• 更新日 : 2024年12月12日

開発スケジュールの立て方とは?WBSの作成方法やテンプレを紹介

システム開発プロジェクトを成功に導くためには、全体像を正確に把握し、計画的にスケジュールを立てることが不可欠です。当記事では、開発工程ごとのスケジュール目安や、効率的なスケジュール管理に役立つWBSやガントチャートの活用法を紹介します。

また、スケジュール作成時の注意点についても解説しており、システム開発初心者からプロジェクトリーダーまで役立つ情報を網羅しています。

システム開発スケジュールの全体像

システム開発プロジェクトを成功に導くには、全体的なスケジュールをきちんと把握しておかなければなりません。システム開発は、一般的に以下の工程で進みます。

No.工程概要
1要件定義システムの目的や顧客の要望を基に、システムに必要な要件を定義します。システム開発の基礎となる重要な段階であり、一般的に工期の目安は1か月程度です。
2基本設計システムの仕様や操作方法など、ユーザー目線でシステム全体の外観を設計します。外部設計とも呼ばれ、工期の目安は1~2か月です。
3詳細設計基本設計に基づきシステムの内部機能やプロセスを具体的に設計する段階です。内部設計とも呼ばれ、各機能の具体的な動作を定義します。工期の目安は1~2か月です。
4プログラミング詳細設計に従って、実際のプログラムを作成します。開発者がコードを書き、システムを形にする段階です。工期の目安は2~3か月です。
5各種テストプログラムが完成したら、単体テスト・結合テスト・総合テスト・運用テストを行い、システムが仕様通りに動作するかを確認します。工期の目安は2~3か月です。
6リリース・保守運用テストが完了した後、システムをリリースします。正式リリース後は、システムの保守運用にくわえ、必要に応じて修正やアップデートを行わなければなりません。

上記の工期はあくまでも目安です。システム開発のスケジュールは、プロジェクトの規模や目的によって異なることを覚えておきましょう。

開発スケジュールの無料テンプレート

開発スケジュールを作る際には、テンプレートを活用すると非常に効率的です。テンプレートを使うことで、時間の節約だけでなく、スケジュールの漏れやミスを防ぎやすくなります。以下のリンクからダウンロードして、ぜひ活用してください。

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システム開発スケジュールの立て方・管理方法

システム開発のスケジュールを効果的に立てて管理するには、適切なツールと手法の活用が重要です。代表的な方法として、WBSとガントチャートの2つがあります。それぞれの特徴を理解し、目的に応じて使い分けるとよいでしょう。

WBSを用いた開発スケジュールの立て方

WBSは、Work Breakdown Structureの略であり、プロジェクトの開発工程をタスクごとに細分化し、構造的に整理する図です。これにより、すべてのタスクを見逃さずに管理しやすくなり、複雑なプロジェクトにおいても全体像の把握が容易になります。WBSを用いて開発スケジュールを立てる手順とメリットは以下の通りです。

【手順】

1プロジェクトのゴールや完成形を明確にする
2ゴールへ至るために必要なすべての作業を洗い出す
3洗い出した作業をより小さなタスクに分割する
4各タスクの関連性を整理し、構造化する
5担当者を割り当て、作業の順序と期限を設定する
6作業進捗を定期的に確認し、必要に応じて計画を修正する

【WBSのメリット】

  • 作業の抜け漏れを防止できる
  • タスクの数や作業量が明確になり、役割分担がしやすい
  • 全体像を視覚的に把握できるため、計画の調整がしやすい
  • タスク間の関係性が整理され、優先順位がつけやすい

WBSはプロジェクトのタスクを網羅的に分解するため、プロジェクトの初期段階で計画を固めるのに非常に役立つ手法です。また、タスクの進行状況を可視化することで、各メンバーがやるべき作業を明確に理解しやすくなります。

ガントチャートを用いた開発スケジュールの立て方

ガントチャートは、横軸に時間、縦軸に作業内容を配置した棒グラフ状の図です。これにより、各タスクの進捗や依存関係を視覚的に把握でき、スケジュール管理に役立ちます。ガントチャートを用いて開発スケジュールを立てる手順とメリットは以下の通りです。

【手順】

1WBSで洗い出した作業を基にタスクをリスト化する
2各タスクの開始日と終了日を設定し、タイムラインに配置する
3タスク間の依存関係を矢印などで示し、順序を明確にする
4重要なタスク(クリティカルパス)を色分けする
5関係者にガントチャートを共有し、プロジェクト全体の理解を深める
6進捗状況を随時更新し、適宜スケジュールの調整を行う

【ガントチャートのメリット】

  • タスクの進捗状況を一目で把握できる
  • プロジェクトの遅延を早期に発見し、対策を講じることができる
  • 関係者全体で進捗を共有しやすく、チーム全体の透明性が向上する
  • 各タスクの開発期間が明確に示されているため、計画を修正しやすい

ガントチャートは、タスクの進捗をリアルタイムで把握でき、スケジュール遅延が生じた場合にも迅速に対応できます。また、視覚的に進行状況を確認できるため、開発チーム全員が共通の理解を持ちやすくなり、プロジェクト全体の透明性を高めるのに有効です。

システム開発スケジュールを作成する際に注意すべきポイント

システム開発スケジュール表を作成する際には、いくつかのポイントを押さえることが重要です。これにより、プロジェクトを円滑に進め、最終的な成功へとつなげられるでしょう。以下では、スケジュールの作成時に注意すべきポイントを5つ解説します。

成果物を決める

プロジェクトの最終的な成果物を明確に定めることは、スケジュール作成において非常に重要です。最終成果物だけでなく、達成すべき中間成果物も具体的に設定すると、プロジェクト全体の方向性が明確になります。これにより、各メンバーが自分の役割を理解しやすくなり、無駄な作業も防げるでしょう。

また、各段階における成果物の完成度を具体的に定めておくと、品質の確保にもつながり、プロジェクト全体の目標達成に寄与します。

作業内容を明確にする

各タスクの内容を具体的に定めることで、スケジュールの管理がしやすくなります。作業内容が明確にされていないと、開発リソースの無駄使いや進捗遅延にもつながりかねません。そのため、各タスクがどのように進められるべきかをはっきりと定義し、各担当者が作業の進め方を理解できるようにしましょう。

また、作業を細分化し、タスクごとに具体的な目標を設定すると進捗管理も容易になり、全体的な作業効率の向上も期待できます。

柔軟にスケジュール調整する

システム開発は、予期しない問題や課題が発生するケースが少なくありません。スケジュール通りの実行ばかりを優先すると、成果物の質が低下する可能性があるため注意が必要です。プロジェクトの成功には、当初の作業計画自体には固執せず、状況に応じて適宜調整する柔軟さが求められます。

スケジュールの変更が必要な場合には関係者全体へ迅速に通達し、適切な対応策を講じることが大切です。進行中に発生する変更に柔軟に対応すれば、最終的な成果物の品質を確保しつつ、プロジェクトの目標達成も図れます。

担当者とコミュニケーションを密に取る

プロジェクトを円滑に進めるには、各担当者との密なコミュニケーションも欠かせません。定期的な進捗確認を行うだけでなく、問題発生時にはすぐに共有して最適な対応が取れるような体制を整えることが重要です。プロジェクトチーム全体で情報を共有しておけば、万が一のトラブル発生にもスケジュールの遅れを最小限に抑えられるでしょう。

また、コミュニケーションを密に取っておくと各メンバーの負担や問題点を早期に把握でき、適切なサポートを提供できる可能性が高まります。

ツールやテンプレートを活用する

スケジュールの作成・管理には、ツールやテンプレートを活用すると非常に効率的です。スケジュール作成の工程を短縮できるだけでなく、タスクの可視化や進捗管理にかかる時間や手間を減らせます。

専用のプロジェクト管理ツールを使えば、チームメンバー全員でのスケジュール共有や、進捗のリアルタイムな確認も容易です。ツールの自動更新機能や通知機能を活用すると作業の見落としを防ぎやすくなり、スケジュールの遅延も軽減できます。

システム開発スケジュール作成にはツールやテンプレを活用しよう

システム開発プロジェクトでは、適切なスケジュール作成と管理が成功の鍵を握ります。WBSやガントチャートといったツールを活用すれば、作業の抜け漏れを防ぎ、効率的な進捗管理が可能です。

また、柔軟なスケジュール調整や密なコミュニケーションを心がけることで、予期せぬトラブルにも対応しやすくなります。ぜひ当記事の内容を参考にして、プロジェクトの円滑な進行に役立ててください。


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