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  • 更新日 : 2024年12月12日

RFP（提案依頼書）とは？メリットや書き方を解説（テンプレート付き）

RFP（提案依頼書）とは、企業が開発会社にシステム開発を依頼するための書類です。要件を適切に伝え、双方の認識のズレなどのトラブル防止に役立ちます。

本記事では、RFP（提案依頼書）を作成するメリットや書き方、作成からシステム開発までの流れを解説します。作成の際の注意点も説明しますので、参考にしてください。

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RFP（提案依頼書）とは？

RFP（提案依頼書）は「Request for Proposal」の略で、提案依頼書のことです。企業がシステムの導入・開発を行う際、発注する企業から受注するシステム開発会社に提示します。

作成の目的

RFPを作成する目的は、自社の課題や目的、システム要件などを受注側と共有し、最適な提案をしてもらうことです。

RFPの作成で自社の要望を示しているため、それに合わせて受注側が提案する内容も要望に沿ったものになり、システム開発・導入がスムーズに行われます。

発注先にいくつかの候補がある場合、同じRFPで具体的な提案を依頼できるため、スムーズな選定ができます。

RFP（提案依頼書）の具体例

RFPを作成するのは発注する企業であり、企業のIT担当者や情報システム部門の担当者、プロジェクトマネージャーなどが作成します。システムの導入でプロジェクトを立ち上げる場合は、プロジェクトメンバーで作成することが多いでしょう。

社内では人的リソースが不足してRFPの作成が難しい場合、作成支援サービスに外注するケースもあります。

RFP（提案依頼書）を作成するメリット

RFPの作成により、次のようなメリットを得られます。

要件・要望のすり合わせができる

発注する企業がRFPを作成することで、希望するシステム要件や要望を明確に提示できます。RFPを作成せず要望を口頭で伝えた場合、認識のズレが生じる可能性があります。発注側は希望するシステムの提案を受けられないことになるでしょう

RFPを作成することで要件・要望のすり合わせができ、要望に沿った提案を受けることが可能です。

トラブル防止に役立つ

RFPで正確な情報を文書として残しておけば、双方の認識のズレなどによるトラブルを防止できます。

口頭でのやり取りは「言った・言わない」の問題が起こりやすく、納期や予算に認識の違いがあれば、予定していた納品日にシステムを使えなかったり予算をオーバーしたりといったトラブルが起こる可能性もあります。

RFPがあれば、このようなトラブルを回避できるでしょう。

複数の提案が比較できる

RFPを複数社に提供すれば、同じ要件の提案書を受領できます。比較検討して自社の要望に合う開発会社を選べるのがメリットです。

同じ内容のRFPを提供するため、各社からの提案には大きなブレがなく、適正価格の相場もわかります。設定していた予算が妥当か、納期や作業スケジュールに無理がないかも確認できるでしょう。

RFP（提案依頼書）作成からシステム開発の流れ

RFPの作成からシステム開発までの流れについて、各段階の内容を紹介します。

プロジェクトチームを編成する

RFPの作成からシステム導入までを円滑に進めるためには、プロジェクトチームの編成が適しています。システムを利用する人を中心に社内の各部署から選んだチームを編成することで、それぞれの要望をRFPに反映できます。

各部署からメンバーを選ぶことで、導入後にシステムが使えないなどのトラブルを回避できるでしょう。チームを編成する際は、プロジェクト全体のマネジメントを行うプロジェクトマネージャーの選定が必要です。

目的を明確にして、現状を洗い出す

システム開発・導入を行う目的を明確にします。社内の課題や問題点を洗い出し、システム導入後にそれらの解決ができるような目的を設定してください。

基幹システムなど、導入するシステムが社内全体に大きな影響を与える場合、各部署にヒアリングするか全体のミーティングを行ってシステムへの要望を集める必要があります。

解決策を立てる

目的を明確にして現状を把握したら、具体的な解決策を立てます。課題の解決に向けて、システムを誰がどのように使うか、他部署との連携はどのように行っていくかなど、システムをどう活かせば各部署の課題、要望が解決できるかを考えましょう。

社内で解決策をまとめるのが難しい場合は、外部への委託も検討する必要があります。

候補先の情報を収集する

システム開発を発注する候補先を決めるため、情報を収集します。各社にヒアリングや情報提供の依頼を行い、RFPの提出先を絞り込みましょう。

そのあと、各社からの提案内容を比較するための評価基準を設定します。自社がどのような基準で発注先を選定するかを明らかにすれば、提案レベルの向上につながります。

評価基準の設定は、次に紹介するRFPの作成と並行して行うとよいでしょう。評価項目をあらかじめRFPに明示しておけば、各社から提出された提案書を比較しやすくなります。

RFPを作成・提出する

候補先を絞り込んだら、RFPの作成を行います。解決策を立てるまでの工程で決めた内容を踏まえて作成しましょう。具体的な書き方は、このあとの項目で説明します。

RFPを提出後、発注企業は各社から随時質問を受けるか説明会を開き、候補先からの質問に回答します。説明会は、定まっている要件や評価基準についての説明がメインになるでしょう。そのあと、RFPに関する質問に対して回答します。

受け付けた質問と回答は、Q&Aにして他の候補先にも共有するとよいでしょう。

各社から提案書・見積書を受け取る

候補先の開発会社はRFPの内容を確認し、プロジェクトの提案書と見積書を作成します。各社から提案書と見積書を受け取ったら、提案内容を評価基準に沿って検討し、発注する会社を決定してください。

必要に応じてコンペティションを開催し、各社からプレゼンテーションを受けるのもよいでしょう。

そのあと、発注先を決定したら、提案書の調整などを行って契約を締結します。

システム開発開始

契約締結した開発会社と十分に意思の共有や要件定義のすり合わせを行い、システム開発を開始します。

さらに認識の共有をしておきたい場合やシステム開発に関して確認しておきたいことがあるときは、開発の着手前に発注先に問い合わせ、ミーティングの場を設けるとよいでしょう。

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RFP（提案依頼書）の書き方

RFPの記載項目は、主に次の3つです。

  • プロジェクトの概要
  • 要件の詳細
  • 提案要件

それぞれ、詳しく解説します。

プロジェクトの概要

プロジェクトの概要は、システムを導入する目的やプロジェクトの内容など、候補先が提案書を作成する際の参考にできる情報を記載します。

記載するのは、主に次のような内容です。

  • 本書の目的：システム開発を依頼する目的
  • プロジェクトの背景：システムを導入するに至った背景
  • 現状の課題：現状で自社が抱えている課題
  • プロジェクトのゴール：品質や納期、費用など、プロジェクト自体のゴール
  • プロジェクトの範囲：提案を依頼したい業務の範囲
  • 会社情報：自社の情報

目的や背景の例文をみてみましょう。

（本書の目的）

顧客データ管理を効率化し、顧客満足度向上のためCMSを開発します。

（プロジェクトの背景）

顧客管理システムの老朽化が進み、システムを刷新してデータの一元管理や分析機能の強化が必要になっています。プロジェクトにより最新技術の導入を進めます。

要件の詳細

要件の詳細には、提案を依頼したい範囲を記載します。

  • 提案を依頼したい範囲：システム開発だけか、システム開発から保守までを依頼したいかなど
  • 提案依頼内容：提案してほしいシステムの内容
  • 機能要件：システムに入れたい機能と不要な機能
  • プロジェクト体制：プロジェクトに入ってほしい人材やマネジメント方法など
  • テスト要件：システムのテストについての要望
  • 移行要件：現行システムから新システムへ移行する際の要望

提出要件

提案書の形式や提出方法、提出期限を記載します。評価基準を記載しておけば、それに沿った内容の提案書を受け取れるでしょう。

提案書の形式としては、次のような記載をして指定します。

  • 表紙・目次
  • 会社概要
  • 提案内容
  • 技術的提案
  • 実施計画
  • スケジュール
  • コスト見積り
  • 参考資料
  • 過去の実績

自社に必要な項目を記載してもらえるよう、調整してください。

RFP（提案依頼書）を作成する際の注意点

RFPを作成する際は、抜け漏れのチェックや実態に即した要求をするなどの注意が必要です。

詳しくみていきましょう。

抜け漏れを防ぐ

RFPは1人で作成せず、社内のさまざまな人から意見をもらい、必要項目の抜け漏れがないようにしましょう。検討すべき項目が抜けていないか、要件を揃えているかなど多くの人にヒアリングし、万全な書類を作成してください。

RFP作成後に抜け漏れがわかって追加で各社に要求すると、スケジュールが遅れるだけでなく、各社に余計な手間をかけることになります。

実態に即した要求をする

RFPは実際にシステムを利用する部署と連携し、チェックを受けながら作成しましょう。業務フローに合っているか、使いこなせるかを確認してもらいます。

たとえば、業務効率化のためにシステムを導入しても、うまく使いこなせなければかえって業務が滞ってしまうでしょう。

各部署でシステムへの要望は異なるため、それぞれの意見を反映させて実態に即した要求をすることが必要です。

RFP提出後の追加要求をしない

候補先の開発会社はRFPをもとにスケジュールを調整し、提案書・見積書を作成します。RFPに記載していないことをあとから追加すると、それまでの作業をやり直すことになってしまうでしょう。

プロジェクトの遅延やシステム導入が遅れる可能性があります。RFPは必要な要求がすべて記載されているか、十分にチェックしてから提出するようにしてください。

RFP（提案依頼書）とRFI（情報提供依頼書）の違い

RFPとよく似た書類にRFIがあります。RFIは「Request for Information」の略で、「情報依頼書」のことです。RFPと同じく、発注先が受注側に対して提出する書類です。

ただし、RFPとはRFIは内容が異なります。RFPは発注する際の要件をまとめた書類であるのに対し、RFIは受注側の会社情報や技術・製品情報の提示を依頼する書類です。

RFIはシステム開発の発注がまだ決まっていない段階で依頼し、どこに発注するかを決めるための資料にすることが多いでしょう。これに対し、RFPは候補に絞り込んだ開発会社へ開発の要件を伝えるものです。そのため、基本的にRFPの前に作成・提出します。

RFP（提案依頼書）はシステム導入・開発を成功させるために不可欠の書類

RFPは、開発会社に自社に合ったシステムの提案をしてもらうための書類です。目的を達成できるシステムの開発・導入に欠かせないものであり、プロジェクトを編成して自社の課題を抽出し、必要なシステム要件を抜け漏れなく記載しなければなりません。

システムを利用する他部署と連携し、さまざまな立場の人の意見も聞きながら万全なRFPを作成しましょう。


※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。

  • 監修：青井 真吾（AOIS Consulting株式会社代表取締役）

    大学卒業後はIT企業に入社。システムエンジニアとして大手企業向けのERPシステム開発を経験。その後ITコンサルタントとして独立。人材派遣会社の基幹システムの開発、不動産会社の商業施設での販促システムの導入、自動車メーカーでコネクティッドカー開発のプロジェクト管理、SIerでのSalesforceの導入、ファッション業界の企業でのDX推進プロジェクトを経験。現在はAOIS Consulting株式会社を設立し、コンサルティングの傍らIT記事の監修および執筆を手掛ける。

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