- 更新日 : 2025年1月31日
ヒアリングシートでWeb制作の課題解決!作り方や活用法(テンプレート付き)
コーポレートサイトやLPなどのWeb制作では、打ち合わせ前にヒアリングシートの作成が必要です。ヒアリングを実施しておけば、顧客(クライアント)の課題や要望を把握しやすくなるでしょう。
本記事では、Web制作でディレクションをスムーズに進められるように、ヒアリングの進め方や無料のヒアリングシートのテンプレートを紹介します。
目次
Web制作前にヒアリングを行うのはなぜ?
ヒアリングとは、ヒアリングシートなどを使って顧客(クライアント)が求めることを詳しく聞き取りすることです。Web制作者側が、各工程に入る前にヒアリングを実施します。
ヒアリングを実施する目的は、主に以下のとおりです。
- 顧客の課題や要望を把握するため
- 要件の聞き逃しを避けるため
- ヒアリング内容を共有するため
- 後のトラブルを防止するため
それぞれ解説します。
顧客の課題や要望を把握するため
顧客の抱える課題や要望を把握することが、ヒアリングを実施する主な目的です。
Web制作者側が有意義と思う情報を盛り込んでいても、顧客にとって有意義なコンテンツでなければ意味がありません。Web制作に入る前にヒアリングを実施して顧客が「どのような悩みを抱えているのか」「どのような情報を提供したいのか」を理解しておけば、クライアントにとって満足のいくコンテンツを提供しやすくなるでしょう。
要件の聞き逃しを避けるため
要件の聞き逃しを避けることも、ヒアリングを実施する理由です。
顧客と面談した際、対象案件以外の業務の話をしたり、雑談をしたりすることもあるでしょう。さまざまな話題を取り上げると、顧客の希望や期日といった重要な内容を聞きそびれたり、聞いてから失念したりする可能性があります。
その点、あらかじめヒアリングシートを用意して面談に臨めば、顧客へ重要な質問事項を確認し、聞いたことを記録しておけるため安心です。
ヒアリング内容を共有するため
要点を社内で共有するためにも、顧客からヒアリングを実施することが大切です。
ヒアリングシートを使って顧客が求めていることを確認し、その内容を社内であらかじめ共有しておくことで、担当者が不在のときも別の従業員が対応できます。また、急きょ担当者の異動や退職が決まった場合でも、プロジェクトを滞らせることなく進められるでしょう。
後のトラブルを防止するため
Web制作に取りかかってから顧客との間でトラブルを防ぐためにも、ヒアリングが必要です。
ヒアリングシートを使ってニーズや課題を確認しておけば、制作者と顧客で同じ認識を持てます。そのため、のちに認識のずれが発覚して顧客から「仕様が違う」などのクレームを受ける可能性を軽減できるでしょう。
そのほか、都度顧客に確認する手間や時間を省くことも、ヒアリングシートを使ってヒアリングを実施する理由です。
h2:Web制作時のヒアリングの進め方
Web制作時のヒアリングの進め方は、主に以下のとおりです。
- ヒアリングシートの作成
- ヒアリングシートの事前送付
- ヒアリングの実施
- ヒアリング内容の整理と共有
- Webサイトの企画・提案書の作成
各手順を簡単に紹介します。
①ヒアリングシートの作成
顧客からヒアリングするのに先立って、ヒアリングシートを作成しておきましょう。
まず、顧客のどのような情報を理解しておきたいか整理し、質問項目を書き出します。次に、書き出した項目を顧客が答えやすいような文章に直すとよいでしょう。
なお、ヒアリングシートはExcelやWordなどで作成することが一般的です。
②ヒアリングシートの事前送付
ヒアリングシートを作成したら、顧客に送付します。なぜなら、ヒアリング実施前から送付しておくことで、顧客も答える内容を整理しておけるためです。また、回答できる項目にあらかじめ記入してもらえば、ヒアリング当日にかける時間を短縮できるでしょう。
ヒアリング実施前に顧客からヒアリングシートを返送してもらえた場合は、回答に対してさらに掘り下げた質問を考えておきます。
③ヒアリングの実施
当日、ヒアリングシートの内容に基づきヒアリングを実施していきます。ただし、本題だけの話だと表面的な話し合いになってしまうため、時間の許す範囲でアイスブレイクも交えつつ進めることが大切です。
なお、ヒアリング当日に必ずしも質問事項について回答を得られるとは限りません。その場合は無理に聞き出そうとせず、表現を変えたり、双方で話し合いながらニーズや課題を掘り下げたりするなどの作業が必要です。
④ヒアリング内容の整理と共有
ヒアリング実施後、ヒアリングシートに顧客から聞き出した内容をまとめます。見やすく整理したら、社内の関係者間で情報を共有しましょう。
また、聞き出した情報をそのまま使うのではなく、そこからWeb制作に必要な情報を抜き出したり、掘り下げたりする作業が必要です。顧客の発言になくても、課題として挙げられる部分が見つかった場合はWeb制作に反映させるとよいでしょう。
⑤Webサイトの企画・提案書の作成
ヒアリング内容の整理と共有の作業を終えたら、Webサイトの企画や提案書の作成作業に入ります。
企画・提案書は、Web制作の現場が社内の上層部や顧客に対してどのようなサービスを提供できるかまとめた資料です。企画・提案書の内容によって、プロジェクトがスムーズに進むか、顧客に契約してもらえるかが決まります。
Web制作のヒアリングシート テンプレート-無料ダウンロード
Web制作のヒアリングに使用するテンプレート・ひな形は、以下ページより無料でダウンロードできます。
1から作成するよりも楽に作成できるので、ぜひお気軽にご活用ください。また、提案書や企画書、WBSの作成には以下のテンプレートが役に立ちます。
Web制作におけるヒアリングシートの作り方
Web制作におけるヒアリングシートは、Wordなどで必要事項を入力して作成します。必要事項は、以下のとおりです。
- 基本情報・連絡先
- Webサイトの概要
- ターゲットユーザー
- 市場特性
- Webサイトの運営目的
- 競合サイト
- 希望のデザイン仕様・カラー
- システム仕様
- 長期的な目標・ビジョン
- スケジュール、予算感
- 制作条件
- その他の要望
それぞれ紹介します。
基本情報・連絡先
「基本情報・連絡先」には、顧客の会社名・代表者名・電話番号・メールアドレスを記載します。スムーズに連絡をとれるように、担当者名や都合のよい連絡方法などもヒアリングしておきましょう。
また、スケジュール策定の参考にしたりするために、サイト開設時期も確認しておきます。
Webサイトの概要
「Webサイトの概要」には、顧客の事業概要やサイトのURL、ページ数などを記載します。また、WordPressのように、どのCMSを利用しているかの確認も必要です。
さらに、サイトのタイプも確認して記入します。記載例は、「コーポレートサイト」(企業情報を提供している場合)、「ECサイト」(商品・サービスを提供している場合)「リクルートサイト」(人材採用に特化している場合)などです。
ターゲットユーザー
「ターゲットユーザー」には、顧客がターゲットとしている相手を記載します。まずは、法人向けなのか、個人向けなのかを確認するとよいでしょう。
法人であれば、規模や業種を記載します。また、個人向けであれば対象の年齢や男女比を記載するとよいでしょう。そのほか、ターゲットのエリアも、Web制作に関連する重要な要素です。
市場特性
「市場特性」には、顧客の属する市場の規模や特徴などを記載します。市場特性を把握することにより、顧客がターゲットとする層のニーズをより深く理解できるでしょう。
ヒアリングシートへの記載例は、「市場規模は大きいが、大手企業の力が強く参入しにくい」「若年層の利用が多く、売上がSNSマーケティングに左右されやすい」などです。
Webサイトの運営目的
「Webサイトの運営目的」は、顧客にとってWebサイトのゴールが何かを把握するための項目です。どのような経緯でWeb制作を自社に依頼することになったのかをヒアリングしましょう。
ヒアリングシートへの記載例は、「人手不足に悩まされているため、Webサイトでアピールして人材を確保したい」「若年層へ自社の製品をアピールしたい」などです。
競合サイト
「競合サイト」には、競合他社のサービスで把握しているサイト、自社以外のサイトで気に入っているサイトなどを聞き取りして記載します。
記載例は、「サイト名〇〇、URL:、読み込みが速く、商品の取り揃えが豊富」、「サイト名□□、URL:、デザインがおしゃれでスマホで利用しやすく、若年層にアピールできている」などです。
希望のデザイン仕様・カラー
「希望のデザイン仕様・カラー」は、デザインコンセプトや、サイトのイメージカラーなどを確認する項目です。デザインはどのようなものをイメージしているか(例:芸術的、高級感、ヒーリングなど)などを記載しましょう。また、顧客が希望するイメージのデザインサンプルを確認しておけば、同じ認識を共有しやすいです。
サイトのイメージカラーが決まっていない場合は、顧客のコーポレートカラーを参考にする方法もあります。
システム仕様
「システム仕様」では、対応ブラウザを確認して記載します。記載例は「Google Chrome、Apple Safari」などです。
また、PCからの閲覧に特化するのか、スマートフォン(iOS、Androidなど)でも見やすいサイトにするのかといった「対応デバイス」も確認します。さらに、近年はSNSへの対応についてヒアリングすることも重要です。
長期的な目標・ビジョン
「長期的な目標・ビジョン」には、Webサイトではなく顧客の会社自体の目標や経営ビジョンを確認して記載します。記載例は、「〇〇年度までに年商□□億円を達成する」「社会課題を解決する企業を目指す」「△△年に海外へ進出する」などです。
あらかじめ会社案内やパンフレットなどをもらっておけば、確認できる場合もあります。
スケジュール、予算感
「スケジュール、予算感」は、顧客が希望する納期(公開日)やどれくらいの予算を見込んでいるのかを確認する項目です。
なお、顧客の希望する予算に応じて、Webサイトにどのような機能を搭載するか、リソースをどのように配分するかを決めます。予算によっては、顧客が希望するサービスを提供できないこともあるでしょう。
制約条件
「制約条件」では、スケジュールや予算以外で、プロジェクトを実現するにあたって制約になるものはないかを確認して記載します。
制約になりうる具体例のひとつが、「技術的制約」です。サーバーやデータベース管理システム、ソフトウェアフレームワークなどで制約になりそうなことがあれば記録しておきます。
また、法的制約や人材的制約もあれば記載しておきましょう。
その他の要望
ここまで紹介した項目に限らず、顧客からの要望があれば漏れなく記載しましょう。顧客の要望を詳しく確認することで、課題解決策も考えやすくなります。
Web制作におけるヒアリングシート作成時の注意点
Web制作におけるヒアリングシートを作成するにあたって注意すべき点は、以下のとおりです。
- 事前に相手の情報収集をしておく
- ヒアリングの順番は、現在→過去→未来
- 専門用語は置き換える
それぞれ解説します。
事前に相手の情報収集をしておく
顧客の業種や規模などによって目指すWebサイトも変わるため、ヒアリング実施前に顧客の情報を収集しておきましょう。
たとえば、飲食店であれば集客につながるサイトや予約サイトを希望している可能性があります。一方、建設業ではスタイリッシュな施工例を表示するサイトや、職人を募集するサイトを希望することがあるでしょう。
ヒアリングの順番は、現在→過去→未来
ヒアリング当日は、現在→過去→未来の順に顧客に聞き取りすることを意識しましょう。なぜなら、一般的にこの順番で質問したほうが、顧客が答えやすいといわれているためです。
たとえば、顧客のWebサイトの状況やターゲット層(現在)を確認し、過去に生じた問題(過去)を聞き取りしたあとで、Webサイトでどのような課題を解決したいか(未来)を把握するといった流れが考えられます。
専門用語は置き換える
質問内容が難しくて顧客が回答に困る可能性があるため、専門用語は極力置き換えましょう。とくにサーバーやセキュリティなど技術面・環境面に関する部分には注意が必要です。
また、顧客とやり取りしていくなかで、質問方法を変えていきましょう。顧客が質問を理解しきれていない場合は、一緒に考える姿勢を見せることも大切です。
Web制作前にヒアリングシートでニーズを把握しよう
Web制作にあたって、ヒアリングシートを作成して顧客(クライアント)にヒアリングを実施することがあります。ヒアリングは、顧客の課題を把握したり、顧客とのトラブルを未然に防いだりするために欠かせません。
Web制作のプロジェクトを進める際は、顧客の課題を解消できる充実したサイトを立ち上げられるようにヒアリングシートを作成しましょう。
※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。
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