• 更新日 : 2024年12月12日

アンケートとは?調査方法と回答形式の種類や作り方・テンプレを紹介

自社のサービスや商品に関する客観的な意見を知りたいときに、有効な手段の一つがアンケートです。近年ではWEBアンケートも多くの企業が取り入れており、従来のはがき調査や電話調査といったアンケート方法より比較的気軽に実施し、意見を得られるようになりました。しかしアンケートを作成する際には、しっかりと回答を得られるよう工夫する必要があります。

当記事では、アンケートの意味や目的、またアンケートの調査方法や回答方法の種類、作成方法などを解説します。

アンケートとは

アンケートとは、ある物事に対する情報を得るため、知見を持つ専門家やユーザーに対して調査を実施することです。日本では大人数に対する定型の質問調査を指して使われるのが一般的です。

アンケートは基本的に自記式調査票を配布して回答してもらいますが、ハガキや電話、インターネットを利用して調査するケースも少なくありません。

アンケートと市場調査の違い

そもそも市場調査とは、マーケティングの観点から市場の動向を調査することです。商品の需要や競合のシェア率などの現状を数値化・データ化してマーケティング活動に役立てます。

一方で、アンケートは対象者に対しての調査や質問を指すため、統計データを集めることとは性質が異なります。また、アンケートでは対象者の意見・行動の把握を目的としており、集計される結果は市場調査よりも限定的です。

つまり、アンケートは市場調査の方法の1つであると言えるでしょう。

アンケートの目的

アンケートの実施目的はさまざまです。具体的な例は以下の通りです。

  • 商品の開発や改善に生かすため
  • マーケティング戦略立案の参考にするため
  • 顧客満足度調査をするため

アンケートでは顧客のリアルな声を把握できることから、企業目線では気付けなかった見解を商品開発やマーケティング戦略立案に生かせます。的確な質問でデータを収集すれば、ビジネス上の意思決定を行うための参考情報として役立てられます。

アンケートの結果分析や結論付け、次に取るべきアクションの決定などをスムーズに行うためにも、アンケート実施前に目的を明確化しておくことが必要です。

アンケートの無料テンプレート

アンケートを作るときは、アンケート作成ツールのテンプレートを使用するとスムーズです。説明文や質問内容を差し替えるだけで簡単にアンケートが完成するため、作成の手間を最小限に抑えられます。

テンプレートを利用してアンケートを作る際には、下記の無料テンプレートをダウンロードするのがおすすめです。

アンケートの調査方法の種類

アンケートの調査方法は定量調査と定性調査の2種類に大別できます。また、それぞれ調査内容や目的によってさらに細かく複数の手法に分類することが可能です。

ここでは、定量調査と定性調査のそれぞれについて詳しく解説します。

定量調査

定量調査とは、人数や割合のような数値データを集計する調査です。たとえば、「賛成派が60%、反対派が40%」のようにデータを集計・分析するアンケートが該当します。

定量調査では基本的に「賛成・反対・どちらでもない」のような選択肢が用意されているため、回答者が負担を感じずにアンケートに参加できます。また、データ集計結果を表やグラフで可視化できることから、過去のアンケート結果との比較や情報の共有がしやすいのもメリットです。

ただし、集計された数値を正しく読み解いて分析するスキルが必要であること、回答に至った背景や考え方を深堀りしにくいことなどがデメリットとして挙げられます。

定量調査には、以下のような調査手法があります。

WEB調査WEB上のアンケートフォームを利用する方法です。回答者の負担が少なく大量のデータを回収しやすい上、アクセス解析を組み合わせてターゲット層のリアルな行動パターンを把握できます。
郵送調査回答者の自宅に書面の調査票を送付する方法です。回答後のアンケートは回答者自身で返送しなければならないため、回収率が低くなることも少なくありません。
会場調査オフィスやイベント会場に回答者を集め、実際に商品・サービスを利用してもらった上でアンケートに回答してもらう方法です。ユーザーの生の声を聞ける一方で、他の方法と比較すると準備に手間がかかります。

定性調査

定性調査とは、数値化できない物事の質や意味などの質的データを得るための調査です。たとえば、「商品を購入した理由は何か」「商品のどこを気に入っているか」のような質問が該当します。

定性調査はユーザーのリアルな意見や潜在ニーズを把握できる点がメリットです。また、基本的には対象者と対面してアンケートを実施するため、対象者の様子や行動から新たな気付きを得られるケースもあります。

一方で、会場や費用などの関係から定量調査と比較するとアンケート対象者の数が少なくなりがちであり、集計データの説得力・信頼性が低くなりやすい点がデメリットです。

定性調査には以下のような調査手法があります。

インタビュー調査対象者を集めてインタビューを実施する方法です。複数名のグループを作ってインタビューするグループインタビューや、1人の対象者を選出して深堀りするデプスインタビューなどがあります。
行動観察調査自宅訪問や買い物同行を通して、対象者の生活行動・購買行動を観察する方法です。対象者の行動や動作に現れるリアルな心理を読み取れる一方で、解釈の齟齬が起きやすい点に注意が必要となります。
訪問調査対象者の自宅に訪問し、実際に商品・サービスを利用する様子を観察する方法です。行動観察調査の1つであり、商品が使用されている環境や生活への取り入れ方などの情報を得られます。

アンケートの質問・回答形式の種類

アンケートの質問・回答形式にはさまざまなスタイルがあります。中でも多くのアンケートで取り入れられているのは、選択形式・自由記入形式の2つです。

ここでは、選択形式・自由記入形式のそれぞれについて詳しく解説します。

選択形式

選択形式とは、あらかじめ用意された選択肢の中から1つまたは複数の回答を選択してもらう方法です。

選択形式は回答者の負担が少ないことから回答率が高く、より多くのデータを収集しやすいのが特徴です。ただし、回答者の意見に当てはまる選択肢がないと適当に回答される恐れもあります。

選択形式の具体的な例は以下の通りです。

  • A商品の価格に対する満足度を以下の選択肢(とても満足・満足・不満・とても不満)から選択してください
  • A商品の利用シーンについて、以下の選択肢(1人で・友人と・恋人と・家族と)から当てはまるものをすべて選択してください

自由記入形式

自由記入形式はフリーアンサーとも呼ばれ、選択肢を設定せずに記述回答してもらう方法です。

自由記入形式は回答者の思いやニーズ、その背景などを詳しく把握できます。ただし、文章での回答になることから定量化は困難であり、データ分析の観点からは適した質問形式であるとは言えないでしょう。

自由記入形式の具体的な例は以下の通りです。

  • A商品を購入した理由についてお答えください
  • A商品に関するご意見・ご要望があればお聞かせください

アンケートの作り方

アンケートを作成する際は、調査目的や対象者を明確にしてから質問の詳しい内容を決めるのがポイントです。正しい手順に沿って質問を作成することで、効果的なアンケートの実施につながります。

ここでは、アンケートの作り方と手順について詳しく解説します。

アンケート調査の目的と対象者を決める

まずはアンケートの目的を明確にしましょう。アンケートの実施そのものが目的となってしまわないよう、回答の集計後にどのようにデータを活用するのかという点まで考えておくのがポイントです。

また、アンケートの目的が定まったら、目的に応じて適切な回答者を決定します。たとえば企業で顧客を対象としたアンケートを実施する場合には、新規顧客・既存顧客に分けた後、年齢・性別・職業などでさらに細かく条件を定めます。

アンケートの調査方法と実施期間を決める

アンケート調査にはさまざまな方法があるため、目的・対象者に合った実施方法を選択することが必要です。

たとえば、より多くのデータを集めたい場合は回答の手間や負担が少ないWEB調査が向いています。しかし、対象者が高齢であれば電話やハガキ、訪問調査を選択することで回答率を高められるケースもあります。アンケートの目的と対象者の属性を総合的に考慮して、最適な調査方法を選択してください。

また、アンケートの実施期間は一般的には1~2か月程度です。期限を設けてアンケートに明記しておけば、回収率アップにもつながります。

質問数と質問形式を決める

アンケートの質問数が多すぎると回答に時間がかかります。対象者の負担を減らして回収率を上げるためにも、質問数は最小限に抑えるのがベストです。

質問数を決定する際は、まずは思いつく限りの質問を洗い出し、その後に内容が重複した質問や不要な質問を省いて数を削るのがおすすめです。質問数を減らして回答のハードルを下げつつも、必要な情報・データをしっかりと得られるよう調整しましょう。

また、質問形式はアンケートの目的や対象者の属性を考慮して決定することが重要です。基本となる選択形式や自由記入形式の他には、回答を1~5段階から選択して評価する「スケール」もよく使用されています。

質問文を決める

アンケートの具体的な質問文を作成する際は、以下のポイントを押さえましょう。

  • 対象者の率直な意見を求める
  • 読みやすくわかりやすい文章を作成する
  • 回答方式に合った文言を採用する

アンケートで正確なデータを集めるには、対象者の率直な意見や考えについて回答してもらわなければなりません。質問文から作成者側の「こう回答してほしい」という意図が読み取れると、回答が誘導される可能性があることを注意点として押さえておきましょう。

また、すぐに質問内容を把握できるよう、質問文の長さは2行以内に抑えるのが理想です。選択形式であれば「選択してください」、自由記入形式であれば「記入してください」のように、回答方式に合った文言を使うことも意識しましょう。

アンケートを組み立てる

質問文が完成したら、質問形式に合わせてアンケートを組み立てます。質問の順番を決める際は、関連する質問を固めて連続で回答できるように組み立てましょう。時系列がある質問項目は過去・現在・未来の順に並べるのがおすすめです。

また、オフラインでアンケートを実施する場合はフォーマットを作成して印刷し、オンラインであれば専用のアンケートページを作成します。

回答率を上げるアンケート作成のコツ

アンケートを実施する際、そもそも回答数が少ない・適当に回答されるといった状態では、集計結果の精度が低くなります。アンケートの精度を上げるためには、可能な限り回答者の負担を減らし、回答しやすいよう工夫することが重要です。

ここでは、アンケートの回答率や精度を高めるためのアンケート作成のコツについて詳しく解説します。

アンケートの目的を最初に伝える

アンケートを依頼する際に実施の目的についてしっかりと説明すれば、回答者がアンケートに対して納得感を持って取り組むことが可能です。

アンケートの目的や趣旨が分からないまま回答を依頼されると、多くの人は「なぜ自分が声をかけられたのか」と疑問を抱くでしょう。最初にアンケートの目的や調査対象者について説明することで、疑問・不安をクリアにして回答してもらえます。

また、回答データや個人情報の利用方法についても明示しておくとより安心感を与えられるでしょう。

回答にかかる目安時間を記載する

アンケートの回答にかかる所要時間が分からないと、その後の予定を気にして回答を躊躇してしまう人も少なくありません。また、回答を進める中でゴールが見えない状態では、途中で回答をやめられたり、適当に回答されたりする可能性もあります。

事前に目安時間が分かっていればアンケートに参加しやすく、また、回答中にも終了までの予測が立てられることから途中離脱を防げます。負担なく気軽にアンケートに回答してもらうには、5~10分程度で回答を終えられる質問量に抑えるのがベストです。

興味を引く質問から始める

アンケートの回答に積極的な協力を促すには、質問の設計・順序も重要なポイントです。

アンケートを組み立てる際は、回答者の興味を引くような質問からスタートするのがよいでしょう。回答者がアンケートに興味・関心を持って取り組めば、その分正確なデータを効率よく回収しやすくなります。回答者の興味を引いて積極的な協力を促すことにより、途中離脱の防止にもつながるでしょう。

簡潔でわかりやすい質問にする

アンケートの回答率を上げるには、簡潔で理解しやすい質問文を作ることが不可欠です。具体的には以下の点に注意しましょう。

  • 1つの質問で2つ以上のことを聞かない
  • 専門用語を使わない
  • 選択肢を設けられる質問にはできる限り選択形式を採用する

たとえば「A商品の価格と使用感の満足度について選択してください」という質問は混乱を招くため、価格・使用感の2問に分ける必要があります。また、回答者の負担を減らすという観点では、自由記入形式よりも選択形式を採用するのがおすすめです。

回答者に謝礼を用意する

アンケートへの回答は基本的に任意であることから、回答率を上げるために謝礼を用意するのも有効です。

謝礼には商品やサービス、デジタルギフトなどのさまざまな種類があります。アンケート調査の内容と調査状況を考慮し、回答者のニーズに合った謝礼を選択しましょう。

謝礼としてグッズなどを提供する場合、実物を見せた上でアンケートを依頼すると効果的です。

アンケートを作成する重要ポイントは回答者に負担をかけないこと

アンケートの調査方法には定量調査や定性調査、また回答方法には選択式や自由記入式とさまざまな調査方法と回答方法があります。どのアンケートにおいても重要なのが、回答者の純粋な意見をすくい上げるアンケートの作成です。基本として、質問の意図が読み取りやすい短い質問文で、回答しやすい回答形式を心がけて作成しましょう。

またあまりに長いアンケートも回答者の負担となるため、5~10分で回答しきれる質問量であることも大切です。アンケートを作成したら実際に答えてみて、どれくらい時間がかかるか、文章はわかりやすいかなど確認しましょう。


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