- 更新日 : 2024年9月11日
情報共有とは?メリットや強化する方法、共有ツールを紹介
「共有」とは、物や情報を複数人で効率良く活用することです。
ビジネス面でも情報共有は重要視されますが、適切に実施されていない場合も多くあります。しかし、正しく情報共有するには、どのような施策を考えたらよいか分からない人もいるでしょう。
この記事では、情報共有のメリットや強化する方法について解説します。情報共有の方法について悩んでいる人は、ぜひこの記事を参考に、自社に合った取り組みを考えてみてください。
目次
共有とは?
共有とは、物や情報を複数人で効率良く活用するという意味です。また、以下のような意味もあります。
- 共同所有:1つの物や権利を2人以上の人が共同で所有すること
- 共同利用:1つの物や情報を複数の人が協力して一緒に使うこと
- 循環利用:使い終わった物を次の人に渡し、長く使い続けること
- 分有:2人以上の人が持分に応じて、物や権利を持つ状態
共有は、協力し合うことが概念にあるため、物やリソースを有効活用できるだけでなく、人とのつながりを深めることもできます。また、物を共有すれば、環境にも良い影響をもたらせるでしょう。
民法上の「共有」とは?
不動産における民法上の共有とは、複数人が1つの物を一定の割合(持分)で共同所有することです。各共有者は、持分の割合に応じて共有物を使用できます。
ただし、共有物に対しては、以下のようなルールもあるため注意しましょう。
- 共有物の変更には、共有者全員の同意が必要(民法251条)
- 管理行為は、持分の過半数に達する共有者の同意が必要(民法252条)
- 保存行為は各自で実施できる(民法252条)
また、共有状態を解消して、単独所有にする共有分割の請求権(民法256条)も持っています。共有分割の方法は以下のとおりです。
- 現物分割:物自体を実際に分ける
- 代金分割:共有物を売却し、代金を分ける
- 価格賠償:1人が単独所有し、ほかの共有者に代金を支払う
5年以内であれば分割を一定期間禁止する特約を設けることも可能です。(民法256条)
LINEやInstagramにおける「共有」とは?
LINEやInstagramでの共有は、コンテンツの拡散やコミュニケーションの活性化を意味します。
投稿した写真や動画、リンクなどのコンテンツをほかのユーザーに送ったり、ほかのアプリに転送したりすることで、コンテンツが拡散されていくのが特徴です。
また、共有をきっかけに友人同士の交流が生まれたり、個人やビジネスでの情報発信にも役立ったりするので、コミュニケーションの活性化にもつながるでしょう。
各SNSの共有ボタンを押すことで、コンテンツを共有できるようになります。
ビジネスにおける「共有」とは?
ビジネスにおいては、情報や知識、資料などを複数人で利用することを共有といいます。個人が持つ重要な情報や専門知識を、チームや組織全体で共有することで、業務の効率化が期待できるでしょう。
また、共有された情報をきっかけにして、メンバー同士で議論が生まれれば、コミュニケーションの活性化にもつながります。メンバーの育成には、ベテランメンバーの知識やノウハウの共有も効果的です。
ビジネスの場では、物に対してではなく、情報共有の意味として「共有」という言葉が使われる傾向にあります。
「共有」の類語
共有には、以下のような類語があります。
類語 | 意味 | 例 |
共同 | 複数人が協力して行うこと | 共同研究、共同作業 |
共用 | 物や施設を複数人で利用すること | 公園の遊具を共用する |
共通 | 複数人が同じ考え方や認識をしていること | 共通の目標、共通の趣味 |
いずれの言葉も、複数人で何かを利用したり共にしたりすることを表します。
そのほかにも、「共済(共に助け合う)」や「公開(多くの人に広く知らせる)」「配布(複数人に分け与える)」なども共有の類語です。
情報共有を行う意味と目的
情報共有によって、生産性の向上や属人化の解消が期待できます。主な目的は以下のとおりです。
- コミュニケーションの活性化
- メンバーの育成
- 業務の効率化
個人の持つ知識やスキルをチーム全体に共有することで、メンバーの育成や重複作業の防止ができます。また、共有された情報を元にコミュニケーションが促進され、相互理解が深まれば、チームワークの向上も期待できるでしょう。
情報共有によって個人への情報集中を防げるため、属人化の解消にもつながります。業務効率やチームワークが改善されることによって、生産性の向上も可能です。
情報共有が疎かになる原因は?
情報共有が疎かになる主な原因は、以下のとおりです。
- 情報共有に関するルールが整っていない
- 情報共有の必要性を理解していない
- 情報共有のメリットが分からない
情報共有が疎かになると、トラブルの原因にもなります。情報共有が不足するデメリットを理解したうえで、効果的な施策を検討しましょう。
情報共有に関するルールが整っていない
情報共有に関するルールが整っていないと、必要な情報が伝わらず、トラブルにつながってしまいます。また、以下のような問題が発生する恐れもあるので注意が必要です。
- 情報漏えいのリスクがある
- 重複や矛盾した情報が発生する
- 責任の所在が不明確になる
- 情報管理ができない
ルールが整っていない状態で情報共有すると、タイミングや方法がバラバラになってしまい、部署内の雰囲気が悪くなる場合もあります。適切なタイミングで必要な情報を共有するためにも、情報共有のルールを整えることは重要です。
情報共有の必要性を理解していない
チーム内で情報共有の必要性が理解されていないと、十分な情報が伝わらず業務の進行に影響が及ぶ恐れがあります。結果として、業務効率や生産性が低下するリスクもあるでしょう。
そのほかにも、以下のようなデメリットもあるため注意が必要です。
- メンバーの育成ができない
- 企業全体で最新の情報を把握できない
- 部署間の連携が取れない
- 作業の重複が発生する
また、重要な情報が共有されていないと、トラブル発生時の対応が遅れ、事態が深刻化する恐れもあります。そのため、組織全体で情報共有の必要性を理解し、実践していくことが重要です。
情報共有のメリットが分からない
情報共有のメリットが分からないと、情報を伝える必要性も感じられないため、個人主義的な業務スタイルがまん延してしまいます。結果として、自分の知識やスキルは自分だけのものと考え、他者との共有を拒む傾向が強まることもデメリットです。
個人の能力や経験値が高くても、十分に情報共有ができていないと、重複作業や無駄な手間が発生してしまい、生産性が低下する可能性があります。
情報共有のメリット
情報共有には以下のメリットがあります。
- 組織力が向上する
- ナレッジの共有
- 属人化を防げる
- 効率的に時間を利用できる
- チームの信頼関係を強固にする
メリットを理解したうえで、効率良く情報共有できる仕組みを考えましょう。
組織力が向上する
適切な情報共有をすることで、メンバー同士の理解や信頼関係が深まり、チームワークが向上します。部署間でもスムーズに情報が行きわたれば、縦割り構造が解消され、組織全体で課題に取り組めるようになるでしょう。
また、個人の持つ知識やスキルが組織に蓄積されれば、知的資産が豊かになることもメリットです。知的資産が豊かになりチームワークが向上すれば、意思決定のスピードも早くなるので、生産性も向上します。
万が一トラブルが起きても、情報共有がしっかりとできていれば迅速な対応が可能です。
ナレッジの共有
ナレッジとは、個人や組織が持つ知識や経験、スキルなどの知的資産のことです。ナレッジの共有ができれば、組織全体でのスキルアップやノウハウの改善が期待できます。
主なナレッジの例は、以下のとおりです。
- 営業のトークスクリプト作成のコツ
- 成約率が向上する資料作成方法
- ミスを防ぐためのマクロ構築
ナレッジを共有することで、個人では得られない情報を入手できるため、組織全体の知識やスキルの底上げにつながります。生産性や売上の向上も見込めるようになるでしょう。
また、業務の質が上がるだけでなく、別の業務に活かして新たなアイデアを創出するきっかけにもなります。
属人化を防げる
情報共有を徹底することで、組織の知的財産が1人に集中するリスクを下げられます。
業務が属人化してしまうと、担当者の不在時に業務を進められないことがデメリットです。また、一部の人に業務が集中することによって、負担が増え、退職リスクも上がってしまいます。そのため日頃から業務内容やノウハウを共有し、チームの誰もが業務に取り組める体制を整えておくことが重要です。
担当者が不在であっても、迅速に依頼に応えられれば、業務をスムーズに進められるでしょう。業務の属人化を防げば、チーム全体で業務に取り組めるため、より大きな案件を受けることも可能です。
効率的に時間を利用できる
情報共有が適切にできれば、業務の効率化が図れるため、時間を有効活用できるようになります。具体的には以下のような効果が期待できます。
- 作業の重複が無くなる
- 情報の検索が容易になる
- メンバー間の連携がスムーズになる
- 同じ失敗を防げる
情報共有することで、誰がどのような業務に取り組んでいるのかを明確にできます。作業の重複や進捗状況の把握にかける時間を減らせるので、効率良く業務を進められるでしょう。
また、ベテランメンバーの経験や知識を共有することで、過去の失敗やミスを繰り返さなくなることもメリットです。
無駄な時間を削減できれば、本来の業務に集中できるようになるため、生産性や売上の向上も期待できます。
チームの信頼関係を強固にする
適切な情報共有をすることで、コミュニケーションが活性化し、チームの信頼関係が強くなります。
情報共有が不十分だとメンバー同士が疑心暗鬼になってしまい、十分な信頼関係を築けません。しかし、情報共有が適切にできていれば、コミュニケーション上のトラブルを防げるため、人的ミスや不満を減らせます。
また、人間関係のトラブルや不満は、離職原因のひとつです。情報共有をしっかりとすることで、業務の透明性が担保されるため、同僚への不信感や不満を減らせます。
適切な情報共有をすることで、チームの信頼関係が強固になれば、離職率の低下にもつなげられるでしょう。
情報共有の質を強化する方法
情報共有の質を強化する方法は、以下のとおりです。
- 情報共有のルールを作る
- コミュニケーションの活性化
- 目的を明確化する
- 情報共有ツールを導入する
情報共有の質を強化し、組織の生産性や売上向上につなげていきましょう。
情報共有のルールを作る
組織内でスムーズに情報共有をするには、ルール作りが重要です。以下のようなルールを定めて、漏れなく情報を共有できるようにしましょう。
- 共有すべき情報の範囲
- 共有の方法や手順
- 情報の所有者と管理者
- セキュリティ対策
- 違反者への罰則
特に、機密情報と共有可能な情報の区別が明確にできていないと、情報漏えいにもつながります。すべての情報を共有するのではなく、適切な情報のみを共有できるような体制を整えましょう。
また、設定したルールは定期的に見直すことも重要です。業務内容や環境に合わせてルールも柔軟に変更していく必要があります。
コミュニケーションの活性化
コミュニケーションを活性化させることで、適切に情報共有ができるようになります。
コミュニケーションが不足していると、チーム内の信頼関係が構築できないため、情報を共有するハードルが高くなってしまいます。情報共有をしやすい雰囲気をつくるためにも、コミュニケーションの活性化は欠かせません。コミュニケーションの活性化には以下のような施策がおすすめです。
- 定期的な1on1ミーティングの実施
- 雑談形式の10分間ミーティングをする
- 部署でイベントを開催する
話しやすい雰囲気をつくれば、情報共有だけでなくミスやトラブルにも迅速に対応できるようになるでしょう。
目的を明確化する
情報共有の目的を明確にしておくことで、共有すべき情報を特定しやすくなります。目的に応じて適切な共有方法を選べるので、タイミングやツールの最適化にもつながるでしょう。
共有すべき情報や対象者が明確になれば、情報漏えいや行き違いを防げることもメリットです。また、目的を明確化することによって、情報共有の課題を特定し、改善につなげやすくなります。
メンバーに情報共有のメリットや必要性を理解してもらうためにも、目的の明確化が重要です。
情報共有ツールを導入する
情報共有ツールを導入することで、必要な情報にすぐにアクセスできるようになります。主な情報共有ツールは以下のとおりです。
- 名刺管理ツール:クラウド上で名刺を管理できる
- タスク管理ツール:クラウドやオンライン上でタスクを管理できる
- CRM(顧客関係管理ツール):顧客情報を管理する
- SFA(営業支援ツール):案件や顧客管理などができる営業支援ツール
ツールを活用することで、リアルタイムで最新の情報を共有できるため、古い情報に基づく判断ミスを防げます。
また、ツールによっては、共有された情報に対して複数人で編集や追記ができるため、知識やノウハウを継続的に更新することも可能です。編集や閲覧権限を設定できるツールを利用すれば、機密情報の漏えいリスクも減らせます。
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適切な情報共有をして組織力を高めましょう
ビジネスでの情報共有とは、個人の持つ知識やスキルをチームや組織で共有し、業務の効率化やメンバーの育成に役立てることを指します。
しかし、情報共有のルールが不明確だったりメリットが理解されていなかったりすると、うまく機能しません。情報共有の質を高めるには、目的を明確化し、ツールの導入やコミュニケーション活性化などの施策が重要です。
情報共有に課題を感じている人は、ぜひこの記事を参考に、自社に合った施策を検討してみてください。
※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。
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