• 更新日 : 2024年10月21日

ペーパーレス化の目標設定とは?目標内容の決め方と進め方のポイント

ペーパーレス化は、企業の業務効率化やコスト削減、環境保全など多くのメリットをもたらす取り組みです。しかし、目標なくやみくもに紙を減らそうとするだけでは、業務に支障をきたし、かえって非効率でコストが高くつくことになります。また、「上層部はペーパーレスをうたっているが、現場では紙を大量に使っている」ようなお題目だけのペーパーレスにならないためには、全社員にペーパーレスを浸透させるのが大切です。したがって、ペーパーレス化には社員一人ひとりが納得できる目標設定が必要になります。

この記事では、ペーパーレス化における目標設定の具体的な方法や、設定後の進め方、目標達成に役立つツールの紹介を行います。

ペーパーレス化に目標設定が重要な理由

ペーパーレス化を進めるためには、明確な目標を設定することが重要です。ペーパーレス化とは、「とにかく企業活動で使う紙を減らせばよい」という活動ではありません。ペーパーレス化は、企業としての課題を解決することを目的とした上で、紙媒体の資料を削減する取り組みです。

ペーパーレス化の成功を目指すには、課題を解決するために何が必要かを明確にイメージする必要があります。明確なイメージを持つには、はっきりとした目標を設定するのが有効です。明確に目標を設定すると、どのような状況になればペーパーレス化が成功したと言えるのかなどのビジョンを描けます。

また、ペーパーレス化の推進にあたっては、企業全体で意識を共有することが大切です。明確な目標設定を行うと、ペーパーレス化に対する意識を全社的に効率よく浸透させられるため、ペーパーレス化を成功に導けるでしょう。

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ペーパーレス化の目標設定の仕方

ペーパーレス化を推進したい背景は、企業によって異なります。企業の状況や事情にかかわらず、ペーパーレス化を成功に導くには目標設定を次の4つの観点から進めるとよいでしょう。

ペーパーレスの目的

企業としてペーパーレス化の推進を検討する場合、目的を設定するとスムーズにペーパーレス化を実施できます。ペーパーレス化は、従業員一人ひとりの心がけや努力目標ではなく、企業全体で取り組むべき課題です。目的を定め、全社で一丸となって取り組める状況を作りましょう。

ペーパーレス化の目的としては、次のような例が挙げられます。

  • 資料の整理や共有にかける時間・コストを削減し、業務効率化を進めたい
  • 情報のデジタル化によって情報セキュリティを高めたい
  • 企業のイメージアップなどのためにSDGsを推進したい

企業や組織で上記のような課題を抱えているのであれば、ペーパーレス化の目標として掲げるとよいでしょう。

ペーパーレスの対象

ペーパーレス化を推進する際には、ペーパーレスの対象とする資料を明確に設定する必要があります。企業や部署によって、資料の種類や扱い方はさまざまです。中には、各種免許証・許可証など紙で残すべき資料もあり、すべての紙の資料をデータ化できるわけでもありません。

ペーパーレス化の対象となる資料の例としては、次のようなものがあります。

  • 会議の資料

Web会議などが普及している現在、会議資料や議事録をペーパーレス化すれば情報共有の際に便利です。

  • チラシやポスターなどの販促物

データで残しておくと修正しやすく、作業効率が高まるため、ペーパーレスの対象とするのがおすすめです。

また、帳簿など、電子帳簿保存法e-文書法に基づいてデータ保管できるようになった書類もあります。ペーパーレス化を機に、各法令を確認し、従来紙の資料として保管することが義務とされていた書類も見直してみるとよいでしょう。

ペーパーレスの割合

業務の全体を見て、ペーパーレス化すべき資料の割合を目標として設定しましょう。また、目標を数値化すると、計画の立案や進捗管理がしやすく、従業員も目標を明確にイメージしやすくなります。

ペーパーレス化の割合は最初から高ければよいというわけではないため、目標には現実的な割合を設定しましょう。ペーパーレス化には手間や時間がかかります。最終的な目標としては大きな数字を設定するとしても、すぐに大きな目標を達成するのは困難です。目標設定に割合を盛り込む場合、スモールステップで徐々にペーパーレス化を進めることを意識してください。

ペーパーレスの期間

実施期間を具体的に定めるのも、ペーパーレス化成功には重要です。特に、実施期間が長期におよぶ場合は、長期目標とは別に、期間を区切って中・短期目標を定めると、ペーパーレス化の具体的なスケジュールを組みやすくなるでしょう。また、従業員への抵抗感が少ない状態でペーパーレスを実施でき、ペーパーレス化をスムーズに取り入れられます。

期間を区切って段階的にペーパーレス化の実施を進めると、新たな課題が出てくる場合もあります。出てきた問題に対して徐々に対策を進めていくと、目的や割合といった他の目標も達成しやすくなるでしょう。

ペーパーレス化の目標設定後の進め方

ペーパーレス化の目標設定が完了したら、目標達成に向かってさまざまな角度からペーパーレス化を実現します。ここでは、目標を設定した後、ペーパーレス化を進める具体的な方法を解説します。ポイントを押さえて実施するとスムーズに対応できるため、ペーパーレス化実施の際の参考にしてください。

目標達成に必要なツールを検討・導入する

ペーパーレス化を推進するにあたっては、ツールの導入が必要な場合があります。設定した目標と照らし合わせ、目標達成に適したツールを検討し、導入しましょう。

同じような機能を持ったツールでも、ツールによってかかる費用や性能が異なります。企業の状況やペーパーレス化の施策の方向性などによって、適切なツールを選択するとよいでしょう。人的リソースが割けない場合は、業者にアウトソーシングするのも1つの方法です。

具体的なルールを決めて少しずつ運用する

ペーパーレスの運用をはじめる前に、具体的なルールを決めましょう。従業員個人や部署によって、資料に対する考え方やペーパーレス化に対する意識が異なります。全社的に認識を統一するためには、一定のルールが必要です。

ルールを決める際には、一気にペーパーレス化を推し進めるのではなく、段階的に進められるよう、少しずつ運用していくことを念頭に置きましょう。社内のルールや業務フロー、使うツールが一度に大きく変わると業務負担増を招き、従業員のストレスやミスを誘発する恐れがあります。少しずつ運用を進め、日常業務への悪影響を抑えましょう。

必要に応じてITリテラシーやセキュリティの教育を行う

ペーパーレス化を進めると、従業員がスマホやパソコンなどを使ってITに触れる機会が増えます。そのため、必要に応じて、従業員に対してITリテラシーやセキュリティの教育を行いましょう。

従業員がITに不慣れな場合、企業のデバイスで不用意にフリーWi-Fiに接続するなど、知らないうちに情報漏えいにつながるリスクを冒す恐れがあります。ペーパーレス化自体がトラブルや損失の原因になっては、意味がありません。

ITリテラシーやセキュリティの教育には、定期的な研修やワークショップなどにくわえ、マニュアルなどを整備し、従業員が日常的に学べる状況が必要です。また、新しいツールを導入する場合、従業員が使いやすいようにサポート体制を整えましょう。

ペーパーレス化の目標達成に役立つツール

ペーパーレス化の目標達成に向けて活用できるツールには、次のようなツールがあります。

  • スキャナー(OCRなど)

紙の資料を画像などのデータとして取り込みます。

  • 資料を保管・共有するツール(オンラインストレージなど)

取り込んだデータを保管したり共有したりできるツールです。セキュリティ対策が施されているツールも多々あります。

  • 文書管理ツール

取り込んだデータの整理や管理を行うツールです。資料のバージョン管理やワークフローの設定ができるツールもあります。

  • データの契約書をやり取りするツール

取引先と、デジタル署名や電子契約書をクラウド上で取り交わせる機能を搭載したツールです。セキュリティに配慮されている上、データの契約書の法的効力も担保されている場合がほとんどです。

ツールは、物理的な設備とシステムの両方を利用します。ここで紹介したツールは、ペーパーレス化には欠かせません。ツールの導入に悩んでいる場合、まずは上記のツールの導入から検討しましょう。

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ペーパーレス化のためにまずは目標を設定しよう

ペーパーレス化には、目的や対象となる業務、ペーパーレスの割合、期間などを具体的に定めた目標を設定し、組織全体で共通のビジョンを持つ必要があります。目標が決まったなら、目標達成に必要なツールの導入や、具体的なルールの策定、従業員のITリテラシー向上を行いましょう。

一気に完全なペーパーレス化を進めるのではなく、期間を区切りながら段階的にペーパーレス化を進めていけば、従業員の負担は小さくなります。ツールを選ぶ際は、最終的に完全なペーパーレス化をすることを想定した上で、スキャナーやオンラインストレージ、文書管理ツールを導入してください。


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