• 更新日 : 2024年12月12日

デザインのヒアリングシートに必要な項目は?作り方・テンプレを紹介

クライアントとデザイナーが円滑にコミュニケーションを取り、認識の齟齬を減らし、プロジェクトを成功させるために役立つのがヒアリングシートです。ヒアリングシートに書かれた情報をもとに、デザイナーはクライアントの課題やデザインイメージ、プロジェクトのスケジュール・予算などの重要な情報を把握できます。

この記事では、デザインのヒアリングシートのテンプレート、およびWebデザインを行う際に記載しておきたい各項目を紹介します。

デザインの際にヒアリングシートを作る目的

デザインを行う際には、ヒアリングシートは必須です。なぜなら、ヒアリングシートがなければ、クライアントのやりたいことと、デザイナーの考えている着地点に違いが生まれるためです。完成してからクライアントに「思っていたものと違う」と指摘された場合、作業のやり直しが発生するでしょう。

したがって、ヒアリングシートは以下のような目的で作られます。

  • クライアントの現状と課題を把握する
  • クライアントが制作物に求めている要望を把握する
  • クライアントとデザイナーが認識を共有する

ヒアリングシートにより、デザイナーはクライアントがどういった課題を抱えているのか理解し、課題を解決するために最適なデザインを考えられます。また、クライアントが何をしたいのか、どういった点をデザインに盛り込みたいのかなどの要望を把握すれば、やり直しを防ぎやすいでしょう。

また、デザインの依頼を受けるにあたって、例えば、「シュッとしたデザイン」「重厚なイメージ」などクライアントの要望が抽象的なケースはしばしばあります。いくつかのサンプルを見せるなどの方法でヒアリングシートを活用してイメージをすり合わせれば、よりクライアントの満足度の高い成果物につながります。

デザインヒアリングシートの無料テンプレート

ヒアリングシートを作るときには、ある程度定型的な質問を用意しておき、それぞれを埋めてもらった上でさらに掘り下げるのが効果的です。したがって、テンプレートを使用するとスムーズに手間なくヒアリングシートを作成できます。

以下のような無料のテンプレートを用意しておき、案件に合った形でカスタマイズするのがおすすめです。

デザインヒアリングシートのテンプレートのダウンロードはこちら

Webデザインのヒアリングシートに必要な項目

デザインのヒアリングシートで聞いておきたい項目は、何を制作するかによって変わってきます。以下では、WebサイトやLPをデザインする際に、一般的に必要となるヒアリングシートの質問事項を10個紹介します。

クライアント情報

クライアントの以下のような基本情報について、ヒアリングシートに記載しておきましょう。

  • 社名
  • 事業内容
  • 経営理念
  • 沿革
  • 代表的な競合相手
  • 連絡先および普段の連絡方法
  • 代表者名
  • 担当者名
  • 決裁者名

特に、事業内容および経営理念、沿革についてはデザインに反映される情報のため、可能であればまとまったデータをクライアントから受け取るのをおすすめします。また、競合相手の情報は、競合他社のWebサイトとどのように内容を差別化するか、どういった点を参考にするのか、といった点で重要です。

もし可能であれば、担当者および決裁者のWebデザインに関する知識についてメモを付けておくと、クライアントとのコミュニケーションが円滑になります。

Webサイトの種類

クライアントが何を作りたいのか理解しやすくするためにも、Webサイトの種類を記載しましょう。主として、Webサイトには以下のような種類があります。

サイトの種類役割
コーポレートサイト企業のホームページとして、自社の情報を掲載する
サービスサイト自社の商品やサービスがどういったものか紹介する
ECサイト自社の商品やサービスを販売する
プロモーションサイト・LP自社の商品やサービスの認知度向上や販売促進を行う
ブランディングサイト自社のブランドをアクセスした人に認知させる
採用サイト自社の採用情報を載せて従業員を募集する
メディアサイト自社のニュースやオウンドメディアなどのコンテンツを掲載する

クライアントのリテラシーが高くない場合は、リスト形式にして、自社のサイトがどれにあたるのか選んでもらうやり方もおすすめです。

Webサイトのテーマやコンセプト

クライアントが何の目的で、どのような背景があって、Webサイトをどういったテーマやコンセプトにしたいのか記載する項目です。テーマやコンセプトには、主として以下があります。

  • 広報
  • 商品やサービスの認知度向上
  • 商品やサービスの販売
  • 採用強化
  • IR情報の発信

やりたいことがどれにあたるのかを明確にすれば、クライアントが求める着地点とのずれを小さくできます。

また、新しくWebサイトを作るのか、Webサイトリニューアルを行うのかも、この項目に記載しておきましょう。

Webサイトのターゲット

Webサイトがだれをターゲットにしているのかを記載する項目です。記載内容はBtoB(法人がターゲット)か、BtoC(消費者がターゲット)かによっても変わります。また、採用強化や認知度向上などの目的によっても異なるターゲットへの訴求が必要なため、デザインにあたって重要な項目と言えます。

ターゲットユーザーの性別、年齢、居住地域、職業、役職、収入、家族構成、趣味などをできるだけ詳細に書き入れましょう。

現状の問題や課題

クライアントが抱えている現状の問題や課題を記載する項目です。採用・業績向上・認知度向上など、現状抱えている課題を書き入れましょう。複数の課題を抱えている場合、それぞれに優先順位をつけて、どの課題を優先して解決したいか伝えてもらうのが大切です。

また、課題を解決するためにほかの施策を行っている場合、施策は現状どういった状態か、成果として何が出ているのかについてもこの項目に記載します。

Webサイトに期待する効果

Webサイトの作成やリニューアルによって、どういった効果に期待しているのか、KPIを含めて記載する項目です。アクセス数増加、売上アップ、来店率の改善、新卒社員の応募数上昇など、テーマやコンセプトによって期待する効果は変わります。

クライアントが希望する着地点を記載する項目であり、後々の施策にも関わってくるため、できるだけ具体的に、目標を数値に落とし込んで書き入れるとよいでしょう。

希望するデザインイメージ

クライアントが具体的にどういったサイトデザインをイメージしているのか、複数のデザイン案の中から依頼者に希望に沿ったものを選んでもらう項目です。また、以下のような内容も記載するのが一般的です。

  • サイトのイメージカラー(メインカラーとサブカラー)
  • トーン&マナー
  • フォント
  • レスポンシブ対応の有無
  • 多言語対応の有無
  • 決済機能や検索機能の有無

など

サイトを選んでもらう際には、「すっきり」「渋い」「モダン」など、複数のデザインイメージを表す言葉と、イメージの参考サイトを用意しておくのがおすすめです。もしクライアントがピンとくるサイトがなかった場合でも、デザインイメージとなる言葉を選んでもらえたなら、方向性をすり合わせやすくなります。

提供できる素材や利用ガイドライン

クライアントの企業ロゴや社内写真、原稿、画像などについて、提供できる素材の有無を記載する項目です。必要素材がない場合は新たに準備する必要があるため、工数やコストが変わります。

また、素材の利用ガイドラインがある場合は、情報を共有できるようにこの項目に入れておきましょう。

スケジュール・予算

クライアントのスケジュールや予算を記載する項目です。Webサイトの納期や公開予定日なども記載し、逆算して全体のスケジュールを決めた上で、納期や予算内に収めるために調整をかけ、見積を提出しましょう。

スケジュールや予算について紙面に残すほか、契約締結後に追加の作業が発生した場合のスケジュールや費用についても記載しておくと、無用なトラブルを防げます。

納品後の更新の有無

デザインを納品後、Webサイト制作や管理、更新をクライアントに任せるのか、あるいは制作および管理・更新作業を制作会社側で担当するのかヒアリングシートに記載しましょう。もし制作および納品を制作側が行う場合は、管理するサーバーやドメインの取得状況についても尋ねてください。

また、クライアントのリテラシーによっては、管理や更新作業をクライアント側で行う場合でも継続的なサポートが必要になるケースがあります。サポートや管理の有無についても確かめた上で、別途予算の確認も行うのが重要です。

ヒアリングシートを作るときの注意点

ヒアリングシートを作るときには、以下のような注意点を守ると、よりクライアントとのコミュニケーションが円滑になります。

  • デザインの方向性が視覚的に分かるサンプルを用意する

デザインの方向性を尋ねる際には、色見本や過去の実績、競合サイトのWebページなど視覚的に方向性が分かるサンプルを用意しましょう。デザインについて言葉でニュアンスを伝えるよりも、現物を見せたほうがクライアントの理解を早められます。

  • クライアントのリテラシーに応じてヒアリング内容を変える

ヒアリングシートは相手の要望を具体化し、クライアントと認識を共有する目的で作られます。相手が理解不足な状態でヒアリングを進めても、クライアントが満足する成果物を作るのは困難です。リテラシーの低いクライアントの場合、専門用語などを補足したり、選択肢形式にしたりして、相手が理解しやすいシートを作るのが大切です。

  • デザイナー側からも積極的に提案を行う

通常、デザイナーはクライアントよりもWebサイトのデザインに詳しいため、クライアントは専門家の意見をもらうことを期待しています。顧客の要望を受け身で聞くだけでなく、積極的にデザイナー側も意見を伝えましょう。

デザインのヒアリングシートにテンプレートを活用しよう

詳細なヒアリングシートは記入にある程度時間がかかる場合もありますが、後々修正が必要になった場合に発生する時間ロスよりは短時間で済みます。充実したヒアリングシートを用意しつつ、デザイナー側も適宜発信をして、顧客満足度の高い成果物を作りましょう。

クライアントの要望や現状の課題を具体的に把握し、適切なデザイン提案を行うためには、案件に合わせてヒアリングシートをカスタマイズするのが重要です。事前にテンプレートを用意しておき、クライアントのリテラシーなどに応じてある程度内容を変更すれば、ヒアリング作業がスムーズになるでしょう。


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