを繰り返すことが重要です。暗黙知を形式知化し、新たな暗黙知が生まれるというサイクルを繰り返す中で、社員全員の知識・スキルの水準が上がり、組織に資産として蓄積されます。
形式知化に最適な場(Ba)を設ける
暗黙知を形式知化するためには、暗黙知や形式知を創造・共有・活用するのに適切な場(Ba)を設けることが重要です。場(Ba)とは、物理的に集まる場所だけでなく、サイバースペースを含んだ人とコミュニケーションを取り、知識を共有するあらゆる空間を指す経営学用語です。
形式知化の場(Ba)としては、実際に業務を行うオフィスや作業場のほかに、休憩スペースや喫煙所、食事会、社内SNSなどが挙げられます。
場(Ba)のデザインは、SECIモデルのステップごとに考えるのが有効です。例えば、共同化には休憩室や食事会など気軽な交流ができる場を、表出化には会議や面談など意見を出し合う場を設けるのが適切と言えます。
知的財産の継承方法を構築する
暗黙知から形式知化されたナレッジは組織にとっての知的財産です。SECIモデルを活用して暗黙知を形式知化し、新しいナレッジを獲得するとともに、蓄積された知的財産をどのように継承するかを考えるのも大切になります。
個人として他者にナレッジを継承することに消極的な人は少なくありません。しかし、組織全体でナレッジを共有する仕組みが構築されていれば、知的財産の継承が可能になります。また、知的財産の継承方法の構築だけではなく、情報共有を活性化させる仕組み作りも重要です。例えば、情報共有に関する人事評価システムを整えることも手段の1つとなります。
ナレッジリーダーを置く
暗黙知の形式知化で効果を出すためには、形式知化の責任者としてナレッジリーダーを置くことも有効です。ナレッジリーダーには、全社的な知識ビジョンを作成し、場のデザインなどを推進する役割があります。また、リーダーシップを発揮してSECIモデルに沿った形式知化をリードすることが必要です。
ナレッジリーダーによるマネジメントが成功すれば、暗黙知の形式知化は組織における新たな文化として定着させられるでしょう。
暗黙知を形式知化して業務のクオリティを底上げしよう
形式知は、組織全体で知識を共有しやすくするための重要な要素です。暗黙知を形式知化することで、業務の効率化や人材育成に大きな効果をもたらします。SECIモデルの活用や適切な場(Ba)の設置、ナレッジリーダーの導入など、さまざまな手法を組み合わせれば、暗黙知を効果的に形式知化できます。
組織の知的財産を最大限に活用し、成長を促進するために、形式知化の取り組みをぜひ実践してください。
システム乱立を解消するためのステップとは?
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その原因は、勤怠や経費など「部分最適」なシステム導入による乱立です。システム同士がつながらず、データの手入力やExcelでの突き合わせ作業が常態化。
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